『ヴィレッジ』で正体不明の恐怖に襲われる!村に隠されていた秘密とは?【考察・解説】
M・ナイト・シャマランの『ヴィレッジ』を考察
2004年公開のミステリー映画『ヴィレッジ』は、『シックスセンス』等で最後のどんでん返しで有名なM・ナイト・シャマラン監督による深い森に囲まれた、謎だらけの村を描いた作品です。難解と言われる所以となった森の外のシーンや曖昧なヒントが含まれた本作を考察していきます!
ネタバレ注意!村は結局何だったのか?
盲目の少女アイヴィー、ルシアス、そして精神弱者のノアは19世紀と思われる時代に、森に囲まれた村に暮しています。村人は怪物がいる森に入ることが禁止されており、村で生まれた子供達は森を恐れていました。しかし、アイヴィーとルシアスの婚約を知ったノアがルシアスを刺してしまい、ルシアスは村の薬では助からない重病となってしまいます。 アイヴィーが、ルシアスへの薬を手にするため森を抜けると、そこには自動車に乗った保護区域の警官がいました。村は、犯罪を憎むアイヴィーの親達によって作られた村であり、子供達を現代の世界から隔離するために、怪物の恐怖を植え付けていたのでした。
オープニングのダニエルの死が意味するものとは?
ダニエルという少年の葬式から『ヴィレッジ』の物語は始まります。しかし、物語ラストでは、アイヴィーが森を抜けた先で、侵入者を許さないためのガードが警備をし、飛行機が飛行することも禁止している保護地区の中に村があったことが分かりました。 村は完全に外界から隔離されており、薬などの物資の行き来もなく、村人は100年以上前の暮らしをしています。ルシアスがアイヴィーの持ち帰った薬で助かったことから、8歳であったダニエルの死、そしてアイヴィーの視覚も、現代の技術を使えば防ぐことが出来た可能性が見えるのです。 ダニエルのお墓には、1987年と書かれており、村の長老たちが時代を偽っていたことも分かります。
なぜ村が作られたか、ノアの殺人が否定する村の存在理由
村の長老たちは、街で愛する人を暴力や犯罪で無くした人々で、彼らはお金の存在を危険視し、犯罪のない世界を目標に村を作り出したのでした。村人が大切にしていた黒い箱には、忘れてはならない、愛するものの思い出の品が集められていました。しかしながら、その村でも、殺人が起きてしまいます。 アイヴィーに好意を寄せるノアは、彼女とルシアスの婚約を聞き動転し、ルシアスを刺してしまいます。精神弱者のノアは、子どものような精神を持っており、ただアイヴィーが好きであっただけで、村の中でも最も無垢だと言える存在でした。そんなノアによる殺人行為によって、アイヴィーは愛する人を失いそうになるというこの事件は、長老たちにとって皮肉とも言える出来事です。
ラストとこれから村はどうなっていくのか?
怪物に扮したノアを倒し、町から薬を持ち帰ったアイヴィーは、盲目の為に車や警官達の格好を見ることが出来ませんでした。よって、アイヴィーは村との大きな違いには気づかず、怪物がノアであったことも知らずに、怪物を倒したと長老たちに伝えます。 アイヴィーの父親は、怪物が村人達によって作られたものであることを伝えていましたが、アイヴィーは怪物が存在すると信じて育ち、先祖代々伝えられているという父親の言葉とともに怪物が本当にいたことに違和感を覚えません。 ノアが怪物として殺されてしまったことは長老達だけが知り、村の風習はアイヴィーやノアによって強められる結果となりました。このまま、村は閉鎖的な状態を保っていくと考えられます。
アーミッシュがモデル?
スイスからアメリカへ移住し、宗教上の規律を厳しく守る宗教民俗のアーミッシュが、『ヴィレッジ』のモデルではと考えられています。電気や自動車などの文明の一部を否定し、馬車などを用いた自給自足の生活は、アーミッシュと『ヴィレッジ』の村で似ているとも言えます。 アーミッシュの人びとは、成人を迎えると決まった色の服装のみの着用が許されています。赤色を不吉とし、黄色を守りの色とする『ヴィレッジ』の人々の衣服にも共通していました。
怖い?ホラーとしての『ヴィレッジ』の評価を解説!
『ヴィレッジ』は、恐怖前面に出した予告編からホラー作品としても扱われることがあります。『ヴィレッジ』は、ホラー映画よりも、最後のどんでん返しと村の設定が上手く練られたミステリー作品として評価されました。 『ヴィレッジ』に登場する恐怖は「形のない恐怖」であり、アイヴィーに付き添って森に入った2人の青年は、怪物が嘘であると知らされていないため恐怖で逃げ出してしまいます。正体不明あるが故に怪物の恐怖は増すのです。村人の心理を考察しながら『ヴィレッジ』を見ることも出来ます。