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役所広司の怪演光る!映画『シャブ極道』を徹底紹介!

2018年6月1日更新

今や日本が世界に誇る名優・役所広司。主演映画『孤狼の血』も大ヒット中の役所ですが、今回は特に彼の怪演ぶりを見ることのできる映画『シャブ極道』をご紹介します。

映画『シャブ極道』とは?

映画『シャブ極道』は、指定暴力団・山口組の顧問弁護士をしていた山之内幸夫の小説『シャブ荒らし』が原作です。山之内幸夫が実際にその目で見てきた極道の姿を描いています。 また、今回は「覚せい剤」と表記すべきところをあえて「シャブ」と明記していきますので、どうぞご理解ください。 実は本作は、この「シャブ」という表現について、1996年公開当初、波紋を呼んだいわくつきの映画なのです。映倫(映画倫理委員会)もビデ倫(日本ビデオ倫理協会)もいずれも、シャブという表現と内容に関して待ったを出しました。これに監督の細野辰興が異を唱えたのです。 なぜなら、表現の自由を害するからです。結局、公開時は成人指定、パッケージ化の際には『大阪極道戦争 白の暴力』と『大阪極道戦争 白のエクスタシー』にタイトルを変更し上下巻に発売されました。 その上で、ジャケットには劇場公開名『シャブ極道』と併記されることに落ち着きました。後にDVD化された際には、元の『シャブ極道』に戻され監督の意向が反映される形になりました。 そんな熱い思いを乗せた映画『シャブ極道』。今回は、その魅力についてご紹介していきます!

あらすじ

女好きでヤク中の真壁五味は、弱小暴力団・巌竜組の若頭です。彼がある日一人の女性に一目惚れします。それは、日本最大の暴力団組織の幹部である神崎の愛人・鈴子でした。 鈴子を自分のものにしたい五味は、なんとその日のうちに誘拐し自分の妻にしてしまうのです。実は彼女も神崎から逃げ出したいと思っていたのでした。 ただでは済まない一大事でしたが、巌竜組・組長が話をつけて金で解決してくれました。その後、五味は徐々に組織の中でも力をつけていきます。 そんな中、組長が賭博に負けて20億の借金を作って逃げてしまいました。なんとか居場所を見つけた五味は、鈴子の説得もあり自分の片腕の下村と一緒に組を譲り受けることに成功します。 組長となった五味は、時代の流れもありこれまで賭博を財源としていた巌竜組を覚せい剤の販売で儲けるクスリ屋に変えてしまいました。一方、神崎は日本最大の暴力団の組長となり、シャブを日本から排除しようと動いていたのでした。 シャブで日本中を幸せにしたいと本気で考えている五味と、シャブを排除したい神崎。すれ違う2人の意見。 この2人の因縁は周りの人間をも巻き込み、いつしか互いの命を狙い合うことになるのでした。

主演 真壁五味役/役所広司

役所広司
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ヤク中で巌竜組の7代目組長まで登りつめる真壁五味を演じるのは、役所広司。1956年1月1日生まれの62歳です。 長崎県出身で高校卒業後上京し、千代田区役所に勤め出します。たまたま観劇した仲代達也主演の舞台に感激し、彼の主宰する「無名塾」の試験を受け合格してしまいます。 その後は徐々に頭角を現し、ドラマ・映画に数多く出演し内外の映画祭にて多くの受賞歴を持つことに。その演技力と功績が認められ、2012年には紫綬褒章を受章しました。 2009年には映画『ガマの油』で監督に初挑戦し、2016年にはCMでも監督を務め活動の場を広げています。2018年は5月に公開された主演映画『弧狼の血』や2019年1月スタートのNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』にも出演する予定です。

その他のキャスト

真壁鈴子役/早乙女愛 

五味の妻・真壁鈴子を演じるのは、早乙女愛。1958年12月29日生まれ。2010年7月にアメリカ・シアトルで亡くなりました。享年51歳でした。 梶原一騎原作の漫画『愛と誠』の映画オーディションに受かり、その役名と同じ早乙女愛という芸名でデビュー。1985年に結婚してからは徐々に仕事を減らしていきました。 映画『シャブ極道』では、おさか映画祭・助演女優賞を受賞。2000年の映画『新・仁義なき戦い』の出演を最後に惜しまれつつも芸能界を引退しました。本作では早乙女愛の凛とした美しさとその堂々としたお芝居が、ヤクザの組長の姉さんにピッタリでした。

加納亨役/菅田俊

巌竜組で五味の子分・加納享を演じるのは、菅田俊。1955年2月17日生まれの63歳。 大学卒業後、俳優を目指し東映へ。その後、唐十郎の状況劇場に入団し舞台中心になりますが、1987年に映画『あぶない刑事』で映像の世界へ戻ります。 ドラマ・映画・オリジナルビデオなどで、強面のヤクザからコミカルな役どころまで幅広く演じています。また、2003年にハリウッド映画『キル・ビルVol.1 』や『ラストサムライ』に出演以降は、国際派俳優としても活躍しています。 2018年7月より映画『菊とギロチン』が公開予定です。 本作では、強面ながらどこか憎めない加納役を見事に演じていました。

大山新次郎役/高橋明 

巌竜組の6代目組長を演じるのは、高橋明。1934年生まれ。2011年、肺炎のため77歳で亡くなりました。 1956年に公開された映画『妻恋峠』から日活作品に出演しています。1971年に日活ロマンポルノ第一弾作品『団地妻 昼下りの情事』が公開されてからは、数多くの日活ロマンポルノにも出演しました。 映画『棒の哀しみ』の神代辰巳監督作品や映画『実録阿部定』の田中登監督作品に出演し、バイプレイヤーとしての地位を築きました。日活作品だけでも実に200本以上の映画に出演しています。 本作では、その圧倒的な存在感を醸し出していました。

初枝役/春やすこ

下村の妻を演じるのは、春やすこ。1961年6月15日生まれの56歳。大阪府出身。 春やすこ・けいこという女性漫才コンビとしてデビューをしました。1985年にけいこが長女を出産したのを機にコンビは解散し、やすこはその後単独で、女優や司会としても活動していきます。 映画「極道の妻たち」シリーズや2017年TBS系ドラマ『陸王』などにも出演していました。 本作は大阪を舞台にした作品ながら、主要キャストに大阪出身者が少ない作品なので、貴重なキャストの一人だったのではないかと思います。

下村四郎役/渡辺正行

巌竜組で五味の片腕として若頭になる下村四郎を演じるのは、渡辺正行。1956年1月24日生まれの62歳。 大学在学中に、ラサール石井、小宮孝泰と出会いコントグループ・コント赤信号を結成し、1980年にデビューし人気を博しました。バラエティーはもちろんのこと、司会や俳優まで幅広く活躍しています。 本作では、いつものお笑いとは一味違う、役者としての顔が見られますよ。

浦島刑事役/本田博太郎 

金のため巌竜組に情報を流す浦島刑事を演じるのは、本田博太郎。1951年2月8日生まれの67歳。 劇団青俳に所属し舞台を中心に活動していました。蜷川幸雄演出の舞台『近松心中物語』や『ロミオとジュリエット』で、1979年度ゴールデンアロー演劇部門新人賞を受賞。 その後は、映画やドラマなどで活躍し、その演技力には定評があります。2018年7月からスタートするテレビ東京系ドラマ『ラストチャンス再生請負人』にも出演予定です。 様々な役どころを演じられる貴重な名バイプレイヤーの一人ですね。

スタッフ紹介

監督/ 細野辰興 

1952年生まれ。横浜放送映画専門学院(現:日本映画大学)出身。 今村プロダクションからディククターズ・カンパニーへ。そこで助監督を経験しました。 1991年、映画『激走トラッカー伝説』にて監督デビューを果たし、1994年には『シャブ極道』と同じ原作、脚本で映画『大阪極道戦争 しのいだれ』を監督しました。同原作者の1997年の映画『売春暴力団』と合わせて、ナニワ破天荒極道三部作と言われています。 2018年現在は活動の拠点を演劇に移し、2月には独り芝居『レプリカントは芝居ができない?』が上演されました。

原作/山之内幸夫

日本最大規模の指定暴力団・山口組の顧問弁護士を務め、40年以上その歴史を見てきました。これまで暴力団に顧問弁護士が就くことはなく、山口組でも最初で最後の顧問弁護士と言われています。 1988年、小説『悲しきヒットマン』で作家デビューし、その後弁護士業のかたわら次々に作品を発表し映画化も多くされてきました。弁護士としては、1987年には大阪弁護士会より懲戒処分を受け、2015年には弁護を受けた依頼人に壁を破壊させた建造物損壊教唆罪が有罪となり弁護士資格を喪失しました。 2018年現在は、作家を中心に活動しています。また、自身原作の映画には、カメオ出演していることが多く見られ本作でも出演してます!

脚本/成島出

1961年生まれ。大学在学中の映画サークルで活動を始め、1986年の自主映画『みどり女』が若手監督の登竜門・ぴあフィルムフェスティバルに入選し、長谷川和彦に師事しシナリオ作りを学びました。 その経験から、1994年からは脚本家として映画『大阪極道戦争 しのいだれ』でデビュー。1996年に映画『シャブ極道』の脚本を担当、その後も脚本家として活動しながら2004年、映画『油断大敵』にて主演に役所広司と柄本明を迎え、監督デビューを果たしました。 この作品で初監督ながら、藤本賞で新人賞や横浜映画祭で新人監督賞を受賞し、2011年には『八月の蝉』にて日本アカデミー賞の10部門を受賞。さらに、芸術選奨文部科学大臣賞映画部門を受賞しました。

役所広司の怪演が光る!

1996年公開の映画『シャブ極道』。この年、映画『Shall we ダンス?』や映画『眠る男』も公開されました。 いずれも、役所広司主演の映画で、この年の主演男優賞は総ナメしたほどでした。そして、1997年には今村昌平監督の映画『うなぎ』がカンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞。 国内外に、役所広司という俳優の存在を確固たるものにしたのでした。この2年だけ見ても、どのキャラクターも見事にまで違っていて、特に『シャブ極道』の役どころに関してはかなりの破天荒ぶりで、役所広司という役者のこの上ないふり幅の広さに驚くばかりです。 役所広司演じる真壁の片腕・下村が殺されその葬式の席、あたかも下村の心臓かのように血の滴る豚の心臓を持ちながら、子分たちに下村の仇を取らせるために狂乱するその姿は怪演そのもの。まさに必見です!

大阪ロケにおける空気感と伝説のあのシーン

この映画の撮影には、1ヶ月間の大阪ロケが行なわれました。まさに物語の舞台は大阪です。その時代や街の空気感が見事に映し出されています。まるでそこには、本当に巌竜組があるかのようです。 また伝説のシーンと呼ばれているのが、シャブしゃぶしゃぶのシーン。真壁が刑務所から出てきた時、若頭の下村としゃぶしゃぶを食べるというシーンがあるのですが、そのタレにシャブの粉を溶かし入れ食べるというものです。 思わず笑ってしまいますね。ごまだれより、ポン酢がいいらしいですよ。

役所広司最新作は映画『孤狼の血』

公開から20年が経った今でも、特集上映などが組まれて全席満員だったなどという話を耳にする映画『シャブ極道』。それまでにあった任侠映画とは異なるテイストにその魅力があるのかもしれませんね。 破天荒なヤクザ男とそれに惚れた1人の女の激しいまでのラブストトーリーというのが、この物語の根底にあります。そんな2人を取り巻くヤクザ社会。 ヤクザの世界もちょうど時代の変革期にあり、任侠の世界が変わっていくところも描かれています。ちょうど同じ時代設定でもあるのが、役所広司主演で現在公開中の映画『孤狼の血』です。 2作品を見比べてみるのも面白いかもしれませんね!

映画『シャブ極道』販売情報

シャブ極道

『シャブ極道』 価格:DVD¥3,800(税抜) 発売元・販売元:株式会社KADOKAWA