2018年6月14日更新

Jホラーの巨匠・中田秀夫とは?【貞子の生みの親】

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『リング』

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映画監督・中田秀夫とはどんな人なのか?

中田秀夫は、1961年に岡山県浅口郡で生まれた映画監督です。1985年、旧にっかつ撮影所に入社、1992年に『本当にあった怖い話』で監督デビューしました。 彼を一躍有名にしたのは1998年に発表された『リング』。この作品はジャパニーズホラー(Jホラー)の代表作とも呼ばれ、貞子のキャラクターは恐怖を象徴するものとなりました。 その後も『仄暗い水の底から』などホラー映画でヒット作を生み出し、ハリウッドでリメイクされることも。現在ではJホラーの代表者の一人と呼ばれています。 その一方で、中田秀夫は「本当に撮りたいものはホラーではない」とも明かしており、メロドラマ志向だと公言しています。映画『ホワイトリリー』はロマンポルノ初監督作となりました。 今回は、そんな中田秀夫監督の中から特に必見の13本をご紹介します。

1. 中田秀夫デビュー作 撮影現場が舞台の『女優霊』【1996年公開】

1996年に公開された日本のホラー映画『女優霊』は中田秀夫の監督デビュー作です。ポスターにもなっている女優の幽霊は『リング』の貞子の原点ともなりました。 デビュー作を撮影している新人監督がテスト映像をチェックしていると、作品とは別の映像が映し出されます。その映像を発見したのを機に、撮影現場では奇妙な出来事が起こっていきます。 中田秀夫は自分が過ごしてきた撮影所を舞台にして、その思い入れを盛り込んだと話しています。一方、脚本を担当した高橋洋も、幼少期にホラー映画の予告を見たという記憶を題材にしたと話しており、それぞれの思い入れが込められた作品となっています。

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2. 世界中で話題になった大ヒット作品!映画『リング』【1998年公開】

鈴木光司の同名小説を映画化したもので、日本の映画史に残る大ヒットとなりました。 前作『女優霊』でも脚本を務めた高橋洋と、本作でもタッグを組んでおり、前作に寄せられた「ホラーにしては怖くない」という声に対し、純粋なホラー映画を撮ろうと意気込んで作られたと言われています。 見た者は一週間後に死ぬという「呪いのビデオ」の調査に乗り出した浅川玲子。しかし、彼女自身もビデオを見てしまい、その恐ろしい呪いが彼女に迫ります。 原作は呪いの謎を解いていくミステリー作品ですが、見た人に怖がってもらいたいと、映画版では物語を可能な限りシンプルにさせたことで、日本だけでなく世界中をも恐怖で包みました。

3. 『リング』の続編『リング2』もう一つの結末とは!?【1999年公開】

『リング』の恐怖から一年後、1999年に公開された『リング2』。 『リング』の事件で恋人を亡くし、その死の真相を探っていた高野舞は、「呪いのビデオ」の存在を知ります。その調査中、恋人の息子であった陽一に出会い、彼に憑りついていた怨念から、彼を救うために貞子の故郷、大島へと渡りますが……。 映画版、原作共に『リング』の続編として『らせん』という物語がありますが、この『リング2』はそれとは別の物語として作られました。「もしも『らせん』とは違う展開になっていたら……」という完全オリジナルで書き下ろされたもう一つの結末が描かれています。

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4. 妖艶なサスペンス映画『カオス』【2000年公開】

2000年に公開された、中谷美紀、萩原聖人のW主演のサイコサスペンス映画。原作は歌野晶午著作の『さらわれたい女』という小説です。 便利屋の黒田は、佐緒里から狂言誘拐を依頼されます。佐緒里が身を潜めていたアパートに彼が訪れると、佐緒里は既に死んでいました。彼は死体を埋めますが、その後、佐緒里にそっくりな女性を見かけます。恐ろしくなった彼は死体を掘り返しますが、そこに埋められていたのは別の女性だったのです。 本当の犯人は一体誰なのか、黒田が埋めた女性は誰が殺したのか。妖しく絡み合っていく、複数の登場人物たち。恐怖の中に妖艶な演技が光る、中谷美紀にも注目したい作品です。

5. ハリウッドでもリメイクされた『仄暗い水の底から』【2002年公開】

『リング』の原作者でもある、鈴木光司著作の短編集『仄暗い水の底から』に収録されている、『浮遊する水』を元にした作品。 離婚調停中の淑美は、幼い娘と二人でマンションに引っ越してきました。しかしそのマンションには、怪しい空気が漂っていました。ある日、娘は屋上で誰かと話しているのですが、そこには赤いバッグしかありません。淑美はそれを管理室へ届けるのですが、後日また同じ場所で赤いバッグを見つけることになり……。 2003年にはジェラルメ国際ファンタスティカ映画祭でグランプリを受賞。2005年にはハリウッドで『ダーク・ウォーター』というタイトルでリメイクもされました。

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6. リメイクの続編『ザ・リング2』でハリウッドデビュー!【2005年公開】

ハリウッドリメイク版『ザ・リング』の続編となる物語。主演も前作に引き続きナオミ・ワッツが務めました。 主人公のレイチェルは、姪の死の真相を突き止めるために、調査を始めます。その過程で甥であるエイダンもビデオを見てしまい、サマラ(日本版の貞子)の呪怨であることを突き止めます。 続編である本作は、その出来事から6か月後を描いています。レイチェルとエイダンは田舎へ移ってきますが、サマラの呪いからは逃れられず、二人は再びサマラに襲われるのでした。 原作小説、映画版のどの『リング』作品とも異なった独自の展開になっています。前作の『ザ・リング』ではゴア・ヴァービンスキー監督で制作されましたが、続編である本作はオリジナルを制作した中田秀夫がメガホンを取りました。

7. 落語を元に描いた男女の愛憎劇『怪談』を中田秀夫が映像化!【2007年公開】

落語家の三遊亭圓朝が創作したという落語、『真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)』を元に映画化された古典ホラーです。主演を務めた尾上菊之助はこの作品が映画主演デビューとなりました。 浄瑠璃の師匠をしている富志賀と、煙草売りの新吉は恋に落ちますが、美しい青年に向けられた富志賀の愛は、次第に独占欲に変わっていきます。富志賀は小さな諍いの際、目の上にケガを負い、みるみる醜い顔になりそのまま死んでしまいます。それでも新吉への独占欲と愛情故に、新吉と結ばれた女たちを呪い殺していくのです。 中田秀夫監督の邦画作品としては5年ぶりに撮られた作品で、独占欲が呪いに変わる、狂気の愛を描いた作品です。

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8. 中田秀夫が見たハリウッドの裏側『ハリウッド監督学入門』【2009年公開】

『ザ・リング2』で、ハリウッドデビューを果たした中田秀夫が、自ら製作・監督・出演までを務めた作品。『ザ・リング2』の撮影で滞在していたときに感じた違和感や、ハリウッドの実状などをまとめたドキュメンタリー映画です。 『呪怨』を監督した清水崇とハリウッドで体験したことを語り合ったり、映画音楽で有名なハンス・ジマーらが赤裸々に語る、ビジネスとしてのハリウッドに着目した作品。映画製作に関わる様々な人たちに直接カメラを向け、リアルなショービズの裏の世界を映しています。 中田秀夫の目に映ったハリウッドはどのような世界だったのでしょうか。

9. ネット上で起こるサイコパスな現実『Chatroom/チャットルーム』【2010年公開】

2010年に公開された中田秀夫監督のイギリス映画。 家族との仲が良くない青年ウィリアムは、インターネットで自殺する瞬間を収めた動画を見ることに魅了されていました。ある日、チャットルームで知り合った青年がうつ病だと知ると、彼を自殺に追い込み、その瞬間を見ようという計画を企てます。 家族との不仲故に、インターネットの世界に入り込んでしまう若者を描いています。ネット上での出来事も、現実だという感覚が薄れてしまう、現代ならではのサイコサスペンス映画です。

10. 初日2日で興収2億円超え!『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』【2010年公開】

ホリプロ50周年の記念作品として制作された本作。キャストは全員ホリプロの所属タレントが起用された超豪華なキャスティングになっています。 人文科学的実験の被験者という求人の元に集められた12人の男女。しかし、その実態は参加者同士が殺し合い、生き残った者が賞金を手にするという、デス・ゲームだったのです。 米沢穂信著作の『インシテミル』が原作で、この小説は別冊宝島が毎年発表する、ミステリー小説のランキングなどが掲載されたガイドブック「このミステリーがすごい!」(通称「このミス」)で10位にランクインしました。

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11. これぞ中田秀夫の真骨頂!『クロユリ団地』は恐怖そのもの【2013年公開】

日活の創立100周年記念作品として、前田敦子と成宮寛貴のW主演で描かれたホラー映画。 家族でクロユリ団地に引っ越してきた明日香は、隣室の生活音に悩まされます。ところがある日、その部屋で老人の孤独死が発覚し、その清掃に来ていた笹原に相談するように。しかしこの団地には恐ろしい真実が隠されていたのです。 公開前からパチンコ化が決定し、スピンオフのテレビドラマ化もしたほど、大ヒットとなった作品です。2013年5月の公開初日から興行収入1憶5000万を超え、2014年1月発表時には累計10.2憶を記録しました。

12. 中田秀夫が描くハートフルコメディ作品『終わった人』【2018年6月9日公開】

2018年6月9日に公開した『終わった人』。原作は大河や朝ドラの脚本を手掛ける内館牧子による同名小説です。 定年を迎え、仕事一筋に生きてきた壮介は朝起きてから寝るまで、やることもなく暇を持て余していました。妻や娘からは「恋でもしたら?」とからかわれる程。定年はしたけれどまだ終われない、ともがく男の奮闘を描きます。 中田秀夫作品としては珍しい、家族の姿をハートフルに、かつコミカルに描いた作品です。「まだ終われない」と思っている、多くの人へ向けた人生の奮闘記です。

13. 中田秀夫最新作のSNSミステリー『スマホを落としただけなのに』【2018年11月2日公開】

志駕晃著作の同名小説が原作になっており、この小説は「このミステリーがすごい!」(通称「このミス」)にて「受賞は逃したけれど、ベストセラーの可能性がある作品」(隠し玉)として選ばれました。 スマホを落としてしまうという誰にでも、そして日常に起こりそうな、些細なことから災難に遭う女性を主人公にした物語です。そんな小さなことがきっかけでどこまで厄災につなげられるか。そういった着眼点が面白いと評価されました。 現代だからこその恐怖を描いた、SNSミステリーが中田秀夫の手にかかった時、どのような化学反応が起こるのでしょうか。2018年秋の公開が待たれます。