2018年7月2日更新

痛烈で繊細な存在感。俳優・グザヴィエ・ドランの輝きとは【「IT」続編への出演も決定】

弱冠19歳で監督デビューを飾り、作品が次々にカンヌ国際映画祭に出品され賞を獲得するなど、若き天才として映画界に名を馳せるグザヴィエ・ドラン。今回は、監督業だけでなく俳優としても活躍する彼の、出演作品とその役どころについてご紹介していきます。

映画界に君臨する若き天才・グザヴィエ・ドラン

グザヴィエ・ドラン
© Picture Alliance/Photoshot

19歳で監督デビューを果たし、映画界の若き才能として注目を集め続けているグザヴィエ・ドラン。監督業のみならず、自作品および他の監督の作品でも主演を務めるなど、俳優としても多岐に渡るフィールドで活躍しています。 そこで今回は、グザヴィエ・ドランが俳優として出演した作品と彼が演じた役どころ、その魅力について解説していきます。

眩い光を放つ多面的な才能

2009年に映画『マイ・マザー』で監督・脚本家デビューを果たし主演も同時に務めるなど、当時10代にして強烈な印象を与え、大きな話題を呼んだグザヴィエ・ドラン。1989年にカナダのモントリオールで生まれ、幼少の頃から映画やテレビに出演し、子役として活躍してきました。 カンヌ国際映画祭で上映された他にも、2012年作の『わたしはロランス』では同映画祭でクィア・パルムを獲得し、翌年2013年の『トム・アット・ザ・ファーム』は第70回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で上映され国際映画批評家連盟賞を、2014年の作品『Mommy/マミー』では第67回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞するなど、2009年の監督デビューから現在に至るまで数々の映画賞を席巻してきました。 またシンガーソングライターのアデルから直接オファーを受け、彼女の大ヒット曲『Hello』のミュージックビデオの監督を担当するなど、多方面のフィールドでその名を轟かせています。

グザヴィエ・ドランの俳優業に注目

監督・脚本・主演で話題を呼んだ『マイ・マザー』

自身の監督・脚本家デビューとなった本作で、ドランは主演も同時に担当。思春期の息子とその母親の、反発し合う愛と憎しみを独特の映像表現と音楽を用いて描き出し、第62回カンヌ国際映画祭で上映後20カ国で売却され、観る者の心の琴線に触れる秀逸な人間ドラマ作品として高い評価を獲得しました。 本作でグザヴィエ・ドランは、母親への愛と憎悪の狭間で揺れ動くティーンエイジャーを熱演。10代の頃に誰もが抱えてきた鋭く脆い感情風景を体現しました。

片思いと友情の駆け引き『胸騒ぎの恋人』

親友同士のふたりの若者が同じ人物を好きになるという、片思いと友情が混在する絶妙な三角関係を描いた作品。グザヴィエ・ドランは親友のマリーと同じ男性を好きになるゲイの青年・フランシスを演じました。 目に見えてわかるようなあからさまな対立関係がなくとも、その内側に存在し続ける1人の人間を思う者の間を流れるセンセーショナルな空気感と、複雑に混ざりあうもどかしい恋の駆け引き、そこに生じる嫉妬心や優越感を、キャスト陣・制作陣の両面から表現しています。

愛と暴力がたどり着く先には『トム・アット・ザ・ファーム』

事故死した同性の恋人の実家である農場を訪ねた主人公トムが、自分と恋人がゲイであることを恋人の兄フランシスに口止めされ、フランシスの暴力的支配に翻弄されつつも彼との関係に心酔していく姿を描いた『トム・アット・ザ・ファーム』。 本作でグザヴィエ・ドランは、フランシスのホモフォビア的側面を嫌悪しつつも、恋人の兄という遺伝子的魅力に惹きつけられ、農場にとどまり続ける主人公トムを好演。歪んだ愛が歪んだ形で発展していく、シリアスな雰囲気漂うヒューマンドラマです。

静かに行き交う信仰と運命『神のゆらぎ』

エホバの証人である看護師とその婚約者、過去に一抹の秘密を持つ麻薬の運び屋、熟年不倫に興じる男女の、それぞれの運命が進行していく様を過去と現在を行き来しながら描いた群像劇。 グザヴィエ・ドランが演じるのは、末期の白血病を患いながらもエホバの証人であるがゆえに輸血を拒み、抗えない死に向かっていく青年。敬虔な信者だからこそ抱える葛藤や死への恐怖心、教団の教えに背いた婚約者への呵責と未練が、彼の細やかな視線と身体表現を用いて体現されています。

密室で繰り広げられる会話劇『エレファント・ソング』

精神病棟を舞台に、突如行方不明となった当院の医師のゆくえを巡り、その医師の患者の青年マイケルと病院長グリーンの間で繰り広げられる会話を軸に物語が進行していく今作。 マイケルは巧みな話術と揶揄でグリーンを弄びながらも、次第に過去のトラウマや心の奥深くに根付く悲しみ、本当の欲望を露わにしていき、彼との交流を経て心のわだかまりを紐解いていきますが……。 マイケルの若さゆえの危うい美しさと、死の気配から漂う繊細な色気が、グザヴィエ・ドランの細部まで行き届いた演技と微妙な表情の動きを伴って鮮やかに表現されています。

映画『IT/"それ"が見えたら終わり』の続編への出演決定!

2018年現在で29歳という若さながら、デビュー以来監督作が次々と映画賞を獲得するだけでなく、他の監督の作品で俳優としても高い評価を得るなど、底なしの才能を発揮してきたグザヴィエ・ドラン。 そんな美しきカリスマとして呼び声高い彼は、2017年に日本でも公開され大きな話題を呼んだホラー映画『IT/"それ"が見えたら、終わり。』の続編に出演することが明らかになっています。今作では陰惨ないじめを受けた末にペニーワイズに惨殺されてしまうゲイの青年役を演じるとのこと。 新鋭の名監督として名を馳せる彼だからこそ醸し出せる役者としての鮮烈な存在感と、子役時代から培ってきた豊かな表現力がどのように発揮されるのか。俳優・グザヴィエ・ドランの今後の活躍からも目が離せません。