2021年1月27日更新

【連載#13】今、観たい!カルトを産む映画たち「エコエコアザラク」カルト的ブームとなった美少女ホラー【毎日20時更新】

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【連載】今観たい、カルト映画#13

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連載第13回「今、観たい!カルトを産む映画たち」

宇宙、星、銀河、ブラックホール、ワームホール、フリー画像

有名ではないかもしれないけれど、なぜか引き込まれる……。その不思議な魅力で、熱狂的ファンを産む映画を紹介する連載「今、観たい!カルトを産む映画たち」。 ciatr編集部おすすめのカルト映画を1作ずつ取り上げ、ライターが愛をもって解説する記事が、毎日20時に公開されています。緊急事態宣言の再発令により、おうち時間がたっぷりある時期だからこそ、カルト映画の奥深さに触れてみませんか? 第12回の『大怪獣バラン』(1958年)に続き、第13回は『エコエコアザラク』(1995年)を紹介します!

カルト的ブームを巻き起こした美少女ホラー!【ネタバレ注意】

セーラー服 フリー画像

1990年代にカルト的なブームを巻き起こし、メディアミックス展開された本格ホラー作品のひとつ「エコエコアザラク」シリーズ。1995年公開の映画版を皮切りにテレビドラマシリーズも製作され、2000年初めまで人気を博しました。それ以降も新シリーズとして、テレビドラマ、映画、オリジナルビデオが2011年まで製作されています。 原作は1970年代に秋田書店の「週刊少年チャンピオン」にて連載され、ロングヒットを記録した古賀新一の漫画『エコエコアザラク』。1980年代は月刊少年チャンピオンにて「高校生編」を掲載、1990年代にはホラー漫画誌のサスペリアに移行し、『エコエコアザラクⅡ』として連載が続いた人気漫画です。 そんな「エコエコアザラク」シリーズの中から今回は、最初の映像化作品である映画『エコエコアザラク -WIZARD OF DARKNESS-』を紹介しましょう! ※本記事では映画の展開について、ネタバレありで触れています。まっさらな状態で映画を楽しみたい人は、視聴後に記事を読むことをおすすめします。

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映画『エコエコアザラク -WIZARD OF DARKNESS-』のあらすじ

フリー画像、学校、教室、机、生徒、学園

東京で猟奇殺人が起こっていた頃、主人公・黒井ミサが聖華学園高校に転校してきます。ひょんなことから彼女は、クラスメイトの前で黒魔術を見せることになり、生徒たちから嫌厭されてしまいました。 この黒魔術とは、人形を使う、五芒星を書くなどして呪文を唱え、自身の欲望のためターゲットに何らかのダメージを与えるための魔術です。またその魔術を解く際にも、黒魔術を使用する必要があります。 クラスメイトのなかで孤立するミサに対し、クラス委員のみずきと剣一だけは味方をしてくれるのでした。放課後、居残りさせられることになったミサを含む13人のクラスメイトたち。彼らは次々と何者かに殺されていきます。 最初の犠牲者はトイレで水責めに遭い溺死。その後は職員室に閉じ込められバラバラに惨殺される者、窓に挟まれ体が真っ二つにされる者、階段から落ちて頭を打って死ぬ者など続々と生徒たちが姿を消しました。ミサは黒魔術を使ってなんとか学校から脱出しようとしますが、意外な敵と戦うことに……。 原作では中学生の設定ところ、映像化にされるにあたって高校生に変更されました。

【ネタバレ注意】映画『エコエコアザラク -WIZARD OF DARKNESS-』に欠かせない美少女たち!

映画『エコエコアザラク -WIZARD OF DARKNESS-』に登場する美少女を紹介します!

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黒井ミサ/演:吉野公佳

黒井ミサは強大な力のある魔女で、黒魔術を悪用しようとする人間を自身の黒魔術をもって止めるために、様々な場所を転々としています。 そんな黒井ミサを演じたのは吉野公佳。彼女の独特な雰囲気は影のあるヒロインにぴったりの配役でした。 吉野公佳は1975年9月5日生まれで、1989年にデビューしました。 最初はグラビアに登場していましたが、1993年に映画『高校教師』で映画デビュー。映画『エコエコアザラク -WIZARD OF DARKNESS-』では初主演を果たし、女優業を本格させていきます。 その後は、テレビドラマや映画で活躍。続く「エコエコアザラク」シリーズ映画版第2弾『エコエコアザラクII -BIRTH OF THE WIZARD-』でもミサを演じました。近年はテレビで見る機会は減りましたが、舞台をメインに活動しているようです。

倉橋みずき/演:菅野美穂

倉橋みずきはクラス委員も務め、転校したばかりのミサに優しく接しますが、実はそれは表の顔。一連の猟奇殺人や学校での居残り生徒の惨殺も、全てみずきの仕業でした。彼女はルシファーを召喚し、その力を手に入れようと目論んでいたのです。 そんなみずきを演じたのは菅野美穂。彼女の演技力はこの頃からすでに確立されていて、見事な悪役ぶりでした。 菅野美穂は1977年8月22日生まれで、1993年にドラマ『ツインズ教師』で女優デビューしました。 以後、NHK連続テレビ小説『走らんか!』(1995年)の準主役やドラマ『イグアナの娘』(1996年)の主役にて、その演技力が高く評価されます。その後、テレビドラマ、映画、CMなどと幅広く活躍。 私生活では2013年に俳優の堺雅人と結婚し、2018年までに2児の母となった菅野。2021年に入って本格復帰し、1月から放送のドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』で主演を務めています。

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あの監督も関わっていた!?スタッフ紹介

ここからは、映画『エコエコアザラク -WIZARD OF DARKNESS-』の主なスタッフを紹介します。

監督・ストーリー原案:佐藤嗣麻子

映画『エコエコアザラク -WIZARD OF DARKNESS-』の監督は佐藤嗣麻子(さとう しまこ)。1992年に映画『ヴァージニア』で映画監督デビューし、同作が認められて「エコアザラク」シリーズの監督に抜擢されました。 ドラマ「アンフェア」シリーズなどの脚本家としても活躍し、映画『アンフェア the answer』(2011年)や映画『アンフェア the end』(2015年)では、脚本と監督も務めています。 2012年5月、同じ専門学校の仲間であり、本作のスタッフとしても関わった山崎貴と結婚したことを発表しました。

デジタルヴィジュアルエフェクト:山崎貴

本作のデジタルヴィジュアルエフェクトを担当したのは、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズや『永遠の0』(2013年)などの映画監督・山崎貴です。1995年当時はまだ映画監督はしておらず、SFX(特殊効果)アドバイザーとして製作に携わりました。 近年はVFX(視覚効果)の第一人者と呼ばれていますが、映像センスの良さとクオリティーの高さはその片鱗が垣間見え、作品の見どころのひとつにもなっています。後に妻となる佐藤嗣麻子監督の作品だなんて運命的ですね。

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音楽:片倉三起也

映画『エコエコアザラク -WIZARD OF DARKNESS-』の音楽は片倉三起也が務めました。彼は音楽ユニット「ALI PROJECT」のメンバーで、キーボードと作詞・作曲を担当しています。 その他のメンバーは、ボーカルと作詞を担当する宝野アリカ。ALI PROJECTはテレビアニメの主題歌なども数多く手掛けていて、その独特な世界観でファンを魅了し続けてる音楽ユニットです。 映画第2弾となる『エコエコアザラクII -BIRTH OF THE WIZARD-』では、片倉三起也が手掛けたサウンドトラックと主題歌「星月夜〜ルシファー第四楽章〜」が発売されました。この「星月夜〜ルシファー第四楽章〜」は『エコエコアザラク -WIZARD OF DARKNESS-』のエンディングとしても、曲のみ使用されています。

つい真似したくなる黒井ミサの呪文

本シリーズのタイトルにもなっている「エコエコアザラク」という言葉は、黒井ミサが黒魔術を使う際に唱える呪文です。 原作漫画にも登場しており、正式には「エコエコアザラク エコエコザメラク エコエコケルノノス エコエコアラディーア」と言います。 この呪文は『エコエコアザラク -WIZARD OF DARKNESS-』の作中では、ミサが生徒たちの前で人形を使った黒魔術を披露する際に使用しました。これにより、ターゲットになった先生は具合が悪くなってしまうのでした。 呪文の語源については、「ウィッカ(古代多神教信仰、特に魔女崇拝を復活させた新宗教)」、通称「魔女宗」において神を讃える歌から来ていると言われています。さらに注目したいのが、クライマックスシーンで登場するルシファー召喚の呪文。 「ルシファーよ 生命と真実の神の名において汝を召喚する 強大な神の名において汝を召喚する オンアルファ オメガ エロイ エロエム ヤー セディー ルクス ムギエンス ネクス アドネイ エマニュエル メシアス ルシファーよ よみがえれ そして私に力を与えよ VとCとXの文字の中に秘められた名前とエホバ ソル アクラ リファソルス オリストン オルフィトネ ファトリ インプレトン オギア ソペラトン イマゴン アムリペラトン ソペルン テトラグラマトン エロイ プレムトン シトモン ペリガトン イラダトン プレムトン オンペロキュラム ティロス ベビファトン シニアトン ペルビグラマルビ トリメンタルメライ 偉大なるルシファーよ 我が全身全霊全力を尽くして仕えるお方 我が身に宿り 我に力を」 かなりの長文ですが、これをスラスラと唱える菅野美穂が圧巻です。つい声に出して真似してみたくなりますよね!

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いつの間にかハマっちゃう!パラレルワールド

1995年に公開された映画『エコエコアザラク -WIZARD OF DARKNESS-』から始まり、1996年公開の映画『エコエコアザラクII-BIRTH OF THE WIZARD』、1997年公開の映画『エコエコアザラクIII -MISA THE DARK ANGEL-』、映画版第2弾と第3弾の間にテレビ東京系の深夜ドラマとして放送された『エコエコアザラク』。これらが連作となっています。 ミサ役も映画版第1弾と第2弾は吉野公佳、テレビシリーズと映画版3弾は佐伯日菜子にバトンタッチし、ここまでの括りが最初の「エコエコアザラク」シリーズとなります。以後、このシリーズは出資会社の変更とともに設定をリセットし、何度も仕切り直しを繰り返していきました。 今回は映画『エコエコアザラク -WIZARD OF DARKNESS-』を紹介しましたが、このシリーズの魅力のひとつにパラレルワールド的な要素が挙げられます。たとえば、本作ではミサがロケットの中の遺髪に向かって語りかけるシーンがあり、このエピソードは続く映画『エコエコアザラクII-BIRTH OF THE WIZARD』に登場する人物と繋がっていました。 また映画『エコエコアザラクIII -MISA THE DARK ANGEL-』でもミサはこのロケットを持っていて、大切な人の遺髪が入っているという設定でした。映画第3弾でミサの演者が変わっても、物語全体が繋がっていることを意味しているのです。

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40年愛された「エコエコアザラク」シリーズ

怪奇漫画界では楳図かずおと双璧を成し、業界を代表する作家のひとりとして知られた漫画家・古賀新一。彼は2011年発売のビデオ映画『エコエコアザラク-黒井ミサ・ファーストエピソード-』の制作にも携わり、監督と脚本を務めました。 2021年1月現在、漫画『エコエコアザラク』の連載開始から最後のビデオ映画発売まで、40年近い歳月が経過しています。それでも、漫画、映像化ともに熱狂的なファンに支えられ、愛され続けた作品となりました。 2018年3月1日、古賀は病気のため亡くなりましたが、山田J太の作画による『エコエコアザラク REBORN』が「チャンピオンRED」2020年5月号から連載中です。 このように、多くの人たちに影響を与えた「エコエコアザラク」シリーズ。シリーズ初期の作品を観るには、Amazonでプレミア価格のDVDを買うしかありません。ビデオ映画および映画『エコエコアザラク R-page/B-page』(2006年)は、AmazonPrime、U-NEXTで観ることができます。 興味のある人はぜひ!

次回の「今、観たい!カルトを産む映画たち」は?

ゼイラム&ゼイラム2 Blu-ray BOX  、販売元:バンダイナムコアーツ
(c)1991 GAGA Communications,Inc.  (c)1994 クラウド/ゼイラム製作委員会

連載第13回は、魔女でありながら我欲のために魔術を悪用する者を決して許さないダークヒーロー、黒井ミサの生き様を描いた『エコエコアザラク』を紹介しました。 本作は映像化にあたって、必ずその時代の注目の美少女がミサを演じているということも、多くのファンを獲得していった要因でしょう。そして次回は、「牙狼」シリーズで知られる雨宮慶太監督初の劇場用作品『ゼイラム』(1991年)を紹介します。 今後はどんなカルト映画が取り上げられるのでしょうか?お楽しみに!