2018年8月4日更新

おいっ鬼太郎!水木しげるの名作はまだまだあるぞ!

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ゲゲゲの鬼太郎

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水木しげるの代表作は『ゲゲゲの鬼太郎』以外にもたくさんあるんじゃ!

『ドラえもん』や『サザエさん』などとならんで、日本の国民的アニメと言える『ゲゲゲの鬼太郎』。 1960年に貸本漫画として出版された「鬼太郎」は、1968年からテレビアニメとして放送が開始されました。その後約10年ごとにアニメ化され、あの有名な主題歌はほとんどすべての世代が歌えるのではないでしょうか。 2018年4月からは、アニメ放送開始50周年に合わせて第6期が放送され、話題を呼んでいます。 今回はそんな「鬼太郎」の原作者、水木しげるの歴史を紐解いていきます。日本の妖怪研究の第一人者は、どのような人生を歩み、どのような作品を残したのでしょう?

水木しげるがどんな人だったか知っとるか?

水木しげる(本名:武良茂)は1922年に大阪府で生まれ、鳥取県境港市で少年時代をすごしました。そのころ、家政婦として働いていた景山ふさ(のんのんばあ)が語る妖怪話に強い影響を受けます。 高等小学校卒業後、水木は大阪で画家を目指して働きながら学んでいました。1943年に帝国陸軍の軍人としてニューギニア戦線・ラバウルに出征。過酷な戦闘の中で左腕を失います。 復員後は生活苦のために画家の修行をあきらめ、紙芝居作家として収入を得て上京。1958年からは貸本漫画を描き始め、人気作家となっていきました。

自分を「水木サン」と呼んでいた水木は、子供の頃から大食漢で、90歳を過ぎてもその食欲は衰えなかったとか。そのおかげで特に病気もせず、晩年まで健康でした。 また、水木は健康の秘訣はたっぷり睡眠をとることと語っており、どんなに忙しくても1日10時間は寝ていたそうです。 2015年、水木は自宅で転倒し、頭部を強く打ったため硬膜下出血になり入院。手術後に多臓器不全を起こし、93歳で死去しました。

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2018年に放送50周年を迎えた国民的アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』

第1期:日本中に妖怪ブームを巻き起こす(1968〜1969)

貸本漫画として誕生した『墓場鬼太郎』(1960〜1964)は、少年誌での連載中に『ゲゲゲの鬼太郎』(1965〜2014)に改題され、ユーモラスな子供向け作品に生まれ変わります。 1986年から原作漫画をベースに、幽霊族最後の生き残り・鬼太郎が、人間に災いをもたらす妖怪を倒す勧善懲悪ストーリーとしてアニメ化されました。鬼太郎の性格は原作よりもさらに親しみやすいものになり、子供たちの新たなヒーローとなります。 このアニメがきっかけで、全国で妖怪ブームが巻き起こりました。

第2期:カラー化&ねこ娘がレギュラー入り!(1971〜1972)

第1期から2年後、カラー作品として放送された第2期では、いまや鬼太郎ファミリーに欠かせないメンバーとなったねこ娘がレギュラー入りします。 当時の社会問題がふんだんに盛り込まれたストーリーと、新たな妖怪の登場によってより深みのある作品になりました。

第3期:人間排斥を企む妖怪軍団と対決(1985〜1988)

第3期では、メインキャラクターとして鬼太郎を慕う人間の少女、天童ユメコが登場するのが特徴です。 文明が発達した日本社会で、人間たちの身勝手な行動に妖怪たちの怒りが爆発。ぬらりひょん率いる妖怪軍団は、人間排斥を企てます。 鬼太郎は人間と妖怪の共存を目指して、ぬらりひょん一派と戦うことに。

第4期:小説家・京極夏彦が脚本を担当!(1996〜1998)

第4期の「鬼太郎」は、ヒーローものの色が濃かった前作に比べ、妖怪ものらしい雰囲気を強く残しているのが特徴です。 また、水木作品に強い影響を受けたことで知られる小説家の京極夏彦が脚本を担当するなど、オリジナルのストーリーにも力を注ぎました。

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第5期:新たな仲間「妖怪四十七士」が登場(2007〜2009)

21世紀に入り製作された第5期は、個性的な妖怪が多く登場することが特徴。 また、地獄につながる霊場の力を引き出す「妖怪四十七士」が新たに登場しました。彼らは、47都道府県に存在する(または出身の)妖怪たちです。 親しみやすい雰囲気と妖怪もの本来の不気味さ、怖さを両立した作品です。

第6期:時代を反映したキャラクター設定が話題!(2018)

2018年4月から放送が開始された第6期では、鬼太郎ファミリーの各キャラクターの設定に現代風の改変が行われました。 デジタル機器に強い砂かけばばあや、妖怪と人間のハーフであるねずみ男、そしてツンデレ美少女となったねこ娘などが話題を呼んでいます。 また、第3期と同様に人間のレギュラーキャラクター、犬山まながいることも特徴のひとつです。

豪華キャストが集結!実写映画版『ゲゲゲの鬼太郎』

『ゲゲゲの鬼太郎』(2007)

ウエンツ瑛士を主演に迎え、2007年に公開された実写映画『ゲゲゲの鬼太郎』は、原作漫画の「天狐」「妖怪大裁判」「妖怪列車」の3つのエビソードをベースに、鬼太郎と人間の少女・実花(井上真央)との淡い恋を描いたオリジナルストーリー。 原作やアニメでは少年の鬼太郎が青年になったり、鬼太郎に両目があるなど、実写化のための改変がいくつか行われています。 また、多くの俳優が妖怪を演じていますが、目玉おやじや一反もめん、ぬりかべなど、人間が演じることが難しい妖怪はVFXで表現され、著名人が声を当てています。

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『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』(2008)

前作と同じ鬼太郎ファミリーが再集結し、ヒロイン役に北乃きいを迎えた2作目『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』。前作よりもダークなトーンになり、原作に近い雰囲気になりましたが、ストーリーは完全オリジナルとなっています。 ぬらりひょん役の緒形拳は、本作公開直後に死去したため本作が遺作となりました。また、アニメ第1期から第5期まで目玉おやじの声を担当し、本作のアテレコでも同役を演じた田の中勇も翌年に逝去し、これが最後の出演となりました。

世界中の悪魔とともに平和を守る『悪魔くん』

1960年代の貸本時代から1990年代までさまざまな雑誌に連載されていた『悪魔くん』は、原作漫画の時代や掲載誌、またモノクロ実写版、アニメ版で、それぞれ設定が違います。 ここでは実写版とアニメ版をご紹介します。

モノクロ実写版『悪魔くん』(1966〜1967)

実写版『悪魔くん』は、「悪魔くん」と呼ばれる小学生の男の子・山田真吾が、大人の人間の姿をした悪魔・メフィストとともに、妖怪や怪獣などと戦う物語です。 実写版は漫画やアニメ版と違い、悪魔くんには使役する悪魔や妖怪はいません。彼は、メフィストと2人で世界中からやってきたさまざまな悪魔や妖怪と戦い、ヒーローとしての悪魔くんを描いています。

テレビアニメ『悪魔くん』(1989〜1990)

1989年から1990年にかけて放送されたテレビアニメ『悪魔くん』は、オカルト好きの小学生・埋れ木慎吾が百目という悪魔と出会い、1万年にひとり現れ地上と魔界に平和をもたらす「悪魔くん」として活躍する物語です。 本作では原作漫画と同様に、悪魔くんは「12使徒」と呼ばれる世界中から集まった良い悪魔たちとともに、人間を不幸に陥れようとする悪い悪魔と戦います。 『悪魔くん』に登場する悪魔たちは、キリスト教由来のものだけでなく、世界各国の妖怪・精霊・民話に基づいたキャラクター。その個性的な面々を率いて人間を救う悪魔くんの物語は人気を博し、1989年には東映マンガ祭りの1編としてアニメ映画『悪魔くん』、1990年には『悪魔くん ようこそ悪魔ランドへ!!』が公開されました。

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カッパに似た少年とカッパの冒険『河童の三平』

『河童の三平』は、水木しげるが兄家族と同居していたとき、甥にせがまれて即興で話した物語をベースにしています。貸本漫画として1961年に出版され、その後、掲載誌を変えながら1994年まで連載されました。 『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』と並ぶ代表作で、水木自身も気に入っていた作品だとか。

特撮テレビ番組『河童の三平 妖怪大作戦』(1968〜1969)

『河童の三平』は、1961年から1962年に貸本劇画集に連載された長編作品です。これを原作にした特撮テレビ番組が1968年から1969年にかけて放送されました。ストーリーは当時の特撮番組と同様のフォーマットになり、原作から変更されています。 長野に住む河童に似た少年・河原三平は、ひょんなことから河童の世界に迷い込み、彼らの妖力を授かります。しかし、人間である三平が妖力を身につけたことに怒った妖怪「もののけ様」の祟りで、三平の母親は記憶を失い失踪。 ひとりで母を探す旅に出た三平を、河童の国で出会った友人たちが追いかけていきます。

劇場用アニメ『カッパの三平』(1993)

本編90分の劇場用アニメ『カッパの三平』は、特撮版よりも原作に近いストーリーになっています。 ひょんなことから水底の世界に迷い込み、自分にそっくりなカッパのガータローと知り合った三平。ガータローは彼を地上に送り返すとともに、三平と入れ替わって生活をするように。そんななか、東京に出稼ぎに行った母に会いたい三平は、ガータローやたぬきの黒麿、死神らとともに旅に出ます。 本作は2016年に、水木しげる追悼企画として初めてDVD化されました。

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水木しげるの原点を描くテレビドラマ『のんのんばあとオレ』(1991)

水木しげるに大きな影響を与えた「のんのんばあ」こと景山ふさとの交流や、少年時代の思い出が描かれた同名エッセイおよび漫画を原作としたテレビドラマが『のんのんばあとオレ』です。 当時、しげる少年が住んでいた境港では、神仏に仕える人を「のんのんさん」といい、祈祷師の妻だったふさは「のんのんばあ」と呼ばれていました。 ふさは、しげるをはじめとした近所の子供たちを集めては、お化けや妖怪の話を語って聞かせ、後の水木しげるの原点をつくりあげることになります。 ドラマ版では、しげるたちには見えないながらもアニメーションの妖怪が登場するなど、実写との合成が用いられています。

原作漫画の雰囲気をそのままアニメ化『墓場鬼太郎』(2008)

『ゲゲゲの鬼太郎』の前身である『墓場鬼太郎』は、貸本漫画時代に人気を博しましたが、そのグロテスクな内容やタイトルの不吉さからアニメ化が見送られてきました。 しかし、2008年に深夜アニメとして放送され、「大人の鬼太郎」として注目を集めます。 本作の鬼太郎は、多くの人が慣れ親しんだ人間を守るヒーローとしての鬼太郎ではなく、幽霊族最後の生き残りとして、人間社会で生きていくことを余儀なくされた存在です。 昭和30年代を舞台に、生きていくことだけでも苦労し、他人を騙してでも富を築こうとする人間たち。それを横目に、「父さん、人間って本当におもしろいですね……」と不敵に嗤う鬼太郎が印象的な作品です。

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妖怪研究家・水木しげるの集大成『日本妖怪大全』(1991)、『続・日本妖怪大全』(1994)

1991年に出版された『日本妖怪大全』は、日本各地の妖怪を50音順にまとめた図解つきの解説書です。これには432点の妖怪画が収録され、1994年には続編として288点の妖怪画と解説を収めた『続・日本妖怪大全』が出版されました。 2014年にはこの2つと、さらに新たな研究や神仏などの図解をまとめた文庫本『決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様』を出版し、全911点の妖怪画を収録。水木しげるの妖怪研究の集大成となります。 本書の解説には、水木が戦時中にパプアニューギニアのジャングルの奥地で実際に遭遇した妖怪についての記述も。 マレー島のセノイ族に本書を見せたところ、「見た」「いる」との証言が多くあがり、これをきっかけに水木は、世界中の妖怪は約1,000種類に分類できるという「妖怪千体説」を唱えるようになりました。

壮絶な戦争体験記『総員玉砕せよ!』(1973)

戦争漫画『総員玉砕せよ!』は、その内容の約9割が水木自身の実体験に基づく作品です。 戦地での意外にものんびりした生活が描かれる一方、いつ訪れるともわからない死、「敵前逃亡」が全軍の面汚しとされ、戦闘を生き残っても自決を余儀なくされるなど、戦争という非日常が日常となっていく異常な状況が描写されています。 水木作品らしい大げささのない描写がさらに戦争の狂気を感じさせる本作は、国内外で高く評価され、2009年に「漫画界のカンヌ」ともいわれるフランスのアングレーム国際マンガ祭で遺産賞を受賞。2012年には「漫画のアカデミー賞」アイズナー賞で国際賞アジア部門を受賞しました。 まさに後世に残すべき作品として、現在もその評価を保ちつづけています。

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ドラマスペシャル『鬼太郎が見た玉砕〜水木しげるの戦争〜』(2007)

『総員玉砕せよ!』は、2007年に『鬼太郎が見た玉砕 〜水木しげるの戦争〜』のタイトルでNHKスペシャルとしてドラマ化されました。 水木の分身である丸山を香川照之が演じ、鬼太郎や目玉おやじ、ねずみ男が物語の進行役・解説役として登場しています。

水木しげるの功績は妖怪漫画や妖怪研究だけではないぞ!

いかがでしたでしょうか。 水木しげるの代表作には、妖怪やお化けなど人間のすぐ近くに住むとされる不思議な存在を題材としたものが多くあり、その研究者としても水木は大きな功績を残しました。 また、ご紹介した作品以外にも多くの戦争漫画や、粘菌学者・南方熊楠を描いた『猫楠』(1991〜1992)などの人物伝、貧乏時代の生活を描いた数多くのエッセイや、若い頃から強い影響を受けたというゲーテの思想解説本『ゲゲゲのゲーテ』(2015)も出版しています。 晩年には、その波乱万丈の人生から得た教訓を描いた作品も話題を呼んだ水木しげる。 注目を集めている第6期『ゲゲゲの鬼太郎』をきっかけに、他の水木作品にも触れてみてはいかがでしょうか。そこには、これまで見えなかった世界が広がっていることでしょう。