2018年7月23日更新

オーウェンがブルーを調教しなければ…『ジュラシック・ワールド/炎の王国』脚本家が作品のテーマを単独インタビューで語る

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ジュラシックワールド2
© Universal Pictures

※本記事には『ジュラシック・ワールド/炎の王国』の重要なネタバレが含まれています。

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『ジュラシック・ワールド/炎の王国』コリン・トレボロウに単独インタビュー

映画史にその名を刻み、今や誰からも愛される名作シリーズ「ジュラシック・パーク」。誰もが3作目以降の製作を予期していなかった時、これを再開させた男がいた。彼こそ、紛れも無いコリン・トレボロウである。実際、世界で最も愛されているといっても過言ではない、このシリーズを再開させるにあたって、どんな気持ちで挑んだのだろう?

コリン・トレボロウ
Photo:Kazuhiko Okuno

「まず、かなりの責任を感じましたね。誰かが完璧に作った庭に、新たに手をかける。そこに既にある花々が健全である事を確認しながら、新たな種を蒔いて、庭をより大きなものにしなければいけない。本当に注意深くしていく必要がありました。 新たな世代にこのシリーズの魅力を伝えてファンになってもらうと同時に、以前からずっとファンでいてくれた人たちの期待や気持ちを裏切らないように、と思いました。」

前作と今作における違いは?

「一つの長い物語の中で変化や進化がある事ですかね。これまでの『ジュラシック』シリーズには、あまりなかったようなホラーやサスペンス要素というのも本作では取り入れていきました。」

J・A・バヨナ
Photo:Kazuhiko Okuno

「新たな映像表現に関して言えば、本作では新しい監督(J・A・バヨナ)を迎えたことで、彼の持ち味を出していきました。ただ、やはりこの全体のストーリーにおいて、今までの同じスタッフが作ってきたという一貫性も大事にしたかったのです。新たな事をしつつ、今まで築いてきたものを大事にする。この二つのコラボレーション、所謂共同作業が重要だと考えています。」

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オーウェンがラプトルを調教しなければ……?脚本家の語る、キャラクターの責任

ストーリーもそうですが、キャラクターの進化も凄かったですね。特にクレアは今回ブーツを履いていましたし、誰よりも恐竜の悲惨な末路を想って行動を起こし、涙を流していました。

コリン・トレボロウ
Photo:Kazuhiko Okuno

「そうですね。本作でオーウェンとクレアは、人間が恐竜を利用とする、この状況を招いたと、自分たちにも責任があるという事を自覚することになります。 前作で彼らが普通にやっていたことが、実は大きな結果に繋がっていたという事が本作でわかるんです。本作の悪役が「この新しい世界を作ったのは君たちだ」と言った、その台詞はまさにそれを指摘しているのです。」

ジュラシックワールド2
© Universal Pictures

「オーウェンが恐竜(ヴェロキラプトル)をトレーニングしなければ、あるいはクレアがパークを運営しなければ……しかし、それをした事で、人間の言う事を聞くヴェロキラプトルのDNAを組み込んだインドラプトルという生物兵器の開発が進められるなど、今に繋がる。 そんな彼らが、メイジーを自分たちが引き取ることで、“家族”となった。そこに彼らには更なる責任が生まれるわけですが、この“家族”がこれからどうなっていくのかが、自分としても楽しみです。」

「人間のエゴによって生み出された生き物の権利を問いたかった」

これまで『ジュラシック』シリーズは5作品に渡ってきたが、“恐竜が絶滅する”というアイデアはこれが初めてのものだった。そこには、コリン・トレボロウの抱く本作のテーマが関わっていた。

コリン・トレボロウ
Photo:Kazuhiko Okuno

「自分がやはり大好きなSFの作品というのは、常にそこに道徳的なものを問うというメッセージがある。この作品というのも、恐竜というものは動物であり、人間もそこに対して慈悲や思い入れ、愛着を持つ。そこは、とにかく『ジュラシック』シリーズのファンも感じていると思っています。」

ジュラシックワールド2
© Universal Pictures

「人間によって生み出された生き物の存在が今まで描かれたけど、彼らが今後生存するかしないかという、生き物の権利をこの作品で問いたかった。 前作のオーウェンとホスキンスの間でこんな会話がありました。ホスキンスが「これ(恐竜)は俺たちが生み出したものだから、どう使おうと俺たちの勝手だ」と言って、それにオーウェンが反論していました。本作で、それがより明確になるのです。 「恐竜を殺してしまうのか、それとも生き延びさせるのか」という問題提起を、クライマックスの「ボタンを押すか、押さないか」というシーンに直面させましたね。」

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号泣必至なあのシーン含め、懐かしの名シーンを取り入れたのは何故?

シリーズファンは勿論、そうでない観客でも思わず涙を流してしまう島に取り残された“あの”恐竜が倒れて行く時のポーズシーンを含め、『ジュラシック』シリーズにおけるアイコニックなシーンやオマージュが何故、度々登場するのか。

コリン・トレボロウ(独占)
Photo:Kazuhiko Okuno

「作品として進化したり変化していく事をあからさまにせず、お馴染みの名シーン、アイコニックなシーンをいれることで、観客が急激な変化に戸惑わないようにしつつ、映画の最後では「これまでと全く違う状況になったのだ」という事を理解させる事が非常に重要でした。 本作の監督であるJ・A・バヨナと共に、そんな変化を持たせつつも共通して一貫的にあるテーマの中に、恐竜に対する共感であったり、彼らを生かすか殺すかという問い、オーウェンとブルーの関係、メイジーに対する思い入れというものから、“エンパシー(共感)と責任”をメッセージとして持たせたのです。」

ジュラシックワールド2
© Universal Pictures

あなたなら、ボタンを押す?それとも押さない?「行動に伴う責任」という点で、考えさせられる本作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』は大ヒット公開中。