2019年3月18日更新

ジム・キャリー主演映画にハズレなしってホントなの?酷評された出演作から考える

©Marechal Aurore/ABACA/Newscom/Zeta Image

「〇〇主演の映画にはハズレがない」そんな風に思える俳優や女優がいるあなた!私にもそういう時代がありました。今回はそんな"思い込み"から生まれる悲劇について、うわさのクソ映画から考えていきます。

俳優が作品に恵まれるとは限らない

「この世には2種類の人間しかいない。勝った者と敗けた者だ」 たとえば、そんな前提で人生を考えるなら"敗者"に共通しているものはなにか?を見つめるのが良さそうです。そこから対策を練るべきでしょう。あらゆるタイプの争いが起こっているなかで、敗けた者にたいてい共通しているもの。それは「情報不足」「慢心」「思い込み」の3つであるといいます。 とくに「思い込み」はやっかいな存在で、人間を狂気と絶望のなかへと引きずりこんでしまうこともしばしば。今回ご紹介する映画の主人公と、それを観ていた私には、まさにこの「思い込み」があったのです……。 私はそれなりに熱心なジム・キャリー映画のファンであり、「彼の出る映画にはハズレがないよね、フフフ」と思っていました。今回はそんな思い込みから生まれてしまう悲劇について、お話を致しましょう。

【うわさのクソ映画】『ナンバー23』数字に取り憑かれた男の物語

あらすじ

2月3日。動物管理局に務め、愛する妻と息子との3人でつつましく暮らす男ウォルター・スパロウは、妻から、偶然見つけた一冊の古本を誕生日にプレゼントされる。トプシー・クレッツという人物が書きあげ、『ザ・ナンバー・23』と題されたその本には、23という数字に狂わされていく男の物語が描かれていた。 何の気なしに読み進めていくが、その小説の主人公の生い立ちなど、あまりにも自分との共通点がありすぎたために、ウォルターは「これはおれの物語なんじゃないか!?」と"思い込んで"しまう。そして少しずつ、23という数字に狂わされていく。 そこに隠されている驚愕の真実とは、一体なんなのか?

不思議な魔力を放つ「23」という数字と「思い込み」が生むミステリー

ジム・キャリー
©Marechal Aurore/ABACA/Newscom/Zeta Image

あらすじは好調な滑り出し!

最高のコメディ俳優の1人ジム・キャリーが一貫してシリアスな演技をする今作は、文字通り「23」という数字が重要になっています。たとえば…… ・ヒトのDNAを構成する染色体は(例外はあるが)46あり、両親から23ずつ受け継ぐ ・ラテン語は23語で形成されている ・タイタニック号が沈没したのは1912年の4月15日未明で、1+9+1+2+4+1+5=23 といった事実から、ウォルター・スパロウは自分の運転免許番号や社会保障番号までもが、計算すると23になることに気づく。そうして、もう何もかもに23が隠れていると感じ始めるのです。血液は23秒で体内を一巡する、地球は宇宙空間で23.5度傾いている、妻は23足の靴を持っている……しかも、そういえばその妻と出会ったのは9月14日で、9+14は23だ!といった具合に。 「どうなってるんだ!?おれにも23の呪いがあるじゃないか……!」 ウォルターは不安に駆られ、一心不乱に自分そっくりの男が主人公になっている『ザ・ナンバー・23』という小説の著者、トプシー・クレッツについて調べ始めていきます。 あらすじを含め、ここまでの展開は、「思い込みだろ」とはわかるものの主人公の立場になってみると、なかなか興味深いものとなっていますよね!ジム・キャリー好きとしては、普段の彼とのギャップ萌えに期待します。 しかし結果として今作『ナンバー23』は、いわゆるクソ映画や残念だった映画、ひどい役柄やひどい演技に送られる、不名誉でしかないゴールデンラズベリー賞の最低主演男優賞にノミネートされました。 お客様、ここからが本番なのでございます。

ウォルター・スパロウさん、落ち着こう?

「スパロウというだけで海賊映画の主人公を登場させられても」と、そう思うでしょう。みなさんがそう思うように、この映画の主人公ウォルター・スパロウは、そのくらいのレベルで、思い込みと落ち着きのなさを見せはじめます。 ウォルターの妻は一貫して「考えすぎ」「あなたはこの主人公とは違って素晴らしい」とフォローのようなツッコミを入れているのですが、ウォルターは聞く耳を持てなくなっていきます。なんだったら息子もちょっと23という数字に惑わされはじめているので、家庭内は大変な騒ぎです。 焦ったウォルターはこう言います。「ヒロシマに爆弾が投下されたのは1945年8月6日だ。1+9+4-5+8+6=23なんだよ……」なぜ急に、こっそり引き算を混ぜるようになったのか?謎は深まるばかり。 さらに「アルファベットの順番でRは18番目、Eは5番目、Dは4番目だろう。18+5+4=27 だから、赤(RED)は27という数字になって、同様に白(WHITE)は65になる。赤と白を足すと 27+65=92 で色はピンク。その92をPINKの文字数である4で割ると23になるんだよ!」と言います。謎は深まるばかり。 極めつけは住所について。ウォルターたちの暮らす家の番地は1814。ウォルターはその情報から「1+8+14も、18+1+4も23!18+14だって32で、23の逆並びだ……!」ということに、息子と一緒に気づきます。 「23の逆並びだ……!」です。謎はブラックホールと化しました!

思い込みは悲劇を生む

中年 フリー画像

さて、そんなブラックホール級の謎を抱えてラストへ全力疾走する、ジム・キャリー主演の映画『ナンバー23』。最終的には、数字への思い込みから生まれた悲劇が描かれています。展開において「それはさすがになんでそうなるの?」と感じる人にとってそれはもはや喜劇かもしれませんが。 現実世界にも「ジム・キャリーだから大丈夫」という思い込みをしていた映画人に悲劇を与えたようですし、ジム・キャリーのギャップ萌えを期待した私のような人間にも、「それどころじゃない」とある種悲劇を与えました。 しかし細部を虫メガネで拡大する気持ちで考えてみてください。「それさえも演出していたとしたら?」と。『ナンバー23』の監督を務めたのは、ジョエル・シュマッカーという、『オペラ座の怪人』などで知られるベテラン監督です。『オペラ座の怪人』は、まさしく悲劇の恋の物語でした。 そして何を隠そう、『ナンバー23』はジョエル・シュマッカー監督の23作目の映画なのです。ということは“逆に"、それさえも演出なのかもしれませんよね……。 ……さて。 お分りいただけたでしょうか。このようにして思い込みは進んでいき、思い込みは悲劇を生みます。いかに優れた人でも、失敗をすることもあります。同じように、こじつけや思い込みをしすぎると苦しむことになったり、「逆に」を言いすぎると、ワケがわからなくなることもあります。どちらも、本質を見失う要因になり得るのです。 みなさん、思い込みにはお気をつけあそばせ!