Netflixオリジナル作品『ラブ』、ゆるキュンな面白さに迫る5つのこと
ゆるゆるだけどキュンとする!こじらせ系男女の恋愛ドラマ『ラブ』
大都会ロサンゼルスに暮らす、欠点だらけのこじらせ系男女が繰り広げる不器用な恋愛を描いたドラマがそのものずばり『ラブ』です。Netflixオリジナルシリーズとして、2016年から2018年までの間に3シーズンが配信されました。 主人公はミッキーとガスという、もう手放しで若いとは言えないちょっとイタイ男女。2人を中心に仲間たちも絡んで繰り広げられるもどかしい恋愛模様とトラブル続きの無様な日常を、ゆる~くリアルなタッチで描きます。 ここでは、そんな「ゆるキュン」なドラマ『ラブ』の魅力と面白さについて、5つのポイントから迫ってみたいと思います!
1.タイトルは王道でも『ラブ』の物語はどこまでもゆるくて現実的!
『ラブ』とタイトルはまさに王道そのものですが、決して美形男女のスイートでロマンチックなラブストーリーではありません。 他の男に彼女を寝取られて失恋したガスは、見た目が冴えないばかりかオタクでお人好しの優男。脚本家になるのが夢で、今は撮影所で人気子役の専属家庭教師を務めています。 一方、ドラッグ中毒のマザコン男と別れたミッキーも、アルコールとセックス恋愛依存から抜けられないダメ女。ラジオ局で番組責任者として働いていますが、情緒不安定で気が強く、またガサツなためにさまざまなトラブルを起こします。 そんな2人がある日、コンビニで財布を忘れたミッキーにガスがお金を貸してあげるというぱっとしない出会いを果たします。微妙な関係からやがて恋人へと発展しますが、もちろんすんなりとハッピーになれるはずもなく……。
2.米コメディ界の鬼才ジャド・アパトーがプロデュース!
本作をプロデュースしたジャド・アパトーは、コメディアンとしてキャリアをスタートさせたのち、ドラマ・映画の製作側にシフトした鬼才です。2005年、スティーヴ・カレルが主演した『40歳の童貞男』で映画監督デビューを果たすや大ヒットを記録し、複数の賞を受賞しました。 その後は『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』や『40歳からの家族ケーカク』など数々のコメディ作品で製作や監督を手掛け、アメリカでは絶大なる人気を誇るヒットメーカーとして知られています。 本作『ラブ』は、毎話なんとも微妙な雰囲気で終わります。ジャド・アパトーは真実味のあるニュアンスを残すことを意図し、また難あり人物たちが幸せをつかもうともがく姿を描きたいとインタビューで語っています。
3.絶妙なキャスティングと主人公を演じた役者の魅力!
ミッキー・ドブス/ジリアン・ジェイコブス
顔立ちは極上の美人なのに、言動がなんとも破天荒な女ミッキーを演じているのがジリアン・ジェイコブスです。 ジリアン・ジェイコブスは1982年10月19日生まれのピッツバーグ出身で、2006年にドラマ『ブック・オブ・ダニエル』で女優デビューを果たしました。2009年にスタートし、日本でも好評のドラマシリーズ『コミ・カレ!!』のブリッタ役で一躍人気を博しています。 その後は数々の映画・ドラマで個性的な役柄を演じていますが、2018年にはNetflixから主演映画『DJにフォーリンラブ』が配信されました。 ちなみにミッキーの役柄とは裏腹に、実生活では筋金入りの禁酒主義者として知られています。
ガス・クルックシャンク/ポール・ラスト
冴えない容姿のオタクであり、優し過ぎるあまりかえって頼りないガスをポール・ラストがユニークな存在感で演じています。 1981年4月12日生まれでアイオワ出身のポール・ラストは、スタンドアップコメディアンとして人気を博したのち、映画やドラマに俳優として出演するようになりました。映画では2009年の映画『愛しのベス・クーパー』に主演したほか、クエンティン・タランティーノの『イングロリアス・バスターズ』にも登場します。 役者以外に脚本や製作も手掛け、本作『ラブ』でもエグゼクティブプロデューサーに名を連ねています。その多才ぶりと神経質そうな黒縁眼鏡の容姿から、一部ではウディ・アレンの再来とも言われているようです。
4. スマートフォンがカギを握る今どきの恋愛事情を映し出す!
今どきの恋愛に欠かせないと言ってもいい、スマートフォンを介したコミュニケーションは、本作において重要な展開のカギとなっています。 直接声に出して伝えられない気持ち、短いテキストの中に込める本音や願い。ときには誤解を招いたり、トラブルの原因になってしまったり……。不器用で問題のある2人だからこそ余計、スマートフォンに依存してしまうのです。 ある日、セックス恋愛依存症を克服しようとミッキーはセミナーに参加し、ガスともしばらく連絡を取り合わないことを決意します。 メッセージは送られてこないとわかっているのに、小さな画面をじっと見てしまう……。誰もが一度は経験したことがある、そうした微妙な心の揺れを見事にスマートフォンが象徴します。視聴者が決して他人事とは思えないのはそんな点にもあるのでしょう!
5. 劇中劇から知るドラマ制作の舞台裏!
ガスは脚本家志望であり、子役スターであるアーリヤの専属教師を務めているという設定から、撮影所の様子が頻繁に登場します。どのようにドラマが作られているか、その舞台裏や内輪ネタを知ることができるのも本作の大きな見どころとなっているのです。 劇中、アーリヤが主演する魔女ものの人気ドラマが『ウィチタ』。アーリヤは人気子役スターゆえに超わがままで、大人のガスを翻弄します。歳の差のある2人のコミカルな掛け合いは絶妙です。 ちなみに、アーリヤに扮したアイリス・アパトーは、ジャド・アパトーが女優でもある妻レスリー・マンとの間にもうけた実の娘です。
『ラブ』はシーズン3で本当に終了?!
『ラブ』にはミッキーとガス以外に登場する周りの友人たちもみな、なんらかの欠点を抱えています。その欠点や弱さを自覚しながら、なんとか幸せをつかもうと奮闘します。視聴者がこのドラマを愛さずにいられないのは、そんな彼らの無様な姿に自分を重ねて見るからかもしれません。 シーズン3の最後、ミッキーとガスはある決意をもってロサンゼルス近郊のリゾートアイランド・カタリナ島に向かいます。果たして、2人が選ぶ結末は……。 『ラブ』は2018年に配信されたシーズン3がファイナルであることが公式に発表されています。それでも、視聴者はその後の2人の行く末が気になってしょうがなくなるのは間違いありません!