2020年4月3日更新

「8年越しの花嫁」で麻衣を襲った病気・抗NMDA受容体脳炎とは?【2人のその後も】

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『8年越しの花嫁』
ⓒ映画「8年越しの花嫁」製作委員会

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映画「8年越しの花嫁」に号泣必至!病気を乗り越えたカップルを描いた実話

岡山県内で暮らすカップル、西澤尚志と中原麻衣。2006年、結婚を控える彼らに、“麻衣の病気”という悲劇が降りかかりました。麻衣の病気は「抗NMDA受容体脳炎」という難病で、彼女は数年間にわたって昏睡状態に陥ってしまいます。 しかし、それでも尚志は彼女との結婚を諦めずに、毎日献身的に彼女を支え続けました。 尚志や麻衣のご両親の支えもあり、麻衣は次第に回復していき、2014年に二人は改めて入籍・挙式をすることができたのです。 この奇跡のような実話は、2017年に『8年越しの花嫁 奇跡の実話』として映画化され、大ヒットを記録しました。

映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』は興収28億を記録し大ヒット

映画版で尚志を演じたのは、佐藤健。麻衣を土屋太鳳が演じました。また、麻衣の両親役の薬師丸ひろ子と杉本哲太をはじめ、北村一輝、浜野謙太、中村ゆり、堀部圭亮、古舘寛治といった実力派俳優陣が脇を固めています。 監督は、映画「64-ロクヨン-」シリーズや『ヘヴンズ ストーリー』の瀬々敬久。脚本はドラマ『ちゅらさん』『ひよっこ』などを手がけた岡田惠和が担当しました。 劇中では、二人の出会いから結婚に至るまでの物語が描かれています。 実話に基づいた感動的で丁寧な脚本と、土屋・佐藤をはじめとする俳優たちの演技が良いと口コミで広がり、興行収入は28億円を記録。2017年に公開された邦画作品の中で8位にランクインするなど、成功を収めました。

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麻衣を襲った病気「抗NMDA受容体脳炎」とは?

劇中では明言されていませんが、麻衣を襲った「抗NMDA受容体脳炎」とは、具体的にどんな病気なのでしょうか? これは、卵巣などに発生した腫瘍が原因で、細菌から身を守るはずの抗体が自分の脳を攻撃するようになり、脳炎を発症する急性疾患です。幻覚・幻聴・妄想などに苛まれたり、突然興奮状態になるなど、統合失調症に似た症状が出ます。また、本作のヒロインのように昏睡状態になってしまうことも。 発症率は100万人に0.33人と極めて少なく、その症状が特殊だからか、過去には「悪魔憑き」とされる事もあったとか。映画『エクソシスト』の原作のモデルとなった少年を襲ったのは、この「抗NMDA受容体脳炎」だったのでは、ともいわれています。

2017年に日本で公開されたクロエ・グレース・モレッツの主演作『彼女が目覚めるその日まで』も、「8年越しの花嫁」と同じく、抗NMDA受容体脳炎と闘った女性の実話を描いた作品です。 奇しくも同じ日に日本で公開されたこの2作。病気への理解を深めるためにも、見比べてみるのも良いかもしれませんね。

より詳しく知りたい人はこちらの資料をチェック

抗NMDA受容体脳炎についてより詳しく知りたい方は、以下の資料を参照してみるのもいいかもしれません。 こちらの資料は、2009年に北里大学病院脳神経内科の飯塚高浩准教授が、学会誌に発表したものです。この病気の前触れから本格的な発症、治療方法までがまとめられています。

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記憶喪失も顔面のうっ血も、まさかの実話だった!

映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』を監督した瀬々敬久が本作の原作となる実話で最も驚いたのは、徐々に意識を取り戻していく麻衣が「尚志のことを思い出すことができない」という部分だったそうです。 「難病で倒れた女性が意識を取り戻した時に、献身的に支え続けてくれていた男性のことを思い出すことができない」という事実は、監督にとってもあまりに衝撃的だったのでしょう。 また、病気の麻衣を演じる際、土屋太鳳は特殊メイクに4時間かけ、顔のうっ血した様子を表現しています。これも映画的に誇張したものではなく、実際の病気の症状を再現したものだそうです。

よくある「難病モノ」だと見くびるなかれ!映画版は超高評価

気になる映画版の評価ですが、「第41回日本アカデミー賞」では佐藤健が優秀主演男優賞、土屋太鳳が優秀主演女優賞、薬師丸ひろ子が優秀助演女優賞、そして音楽を担当した村松崇継が優秀音楽賞を受賞するなど、高く評価されています。 作品を鑑賞した観客の間でも、「感動した」「ボロボロ泣いた」などの好意的な感想が多く、佐藤・土屋はもちろん、薬師丸や杉本哲太ら俳優陣を賞賛するコメントも。 また、back numberによる主題歌が「映画とぴったり」と絶賛する意見も多く、作品の世界をさらに盛り上げました。

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「8年越しの花嫁」カップルのその後。新しい家族が増えました

映画の最後でも紹介されていますが、2015年6月、挙式から数ヶ月が経ち、2人の間には長男・碧和(あいと)が誕生しました。麻衣さんは卵巣の病気だっただけに、子供は難しいかもしれないと諦めかけていた2人にとっては、まさに奇跡のような存在と言えるでしょう。 難病から奇跡的に回復し、新たな想いで結婚した2人。さらに困難と思われた妊娠・出産も無事に乗り越え、奇跡の連続のようです。苦難の果てにしあわせを手にした夫婦は、新たな家族とともに、おだやかな日々を過ごしているのではないでしょうか。