2018年11月7日更新

UKロック満載の恋愛映画「モダンライフ・イズ・ラビッシュ」で泣け!【レビュー】

(C)Modern Life Pictures Limited 2016

映画『モダンライフ・イズ・ラビッシュ〜ロンドンの泣き虫ギタリスト〜』は、UKロックがふんだんに使用されたラブ・ストーリー。一筋縄ではいかない恋、夢、現代社会をそのまま切り取ったような本作の魅力をお伝えします!

UKロックが綴るふたりの時間『モダンライフ・イズ・ラビッシュ〜ロンドンの泣き虫ギタリスト〜』

「モダンライフ・イズ・ラビッシュ」と聞いてピンときたあなた。 あなたは一旦ここでこの記事を読むのをやめて、この映画を観に行ってください。恋愛映画だ、ということだけ頭において、他の情報にはできるだけ触れずに観る方がいいと思います。きっと楽しめるでしょう。いってらっしゃい。 さて、そのほかの皆さま。 イギリスの人気バンドBlurが、ブレイクする前にリリースしたセカンド・アルバムと同じタイトルを擁する本作は、90年代〜2000年代のブリットポップ最盛期の楽曲がわんさと詰め込まれており、正直言って、ファンにとってはそれだけで観る価値があります。 もちろんUKロックファンでない人も、よくあるラブコメディや純愛映画とは違う、ロンドンに住む男女のほろ苦いラブ・ストーリーに涙するでしょう。 では、『モダンライフ・イズ・ラビッシュ〜ロンドンの泣き虫ギタリスト〜』の基本情報と、見どころ、レビューをご紹介します。

『モダンライフ・イズ・ラビッシュ〜ロンドンの泣き虫ギタリスト〜』のあらすじ

モダンライフ・イズ・ラビッシュ ロンドンの泣き虫ギタリスト
(C)Modern Life Pictures Limited 2016

ロンドンのレコード店で出会ったリアムとナタリー。それから10年が経ち、ふたりは別れを迎えようとしていました。 一緒に集めたレコードコレクションを分け合うことになったふたりですが、CDジャケットやライブチケットの半券などを見るたび、楽しかった日々の思い出が蘇ります。 いくつになっても夢を追うリアムと、そんな彼を支えつづけてきたナタリー。ふたりはいつ、どうやって恋に落ち、どうして別れることになったのでしょうか。 音楽とともに綴られるふたりの日々。そして、彼らのこれからとは……?

フレッシュな才能溢れるキャスト&スタッフ

リアム役/ジョシュ・ホワイトハウス

モダンライフ・イズ・ラビッシュ ロンドンの泣き虫ギタリスト
(C)Modern Life Pictures Limited 2016

ロンドンでミュージシャンとしての成功を夢見るリアム。彼は、レコードやCDジャケットの意匠を含めた昔ながらの音楽を愛しています。 リアムを演じるジョシュ・ホワイトハウスは、2008年ごろから母国イギリスのテレビシリーズなどに出演しはじめ、2014年に『Northern Soul (原題)』で映画主演デビュー。 その後、英ファッションブランドの男性向け香水Mr. Burberryのモデルに起用され、注目を集めました。 またホワイトハウスは、自身もインディーズバンド“More Like Trees”でリードボーカルを務めています。

ナタリー役/フレイア・メーバー

モダンライフ・イズ・ラビッシュ ロンドンの泣き虫ギタリスト
(C)Modern Life Pictures Limited 2016

ナタリーはレコード店でリアムと出会い、のちに恋人になります。彼女はいつかCDジャケットを描くことを目指す、音楽を愛するアーティストでした。 ナタリーを演じるフレイア・メーバーは、2011年にテレビシリーズ『スキンズ』で女優デビュー。以来、『サンシャイン/歌声が響く街』(2013)や『ベロニカとの記憶』(2017)などの映画に出演し、注目の若手女優として活躍しています。

ザ・カーブ役/イアン・ハート

モダンライフ・イズ・ラビッシュ ロンドンの泣き虫ギタリスト
(C)Modern Life Pictures Limited 2016

ザ・カーブは、多くの有名バンドを育てたと噂される謎の人物です(画像左)。 ザ・カーブを演じるのは、イギリスの名優イアン・ハート。ハートは1995年に『バックビート』でジョン・レノン役を演じ、英イブニング紙の最優秀新人賞を受賞しました。また、『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001)のクィレル先生役でも知られています。 その他の代表作には、『エネミー・オブ・アメリカ』(1998)、『ネバーランド』(2004)などがあります。

監督・脚本/ダニエル・ギル

本作の監督・脚本を務めるダニエル・ギルは、映画業界で15年以上のキャリアを持ち、映画では「ハリー・ポッター」シリーズや『ワールド・ウォーZ』(2013)、テレビシリーズでは『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ザ・クラウン』など、さまざまな作品に参加してきました。 もともとフィリップ・ガウソーンが書いた短い舞台作品であった本作は、ギルとガウソーンの手によって長編映画へと生まれ変わりました。

音楽が雄弁に語る『モダンライフ・イズ・ラビッシュ〜ロンドンの泣き虫ギタリスト〜』

モダンライフ・イズ・ラビッシュ ロンドンの泣き虫ギタリスト
(C)Modern Life Pictures Limited 2016

近年、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズや『ベイビー・ドライバー』(2017)などの作品で、音楽と映像のつながりが注目されてきました。 本作もその流れかと訊かれたとき、わたしなら「違う」と答えます。 本作では音楽がとても重要な役割を担っている、というより、もはや音楽はストーリーを語るもうひとりの登場人物。 コクトー・ツインズからスピリチュアライズド、リバティーンズ、クークス、ホワイト・ライズ、The 1975、そしてレディオヘッドなど、名バンドの名曲が新旧入り乱れ、観客をリアムとナタリーの現在から過去へ、過去から現在へと導いてくれます。 必ずしも有名なアーティストの有名な曲ばかりがかかるわけではないので、映画を見ながら曲名やアーティスト名が浮かぶガチのUKロック好きは、ニヤリとしてしまうでしょう。

UKロックの新星に?オリジナル楽曲がイイ!

モダンライフ・イズ・ラビッシュ ロンドンの泣き虫ギタリスト
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主人公のリアムはバンドマンですので、当然彼らのライブシーンもあります。 リアムが唱える妙な説に基づいて名付けられたバンド「ヘッドクリーナー」の楽曲は、映画の中とはいえ、どれもこれからUKロックシーンに君臨しようというバンドのものとしてふさわしい曲ばかり。 特に主題歌となっている「リコリス・ガール(原題:Liquorice Allsort Girl)」は、とにかく聞いてください!としか言えないのが申し訳ないのですが、とにかく聞いてください。ただし、劇中で初めて聞くのが最も理想的です。 現在「ヘッドクリーナー」のアルバムは、iTunesや、Amazon Musicなどでデジタル配信されています。

彼女のこころの揺れもわかる『(500)日のサマー』?

モダンライフ・イズ・ラビッシュ ロンドンの泣き虫ギタリスト
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「モダンライフ・イズ・ラビッシュ」は、別れを決意したリアムとナタリーが、一緒に住んでいた部屋のレコードコレクションを分ける作業がポイントになっています。 ふたりが作業中にCDジャケットやライブの半券などを目にするたびに、そのときの思い出がフラッシュバックするのです。 時系列関係なく恋人との思い出がフラッシュバックする恋愛映画、と言えば『(500)日のサマー』(2009)が代表的ですが、本作は「サマー」とは決定的に違う点があります。 それは、ナタリーの心情描写がきちんとされていること。 「サマー」は、男性視点のみで描かれた作品であり(そこが面白いのですが)、女性はなにを考えているのかさっぱりわからない、ある種の脅威でもありました。 本作のナタリーは、血の通った生身の存在として、リアムと楽しい時間を過ごし、彼を応援し、自ら人生の決断をし、そしてリアムとの関係に悩むようになっていきます。 リアムも彼なりに葛藤を抱えていますが、ナタリーとのズレに注目してみると面白いでしょう。

ロンドンっ子気分になれる風景

モダンライフ・イズ・ラビッシュ ロンドンの泣き虫ギタリスト
(C)Modern Life Pictures Limited 2016

本作を見ていると、まるで自分もロンドンに住んでいるかのような気分になります。 独特の匂いがしそうな小さなレコード店、無機質なチューブの駅やオフィス街、行きつけのパブ、リアムとナタリーが住むフラットの生活感、ライブハウス……。そこにはリアルなロンドンの生活が映し出されています。 また、彼らがデートに出かけるのは、ライブやフェス以外にも、広々とした緑豊かな公園やマーケットなど。 監督のギルは、観光客が巡るような有名なランドマークをメインには映したくなかったと語っており、それによってリアムとナタリーの生活が、強い現実感とともに描かれています。

モダンライフ(現代社会)はラビッシュ(クズ)なのか?

モダンライフ・イズ・ラビッシュ ロンドンの泣き虫ギタリスト
(C)Modern Life Pictures Limited 2016

「モダンライフ・イズ・ラビッシュ」とは、先ほどご紹介したとおりBlurのセカンド・アルバムのタイトルであるのと同時に、リアムの価値観の中心的な部分でもあります。 日本でも音楽業界低迷の原因として、デジタル配信やダウンロード方式が広がったことを挙げる論調は少なくありません。 手に取ることができる“モノ”にしかない付加価値というのは、もちろんあります。しかし、それが無くなったとき、私たちはただなにかを失っただけなのでしょうか。代わりに手に入れたものは、ひとつもないと言い切れるでしょうか。 リアムの言うとおり、現代社会はクズなのかもしれません。しかし、私たちは今その現代社会で生きており、生きていくしかないのでしょう。そして、生きていく限り変わっていくことを受け入れ、そのなかから本当に大切なものを見つける努力をしていく必要があるのかもしれません。

『モダンライフ・イズ・ラビッシュ〜ロンドンの泣き虫ギタリスト〜』は11月9日(金)より 新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開!

モダンライフ・イズ・ラビッシュ ロンドンの泣き虫ギタリスト
(C)Modern Life Pictures Limited 2016

ロンドンに住む男女の甘く切ないラブ・ストーリー『モダンライフ・イズ・ラビッシュ〜ロンドンの泣き虫ギタリスト〜』。音楽でつながったふたりの思い出を音楽とともにたどる本作。 典型的な夢追い人のリアムと現実的な考えも持ったナタリーは、最終的にどのような決断を下すのでしょうか。

モダンライフ・イズ・ラビッシュ ロンドンの泣き虫ギタリスト
(C)Modern Life Pictures Limited 2016

UKロック好きにはたまらない選曲とオリジナル楽曲でエモーショナルに綴られる本作は、ファンなら当然、しかしファンならずとも必見です。

『モダンライフ・イズ・ラビッシュ〜ロンドンの泣き虫ギタリスト〜』は、2018年11月9日(金)から新宿ピカデリー他で、全国順次公開です!