『ジャスティス・リーグ』が賛否両論となった本当の理由 これで疑問解消!
なぜ『ジャスティス・リーグ』はなぜ賛否が真っ二つにわかれたのか
『ジャスティス・リーグ』は、DCコミックのヒーローが集結する初のクロスオーバー作品として注目を集め、2017年に満を持して公開されました。 しかし、その評価は賛否両論。いったいその原因はなんなのでしょう。 この記事では、『ジャスティス・リーグ』の正しい理解のため前提知識を補完しながら、作品全体のわかりづらく不評を招いた点や、制作現場のドタバタ劇などを解説し、作品の価値を探ります。 一緒に少しでもモヤモヤを解消していきましょう!
まずはおさらい!『ジャスティス・リーグ』はどんな物語?
スーパーマンを亡くし、希望を失ってしまった世界。人々が彼の死を悼むなか、また新たな危機が迫っていました。 手に入れた者に強大な力を授ける3つの箱「マザーボックス」を求めて、暗黒惑星アポコリプスの将軍ステッペンウルフが地球に侵略しはじめていたのす。 スーパーマンの遺志を継ぐため、バットマンであるブルース・ウェインはワンダーウーマンことダイアナ・プリンスとともに、新たな仲間を集めることにします。彼らが協力を求めたのは特異な能力を持っているにも関わらず、その素性を隠しているフラッシュ、アクアマン、サイボーグの3人。 フラッシュ以外の2人は当初仲間入りを拒みますが、地球の危機を目の当たりにし、ともに戦うことを決意しました。
そして『ジャスティス・リーグ』を理解するためには、鑑賞必須の作品がある
本作の前にジャスティス・リーグのメンバーが登場するDCEU作品はいくつかあります。ここでは、少なくともこれだけは観ておこう!という作品を紹介しましょう。
DCEUの基盤になっている第1作目!『マン・オブ・スティール』
世界で最初のスーパーヒーロー、スーパーマンのオリジンを描いた『マン・オブ・スティール』。 DCエクステンディッド・ユニバース(DCEU)の記念すべき第1作目として、2013年に公開されました。 本作では、クラーク・ケントの悩み多き少年時代から自分探しの旅、そして自分の出自を知り、その使命を果たすためヒーローとして活躍する姿が描かれています。 そんなクラークのもとに、故郷クリプトン星から彼の父に恨みを持つゾッド将軍が復讐にやってきます。 【ポイント】スーパーマンがヒーローとして活躍し始めるまでの経緯が描かれた作品です。次作「バットマン vs スーパーマン」につづく重要な戦いが展開されます。
『ジャスティス・リーグ』の前日譚として鑑賞必須!『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』
『マン・オブ・スティール』でスーパーマンは勝利したものの、街は壊滅的な被害を受け、多くの犠牲者が出てしまいました。そして人々は、異星人であるスーパーマンに対して責任を追及しはじめます。 一方、バットマンことブルース・ウェインは、その戦いで自社の社員を含む多くの人々が命を落としたため、スーパーマンを排除することを決意。 しかしそれは、スーパーマンの宿敵レックス・ルーサーが仕掛けた巧妙な罠だったのです。 母マーサを人質に取られたスーパーマンは、仕方なくバットマンと戦うことに。しかし彼の事情を知ったバットマンは戦いを中断し、マーサ救出に向かいました。 スーパーマンに追い詰められたルーサーは、ゾッド将軍の死体から作り上げた怪物・ドゥームズデイを放ちます。 この最大の危機に、スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンは共闘。スーパーマンは自らの命を懸けて地球を守るのでした。 【ポイント】この作品では、スーパーマンが死亡した経緯が描かれています。それこそが、ジャスティス・リーグ結成のきっかけになった出来事ですので、ぜひ押さえておきましょう。
【不評の原因①】新ヒーローたちの背景がほとんど説明されない
『ジャスティス・リーグ』では3人の新たなヒーローが登場しますが、彼らについてはその能力や背景はさっくりと触れられているだけです。 今後単独映画で詳しく描かれていくとは思いますが、今回チームに加わったフラッシュ、アクアマン、そしてサイボーグについてもう少し掘り下げてみましょう。
世界最速の男 フラッシュ/バリー・アレン
ブルース・ウェインからジャスティス・リーグにスカウトされ、即OKしたフラッシュことバリー・アレン。 警察の鑑識課化学班で働いている彼は、実験室での事故によって超高速で走る能力を得ました。 バリーは幼いころに母を亡くし、母の殺害犯として父が逮捕されてしまいましたが、父の無実を信じて今もたびたび刑務所に面会に行っています。 引きこもり気質の化学オタクであるバリーは、ジャスティス・リーグに加わった理由として「友達がほしい」と言っています。
海底国アトランティスの王 アクアマン/アーサー・カリー
アクアマンは、海底にある王国アトランティスの王です。 彼は水陸両棲であり、水棲生物ともテレパシーで意思疎通が可能。時速160kmで泳ぎ、怪力で耐久力にも秀でています。また、音波を使って物を探すこともできます。 アクアマンは女王の息子であるにも関わらず、彼は赤ん坊の頃にアトランティスを追放されてしまうのです。その後、地上にたどり着きアーサー・カリーという灯台守の男に育てられます。 アトランティスに戻り王位に就いたあと、地上ではアクアマンとして活躍するようになりました。
機械の身体を持つ男 サイボーグ/ヴィクター・ストーン
身体のほとんどが機械でできているサイボーグことビクター・ストーン。 サイボーグの能力は身体的な面では超人的な怪力やスタミナ、金属製の身体であるがゆえの高い耐久性など。 また、彼のコンピューターシステムは外部のシステムに接続し、どんなセキュリティも突破してハッキングすることが可能。また、電子パルスを発することで半径50m以内にある電子機器を使用不能にすることもできます。 高校でアメフト部のスター選手だったビクターは、ある事故によって全身に大怪我を負い瀕死の状態になってしまいました。 父で天才科学者であるサイラスは、息子を失いたくない一心で「マザーボックス」を使って彼に機械の身体を与え、蘇らせたのです。
【不評の原因②】よくわからない用語が多い
『ジャスティス・リーグ』では、これまでのDCEU作品で少しだけ登場した用語や、初めて聞く単語が使用されています。 これまでの作品からカットされたシーンが重要だった場合もあるので、説明不足になってしまった点を整理しましょう。
「メタヒューマン」ってなんのこと?
本作では各所で「メタヒューマン」という用語が出てきます。しかし、その意味については説明されていません。 簡単に言うと、「メタヒューマン」とは「超人」のこと。特に、元々は普通の人間だったものの、なんらかの原因で特殊な能力を手に入れた人をそう呼びます。 ジャスティス・リーグのメンバーでメタヒューマンなのは、フラッシュとサイボーグということになりますね。 ちなみにバットマンには特殊能力はないので、メタヒューマンではありません。
「マザーボックス」がなんなのか わかりづらかった
本作の鍵となるマザーボックスは、もともとは暗黒惑星アポコリプスで作られたもので、大量のエネルギーを凝縮し、高速で循環させる装置です。 これを使うことによって惑星の環境を人為的に変化させることや、惑星間のワープ、死者の蘇生など、地球の科学技術では不可能なことが可能になります。 マザーボックスは、3万年前にアポコリプスから侵略者がやってきた際に地球に残され、その存在が伝承として伝えられてきました。 悪事を企む者に3つのボックスをそろえさせないため、ワンダーウーマンの故郷であるセミッシラに1つ、海底王国アトランティスに1つ、そしてアメリカ政府が1つと、3つの種族で分担してマザーボックスを守ってたのです。 アメリカ政府が持っていたマザーボックスは、ビクターの父サイラスが研究していました。
「ステッペンウルフ」って誰?
本作のヴィランであるステッペンウルフは、アポコリプスから地球侵略にやってきた異星人です。 『ジャスティス・リーグ』には全く登場しないキャラクターですが、ステッペンウルフはアポコリプスの独裁者ダークサイドの腹心の部下。 3万年前、彼の命令でステッペンウルフは3つの「マザーボックス」を使って地球を征服しようとしました。しかしその計画は失敗。ステッペンウルフはアポコリプスに帰っていき、復讐の機会をうかがっていたのです。 突然現れたかのように見えるステッペンウルフですが、「バットマンvs スーパーマン」のアルティメット・エディションでは劇場公開版からカットされたシーンがあり、そこでレックス・ルーサーが彼にコンタクトを取ろうとしていたことがわかります。
登場するけど誰だかわかりづらい人がいる
『ジャスティス・リーグ』には、画面に登場しセリフもしっかりあるものの、名前は呼ばれないキャラクターがいます。 それは、バットシグナルで夜空を照らし、バットマンと彼のチームを呼び寄せたメガネをかけた男性。 これまでのDC映画を観てきた人には想像がつくと思いますが、彼はバットマンの味方であるジェームズ・ゴードン刑事です。 「ダークナイト」シリーズではゲイリー・オールドマンが演じたゴードン刑事。 『ジャスティス・リーグ』では、『セッション』(2014)でアカデミー助演男優賞を受賞したJ・K・シモンズが演じています。
【不評の原因③】スーパーマンを復活させた方法がわかりづらい
スーパーマンの復活には、やはりマザーボックスの存在が重要になってきます。 バットマンたちは、サイボーグがマザーボックスの力で機械生命体として蘇ったことをヒントに、スーパーマンを蘇らせることができるのではないかと考えました。 ここで踏まえておきたいのは、「クリプトン星人の肉体は死後も腐らない」ということです。 「バットマン vs スーパーマン」でも、前作でスーパーマンに倒されたゾッド将軍の遺体を使って、レックス・ルーサーがドゥームズデイを作っていましたね。 また、将来人工的にクリプトン星人を生み出すための羊水の存在も重要です。ゾッド将軍の肉体も、この羊水のなかで保存されていました。 フラッシュが起こした高圧電流によってマザーボックスと羊水が反応し、スーパーマンは蘇ったのです。
【不評の原因④】アクションシーンが微妙?
『ジャスティス・リーグ』に登場するヒーローは、途中で復活するスーパーマンも含めて6人。またヴィランのステッペンウルフは、部下として怪物パラデーモンを大量に引き連れてやってきます。 この人数でいっぺんに戦闘するシーンはごちゃごちゃし、誰がどこでなにをやっているのかわかりづらくなってしまってしまいました。 また、それぞれのヒーローの戦いぶりを見せるためには、どうしてもひとりひとりに割く時間が短くなってしまいます。 ザック・スナイダー監督の十八番であるスローモーションでアクションに迫力を出す演出も、今回は逆効果だったのかもしれません。
【不評の原因⑤】ゴタゴタの製作舞台裏
製作中盤での監督交代
『ジャスティス・リーグ』は、監督として『マン・オブ・スティール』や『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のザック・スナイダーがクレジットされています。しかし、彼は身内の不幸が原因で途中降板してしまいました。 残りの追加撮影を引き継いだのは「アベンジャーズ」シリーズなどで知られるジョス・ウェドン監督。 共同ではなく監督が2人いるという点は最も賛否が別れる原因となっており、「2人の個性がうまく融合している」と評価する声と「個性が違いすぎてまとまりがない」という酷評に二分してしまいました。
関係者試写での酷評を受けてラストを大幅に変更?
もともと、『ジャスティス・リーグ』のエンディングは、続編へつづくことをはっきりを示唆するものだったそうです。 具体的には、その内容は以下のようなものだったとか。 ・ステッペンウルフはアポコリプスの独裁者・ダークサイドに派遣されただけで、バットマンたちの前にはすぐにダークサイドが現れる。 ・前後編の前編として最後に「“ジャスティス・リーグ2”につづく」と文字がでる。 しかし、このエンディングは関係者試写で非常に不評だったため、監督交代にあわせて大幅に内容が変更されました。
ジョス・ウェドンはザック・スナイダーが撮影した素材の20%を再撮影し、エンディングも一作完結のものに変更しました。 その変更点は、 ・ダークサイドは今作では無関係となり、ステッペンウルフがメインヴィランになった。 ・シリアスなシーンを減らし、コメディ要素を増やした。 ・上映時間を約180分から120分に短縮した。その結果、新キャラクター(特にアクアマン)のバックストーリーが大幅に削られた。 ・バットマンとワンダーウーマンの恋愛描写をなくした。 クリストファー・ノーランの「ダークナイト」三部作以降、DCヒーロー映画は暗いトーンの作品が多かったため、変化を求めたのかもしれません。
DCEUの今後はどうなる?
このように、『ジャスティス・リーグ』は評価の二分する作品になりました。 多くのヒーローが登場するうえ、その半分が初登場、しかもそれを120分でまとめる、というのはやはり難しかったのではないでしょうか。 もし、ザック・スナイダーが監督を途中降板しなければ……という声もありますが、それは今となっては言っても仕方のないことです。 今後DCEUの作品は、バットマンをはじめ本作で初登場したアクアマンやサイボーグ、フラッシュの単独映画などが予定されています。それらは彼らのオリジン・ストーリーになるとか。 さらに、わかっているだけであと2名の新ヒーローが登場する予定。 今後のDCEUがどうなっていくのか注目したいですね!