『マン・オブ・スティール』とは?
2013年製作の映画『マン・オブ・スティール』は、ザック・スナイダー監督によるDCコミックの『スーパーマン』の実写版映画です。1987年から複数作品が製作された『スーパーマン』シリーズの続編ではなく、リブート作品で新シリーズの第1作目となります。 同じDCコミックのバットマンの実写映画『ダークナイト』3部作の成功を受けて、2008年から構想が練られ始め、製作・原案には同3部作の監督クリストファー・ノーランが参加しています。
『マン・オブ・スティール』あらすじ
地球から遠く離れた惑星クリプトンは、長年の採掘作業により内部崩壊の危機にありました。科学者のジョー=エル(ラッセル・クロウ)の提言にもかかわらず、惑星は爆発の危機を迎えてしまいます。軍事担当のゾッド将軍(マイケル・シャノン)は、元老院に対しクーデターを起こします。ゾッドからの協力要請を拒否したジョー=エルは、生まれたばかりの息子カル=エルを宇宙船に乗せクリプトンから脱出させました。 ゾッドのクーデターは失敗し、彼は「ファントム・ゾーン」という宇宙の墓場に送られました。ジョー=エルの提言通りクリプトン星は爆発し、カル=エルの乗った宇宙船は地球へ流れつきます。
宇宙船はカンザスに着陸し、カル=エルはジョナサン・ケント(ケヴィン・コスナー)とマーサ・ケント(ダイアン・レイン)夫妻の養子クラークとして育てられます。幼いころから自分の不思議な力に悩み居場所のなかったクラークは、北極で発見された宇宙船調査団に潜り込み、それがクリプトン星からやってきたものと知ります。宇宙船には実の父ジョー=エルからのメッセージが組み込まれており、自分の正体を知ったクラークは地球とそこに住む人々を救うことを決意します。
そのとき、「ファントム・ゾーン」から脱出し地球を第2のクリプトン星にしようと、ゾッド将軍とその一味が現れます。彼らは、カル=エルの父ジョー=エルが息子に託した物体コデックスを手に入れようとクラークを追っていました。
新生スーパーマンを演じるヘンリー・カヴィル
ヘンリー・カヴィルのプロフィール
この作品のでスーパーマンを演じたヘンリー・カヴィルは、イギリス王領チャネル諸島のダービー島で1983年5月5日に生まれました。 その後イギリス本島に移り、寄宿学校に入学します。学校で『真夏の夜の夢』の演出や『グリース』のソニー役で演劇を始め、『40 minutes』では演出と主演をつとめました。17歳のとき学校にやってきたキャスティングディレクターに見出され、2001年の映画『Laguna』でデビューしました。 主な出演作品としては『モンテクリスト伯』(2002)やテレビ映画『チップス先生さようなら』(2002)、『人生万歳!』(2009)、『コードネーム U.N.C.L.E.』(2015)などがあります。 アメリカ人以外の俳優がスーパーマンを演じるのは、ヘンリー・カヴィルが史上初です。
本作のクラーク・ケント
クラーク・ケントは、地球でジョナサンとマーサのケント夫妻の養子としてカンザス州スモールヴィルで育ちました。『マン・オブ・スティール』では特に、自身が夫妻の実の子ではないことを理解しており、幼少期から特殊な能力を持っていることで友達もおらず、孤独であったことが強調され、自分が誰で何をするべきなのかを見つけるため、世界中を旅していたことが丁寧に描かれています。 また、ヒロインで新聞社「デイリー・プラネット」の記者ロイス・レインは、多くのスーパーマン作品でクラークの同僚となってから彼がスーパーマンではないかと疑い、その後本人から正体を明かされますが、『マン・オブ・スティール』では、ロイスは北極でスーパーマンに救われ、彼がメトロポリスで活躍する以前から彼の存在を知っていました。そして、ゾッド将軍との対決前に彼から自分の正体を打ち明けられ、そのことは口外しないと誓います。その後、クラークはロイスと同じ「デイリー・プラネット」社で、記者として働くようになりました。
『マン・オブ・スティール』の気になる他キャスト
エイミー・アダムス/ロイス・レイン役
新聞社「デイリー・プラネット」の記者で、スーパーマンの正体を知る数少ない人物のひとりです。取材のためならどんな危険も顧みない貪欲な一面があります。後にクラーク・ケントの同僚で恋人となります。
マイケル・シャノン/ゾッド将軍役
クリプトン星の元軍事最高司令官で、ジョー=エルの友人でしたが、惑星爆発の前に元老院に対してクーデターを起こしたことで、宇宙の墓場「ファントム・ゾーン」に監禁されてしまいます。「ファントム・ゾーン」からの脱出に成功した後、クリプトン再興のため、地球にやってきます。
ケヴィン・コスナー/ジョナサン・ケント役
地球にたどり着いたカル=エルをクラークと名付け、養子として育てた養父です。実の子のようにクラークを愛しており、彼が宇宙人であることを周囲に悟らせないために竜巻に巻き込まれて命を落としてしまいました。ジョナサンの助言のおかげで、クラークは自分の出自と使命を知りました。
ダイアン・レイン/マーサ・ケント役
ジョナサンの妻でクラークの養母です。ちなみに”クラーク”とは、マーサの旧姓だそうです。ジョナサンとともにクラークを愛情深く育て、夫の死後も様々な困難にぶつかり悩むクラークを支え続けています。
ローレンス・フィッシュバーン/ペリー・ホワイト役
「デイリー・プラネット」社の編集長で、ロイスの上司です。北極で経験したことを記事にしたいとロイスが提案したときは、彼女の話を信じず却下しました。
ハリー・J・レニックス/スワンウィック将軍
北米大陸防空総司令部の将軍です。ゾッド将軍から、24時間以内にカル=エルが姿を現さなければ地球人を皆殺しにすると脅され、居場所を知っているとされたロイスを逮捕しました。その後、人類を救ったスーパーマンを信頼するようになります。
ラッセル・クロウ/ジョー=エル役
スーパーマン/クラーク・ケントことカル=エルの実の父で、クリプトン星の天才科学者です。惑星の爆発を予測し元老院に警告しますが相手にされず、幼い息子を小さな宇宙船に乗せて地球に送り出しました。北極で発見されたクリプトンの偵察船にはジョー=エルの意識が残っており、クラークに彼の出自と使命を伝えました。
知っておくと楽しい!『マン・オブ・スティール』の"隠れ"見どころ
幼なじみラナ・ラング登場
ラナ・ラングは、学校にうまくとけこめずにいた10代のクラークに、唯一やさしくしてくれていたクラスメイトです。『マン・オブ・スティール』でも、遠足でクラークが他のクラスメイトにいじめられていた際に、止めに入ってくれました。 ちなみにアメリカン・コミックの伝統として、キャラクターの苗字と名前のイニシャルを統一するというものがあります。スーパーマンの世界ではそれが”L”に統一されており、ロイス・レイン(Lois Lane)やレックス・ルーサー(Lex Luthor)がいますが、ラナ・ラング(Lana Lang)もそのひとりです。
「レックスコープ」がすでに登場している
「レックスコープ」とは、スーパーマンの宿敵であるレックス・ルーサーが経営する会社です。レックス・ルーサーは、原作コミックからこれまでのスーパーマン映画に多く登場する悪役で、IQ200の天才実業家です。裏で行う犯罪を阻止するスーパーマンと敵対しています。『マン・オブ・スティール』にレックス・ルーサーは登場しませんが、彼の会社のビルはしっかりと映っており、続編への登場が示唆されました。
「ウェイン産業」のロゴが映っている
「レックスコープ」のシーンからゾッド将軍とスーパーマンの空中戦が始まります。大気圏よりはるか上で繰り広げられた戦いで、2人が破壊した人工衛星はなんてことのないただの小道具に見えますが、よく見るとそこにはバットマンことブルース・ウェインの経営する「ウェイン産業」のロゴが描かれていることがわかります。これもまた、続編への布石と言えるでしょう。
他のヒーロー映画のキャラクターがすでに登場?
北米大陸防空総司令部の軍人に、若い女性のキャラクターが登場していますが、注目すべきは彼女のジャケットに書かれた名前です。彼女の名前は「フェリス」とありますが、これは2020年に公開が予定されているDCコミック映画『グリーンランタン』のヒロイン、キャロル・フェリスと同じ名前です。
『マン・オブ・スティール』vs『スーパーマン リターンズ』
人気アメコミヒーローであるスーパーマンは数多くの映画に登場しています。2006年に制作された『スーパーマン リターンズ』と2013年の『マン・オブ・スティール』は同じスーパーマン映画ですが、実はまったく違うものです。それぞれの違いをおさらいしてみましょ
『マン・オブ・スティール』は新しいシリーズのはじまり
2006年に公開された『スーパーマン リターンズ』が、1978年から4作品が制作されたスーパーマンシリーズの続編(5作目)であるのに対し、『マン・オブ・スティール』は新シリーズの1作目になります。 『スーパーマン リターンズ』は、故郷クリプトン星の残骸が見つかったと聞いて宇宙に調査に出ていたスーパーマンが地球に帰ってくるところから始まります。彼が地球を離れている間に養父ジョナサンは亡くなり、恋人ロイスは母となり別の人物と婚約していました。その後、宿敵レックス・ルーサーとの戦いが始まります。 厳密にはこの作品は、『スーパーマン』(1978)と『スーパーマンⅡ/冒険篇』(1980)の続編で、『スーパーマンⅢ』(1983)と『スーパーマンⅣ』(1987)での出来事は無視されています。また、観客はスーパーマンが誰であるか、ロイスとの関係、レックス・ルーサーの存在などを事前に理解している必要がありました。 『マン・オブ・スティール』はスーパーマン映画のリブート版で、新しいシリーズのはじまりとなる物語です。そのため、スーパーマンが地球に来るまでの経緯や少年時代、ヒーローとして人類を守ることを決意するまでが描かれています。 これは、スーパーマンについてまったく知らない人にも、今後活躍するであろう彼の背景を説明することができるものです。
キャスティングの違い
『スーパーマン リターンズ』は、それまでのスーパーマン映画の続編という形を取っていましたので、主人公のスーパーマン/クラーク・ケント役の配役にはちょっとした条件がありました。 それは、前作までスーパーマンを演じていたクリストファー・リーヴに似ていることです。 後にスーパーマンを演じることになるヘンリー・カヴィルも『スーパーマン リターンズ』のオーディションで最後まで主演の座を争っていましたが、よりリーヴに似ているブランドン・ラウスがスーパーマン役に抜擢されました。 リブート版である『マン・オブ・スティール』では、新しいスーパーマン像を描いているので、いままでのスーパーマン俳優に似ている必要はありませんでした。
コスチュームもリニューアル
スーパーマンと言えば、赤いマントに青いコスチューム、胸の「S」の文字、そして赤いパンツです。 『スーパーマン リターンズ』はいままでの作品の続編ですので、コスチュームに大きく変わったところはありません。しかし、リブート版である『マン・オブ・スティール』ではこの赤いパンツはなくなっています。 実は以前から、スーパーマンの赤いパンツは「タイツの上にパンツを履くのはおかしい」と指摘されていました。そこで『マン・オブ・スティール』製作時にコスチュームのルーツを調べたところ、タイツの上にパンツを履くのはサーカスの怪力男の伝統的な衣装であることがわかり、新しいスーパーマンのコスチュームには必要ないと判断され、デザインが変更になりました。
続編『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』ではバットマンと対決!?
前作『マン・オブ・スティール』がスーパーマンの視点から地球人を見た作品であったのに対し、本作は地球人の視点から見たスーパーマンを描く作品になるとのことです。 前作のゾッド将軍との戦いで街を破壊してしまったスーパーマン。戦いの余波で傷ついた人々は、スーパーマンを人類の敵と見なすようになってしまいます。また、破壊してしまったビルのひとつがブルース・ウェイン(バットマン)が経営するウェイン産業のビルだったため、スーパーヒーローを引退していたバットマンが復活し、人類代表としてスーパーマンと対決することになります。 前作にひきつづき、マイケル・ケイン演じるゾッド将軍や、ダイアン・レイン演じるマーサ・ケント、エイミー・アダムス演じるロイス・レインなどが出演します。スーパーマンの宿敵であるレックス・ルーサーも本作で初登場、ジェシー・アイゼンバーグが演じ、物語の鍵を握ることになるようです。 本作には、バットマンの他にもワンダーウーマンが出演します。また、アクアマンやサイボーグなども出演することがわかっていますが、どの程度出番があるかは不明です。 予告編には、ゾッド将軍の遺体や落書きされたバットマンのコスチュームなど、誰かが裏で糸を引いているように見える部分があり、多くの謎が隠された見ごたえのある作品になりそうです。 『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』は2016年3月25日公開です。
DCEUシリーズの今後の展開が気になる!
『マン・オブ・スティール』から始まった新しい「スーパーマン」シリーズは、今後DCコミックの様々なヒーロー映画が製作され、クロスオーバー作品も決定しています。
『スーサイド・スクワッド』(2016年9月10日公開)
DCコミックのヴィランたちが集結し、各自の懲役軽減や死刑を免れるために政府の極秘危険任務につくという作品。ヴィランのグループということで、チームとしてのまとまりなども気になるところですが、原作コミックにはないジョーカー(『バットマン』シリーズ)の登場も発表されており、どのような役回りになるのか注目が集まっています。
『ワンダーウーマン』(2017年8月25日公開)
『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』に登場するワンダーウーマンの単独映画も決定しています。 ワンダーウーマンは、女だけの一族「アマゾン族」の女王で本名はダイアナ、半神半人の存在です。 物語の詳細は不明ですが、『ブレイキング・バッド』『ウォーキング・デッド』『ゲーム・オブ・スローンズ』など、大ヒットドラマを次々と手掛けているミシェル・マクラーレンがメガホンを取り、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』でワンダーウーマンを演じるガル・ガドットの続投が決定しています。
『ジャスティス・リーグ』(2017年11月23日公開)
『マン・オブ・スティール』から始まる「スーパーマン」シリーズの第3作目にあたり、DCコミックのスーパーヒーロー/ヒロインたちが集結する超大作です。第1作目、2作目に続きザック・スナイダーが監督をつとめることが決定しました。 キャストはヘンリー・カヴィル(スーパーマン)、ベン・アフレック(バットマン)、ガル・ガドット(ワンダーウーマン)の続投が決定しています。レイ・フィッシャー演じるサイボーグやジェイソン・モモア演じるアクアマンら他のスーパーヒーローも活躍が期待されていますが、この作品で初登場となるグリーンランタンのキャストは未定です。 『ジャスティス・リーグ Part2』の公開は2019年で、こちらもザック・スナイダー監督がひきつづきメガホンをとりますが、それ以上のことはいまのところ不明です。
『ザ・フラッシュ(原題)』(2018年公開予定)
『ザ・フラッシュ』は粒子加速器の事故によって、超人的脚力を身につけた科学者バリー・アレンが活躍する物語です。ジャスティス・リーグのメンバーであり、2017年の映画にも登場します。 『ザ・フラッシュ』は2014年にテレビシリーズが放送され、シーズン2の制作も決定していますが、映画版はそれとはまったく無関係のものになります。テレビ版のフラッシュ/バリー・アレン役はグラント・ガスティンが演じていますが、映画版ではエズラ・ミラーが主演することが発表されました。
『アクアマン(原題)』(2018年公開予定)
アクアマンは、海底の国アトランティスの王で水陸両棲の海底人です。水棲生物とテレパシーで会話することができ、時速160kmで泳ぎ、怪力などの特殊能力があります。 2017年の『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』、2018年の『ジャスティス・リーグ Part1』にひきつづき、テレビシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』のジェイソン・モモアがアクアマンを演じます。
『シャザム(原題)』(2019年公開予定)
『シャザム』は、主人公の少年ビリー・バットソンが、呪文を唱えると神の力を持つ大人のスーパーヒーロー、シャザムに変身するという物語です。 主人公のキャストは未定ですが、悪役のブラックアダムにはドウェイン・ジョンソンが決定しています。
『サイボーグ(原題)』(2020年公開予定)
高校生のときに事故で瀕死の重体となったビクター・ストーンは、科学者である父によって顔の半分と内臓以外を機械化され、スーパーヒーロー、サイボーグとなリました。 主人公のサイボーグ役は、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』『ジャスティス・リーグ Part1』にひきつづき、レイ・フィッシャーが決定しています。
『グリーンランタン(原題)』(2020年公開予定)
グリーンランタンは、パワーリングを通して魔法の結晶スターハートにアクセスし、その力を使うことができるスーパーヒーローです。ひとりではなく複数人おり、それぞれに宇宙の中で守る地区を割り当てられています。地球人だけでも6人おり、宇宙全体では3600人が任命されています。 2011年にライアン・レイノルズ主演で映画化されていますが、それとは別のリブート版になるようです。いまのところ、監督、キャストなどの詳細は不明です。
『サンドマン(原題)』(公開日未定)
夢の王ことモルフェウス(サンドマン)が、自分の夢の国を取り戻すために奮闘する物語になるようです。他のDCコミック映画とのクロスオーバーの予定はありませんが、関連作品として製作されます。