2019年4月19日更新

『名探偵コナン 天空の難破船(ロストシップ)』で怪盗キッドが盗んだものとは?隠れた高評価作をネタバレ解説

江戸川コナンと宿敵・怪盗キッドの共闘という熱い展開に、キッドと新一×蘭のラブコメ要素などで評価を得た、映画『名探偵コナン 天空の難破船(ロストシップ)』。真犯人の正体と目的は?最後にキッドが盗んだものは何か、ネタばれありで解説します。

映画『名探偵コナン 天空の難破船(ロストシップ)』をネタバレありで解説!

映画『名探偵コナン 天空の難破船』は、青山剛昌原作のアニメ『名探偵コナン』の劇場版シリーズ14作目で、怪盗キッドが出演する4作目のコナン映画。 本作の舞台は、大空を飛ぶ世界最大の飛行船。謎のテロリストとの対決を軸に、コナンと宿敵・怪盗キッドが共闘し、キッドを交えたコナン(新一)と蘭のラブコメが描かれました。 主人公・江戸川コナンら主要キャラの他に、鈴木次郎吉が劇場版に初登場し、服部平次と遠山和葉が2年連続で登場。ゲスト声優に、大橋のぞみと優木まおみが出演しました。 この記事では、隠れた高評価映画「天空の難破船(ロストシップ)」をネタバレ解説し、真犯人の正体や怪盗キッドが盗んだものなどを紹介します。 本記事には「天空の難破船」に関するネタバレが含まれますので、未鑑賞の方はご注意ください。

「天空の難破船」は異色作?ラブコメとしても高評価!【ネタバレ注意】

「天空の難破船」の魅力は、怪盗キッドとコナンの共闘&ラブコメ要素だけでなく、コナン映画としてはやや異色な立ち位置にあるところ! 今回は「キッドの正体は終盤までわからない」という通例を破り、早々に誰に化けているかが判明し、ラブコメへと繋がります。ラブコメ描写は、原作者の青山が本作のテーマに掲げた部分であり、原作で採用したかったエピソードでもあるのだとか。 ちなみに、コナン映画お約束の爆発は”冒頭の一回のみ”。回想を含めて、殺人事件が一切発生しない初めての劇場版という点でも、異例の作品でした。 ファンの間では、次から次へとテンポよく提示されていく謎、”空と地上で”展開される本格ミステリとラブコメのバランスが評価された模様。2016年に公式が行った歴代映画の人気投票では、全19作品中9位を獲得しました。興行収入は32億円を記録し、第34回日本アカデミー賞にて優秀アニメーション作品賞を受賞しています。 故・永井一郎演じる鈴木次郎吉が出演する唯一の劇場版にして、降板した神谷明に代わり、小山力也が毛利小五郎を演じた最初の映画でもありました。

『名探偵コナン 天空の難破船(ロストシップ)』のあらすじ

8月7日の夜。東京都西多摩市の国立東京微生物研究所が、7人組の武装グループに襲撃され、致死率80%の殺人バクテリアが盗まれました。 警視庁での記者会見の最中、テロ組織「赤いシャムネコ」から「7日以内に次の行動を起こす」と、インターネット上に犯行声明が!同時刻、鈴木財閥相談役・鈴木次郎吉が怪盗キッドに挑戦状を叩きつけ、飛行船「ベル・ツリーⅠ世号」に収めたビッグジュエル「天空の貴婦人(レディ・スカイ)」を賭けて対決することに。 制限時間は東京→大阪間、13時から19時までの6時間。テロ組織の犯行予告から7日後、飛行船は小五郎と蘭、コナンたち少年探偵団、中森警部や取材クルーらを乗せて離陸します。しかし、船は赤いシャムネコにハイジャックされ、爆弾を仕掛けられてしまうのです。 爆弾と殺人バクテリアの脅威の中、大空を舞台に頭脳戦が開始!犯人の正体とその目的は一体何なのでしょうか?宝石と蘭を巡って、コナンとキッドのバトルも!?

映画に登場する重要キャラクター・声優一覧

江戸川コナン/cv.高山みなみ

江戸川コナン
(C)2016 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

主人公・江戸川コナンは鈴木園子の叔父、鈴木次郎吉の招待で「ベル・ツリーⅠ世号」に乗るものの、船は「赤いシャムネコ」にハイジャックされてしまいます。人質になった蘭たちを救うため、ビッグジュエルを狙う怪盗キッドとは休戦し、お互いに協力することになりました。 新一に扮したキッドのせいで、とんでもない事態になっているとは知らずに……。 コナンの声優を務めたのは、ファンにはお馴染みの高山みなみ。『名探偵コナン』と同じく、青山剛昌原作の『剣勇伝説YAIBA』でも主人公を演じました。その他の代表作に、『ドラえもん』スネ夫のママ(3代目)、『ゲゲゲの鬼太郎(第5作)』鬼太郎役などがあります。

怪盗キッド/cv.山口勝平

劇場版の準レギュラーと言っても過言ではない、ご存知怪盗キッド!蘭に変装を見破られかけ、自分と顔が瓜二つの新一だと誤魔化したため、少々ややこしいことに……。佐藤・高木刑事にも「キッド=新一」と誤解され、新一にあらぬ疑いがかけられます。 キッドは飛行船から放り出されたコナンを救い、一時的に協力関係を結びました。 怪盗キッド、および工藤新一を演じるのは声優、舞台俳優の山口勝平。『名探偵コナン』、『DEATH NOTE』、『金田一少年の事件簿』(劇場版第1作)と、3大少年雑誌の探偵漫画が原作のアニメで、名探偵役を演じたのはとても有名ですね。

赤いシャムネコ

「赤いシャムネコ」は財閥を標的にテロ行為を繰り返していましたが、10年前に幹部が全員逮捕され、壊滅状態でした。今になって復活し、鼻に傷跡を持つ強面の男をリーダーとして、微生物研究所から殺人バクテリアを強奪、飛行船をハイジャックしました。 6人の部下たちは、「キャットA~F」のコードネームで呼び合っています。 キッドをおびき出すため、コナンを飛行船の窓から放り出すなど特に残忍なリーダー役の声優は、俳優、ナレーターでもある大友龍三郎。男性の部下を演じたのは天田益男、阪口周平、松本大、三宅健太ですが、残り1名の声優は明かされていません。 ウェイトレスに扮し、人質として飛行船内に潜伏していた唯一の女性メンバーは、本作が声優初挑戦となった優木まおみが演じました。

川口聡/cv.大橋のぞみ

川口聡は遠山和葉の親戚の少年。横浜から奈良へ引っ越してきたばかりで、和葉を「和葉お姉さん」と呼んで慕い、プロポーズしました。その一方で、恋敵(?)の平次に対しては「平次おじさん」呼びですが、持ち前の推理力で彼のサポートを務めます。 平次すら気付かないことを指摘し、「赤いシャムネコ」の逮捕に一役買いました。 聡の声優は、ジブリ映画『崖の上のポニョ』の主題歌で歌手デビューし、かつて一世を風靡した元子役・大橋のぞみ。女優として将来を期待されるも、2012年3月末に、「学業に専念するため」という理由で芸能界を引退しました。

怪盗キッドの狙いはビッグジュエル「天空の貴婦人(レディ・スカイ)」

名探偵コナン 天空の難破船(ロスト・シップ)
(C)2010青山剛昌/「名探偵コナン」製作委員会

映画「天空の難破船(ロストシップ)」で怪盗キッドが狙うのは、世界最大のラピスラズリをあしらった超一級の芸術品、ビッグジュエル「天空の貴婦人(レディ・スカイ)」。 豪華な指輪に埋め込まれた宝石は、群青色の石に映える金色の粒がとても美しく、その中央には女性の横顔のような形が見えます。持ち主の鈴木次郎吉はキッドに対し、鈴木財閥が新開発した世界最大の飛行船「ベルツリーⅠ世号」が大阪へと向かう8月14日に、スカイデッキに展示したレディ・スカイを盗んでみろと挑戦状を送りました。 キッドは返事として、「飛行船が大阪市上空に入ってから盗む」と予告状を出します。しかし、次郎吉ご自慢の展望台は、数々の最新セキュリティを備えていたのです!

【ネタバレ】鈴木次郎吉に恨み?テロ組織「赤いシャムネコ」の目的とは

鈴木次郎吉は10年前、赤いシャムネコが壊滅した一件で警察に協力していました。 テロリストも「次郎吉に恨みがある」と言い、目的はその復讐、もしくは細菌兵器による空からの無差別テロかと思われましたが……。

その本当の目的は、殺人バクテリアに怯えた人々が関西を脱出し、誰もいなくなった奈良県の寺にある国宝級の仏像を盗み出すこと!残りの仲間が警察に扮し、住職たちに避難を促すと見せかけて仏像を盗む算段。「普通は仏像を盗もうと思わない」という心理から、甘くなりがちな寺のセキュリティの隙きを突いた犯行でした。 陽動作戦と次郎吉への復讐も兼ねて、飛行船をハイジャックした、というわけです。 計画通り豪福寺で盗みをはたらいていたところを、奈良県警に応援を呼んだ平次らに阻まれ、メンバー全員が逮捕されました。

【ネタバレ解説】致死率80%超え!殺人バクテリアの真相と真犯人

「天空の難破船(ロストシップ)」のバイオテロのトリックは”漆”だった!?

結論から言うと、殺人バクテリアは飛行船内に持ち込まれておらず、真犯人も赤いシャムネコと(次郎吉とも)全く関係ありません。

コナンの推理から、感染者たちの症状は”漆によるかぶれ”だと明かされます。犯人は喫煙室の至るところに漆を吹きかけておき、室内に赤いシャムネコのエンブレムが入ったアンプルを置くなどして、バイオテロの信憑性を高めていたのです。 その狙いは、微生物研究所から「殺人バクテリアが盗まれたと思い込ませる」こと。実際の細菌は、冒頭の爆発で全て死滅していました。トリックを見破ったコナンは、最初の感染者・藤岡隆道だけかぶれの出方がおかしいと気付き、真犯人にたどり着きます。

事件の真犯人はルポライターの藤岡隆道/cv.野田圭一

犯人と考えられた「赤いシャムネコ」は、真犯人の藤岡隆道が名を借りただけで、劇中に本物は登場しません。実はテロリスト集団も、藤岡に雇われた傭兵経験者たち。藤岡の元々の部下は、リポーターの西谷かすみ、カメラマンの石本順平でした。 藤岡が第一感染者を装ったのは、隔離されていた方が身軽に動けるからであり、携帯で密かにリーダーに指示を出していました。 犯行の動機は単なる金儲け。藤岡曰く、「現代のIT化社会では現金よりも仏像の方が捌きやすく、かつ安全で、すでに買い手もついていた」のだとか。テロリストがレディ・スカイを奪ったことから、こちらも盗む予定だったと思われます。

怪盗キッドと蘭がキス!?コナン大慌ての疑惑のラストシーン!

一件落着した後、スカイデッキへ向かった蘭はレディ・スカイを盗みに来た怪盗キッドに、「新一、自首して」と迫っていました。 キッドは自分の嘘を思い出し、「俺が1番欲しかったお宝をくれたら出頭する」と言って蘭の後頭部に手を添え、そのままキスを……。と思った寸前で、蘭は相手が新一ではないと気付きます。そこへコナンと園子が駆けつけると、キッドは「泥棒は盗むのが商売。たとえそれが人の心でもね……」と言い残して、ハンググライダーで飛び去りました。 コナンは心配で気が気でなく、キッドに何をされたのか蘭を問いただすも、「新一がやらないようなこと(=お尻を触る)」とはぐらかされます。蘭はコナンの頬の「新一♥LOVE」と書かれた絆創膏を見て、「勘違いしないでよね!」と言い、船内に戻っていくのでした。 キッドはレディ・スカイを蘭の指に嵌めて返しており、蘭の心は(新一として)一瞬奪いかけましたが、最終的には何も盗むことはありませんでした。

本格ミステリ×ラブコメ!隠れた傑作『名探偵コナン 天空の難破船(ロストシップ)』

「天空の難破船(ロストシップ)」は8作目「銀翼の奇術師(マジシャン)」と13作目「漆黒の追跡者(チェイサー)」の後日談でもあり、前2作に関連した話題に触れるシーンがあるなど、細かい遊び心が満載でした。 空の上の事件だけかと思いきや、地上でもストーリーが動いていたという、ミステリの見事な構成にも驚かされます。一見、派手な作品に埋もれがちですが、『名探偵コナン』の持ち味「本格ミステリ×ラブコメ」を活かした必見の1作でしょう。 本作は劇場版シリーズの定石を外した、"隠れた傑作"と呼べるのかもしれません。 飛行船の垂直飛行は平次の言う通り、まさに「クジラが跳ねよった!」なダイナミックなシーンですので、こちらもぜひお見逃しなく!