【ネタバレ】映画『シグナル100』を原作と比較しながら解説 下部はキャラ設定がかなり違う?
映画『シグナル100』は“実写化不可能”の超問題作!?【ネタバレ注意】
大人気の若手実力派女優・橋本環奈が、2016年の『セーラー服と機関銃 -卒業-』以来4年ぶり、2度目の単独主演を務める映画『シグナル100』。 担任教師に自殺催眠をかけられ、36人の生徒が続々と自殺に追い込まれる中、狂気と絶望のデスゲームを繰り広げる様が描かれます。原作は『不能犯』の宮月新原作、近藤しぐれ作画による同名漫画で、壮絶過ぎる描写に連載当時から“実写映画化不可能”と言われていました。 そんな超問題作を、『さまよう小指』の女性監督・竹葉リサがメガホンを取り映画化!今回は映画『シグナル100』を原作と比較しながら解説します。 ※本記事には、原作漫画及び映画『シグナル100』に関するネタバレ情報を含んでいます。ご注意ください!
映画『シグナル100』のあらすじと作品の世界観を紹介
主人公・樫村怜奈(かしむら れな)のクラスの担任教師・下部(しもべ)は、学級崩壊した生徒36人に視聴覚室で「後催眠暗示」をかけ、そのまま自殺してしまいました。 何をすれば良いのか、何が催眠発動のシグナルなのか、何もわからない生徒たち。普段と同じ行動をしているのに次つぎと自殺していき、不安と恐怖で大パニックに!それに乗じていじめの主犯に復讐しようとする者、シグナルを分析する者やクラスの掌握を企む者、下部先生の共犯者も現れ、裏切りと疑心暗鬼に支配されていくのです。 他のクラスメイト全員を殺すのが先か、下部先生のボーナスタイムで催眠を解くのが先か、生き残りを賭けたデスゲームが開幕します!
「後催眠暗示」とは?
ストーリーの鍵となる「後催眠暗示」とは、“ある合図で特定の行動をとるように暗示する”催眠術の一種で、本作では特定の行動=自殺となります。 下部先生が設定したある合図=シグナルは100通り存在し、電話をかける、学校に遅刻をする、涙を流すなどなど……日常的な行動ばかり。暗示を解く明確な方法は「クラスメイトの死」のみであり、助かるには最後の1人として生き残るしかありません。
映画と原作のキャラクター性の違いとは?【ネタバレ注意】
生徒たちの変化
主人公の樫村怜奈や下部といった主要登場人物たちは、名前は同じものの性格が原作とは違うものになっていました。
原作では学級崩壊したクラスや下部に無関心だった怜奈。映画ではクラスの状態の変化に伴い、一般的なクラスメイトとも仲が良い女生徒になっています。 怜奈に想いを寄せる榊蒼汰も、原作では停学中だったためにクラスでただ1人催眠にかかっていない存在でした。また正義感が強いあまりに、物事の解決に暴力を使う乱暴な一面も。映画では催眠にもかかり、友達思いの心優しい性格となっていました。 そしてもう1人の重要人物の和田隼。原作では絵に描いたような不良で、学級崩壊の主な原因でした。しかし映画ではクラスメイトと距離を置き、シューティングゲームに興じる影のある性格に。校舎の屋上から指鉄砲で人の頭を撃つ真似をする、危ない様子も見られました。 原作同様1人でシグナルを独占し、クラスメイトが死ぬように仕向けます。また蒼汰と幼馴染という設定が加えられ、破滅的な思想が見られました。
下部の変化
前述のようにクラスの様子や下部のキャラクター性が原作とは大きく異なっていました。
原作では学級崩壊し、不良から虐げられていた下部が復讐のために催眠をかけます。しかし映画では学級崩壊はしておらず、どこにでもある仲の良さそうなクラスでした。下部も生徒たちから慕われていましたが、予期せぬ事態は起こり得るものだと言い、ある日突然生徒たちを集め自殺催眠をかけます。 そして催眠をかけたこと、最後の1人になるまで催眠は解けないことを生徒に告げ、下部自身も飛び降りて自殺しました。しかし映画では、いつの間にか死体は消えており、下部が生きていたことがわかります。 下部は人の死を見ることで幸福を感じる精神異常者。それまでは見ず知らずの他人に催眠をかけその死を味わっていましたが、次第にそれでは満足できないように。そこで自身の愛する生徒の死を見ることで、この上ない幸せを得ていたのでした。 中村獅童が見せる怪演によって、より一層下部の狂気が増していると言えるでしょう。
映画『シグナル100』の魅力を紹介【ネタバレ注意】
テンポの良さ
本作は上映時間が88分と一般的な映画と比べて短いのが特徴です。
原作では下部が死んだ後には、催眠に仕込まれた幻影が現れ、都度都度ボーナスタイムを与えました。ボーナスタイムとは、ある条件をクリアすれば催眠が解けるというもの。それらの条件は厳しく、他者が死ぬ必要のある残酷なものがほとんどでした。 しかし映画ではこのボーナスタイムが存在しません。とにかくシグナルの効果のみで生徒が次々と減っていきます。追加要素が減ったため、怜奈たちが単純にシグナルがなにかを探す、またシグナルを利用してクラスメイトを殺そうとする和田と対立するという、シンプルな構造になっています。その中でそれぞれのキャラクターたちの内面が描かれるため、わかりやすくテンポのいい展開です。 また生徒たちがシグナルによって次々と自殺をしていく際に、アッパーな音楽に乗せて多種多様な死に方を見せるシーンは圧巻です。
驚愕のラストとは?生き残るのは誰だ【ネタバレ注意】
最後には、怜奈、蒼汰、和田が残ります。そして蒼汰が和田に決死の特攻をかけ、2人とも死亡。怜奈だけが生き残るのでした。 そして蒼汰が怜奈へ残したスマートフォンを見つけ、その中を見る怜奈。そこには蒼汰の他に、西園寺聖也、藤春昴、桐野玄の姿が。4人は一緒に好きな人の名前を発表しており、そこで4人とも怜奈のことを好きだったことがわかります。そんな4人の思いを知り、涙を流す怜奈。4人ともが怜奈を守るために行動していたことがわかるのでした。 事件から4年後、大学で犯罪心理学を学んだ怜奈は生きていた下部の元を訪れます。下部が催眠をかけた理由を語ってみせる怜奈に下部は自分を理解するために犯罪心理学を学んだのかと問いました。怜奈はそれを否定し、あの時自分たちに催眠をかけるために下部が見せた映像が収められたDVDを取り出します。事件現場から消えていたDVDは怜奈が持ち去っていたのでした。 怜奈はシグナルを植え付ける映像を下部に見せ、その場を立ち去ります。最後は事件の起きた校舎を怜奈が見上げ、物語は幕を閉じました。
生徒キャスト一覧【原作にはいないキャラクターも】
樫村怜奈(かしむら れな)/橋本環奈
主人公・樫村怜奈は芯が強く、強い正義感と責任感を持っている女子高生。絶望的な状況の中で持ち前の行動力を発揮し、事件の解決に奮闘することになります。 そんな樫村を演じるのは、映画「銀魂」や「今日から俺は!!」でコメディエンヌの才能が開花し、人気と実力共に兼ね備えた女優・橋本環奈です。主演作で初のR15+作品への挑戦について、「20歳になり挑戦的なものをやりたいと思っていた中で、この作品はうってつけだと思い、出演を決めました」と公式サイトにコメントを寄せています。
榊蒼汰(さかき そうた)/小関裕太
榊蒼汰はサッカー部一のモテ男で、樫村怜奈に密かな恋心を抱いています。樫村を救うため奔走する榊役には、朝ドラ『半分、青い。』などの小関裕太。 子役出身で、2006年から『天才てれびくんMAX』のてれび戦士として3年間活躍し、2010年にミュージカル「テニスの王子様」の菊丸英二役で注目を集めました。2017年の映画『覆面系ノイズ』や2018年の『曇天に笑う』といった、漫画の実写化作品に多数出演しています。
和田隼(わだ はやと)/瀬戸利樹
クールな性格の青年で、クラスメイトたちとは少し距離がある和田隼役には、2014年にドラマ「弱くても勝てます」で俳優デビューした瀬戸利樹。2016年に特撮ドラマ『仮面ライダーエグゼイド』の鏡飛彩/仮面ライダーブレイブ役で初のレギュラーを獲得し、知名度を上げました。 2019年のドラマ『偽装不倫』にて、仲間由紀恵演じる吉沢葉子と不倫関係になる、ピンク髪のボクサー・八神風太を演じて話題を呼んでいます。
西園寺聖也(さいおんじ せいや)/甲斐翔真
甲斐翔真×NYLON JAPAN
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サッカー部員を率いる、仲間思いのキャンプテン・西園寺聖也を演じるのは、特撮ドラマ『仮面ライダーエグゼイド』でパラド役を演じた甲斐翔真です。西園寺は原作には登場しない、映画オリジナルのキャラクターとなっています。 同作をきっかけにドラマ、映画で活躍しており、FOD×dTV共同制作ドラマ『花にけだもの』や『ゼロ 一攫千金ゲーム』などに出演。2020年上演の舞台『デスノート THE MUSICAL』にて初舞台、初ミュージカル、初主演を飾ることになりました。
藤春昴(ふじわら すばる)/中尾暢樹
サッカー部所属で、内気な心優しい青年・藤春昴役には、『動物戦隊ジュウオウジャ―』の主人公・風切大和/ジュウオウイーグル役でお馴染みの中尾暢樹。藤春は原作には登場しない、映画オリジナルのキャラクターとなっています。 俳優集団「D-BOYS」では最年少ですが、2017年の映画『一礼して、キス』、2019年の『チア男子!!』では主演を務めるなど大活躍中です。ドラマ『あなたの番です』では、復讐に燃える青年・柿沼遼を好演し、注目を集めました。
桐野玄(きりの げん)/福山翔大
サッカー部のムードメーカー・桐野玄役には、2013年にドラマ『みんな!エスパーだよ!』で俳優デビューし、次つぎと話題作に出演している福山翔大。『おんな城主 直虎』の近藤武助役で大河ドラマ初出演を果たし、「イケメンすぎる」と大きな反響がありました。 苦しい下積みが実を結び、2019年4月公開の『JK☆ROCK』で初の映画主演を務めています。
羽柴健太(はしば けんた)/中田圭祐
野球部に所属しており、彼女思いの羽柴健太を演じるのは、雑誌「MEN'S NON-NO」専属モデルとしても活躍中の中田圭祐です。 中田は2016年4月に、ドラマ『毒島ゆり子のせきらら日記』で俳優デビューし、映画『君の膵臓をたべたい』などの話題作に出演。2018年の注目作『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』にて連ドラ初レギュラーを獲得し、今勢いに乗る若手の一人と言えるでしょう。
園田樹里(そのだ じゅり)/山田愛奈
他人とはあまり関わらず、読書を愛するクールな図書委員・園田樹里役には、2017年から雑誌「NON-NO」の専属モデルを務める山田愛奈。モデルとして、「装苑」「MAQUIA」などで活躍する傍ら女優業に進出し、ドラマ『dele』(第6話)にも出演しました。 2018年9月公開の映画『いつも月夜に米の飯』では主演を務め、知名度を上げつつあります。
キーパーソンの下部(しもべ)は中村獅童が演じる その他キャストを紹介
事件の発端となる下部を演じるのは中村獅童
生徒たちに自殺を強制させる催眠、シグナルを仕込んだ張本人・担任の下部を中村獅童が演じます。 原作では、下部が受け持つクラスは学級崩壊しており、下部もその名前から「下僕(げぼく)」と呼ばれバカにされていました。その復讐のために催眠を仕掛けるのです。
その他の生徒にも個性溢れるキャストが集結
シグナル100の打ち上げ時の写真です。
— 橋本環奈 (@H_KANNA_0203) October 14, 2019
大好きなお二人。
若と祐里とまた共演できて嬉しい。。#若月佑美 #恒松祐里 pic.twitter.com/VNMB7Xrw2D
その他の生徒役にもネクストブレイクの若手俳優が集結し、実力派が脇を固めました。 樫村の親友であり、同じバドミントン部所属の小泉はるか役には、「今日から俺は!!」で橋本環奈とコンビを組んだ若月佑美。ダンス部所属のお調子者・関克美役にドラマ「あな番」の管理人役が印象的だった前原滉、選手を健気にサポートするサッカー部マネージャー・箕輪紀子に、『凪待ち』などの恒松祐里が抜擢されました。 DJ部所属で、ノリが軽い山本英司を『ルパンの娘』の好演が記憶に新しい栗原類が演じます。
原作『シグナル100』のラストはどうなる?【ネタバレ注意】
原作ストーリーの終盤、最後のボーナスタイムとして、下部先生から榊蒼汰を殺害するミッションが告げられました。そこで榊は、樫村のためにクラスメイトたちを殺しますが、和田隼らの反撃に遭って命を落としてしまうのです。 最後に樫村が和田を殺害し、最後の一人として生き残りますが、下部先生から「樫村の暗示は解けている」と衝撃の事実を告げられます。 暗示を解く条件の一つは、“下部先生に謝罪する”ことだったのです。呆然とする樫村の元に警察が駆けつけ、彼女は未成年ということで不起訴処分になり、大学卒業後はこの時の経験を胸に教師になっていました。ところが、彼女が担当するクラスもまた学級崩壊を起こし、かつての下部先生と同じ状況に追い込まれることに。 樫村は彼の自宅から盗んだ自殺催眠動画を用意し、生徒を視聴覚室に集めるのでした……。
映画『シグナル100』は2020年1月24日に公開
映画『シグナル100』は、2020年1月24日公開されました。 特報映像には、“1000年に一人の美少女”橋本環奈の顔に血が飛び散る様などが収められ、軽快な音楽とのアンバランスがより恐怖を煽ります。原作の宮月新が、「理不尽と正義」を込めて紡いだという超問題作がどのように映像化されたのか是非その目で確かめてみてください。