映画『翔んで埼玉』の主要キャストと名(迷)シーン8選【埼玉以上にディスられたのは……】

埼玉県をはじめ関東圏をディスって、ディスりまくったにも関わらず、2019年に社会現象級のヒットを記録した映画『翔んで埼玉』。自虐とディスり満載の本作がここまで愛されたのはなぜか、作中の名(迷)シーン8選を振り返り、ヒットの謎に迫ります。
映画『翔んで埼玉』がヒットしたのはなぜ?名(迷)シーンまとめ
魔夜峰央(まや・みねお)の埼玉ディスり漫画を、「テルマエ・ロマエ」シリーズなどの武内英樹がメガホンを取り、驚くほどシュールに映画化した『翔んで埼玉』。 物語の舞台は、埼玉県民が差別される架空の日本。埼玉出身であることを隠し、カースト最上位の東京都の名門校に転入した麻実麗が、埼玉解放運動に身を投じる異色のコメディです。 関東の人びとが“不快”と感じても不思議ではない描写が多いのですが、興行収入37億円超えの大ヒットを記録、2019年に一大ブームを起こしました。むしろ埼玉県民の多くは「地元を有名にしてくれた」と、感謝すらしているようです。 この記事では、映画『翔んで埼玉』がヒットしたのはなぜか?その理由に迫ります。名(迷)シーンに関するネタバレを含みますので、まだ観ていない人はご注意ください!
『翔んで埼玉』主要キャストとその役柄【似合いすぎて怖い】
GACKT/麻実麗

本作の主人公の一人・麻実麗を演じたのは、シンガーソングライター、俳優などマルチに活躍し、セレブ芸能人としてもお馴染みのGACKT。GACKT自身は沖縄県出身です。 麗は3年A組の転入生。丸の内の大手証券会社の御曹司で、東京都港区に籍があります。美貌と都会的なセンスが憧れの的になっている、アメリカの帰国子女です。しかし彼の正体は埼玉県の大地主・西園寺家の子息で、「埼玉解放戦線」の主要メンバーでした。 彼は埼玉県に課された通行手形制度を撤廃すべく、東京都知事を目指していたのでした。
二階堂ふみ/壇ノ浦百美(原作では白鵬堂百美)

主人公の一人・壇ノ浦百美を演じたのは、2020年度前期放送予定の『エール』にてヒロインに抜擢され、躍進が続く実力派女優・二階堂ふみ。二階堂自身は沖縄県出身です。 百美は東京屈指の名門校「白鵬堂学院」の生徒会長で、東京都知事・壇ノ浦建造の息子の肩書きから、埼玉県人に横暴な態度をとります。当初はZ組の生徒を庇う麗を目の敵にしますが、次第に彼に心惹かれ始め、自身の埼玉への拒絶反応と戦うことになるのです。
伊勢谷友介/阿久津翔
????阿久津翔????
— 映画『翔んで埼玉』公式 (@m_tondesaitama) January 8, 2019
百美の家の執事。真の姿は千葉解放戦線のリーダー????️♂️
ところで、執事ファッションに大漁旗をあしらった
このコーディネートが大流行すると
公式は信じているのです。
誰か、チャレンジしてくださいたま☆彡#翔んで埼玉????#麗と阿久津の戦いは史上最強の茶番劇#合戦じゃー#伊勢谷友介 pic.twitter.com/1kqen6AbzO
阿久津翔を演じたのは、「ジョジョの奇妙な冒険」や「るろうに剣心」シリーズなど、実写化作品での役の再現度に定評がある伊勢谷友介。伊勢谷自身は東京都出身です。 阿久津は壇ノ浦家に仕える都会人と見せかけて、実は千葉県の出身。「千葉解放戦線」というレジスタンスを率い、千葉に対する差別に抗うべく尽力します。麗と同じ通行手形制度の撤廃を目指していますが、都知事にすり寄る、という違った手段をとっていました。
京本政樹/埼玉デューク
????今日は #京本政樹 さんの #誕生日 ????
— 映画『翔んで埼玉』公式 (@m_tondesaitama) January 21, 2019
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★* H a p p y *★
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みなさん、お祝いしてくださいたま~☆彡
#翔んで埼玉???? pic.twitter.com/JNXrHUjgVx
埼玉デュークを演じたのは、ドラマ「必殺」シリーズなどの代表作を持ち、時代劇から現代劇まで幅広い役柄をこなす俳優・京本政樹。京本自身は大阪府出身です。 埼玉デュークは埼玉県民でありながら、山の手の上流階級民のオーラを放ち、「伝説の埼玉県人」と呼ばれていた人物。かつての「埼玉解放戦線」のリーダーで、埼玉県民によるクーデターを画策するもSAT(埼玉急襲部隊)に正体を知られ、身を潜めていました。
【ネタバレあり】『翔んで埼玉』から8つの名(迷)シーンをピックアップ!
1.白鵬堂学院3年Z組の様子に絶句
????Z組生徒????
— 映画『翔んで埼玉』公式 (@m_tondesaitama) January 24, 2019
元埼玉県人で、今は東京に住んでいる人たちが集うクラスの生徒。
いや、制服も気になるけど…
公式は後ろの列の生徒が抱っこしている
ニワトリが気になって仕方ない…。#翔んで埼玉????#加藤諒#ある意味A組より学生っぽい気がしなくもない pic.twitter.com/2mMzD3N4hZ
白鵬堂学院の生徒は、それぞれの“都会指数”によってA組からZ組までのクラスに分けられており、Z組は埼玉県民を隔離するためのクラスです。 Z組の生徒は校舎はオンボロ小屋でトイレはボットン便所、制服はボロボロで保健室も利用できない、劣悪な環境下で生活していました。さらに、女子の制服は上部が肘宛て付きのセーラー服で下部はもんぺに地下足袋と、意味のわからない組合せでした。 他のクラスから迫害を受け、衛生面にも問題があるという、酷い扱いに言葉が出ません!
2.東京テイスティングって何……?
東京テイスティングとは、百美が麗を陥れるために全校生徒の前で行ったゲーム。瓶の中に入れられた空気を嗅いで、東京のどこのものか当てる設定でした。 都会指数が高ければ空気の香りで地名がわかる、というとんでもない理論によって、都会人らしさを見せつける謎すぎる内容です。百美はこれまで、何人もの都知事志望の男子生徒を敗北させてきましたが、新記録を打ち出した麗に敗北します。 テイスティングの様子が、GACKTが超人っぷりを発揮している番組「芸能人格付けチェック」に似ている、と大きな話題になりました。
3.踏み絵ならぬ「踏み草加せんべい」
今日は #バレンタインデー でしたね
— 映画『翔んで埼玉』公式 (@m_tondesaitama) February 14, 2019
愛の告白????にはチョコもいいけど#草加せんべい もおすすめです????
心を込めて、渡してくださいたま~☆彡#翔んで埼玉#友せんべいも是非#公式はチョコもせんべいも大好きです#無限ループの可能性大 pic.twitter.com/7HrMG1BvUJ
東京都民の中に紛れ込んだ埼玉県民をあぶり出すため、臭いだけで判別できない時に踏み絵ならぬ、「踏み草加せんべい」が行われました。 埼玉のシンボルこと、しらこばとの焼き印が入った名産品「草加せんべい」を踏むことができるかどうかで、埼玉県民を判別するのです。麗が埼玉出身の家政婦(益若つばさ)をかばい、踏み草加せんべいを煽られるシーンはヒドい茶番で、かなりの迷シーンです。 ちなみに、原作では踏む対象が「埼玉県知事の写真」になっています。県民は知事がいかに偉いか徹底的に教育されており、写真を踏むことができないんだとか!
4.サイタマラリアって何?
サイタマラリアとは、小型春日部蚊が媒介して発症する埼玉県特有の伝染病です。体に「さ」の形の炎症、発熱・発疹・下痢・嘔吐の症状が出て、最悪の場合は死に至る恐ろしい病気! 埼玉には医者がおらず祈祷師しかいないため、手遅れになる可能性が高いです。また、埼玉以外の県で患者が発見されると、埼玉県民が紛れ込んでいる証拠に!作中では百美も感染しており、笑って良いのか困惑するこの病が、ストーリーの中で重要な要素になります。
5.東京都知事のお気に入りは〇〇県のアレ
百美の父・壇ノ浦建造(中尾彬)は、大都会の知事としての厳格なイメージとは裏腹に、「ひょうちゃん」というキャラクターが好きな可愛い一面も。 ひょうちゃんとは、神奈川県を拠点とする「崎陽軒」のマスコットキャラクター。都知事の部屋には、神奈川県知事からの贈り物として、様々な柄のひょうちゃんが飾ってありました。実は演じた中尾も、役と同じくひょうちゃんをコレクションしているそうです。 神奈川県は関東各県の中でも、東京都に並ぶ高い都会指数を有する県と設定されており、この描写から蜜月関係を伺うことができますね。
6.衝撃。GACKTと伊勢谷友介のキスシーン
✨翔んで初日舞台挨拶レポート✨
— 映画『翔んで埼玉』公式 (@m_tondesaitama) February 22, 2019
美しい和装で登壇した #二階堂ふみ さん #GACKT さん #伊勢谷友介 さん #京本政樹 さん #武内英樹 監督。伊勢谷さんがGACKTさんとのキスシーンは、GACKTさんが提案したと暴露し騒然!最後は全員で「出陣じゃー!!」の力強い挨拶!脱・ダサイタマ????#翔んで埼玉???? pic.twitter.com/bqOAyF5Yls
映画『翔んで埼玉』は原作の要素を忠実に再現しているため、男子である百美が麗に恋心を抱くなど、耽美なBL描写もそのまま描かれています。 百美は妄想癖が激しく、麗と阿久津のキスを“悪夢として”見るシーンがあり、演じたGACKTと伊勢谷友介の色っぽいキスに衝撃が走りました。元々は存在しないシーンで、「魔夜先生の世界観を再現するためには必要」という、GACKTの提案で追加されたとのこと。 GACKTは公開初日舞台挨拶でキスについて聞かれ、「公私混同っていうんですよ。どうしても伊勢谷くんとチューしたいという」と、お茶目に返していました。
7.埼玉県VS千葉県の芸能人対決が豪華すぎる
映画のオリジナルシーンにして、最大の見せ場とも言える「流山の戦い」。江戸川を挟んだ埼玉解放戦線と千葉解放戦線が、激しくぶつかり合う!と思いきや……。 千葉県が館山市出身の「X JAPAN」YOSHIKIの顔がプリントされた旗を掲げれば、埼玉県は蕨市出身の「THE ALFEE」高見沢俊彦の凧を揚げ、有名人出身地対決が展開しました。他にも埼玉からは反町隆史と竹野内豊、千葉からは桐谷美玲や真木よう子など(一部は阿久津に「弱い!と言われたものの)豪華するぎる有名人が登場します。 千葉県が名女優・市原悦子を出し、麗が彼女の代表作ドラマ『家政婦は見た』から、「家政婦は見た……」と呟くシーンもありました。
8.埼玉以上にディスられたのは……
埼玉が特にディスられまくっていますが、東京を頂点としたヒエラルキーが存在しているため、その他の県も割とディスられていました。 一応の理由があるとは言え、群馬は未確認生物がいる「未開の地」「秘境」などと表現され、栃木や千葉もディスりネタの標的に!?そんな中、茨城県民は埼玉県民ですら見下す存在で、茨城は「埼玉のさらに奥地にあるといわれるあの日本の僻地」とまで言われていました。 映画の描写はまだマシな方で、原作でも「気の弱い女性はその地名を聞いただけで卒倒する」など、凄まじいディスられっぷり!一番の被害者は茨城県民かもしれません。
『翔んで埼玉』人気爆発の秘密は映画オリジナルの二部構成と“貶し愛”……?

映画『翔んで埼玉』はぶっ飛んだ世界観を、個性も何もかも濃ゆすぎるキャストが大真面目に、全力で演じた壮大な茶番劇でした!本作は原作が未完のため、原作通りの「都市伝説パート」と、未来の埼玉県に住む一家を描く「現代パート」の二部構成です。 一家が都市伝説にツッコんでくれることで、ディスりがある程度昇華され、観客がカタルシスを得られたのではないでしょうか。その埼玉や関東圏への“ディスり”も、裏側には「貶し愛」とも呼ぶべき愛があり、地元民納得の「県あるある」が観客の心を掴んだのでしょう。 これらの根底には、ディスられまくった関東圏の人びとの器の大きさがあり、自虐ネタを好みがちな日本人の気質も関係するかもしれません。