2019年12月3日更新

映画『翔んで埼玉』の主要キャストと名(迷)シーン8選【埼玉以上にディスられたのは……】

翔んで埼玉
(C)魔夜峰央『このマンガがすごい!comics 翔んで埼玉』/宝島社

埼玉県をはじめ関東圏をディスって、ディスりまくったにも関わらず、2019年に社会現象級のヒットを記録した映画『翔んで埼玉』。自虐とディスり満載の本作がここまで愛されたのはなぜか、作中の名(迷)シーン8選を振り返り、ヒットの謎に迫ります。

目次

映画『翔んで埼玉』がヒットしたのはなぜ?名(迷)シーンまとめ

魔夜峰央(まや・みねお)の埼玉ディスり漫画を、「テルマエ・ロマエ」シリーズなどの武内英樹がメガホンを取り、驚くほどシュールに映画化した『翔んで埼玉』。 物語の舞台は、埼玉県民が差別される架空の日本。埼玉出身であることを隠し、カースト最上位の東京都の名門校に転入した麻実麗が、埼玉解放運動に身を投じる異色のコメディです。 関東の人びとが“不快”と感じても不思議ではない描写が多いのですが、興行収入37億円超えの大ヒットを記録、2019年に一大ブームを起こしました。むしろ埼玉県民の多くは「地元を有名にしてくれた」と、感謝すらしているようです。 この記事では、映画『翔んで埼玉』がヒットしたのはなぜか?その理由に迫ります。名(迷)シーンに関するネタバレを含みますので、まだ観ていない人はご注意ください!

『翔んで埼玉』主要キャストとその役柄【似合いすぎて怖い】

GACKT/麻実麗

翔んで埼玉/Gackt
(C)魔夜峰央『このマンガがすごい!comics 翔んで埼玉』/宝島社

本作の主人公の一人・麻実麗を演じたのは、シンガーソングライター、俳優などマルチに活躍し、セレブ芸能人としてもお馴染みのGACKT。GACKT自身は沖縄県出身です。 麗は3年A組の転入生。丸の内の大手証券会社の御曹司で、東京都港区に籍があります。美貌と都会的なセンスが憧れの的になっている、アメリカの帰国子女です。しかし彼の正体は埼玉県の大地主・西園寺家の子息で、「埼玉解放戦線」の主要メンバーでした。 彼は埼玉県に課された通行手形制度を撤廃すべく、東京都知事を目指していたのでした。

二階堂ふみ/壇ノ浦百美(原作では白鵬堂百美)

翔んで埼玉/二階堂ふみ
(C)魔夜峰央『このマンガがすごい!comics 翔んで埼玉』/宝島社

主人公の一人・壇ノ浦百美を演じたのは、2020年度前期放送予定の『エール』にてヒロインに抜擢され、躍進が続く実力派女優・二階堂ふみ。二階堂自身は沖縄県出身です。 百美は東京屈指の名門校「白鵬堂学院」の生徒会長で、東京都知事・壇ノ浦建造の息子の肩書きから、埼玉県人に横暴な態度をとります。当初はZ組の生徒を庇う麗を目の敵にしますが、次第に彼に心惹かれ始め、自身の埼玉への拒絶反応と戦うことになるのです。

伊勢谷友介/阿久津翔

阿久津翔を演じたのは、「ジョジョの奇妙な冒険」や「るろうに剣心」シリーズなど、実写化作品での役の再現度に定評がある伊勢谷友介。伊勢谷自身は東京都出身です。 阿久津は壇ノ浦家に仕える都会人と見せかけて、実は千葉県の出身。「千葉解放戦線」というレジスタンスを率い、千葉に対する差別に抗うべく尽力します。麗と同じ通行手形制度の撤廃を目指していますが、都知事にすり寄る、という違った手段をとっていました。

京本政樹/埼玉デューク

埼玉デュークを演じたのは、ドラマ「必殺」シリーズなどの代表作を持ち、時代劇から現代劇まで幅広い役柄をこなす俳優・京本政樹。京本自身は大阪府出身です。 埼玉デュークは埼玉県民でありながら、山の手の上流階級民のオーラを放ち、「伝説の埼玉県人」と呼ばれていた人物。かつての「埼玉解放戦線」のリーダーで、埼玉県民によるクーデターを画策するもSAT(埼玉急襲部隊)に正体を知られ、身を潜めていました。

【ネタバレあり】『翔んで埼玉』から8つの名(迷)シーンをピックアップ!

1.白鵬堂学院3年Z組の様子に絶句

白鵬堂学院の生徒は、それぞれの“都会指数”によってA組からZ組までのクラスに分けられており、Z組は埼玉県民を隔離するためのクラスです。 Z組の生徒は校舎はオンボロ小屋でトイレはボットン便所、制服はボロボロで保健室も利用できない、劣悪な環境下で生活していました。さらに、女子の制服は上部が肘宛て付きのセーラー服で下部はもんぺに地下足袋と、意味のわからない組合せでした。 他のクラスから迫害を受け、衛生面にも問題があるという、酷い扱いに言葉が出ません!

2.東京テイスティングって何……?

東京テイスティングとは、百美が麗を陥れるために全校生徒の前で行ったゲーム。瓶の中に入れられた空気を嗅いで、東京のどこのものか当てる設定でした。 都会指数が高ければ空気の香りで地名がわかる、というとんでもない理論によって、都会人らしさを見せつける謎すぎる内容です。百美はこれまで、何人もの都知事志望の男子生徒を敗北させてきましたが、新記録を打ち出した麗に敗北します。 テイスティングの様子が、GACKTが超人っぷりを発揮している番組「芸能人格付けチェック」に似ている、と大きな話題になりました。

3.踏み絵ならぬ「踏み草加せんべい」

東京都民の中に紛れ込んだ埼玉県民をあぶり出すため、臭いだけで判別できない時に踏み絵ならぬ、「踏み草加せんべい」が行われました。 埼玉のシンボルこと、しらこばとの焼き印が入った名産品「草加せんべい」を踏むことができるかどうかで、埼玉県民を判別するのです。麗が埼玉出身の家政婦(益若つばさ)をかばい、踏み草加せんべいを煽られるシーンはヒドい茶番で、かなりの迷シーンです。 ちなみに、原作では踏む対象が「埼玉県知事の写真」になっています。県民は知事がいかに偉いか徹底的に教育されており、写真を踏むことができないんだとか!

4.サイタマラリアって何?

サイタマラリアとは、小型春日部蚊が媒介して発症する埼玉県特有の伝染病です。体に「さ」の形の炎症、発熱・発疹・下痢・嘔吐の症状が出て、最悪の場合は死に至る恐ろしい病気! 埼玉には医者がおらず祈祷師しかいないため、手遅れになる可能性が高いです。また、埼玉以外の県で患者が発見されると、埼玉県民が紛れ込んでいる証拠に!作中では百美も感染しており、笑って良いのか困惑するこの病が、ストーリーの中で重要な要素になります。

5.東京都知事のお気に入りは〇〇県のアレ

百美の父・壇ノ浦建造(中尾彬)は、大都会の知事としての厳格なイメージとは裏腹に、「ひょうちゃん」というキャラクターが好きな可愛い一面も。 ひょうちゃんとは、神奈川県を拠点とする「崎陽軒」のマスコットキャラクター。都知事の部屋には、神奈川県知事からの贈り物として、様々な柄のひょうちゃんが飾ってありました。実は演じた中尾も、役と同じくひょうちゃんをコレクションしているそうです。 神奈川県は関東各県の中でも、東京都に並ぶ高い都会指数を有する県と設定されており、この描写から蜜月関係を伺うことができますね。

6.衝撃。GACKTと伊勢谷友介のキスシーン

映画『翔んで埼玉』は原作の要素を忠実に再現しているため、男子である百美が麗に恋心を抱くなど、耽美なBL描写もそのまま描かれています。 百美は妄想癖が激しく、麗と阿久津のキスを“悪夢として”見るシーンがあり、演じたGACKTと伊勢谷友介の色っぽいキスに衝撃が走りました。元々は存在しないシーンで、「魔夜先生の世界観を再現するためには必要」という、GACKTの提案で追加されたとのこと。 GACKTは公開初日舞台挨拶でキスについて聞かれ、「公私混同っていうんですよ。どうしても伊勢谷くんとチューしたいという」と、お茶目に返していました。

7.埼玉県VS千葉県の芸能人対決が豪華すぎる

映画のオリジナルシーンにして、最大の見せ場とも言える「流山の戦い」。江戸川を挟んだ埼玉解放戦線と千葉解放戦線が、激しくぶつかり合う!と思いきや……。 千葉県が館山市出身の「X JAPAN」YOSHIKIの顔がプリントされた旗を掲げれば、埼玉県は蕨市出身の「THE ALFEE」高見沢俊彦の凧を揚げ、有名人出身地対決が展開しました。他にも埼玉からは反町隆史と竹野内豊、千葉からは桐谷美玲や真木よう子など(一部は阿久津に「弱い!と言われたものの)豪華するぎる有名人が登場します。 千葉県が名女優・市原悦子を出し、麗が彼女の代表作ドラマ『家政婦は見た』から、「家政婦は見た……」と呟くシーンもありました。

8.埼玉以上にディスられたのは……

埼玉が特にディスられまくっていますが、東京を頂点としたヒエラルキーが存在しているため、その他の県も割とディスられていました。 一応の理由があるとは言え、群馬は未確認生物がいる「未開の地」「秘境」などと表現され、栃木や千葉もディスりネタの標的に!?そんな中、茨城県民は埼玉県民ですら見下す存在で、茨城は「埼玉のさらに奥地にあるといわれるあの日本の僻地」とまで言われていました。 映画の描写はまだマシな方で、原作でも「気の弱い女性はその地名を聞いただけで卒倒する」など、凄まじいディスられっぷり!一番の被害者は茨城県民かもしれません。

『翔んで埼玉』人気爆発の秘密は映画オリジナルの二部構成と“貶し愛”……?

翔んで埼玉
(C)魔夜峰央『このマンガがすごい!comics 翔んで埼玉』/宝島社

映画『翔んで埼玉』はぶっ飛んだ世界観を、個性も何もかも濃ゆすぎるキャストが大真面目に、全力で演じた壮大な茶番劇でした!本作は原作が未完のため、原作通りの「都市伝説パート」と、未来の埼玉県に住む一家を描く「現代パート」の二部構成です。 一家が都市伝説にツッコんでくれることで、ディスりがある程度昇華され、観客がカタルシスを得られたのではないでしょうか。その埼玉や関東圏への“ディスり”も、裏側には「貶し愛」とも呼ぶべき愛があり、地元民納得の「県あるある」が観客の心を掴んだのでしょう。 これらの根底には、ディスられまくった関東圏の人びとの器の大きさがあり、自虐ネタを好みがちな日本人の気質も関係するかもしれません。