2020年4月20日更新

ナチスやヒトラー、ホロコーストを題材にしたおすすめ映画13選 語り継ぐべき悪しき時代と恐ろしい過去

否定と肯定
(C)DENIAL FILM, LLC AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2016

語るべき物語やメッセージがあるからなのか日本でも毎年のように公開されるホロコーストやヒトラーを題材にした映画。この記事ではヒトラーやナチスを題材にしたおすすめ映画を厳選して紹介します。

目次

ナチスやヒトラーを題材にしたおすすめ映画を紹介

ナチス・ドイツの党首として君臨した独裁者ヒトラー。この時代、ヨーロッパを中心に数百万人のユダヤ人が虐殺されたといわれています。ホロコーストの惨状と暴君ヒトラーをより深く知ることができる映画を紹介します。

『シンドラーのリスト』(1994年)

アカデミー賞7冠に輝いた勇気と信頼の真実の物語

シンドラーのリスト
© Universal Pictures

巨匠スティーブン・スピルバーグ監督の名作。第二次世界大戦時、1000人以上のユダヤ人をナチスから救った実在のドイツ人実業家の姿をドキュメンタリータッチで描いています。 1939年ポーランド南部にドイツ軍が侵攻。ドイツ人実業家のオスカー・シンドラーは、一旗揚げようとこの街にやって来ました。そこで彼は無慈悲にも無実の人々や囚人たちが、次々と虐殺されていく光景を目の当たりにします。 何かと名目をつけてはユダヤ人労働者を救出し、徹底的にナチス・ドイツに抵抗し続けました。果たしてその努力の結末は……。 全編モノトーンの映像が物語の惨状を際立たせています。本作は第66回アカデミー賞で最優秀作品賞・監督賞など7部門を受賞しました。また、監督と14度目のコンビを組んだジョン・ウィリアムス担当の音楽は秀逸です。

『サラの鍵』(2010年)

残された1本の鍵が、人生の扉を開く

フランス最大のユダヤ人一斉検挙「ヴェル・ディヴ事件」を題材にした、ベストセラー小説の待望の映画化。1人の女性が、新たな人生を生きていく様子を描いた感動作です。 夫と娘とパリで暮らすアメリカ人女性記者ジュリアは、1942年パリで起きたヴェル・ディヴ事件」の取材を進める中で、衝撃の事実に直面します。 その頃彼女は、45歳にして念願の子供を授かったにも関わらず夫に出産を反対され、人生の岐路に立っていました。吸い寄せられるように、彼女はあるユダヤ人少女の数奇な運命を追い続けます。真実が明らかになった時、ジュリアの人生に大きな変化が訪れることになります。 過去と現在を行き来する物語の展開に合わせて、人々の心の移り変わりが丁寧に描かれた作品です。

『ライフ・イズ・ビューティフル』(1999年)

親子の過酷な状況をユーモラスに描いた感動作

ロベルト・ベニーニが、監督・脚本・主演の3役をこなし、第71回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した作品です。 北イタリアに駐留してきたナチスドイツによって、ユダヤ系一家は強制収容所に送られてしまいます。過酷な状況を小さな息子に悟らせたくない父親は「1000点獲ったらゲームに勝てる」と、息子に嘘を教えます。度々訪れる危機。果たして一家は生き延びられるのでしょうか......。 イタリアでナチスの強制収容所に収監されたユダヤ人一家を、ユーモア溢れる温かな視点で描きだしました。

『ジョジョ・ラビット』(2019年)

愛と寛容を描く、笑いと涙のドタバタ風刺コメディ

コメディアン出身のタイカ・ワイティティ監督が、ユーモアを交えて戦時下に生きる人々を描いた快作。スカーレット・ヨハンソンやサム・ロックウェルなど映画界を代表する人気キャストが脇を固めています。 第二次世界大戦時、ドイツで母親と二人で暮らす10歳の少年ジョジョは立派な兵士になるため、訓練に奮闘する毎日を送ります。一方で気弱でウサギも殺せないと周囲にからかわれてばかりの彼は、そばに寄り添う「イマジナリーフレンド」のヒトラーが救いでした。ある日、母親が家の屋根裏に匿っている少女に出くわし――。 ジョジョや友達のヨーキーなど子どもたちがとにかくキュートで魅力的です。テーマ上シリアスになりがちなナチス映画とは一線を画し、ユーモアとオリジナリティに溢れる作品に仕上がっています。

『戦場のピアニスト』(2003年)

戦場を生き抜いた天才ピアニストの奇跡の物語

迫害から逃れ、戦場を生き抜いたポーランド出身の天才ピアニストの壮絶な物語を映画化。監督は、巨匠ロマン・ポランスキーで、彼もまたユダヤ人のため、戦時中はナチスから身を隠しながら生き延びた経験があったそうです。 1939年、ナチス・ドイツがワルシャワに侵攻。ワルシャワの放送局で演奏していたピアニストは、ユダヤ人としてゲットーに移住させられます。日に日に戦況は激化。何十万ものユダヤ人が強制収容所に送られていく中、彼は奇跡的に難を逃れます。 瓦礫と化したワルシャワの街で、生き延びることだけを考えて必死に身を隠し過ごす日々。しかしある夜、ついに1人のドイツ人将校に見つかり……。 音楽は、ピアニストにとって「狂気と絶望から、正気と生への希望に戻す」生きる糧でした。劇中に流れるショパンの調べが、心に染み入ります。

『ソフィーの選択』 (1983年)

メリル・ストリープの代表作。選択のその先に待つ世界とは……。

米国で最も権威がある賞の一つ、ピューリッツァー賞を受賞した小説を映画化。作家志望の青年の視点で描かれ、登場人物の心理を丁寧に描写した文学的作品です。 舞台は、第二次世界大戦後のニューヨーク。引っ越してきたばかりの作家志望の青年と、同じアパートに住む暗い影のあるポーランド人女性、そして彼女のユダヤ人の恋人の3人が織りなすヒューマンドラマです。 ナチ信奉者の父、反ユダヤ主義者の夫を持つ主人公ソフィーに幾度となく訪れる重い選択。彼女が最後に 選んだ選択とは……。 メリル・ストリープが憂のある可憐なポーランド人女性を熱演し、初のアカデミー賞主演女優賞を受賞しました。

『黄色い星の子供たち』(2010年)

絶望の中、それでも未来を見つめ続ける子供たち

『サラの鍵』でも題材として扱われた「ヴェル・ディヴ事件」を家族と引き離された子どもたちの視点で描いた作品です。   1942年、ナチス・ドイツ支配下のフランスで、胸に黄色い星をつけることが、ユダヤ人に義務づけられていました。ある日、フランス警察による一斉検挙が始まり、彼らは冬季競輪場(通称ヴェル・ディヴ)に輸送されます。 そこで家畜同然の扱いを受けるユダヤ人を、懸命に治療する看護師や医師がいました。彼らの献身的な努力も虚しく、ユダヤ人たちは収容所移送されることに……。 絶望の渦中でも未来を夢見て懸命に生きる子供たちと、看護師たちの交流に胸を打たれます。

『縞模様のパジャマの少年』(2008年)

子供の無垢な心が運命を変えた、悲劇の物語

世界各国で数々の賞を受賞した同名ベストセラー小説の映画化。戦争に翻弄される人々の姿と、幼い友情を描いています。「ブラス!」や「リトル・ヴォイス」のマーク・ハーマンが、監督・脚本・製作総指揮を務めました。 第二次世界大戦下のドイツ。ナチス将校の父の昇進により一家は、田舎に引っ越すことになりました。少年は学校に行けず退屈していたある日、禁じられていた裏庭から奥の森へと出かけていきます。そこで、収容所のフェンスの向こう側に住む少年と出会い、少しずつ心を通わせていきますが……。    子供の純粋な友情と「ホロコースト」の残酷さが対比され、観る者の心を大きく揺さぶります。また、デヴィッド・ シューリスやデヴィッド・ハイマンなど英国を代表する名俳優たちの演技も注目です。

『サウルの息子』(2016年)

凄愴な中、人間が人間であり続けるということは……

ハンガリーの新鋭ネメシュ・ラースロー監督が、斬新なカメラワークで魅せる体感型映画です。観るものに強烈な印象を残し、アカデミー賞作品賞を受賞しました。 舞台は、第二次世界大戦中のアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所。そこで実際に起こったハンガリー系ユダヤ人の囚人サウルの二日間の記録を描いています。彼は、他の囚人と引き離され同胞の死体を片付ける「ゾンダーコマンド」(特殊部隊)。ある日、任務中に息子と思しき死体を見つけ、ユダヤ式に正しく埋葬してやりたいと願い、収容所内を駆けずり回りますが……。 極限状態にいながらも、最後まで人であり続けることを諦めなかったサウルの勇気の物語です。

『ヒトラー〜最期の12日間〜』(2004年)

70年の時を経て明かされる「人間」ヒトラー

自国のタブーに挑み、世界的な反響を呼んだ歴史的衝撃作。ヒトラーの女性秘書らの証言に基づき第三帝国没落の真相が暴かれます。監督は「es」のオリヴァー・ヒルシュビーゲルです。 1945年4月、ベルリンはソ連軍の猛攻を受けナチスは崩壊寸前でした。戦況が不利になると、ヒトラーは、身近な身内と側近を連れて総統官邸の地下壕に移り指揮するようになります。日に日にベルリン市内は地獄絵と化し、側近たちの逃亡や裏切りが相次ぎました。 ヒトラーは最終決戦を決意しますが、ドイツ軍にそんな余力は残されていません。ついに敗北を覚悟した彼は、ある重大な決断をします……。 生に執着し権利に貪欲だった「人間」アドルフ・ヒトラーを、『ベルリン天使の詩』主演のブルーノ・ガンツが見事に演じています。

『ヒトラーの忘れもの』(2015年)

軍曹と敵国少年兵の信頼と絆の物語

緩急のあるストーリー展開と、人物の心情を丁寧に描いた秀逸な映画です。 第二次世界大戦が終了し、ドイツによる5年間の占領が終わりました。捕虜となったドイツの少年兵たちが、戦時中、海岸に埋められた220万の地雷を撤去するため動員されます。 彼らは任務をやり遂げ帰郷することを夢見て、広大な浜辺に這いつくばりながら撤去作業を続けます。しかし、飢えや体調不良、地雷の爆発で命を落としていく少年兵たち。その様子を見ていた指揮監督の軍曹の心に変化が訪れます。 デンマークの風光明媚な土地で行われる死と隣り合わせの苛酷な作業。大人が子供たちに背負わせた代償の大きさを体感出来る作品です。

『否定と肯定』(2016年)

真実の行方を追う衝撃の歴史的裁判

世界中の人々が関心を寄せたホロコーストの真偽をかけた法廷闘争を映画化。『ナイロビの蜂』のレイチェル・ワイズが、ホロコーストをめぐる裁判で争う歴史学者を演じています。 1994年、アメリカの大学でユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・リップシュタットの講義が行われました。彼女は自著で、イギリスの歴史家デイヴィッド・アーヴィングが訴えるホロコーストはなかったとする「ホロコースト否定論」の主張を真っ向から否定していました。 その講演を聴講していたアーヴィングはデボラを攻め立て、その後名誉棄損で彼女を提訴。重大な歴史の歪曲は許されないと、彼女は法廷で争うことになります。世界中のマスコミが注目し、かつてないほどの関心が高まった歴史的裁判の行方は……。 本作は法廷弁護人と被告人が、心を通わせて行くヒューマンドラマでもありました。ホロコースト否定論者を演じたティモシー・スポールの悪役ぶりが、「正義」を追求する映画の中で、ひときわ異彩を放っています。

『帰ってきたヒトラー』(2015年)

現代にタイムトリップしたヒトラーが、一躍人気者に!?

ヒトラーが、現代ドイツに蘇り騒動を起こすブラックコメディ。ドイツでベストセラーとなった風刺小説の映画化です。   1945年に自殺を図ったはずのヒトラーがタイムスリップして、2011年、ベルリンの公園で目を覚まします。テレビ局をリストラされたディレクターは、かつて撮影した街頭映像に映り込んでいるヒトラーを発見。 そっくりのモノマネ芸人と思い込み、大衆にヒトラーがインタビューする番組を思いつきます。ドイツ中を周って映像を撮影しテレビ局に売り込んだ結果、上層部がヒトラーを気に入り番組出演が決定。ヒトラーは瞬く間に人気者になり、一大センセーションを巻き起こすことに。 一般の人たちと接する場面の大半は、台本なしでゲリラ的に撮影しリアルな反応を引き出しているため、ドイツの人々の生の声を知ることができます。

ナチス、ホロコーストを題材にした映画は名作揃い

ナチスやホロコーストを扱っていても、シリアスな作品からコメディまで様々なテイストの映画が制作されてきました。しかし、ナチス政権下で起きた恐ろしい出来事を風化させてはいけない、そんなメッセージが込められていることはどの作品にも共通しているように思えます。 気軽には手を出しづらい作品群ではあるため、心に余裕があるときにじっくりと鑑賞してみてはいかがでしょうか。