『塔の上のラプンツェル』の歌13曲を登場シーンとともにおさらい
『塔の上のラプンツェル』はグリム童話を原作とした、ディズニーの3Dアニメーション映画。本作の魅力のひとつと言えるのは、ミュージカルシーンです。 本記事では劇中の楽曲について、そのシーンと共に紹介していきます! ※この記事には、物語のネタバレが含まれます。未鑑賞の方はご注意ください。
『塔の上のラプンツェル』のミュージカルシーンで歌われる楽曲を紹介!
ストーリーを彩る楽曲は、アカデミー賞を8度受賞したアラン・メンケンによる作曲と、ディズニー楽曲を数々手掛けてきたグレン・スレイタ―による作詞になっています。アラン・メンケンによると、1960年代のフォークロックと中世の音楽の融合によって、歌が生み出されたそう。 中川翔子がラプンツェルの日本語吹き替えを演じましたが、歌唱シーンはミュージカルで活躍する小此木まりが担当しました。 そしてラプンツェルを塔の外へ連れ出すことになるフリン・ライダーの声を、音楽座に在籍していた経歴のある畠中洋。ラプンツェルを育てたマザー・ゴーテルを、元宝塚歌劇団月組トップスターの剣幸(つるぎ みゆき)が演じています。
1.『自由への扉』
『塔の上のラプンツェル』で最初に歌われるのがこの楽曲。“ラプンツェルと言えば!”といわれるほど、この映画では欠かせない楽曲の一つです。映画の冒頭で、不思議な花について説明された後に雰囲気がガラっと変わり、主人公のラプンツェルが登場します。 塔の中で生活している、とても長い金髪のラプンツェル。楽しく生活を送りながらも外の世界に憧れを強くもっており、どんな物語になるのか、とてもワクワクさせられる曲となっています。 前半では塔の中でのラプンツェルの過ごし方が軽やかに歌われていますが、段々と変わらない日常に飽き飽きした気持ちが強くなっていきます。 外の世界への憧れや希望に満ちたこの楽曲は、ラプンツェルが実際に外へ踏み出す際にもリプライズ版が歌われました。曲調や歌詞が異なっており、このバージョンでは彼女の覚悟が印象的。ラプンツェルの自由への喜びがあふれており、聴くとポジティブになれる一曲です。
2.『お母様はあなたの味方』
塔の外へ出たいと望むラプンツェルに対して、彼女を閉じ込めておきたいゴーテルが歌う楽曲です。外は危険なためラプンツェルを守りたいとゴーテルは言いますが、どう聞いてもそれは彼女自身のためとしか思えません。また、笑いながらコメディチックに歌われているのが、逆に不気味な印象を受けます。 ラプンツェルの為だと話すゴーテルと、母親のことは好きでも、気持ちを押し切っても外に出たいと感じる、複雑な気持ちを抱えたラプンツェルの顔が印象的です。 そしてラプンツェルが外に出た後で、リプライズ版が歌われました。歌い方や曲調に、よりゴーテルの身勝手さや怒りが表れたものとなっています。
3.『お尋ね者、フリン』
作品のもう一人の主人公であるフリン・ライダーが盗みを働いて逃亡するシーンを飾る一曲です。王国一番の泥棒であるフリンは、スタビントン兄弟と組んで王女のティアラを盗み出していたのです。緊迫感のある曲はが今まさに逃亡しているという緊張感を表現しており、重厚感がそこに重みを添えます。 しかし、その曲の中にコミカルなエッセンスも足されており、緊張感にある逃亡シーンの中で、フリンのユーモアあふれるキャラクター性も感じられる楽曲となっています。
4.『誰にでも夢はある』
ラプンツェルとフリンが酒場で出会った荒くれ者たちと歌い上げるのが、『誰にでも夢はある』。 彼らは近寄りがたい格好をしていますが、みんな純粋な夢を持っています。しかもその夢も「ピアニスト」や「インテリアデザイナー」など、見かけによらないものばかり。明るくポップな曲調に乗せて夢を語り、ラプンツェルも一緒に歌い出します。「夢見る者は仲間」というメッセージに心を打たれます。
5.『魔法の花』
ラプンツェルが魔法を見せる際に、『魔法の花』を歌います。ゆったりとした短い曲ですが、彼女の髪が美しく光りを放つ映像と相まって、幻想的なシーンとなりました。 外の世界に出てからは、灯りの代わりにしたり、ケガを治すシーンで歌われています。さらに、長い髪を切ってしまうシーンでも歌われており、とても悲しく感動的となっています。
6.『お城の馬』
この曲はフリンと共に塔を飛び出したラプンツェルを、育ての母であるゴーテルが必死な形相で探すシーンで流れます。不穏な空気を察知したゴーテルが慌てて塔へと向かうと、そこはすでにもぬけの殻となっていました。ゴーテルはフリンが盗み出したティアラを発見し、ラプンツェルが何者かと塔を後にしたことを知るのです。 「ラプンツェルがいなくなってしまった、どうしよう」と言ったゴーテルの心情を表そうと不穏な音楽が流れ、聴いている方も思わずハラハラしてしまいます。
7.『2人のキャンプ』
外の世界を知りたい、と塔を飛び出したラプンツェルにとって外は刺激的な出来事ばかり。冒険の最中にフリンが怪我をしたことで、ラプンツェルは自分が魔法を使えるという事実を明かし、フリンはラプンツェルに自分の名前が本名ではないことを明かします。 互いに自分のことを話したことで2人の心の距離が縮まるという、ロマンチックなシーンで、ここで流れる音楽はとても穏やかで美しく心癒される一曲となっています。 しかし、途中から後を追ってきたゴーテルが登場すると、楽曲は不穏なものに変化。物語の緊迫感が楽曲と共に伝わってきて、これからラプンツェルとフリンはどうなってしまうのか?と不安な気持ちも表現されています。
8.『あの灯りが待ち遠しい』
王国では無数のランタンが飛び交い、とても幻想的な風景を作り出しています。穏やかでゆったりとした楽曲はその幻想的な光景を彩り、それは灯りを見つめるラプンツェルのロマンティックな心情を表しているかのようです。 しかし、幻想的な風景に心癒される気持ちと同時にラプンツェルは待ちきれない、待ち遠しい、というワクワクした気持ちも抱えているのです。塔を出てきた期待と不安が入り混じった気持ちとはまた違う、憧れの気持ちに満ちています。
9.『お母様のもとへ』
フリンに心を開いたラプンツェルですが、フリンがゴーテルに罠に嵌り2人は離れ離れになってしまいます。フリンがゴーテルの罠に嵌ったのだとも知らず、彼が自分を裏切って去ってしまったのだ、とラプンツェルは悲しみ、母の元へと戻ります。 塔を出てフリンと冒険したワクワクした気持ちはすっかり沈んでしまい、静かで切なさに溢れた楽曲が彼女の強い悲しみを表現します。
10.『真実に気付いたラプンツェル』
フリンが裏切ったのだ、と悲しみに心を痛めていたラプンツェルでしたが、実はそれがゴーテルの罠だったという事実を知ります。そして、自分がプリンセスであるということにも気がつく、という彼女が真実を知っていく重要なシーンを盛り上げる一曲です。 厳かなメロディで彼女が真実に迫っていく姿を表現。真実を知ったことで行動を起こし、フリンに元へと駆け付けようとする彼女の行動力が表れています。
11.『いやしの涙』
真実に気が付いたラプンツェルはゴーテルに捕まり、再び囚われの身に。一方のフリンはラプンツェルの救出に向かうものの、ゴーテルに刺されてしまいます。ラプンツェルは彼を助けるため、ゴーテルの言いなりになると約束。髪の力を使って彼を助けようとした時、フリンが髪を切ってしまいます。 そして、ラプンツェルの髪の力がなくなったと同時にゴーテルも灰となり消えるのですが、フリンの命の灯も消えてしまいます。しかし、ラプンツェルの零した癒しの涙が彼を生き返らせてくれるのです。美しく、繊細でどこか重たさを感じる楽曲は物語の重厚さに彩を添え、やがて穏やかな優しい曲へと変化していきます。 フリンの傷が癒されていく感動の場面で流れる音楽は『輝く未来』と同じメロディラインを使用していますので、聴き比べてみてはいかがでしょう。
12.『歓びに包まれる王国』
映画のエンディングで流れている楽曲です。ラプンツェルが酒場で出会った悪党たちは夢を叶え、ラプンツェル自身も王国に戻って、王女となりフリンとめでたく結婚します。 曲自体は短く、明るく楽しいメロディが詰まっていますが、出てきたそれぞれのキャラクターの個性が出ている為、細かい音まで聞いてみると物語の隅々まで楽しめます。
13.『輝く未来』
『輝く未来』は物語の終盤で歌われる、ラプンツェルとフリンのデュエット曲。 ラプンツェルが夢見ていた「光」に囲まれながら、ボートに乗った二人はこれまでの人生を思い出し、互いへの思いを噛みしめます。ランタンの光に照らされるラプンツェルとフリンの姿が感動的で、本作きっての名シーンと言えるでしょう。 『輝く未来』は、ディズニー映画の中でも人気の高い曲で、ディズニーランドのショー『ワンスアポンアタイム』でも使用されていました。
ミュージカルに彩られた『塔の上のラプンツェル』の登場歌は名曲揃い
それまでとは違った、新たなディズニー・プリンセス像を描いたことで話題となった『塔の上のラプンツェル』。曲は穏やかなものから、荘厳なもの、不穏なものとその物語の1シーンのキャラクターたちの心情や雰囲気を表したものばかり。 これらのミュージカルシーンによって、キャラクターの個性が強調され、より印象深いものへ仕上がっていると言えるのではないでしょうか。ストーリーとあわせて、ぜひ劇中の楽曲もお楽しみください。