2020年5月1日更新

【ネタバレ】『塔の上のラプンツェル』あらすじや物語の裏話を解説!ディズニーきっての現代的なプリンセス

『塔の上のラプンツェル』
© Walt Disney Studios Motion Pictures

大人気ディズニーアニメ『塔の上のラプンツェル』は、それまでとは違ったプリンセス像を描き、子供から大人まで楽しめる作品です。今回は、巷ではあまり知られていない本作に関するトリビアや裏話を紹介しましょう。

目次

“初”づくしのディズニー映画『塔の上のラプンツェル』トリビア&裏話を紹介!

冒険にくり出す快活なプリンセスを描き、ディズニープリンセス映画の大きな転換点となった『塔の上のラプンツェル』。実は本作には、多くの“ディズニー史上初”のことがありました。 今回は本作のあらすじから原作、トリビアや制作秘話まで紹介します。 ※この記事には、『塔の上のラプンツェル』のネタバレが含まれます。作品を未鑑賞の方、ネタバレを知りたくない方は、ご注意ください!

1. 『塔の上のラプンツェル』あらすじ【ネタバレ注意】

『塔の上のラプンツェル』
©Disney

ある王国の森の奥深くの塔の上に、ラプンツェルという少女が住んでいました。母マザー・ゴーテルから外に出ることを禁じられていた彼女は、毎年自分の誕生日の夜に空に無数の灯りが現れるのを見て、外の世界へのあこがれを強くしていきます。 彼女が見ていた空に浮かぶ灯りは、行方不明になった王女を思って、彼女の誕生日に王国で飛ばされるものでした。 実はマザー・ゴーテルは「どんな病気も治す金色の花」を独占し、400年も生きてきた人物。しかしあるとき、妊娠中の王妃が病気になったことで金色の花をすべて取られてしまいます。そして、その花の力を髪に宿して生まれた王女・ラプンツェルを誘拐したのです。 ラプンツェルの髪には、彼女が歌うとどんな傷や病気が癒やされるという不思議な力がありました。しかし髪を切るとその力が失われてしまうため、ラプンツェルは髪を切ることも禁じられていました。 彼女の18歳の誕生日、ティアラを盗んで衛兵に追われていた大泥棒のフリン・ライダーは、壁をよじ登ってラプンツェルのいる塔に逃げ込みました。しかし油断した彼は、ラプンツェルに気絶させられてしまいます。ラプンツェルは彼の持っていたティアラを隠し、目を覚ましたフリンに「自分を灯りの見えるところまで連れて行き、それが済んだら塔まで送り届ければティアラを返す」と提案しました。 フリンはしぶしぶ条件を受け入れ、彼女とともに塔の外へ。母の言いつけに背いてしまったことに後ろめたさを感じながらも、ラプンツェルは初めて見る世界に心踊らせます。 彼女がいなくなったことに気づいたマザー・ゴーテルは、部屋でフリンの指名手配書を見つけ、それを手がかりにラプンツェルを探すのでした。

【ネタバレ】気になる結末は……?

指名手配犯のフリンとともに、冒険にくり出したラプンツェル。

フリンは世間知らずの彼女に振り回されながらも、ふたりはお互いに惹かれ合っていきます。ラプンツェルは自分の髪の秘密を打ち明け、フリンは孤独な過去と本名はユージーン・フィッツハーバートであることを明かしました。 ようやく空に浮かぶ灯りのもとにたどり着いたふたり。しかし、マザー・ゴーテルはフリンに裏切られたスタビントン兄弟と手を組み、策略を巡らせて彼を衛兵に捕えさせ、ラプンツェルを塔に連れ戻します。酒場の荒くれ者たちに助けられたフリンは、ラプンツェルを救うため塔に向かいますが、マザー・ゴーテルにナイフで刺されてしまいました。 ラプンツェルは彼を救うため、一生塔にいることを条件に髪の力を使おうとします。しかしフリンはそんな彼女の髪を切り落とし、息絶えてしまいました。そのため魔法の力が切れたゴーテルは塔から落ち、灰になってしまいます。ラプンツェルがフリンを救えないかと泣きながら歌うと、最後に残った魔法の力で彼は生き返りました。 また、ラプンツェルが行方不明になっていた姫であることが判明し、彼女は城に戻ります。そして、彼女とフリンことユージーンは結婚し、しあわせに暮らしました。 続編となる短編映画『ラプンツェルのウェディング』では、ふたりの結婚式の様子が描かれています。

2. 監督は日本出身?自身をモデルにしたキャラクターが登場?

『ムーラン』 ゼータ
© Buena Vista Pictures"

本作の共同監督の1人であるバイロン・ハワードは、日本の青森県三沢市出身です。その後、アメリカ・ワシントン州イサクアで育ち、1994年にウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオに入社。1998年の『ムーラン』をはじめいくつかの作品でアニメーターを務め、2008年の『ボルト』で初めてメガホンをとりました。 もう1人の監督であるネイサン・グレノは、『ムーラン』のアニメーターとしてディズニーのキャリアをスタート。その後、『ブラザー・ベア』(2004年)や『ルイスと未来泥棒』(2007年)、『ボルト』などにも参加しています。『ルイスと未来泥棒』では、声優としてロフティ役も務めました。 また、グレノは本作に自分をモデルにしたキャラクターを登場させています。それは、ラプンツェルとフリンが酒場にいるときにやってくる男。彼にはグレノと同じ星型のタトゥーがあり、顔もどことなく似ています。

3. 原作のグリム童話『ラプンツェル』は過激で大人向け?

「ラプンツェル」の原作はドイツのグリム兄弟による童話ですが、その内容は本作の冒険やロマンスに溢れたものとはかけ離れています。 そもそもラプンツェルとは野菜の名前で、葉酸などが多く含まれているためヨーロッパでは妊婦が好んで食べていました。 原作では、長らく子供ができなかった夫婦がようやく子供を授かり、妊娠中の妻がラプンツェルを食べたがります。しかし、それは恐ろしい魔女の庭にしか生えておらず、こっそり取りに行った夫は魔女に見つかってしまいました。 夫の弁解を聞いた魔女は、「ラプンツェルをやる代わりに、生まれた子供をよこせ」と交換条件を出します。その条件をのみ、生まれたばかりの女の子は魔女に引き取られるのでした。 ラプンツェルと名付けられた女の子は、年頃になると入口も階段もない高い塔に幽閉されてしまいます。魔女は窓からラプンツェルに髪を垂らしてもらい、そこから出入りしていました。 ところがある日、塔のそばを通りかかった王子がラプンツェルの歌声に惹かれ、魔女のマネをしてラプンツェルの髪をつたって塔の中にやってきます。男性を見たことがなかったラプンツェルは驚きますが、すぐにふたりは恋に落ちました。 そうして密会を重ねていたあるとき、ラプンツェルは魔女に「最近ドレスがきつくなった」と言います。その言葉で彼女の妊娠に気づいた魔女は、激怒してラプンツェルを荒野に置き去りに。彼女に会いに来た王子にことの顛末を告げると、彼は絶望して塔から身を投げ、失明してしまいました。 7年後、王子は男女の双子を連れたラプンツェルと再会します。そして、彼女のよろこびの涙が王子の目にかかり、その視力が回復。ふたりは結婚してしあわせに暮らしました。 ハッピーエンドではあるものの、そこに至る過程がとても大人向けなお話ですね。

4. 原題が『Tangled』になった経緯

本作の原題は、「絡まった」という意味を持つ『Tangled』ですが、実は元々のタイトルは主人公の名前である「Rapunzel」だったとか。 ロサンゼルス・タイムズの記事によると、前作『プリンセスと魔法のキス(原題:The Princess and the Frog)』が、「プリンセス」とタイトルに入っているためか女子人気しか取れず期待したほど集客できなかったのだとか。そこでディズニーは、本作では男女両方へアピールするタイトルをつけようと考えました。そして、ラプンツェルの髪の毛に絡まれる男目線の意味合いもある『Tangled』にタイトルが変更されました。 アメリカの予告編では、フリンを強調し、「男子はフリンのようになりたい。女子はフリンのような男性が理想」といった男女共に人気が出るような仕上がりになっています。

5. ディズニープリンセス作品で唯一のPG指定

『塔の上のラプンツェル』
© Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

ほかのディズニーアニメは、年齢を問わず誰でも見られるG指定となっていますが、「ラプンツェル」は、ディズニープリンセス作品で唯一「12歳までの子供は保護者の助言、指導が必要」とされるPG指定の作品となっています。 その理由は、ほかの作品よりも暴力シーンが多いため。ラプンツェルがフリンをフライパンで殴ったり髪で縛りつけたりするシーンから、終盤フリンがナイフで刺されるシーンまで、子供に見せるには過激なシーンが数多くあると判断されたようです。

6. ディズニープリンセスの転換期となった作品

ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの長編アニメ50作目の本作は、ディズニーのプリンセス作品で初めてフル3DCGで制作された作品です。また、ラプンツェルはディズニープリンセスで初めて魔法の力をもったキャラクター。この2点は、『アナと雪の女王』(2013年)にも引き継がれています。 一方で、プリンセスが王子でない男性と結ばれたのは『アラジン』(1992年)以来、2組目となりました。

7. ディズニー史上最多で最高、最長の作品

『塔の上のラプンツェル』
© Disney. All rights reserved

「ラプンツェル」はディズニー史上最多のキャラクター数を誇っています。村のシーンでは、3000人の群衆が描かれました。 また、ラプンツェルとフリンはディズニー作品でいちばんの年の差カップル。18歳のラプンツェルと26歳のフリン、それぞれの境遇にリアリティを持たせるためには妥当な年齢かもしれません。 「ラプンツェル」はその製作費もディズニープリンセス史上最高額の2億6000万ドルとなっています。前作『プリンセスと魔法のキス』(2009年)が約1億ドル、「ラプンツェル」の後の『アナと雪の女王』(2013年)の製作費が1億5000万ドルであることを考えると、破格といえますね。 さらに、本作は構想に費やした年月もディズニー史上最長。ウォルト・ディズニー・プロダクションでは、なんと1937年ごろからグリム童話『ラプンツェル』を映画化することが検討されていたそうです。「ラプンツェル」の公開は2009年ですから、構想期間約70年というのは驚きです。

8. 『アナと雪の女王』エルサ役イディナ・メンゼルはラプンツェルのオーディションに参加していた!

イディナ・メンゼルといえば『アナと雪の女王』でエルサ役を演じ、「Let It Go」など、その圧巻の歌声で日本でもその名を知られることになったミュージカル女優です。 実は彼女は、本作でラプンツェル役のオーディションを受けていたのだとか。結果、ラプンツェルは歌手で女優のマンディ・ムーアが演じることに。 しかし、このオーディションで彼女が披露した歌声を録音していたスタッフが、「アナ雪」のキャスティングの際にメンゼルを推薦。それが決定打となって、エルサ役を射止めました。

9. フリンはディズニー史上最高のイケメン!?「ホット・マン会議」が行われた

本作のヒーローであるフリン。ワイルドな印象の彼は「ディズニー史上最もハンサムで魅力的なキャラクター」となるべく、相当な苦労の末に生み出されたそうです。 彼の外見を決めるために行われたのは、「ホット・マン(イイ男)会議」。これは、女性スタッフたちが好きな男性の写真を持ち寄り、壁一面に貼って率直な意見を言い合うというものだったとか。デザイン案に対しても「タレ目はダメ」、「青い目はイヤ」などの意見をぶつけ合い、やっとの思いで最終的なデザインに落ち着いたのだそうです。 これについて、後に監督は「キツイ会議だった」と振り返っていますが、フリンの人気の高さを見るに、その苦労は無駄ではなかったようですね。

10. マザー・ゴーテルの死因は高齢!?

本作のヴィランであるマザー・ゴーテルは、魔女ではなく普通の人間です。しかし彼女は、金色の花やラプンツェルの髪の力を使って400年もの時を生き、美貌を保ってきました。 そんな彼女ですが、最期は塔の上から転落死しました。 しかし、地面にぶつかる前に彼女は砂のような状態になっていたので、実際は地面にぶつかって死んだのではなく、魔法が解け、高齢化した身体が灰になって死んだのです。

11. パスカルが緑色のカメレオンになった理由

ラプンツェルとともに塔で暮らしていたカメレオンのパスカル。実は彼は、当初はリスの予定だったそうです。その後パスカルはカメレオンに変更に。体の色は紫と青にしようと考えていたそうです。 しかし、ラプンツェルのドレスに紫が使われていたため、パスカルを映えさせるのに最適な色として、緑が選ばれたのだとか。 また、「パスカル」という名前は、アニメーション・アーティストのケリー・ルイスが飼っているカメレオンからつけられました。

12.ラプンツェルが住む国の名前はコロナ

ラプンツェルやフリンたちが住んでいるのは、その名も「コロナ王国」。2020年4月現在、世界中で猛威を奮っているウイルスと同じとは、なんだか皮肉ですね。 ちなみに、ラプンツェルのテレビシリーズには、彼女たちの日常を描いた短編シリーズ『ラプンツェル コロナ王国のひとコマ』もあります。

13. ラプンツェルの国は現実に存在する!?

ラプンツェルの両親である国王と王妃が住むお城のデザインは、フランスのモン・サン・ミシェルをモデルに作られました。見比べてみるとそっくり。本編を観て気づいた人もいるかもしれませんね。

14. 元々はランタンじゃなかった?

『塔の上のラプンツェル』
© 2010 - WALT DISNEY PICTURES

「ラプンツェル」で印象的なシーンのひとつに、無数のランタンが空に飛ばされるシーンがあります。幻想的でロマンチックなシーンですが、実はもともとはランタンではなく花火が打ち上げられる予定だったとか。 しかし監督のバイロン・ハワードは、インドネシアなどで実際に行われている「ランタン祭り」の動画をインターネットで見つけ、深く感動したことから、ランタンに変更したとMovieNEXのボーナスコンテンツ「メイキング・オブ・『塔の上のラプンツェル』」で語っています。

15. 『シンデレラ』『ピノキオ』がデザインの参考に

『シンデレラ』(1950)
©RKO Radio Pictures/zetaimage

一見しただけではわかりませんが、「ラプンツェル」のキャラクターデザインはディズニー往年の名作『ピノキオ』(1940年)や『シンデレラ』(1950年)のデザイン、特にそのシルエットを参考に作られました。 そのこともあってか、初の3DCG作品でありながら、私たちが慣れ親しんだディズニー・クラシックの趣きがあるのかもしれませんね。

16. もちろんディズニーキャラクターたちもカメオ出演!

ピノキオ
©T.C.D / VISUAL Press Agency

ラプンツェルとフリンが迷い込んだ酒場の梁の上をよく見てみると、ピノキオがいることがわかります。また、酒場にいるイノシシのモチーフになっているのは『ライオン・キング』のプンバァ。 さらに、ラプンツェルの部屋には『眠れる森の美女』(1959年)の絵本があります。 ちなみに、ラプンツェルとユージーンは『アナと雪の女王』のラストシーンにカメオ出演しています。ラプンツェルは髪が短く、ふたりとも後ろ姿しか映らないので気づいた人は少ないかもしれません。

トリビア・裏話を知ると『塔の上のラプンツェル』がさらに楽しく!

『塔の上のラプンツェル』は、多くのディズニー史上初の要素があり、見応えのある作品になっています。ディズニープリンセスの転換期としても、大きな役割を担いました。 今回紹介したトリビアや裏話を知っていれば、本作がより楽しめるのではないでしょうか。