【ネタバレ】映画『あの夏のルカ』のあらすじ&メッセージを解説!ジブリのオマージュが盛り沢山
タップできる目次
- ピクサー最新作『あの夏のルカ』をネタバレ解説!ジブリ映画へのオマージュも
- 【ネタバレ】映画『あの夏のルカ』のあらすじ
- 見どころはここ!北イタリアの美しい街並みとこだわり抜かれたアニメーション
- 【ネタバレ】映画『あの夏のルカ』は誰しもが経験する成長の物語
- ルカたちが歩むその後とは?エンドロールから考察
- まったく異なるエンディングになっていた可能性も?
- 映画『あの夏のルカ』に隠されていたトリビアを解説!
- 映画『あの夏のルカ』の声優キャスト/キャラクターを紹介!
- 主題歌は井上陽水の名曲『少年時代』!ヨルシカのボーカルが歌声を乗せる
- 監督はピクサー短編『月と少年』を手がけたエンリコ・カサローサ
- 映画『あの夏のルカ』の動画はディズニープラスで6/18より配信開始!
- 映画『あの夏のルカ』は6月18日公開!ひと夏の冒険に注目しよう
ピクサー最新作『あの夏のルカ』をネタバレ解説!ジブリ映画へのオマージュも
2021年6月18日からディズニープラスで配信となった、ディズニー・ピクサーの最新作『あの夏のルカ』。本作は「シー・モンスター」の少年ルカが、人間の世界で友情を築き、冒険を通して成長していく様子を描く物語です。 子ども時代の友情や冒険に思いを馳せながら、大人も楽しめる作品となっています。美しい映像も見どころの1つで、観ればきっと舞台となった北イタリアに足を運びたくなるはず! この記事では、そんな本作のあらすじを解説し、キャラクターたちのその後も考察していきます。またおなじみのイースターエッグや小ネタ、監督が大好きだというジブリ映画へのオマージュについても紹介していきましょう。 ※この記事には『あの夏のルカ』の結末までのネタバレが含まれます。未鑑賞の人はご注意ください。
【ネタバレ】映画『あの夏のルカ』のあらすじ
海の中で暮らすシー・モンスターの少年ルカ。彼は母親の言いつけを守って、シー・モンスターを狙う恐ろしい人間や、彼らが住む地上には近づかないように暮らしていました。しかしあるとき、彼は海中に落ちていた人間の世界のモノを見つけ、強い興味を持つようになります。 ルカが見つけた人間の世界のモノを集めていたのは、地上に住むシー・モンスターの少年アルベルトでした。ルカは彼とともに地上での遊びを楽しむようになりましたが、それが両親にバレてしまい、深海の伯父さんの家に行くように言われてしまいます。 そこでルカは家出を決意。アルベルトとともに、両親が追ってこないであろう人間の町ポルト・ロッソに向かうことにします。
2人はそこでジュリアという少女に出会い、トライアスロン風のレースが開催されるポルト・ロッソ杯に参加するため、チームを組むことになります。しかしルカやアルベルトは、自転車に乗ったこともパスタを食べたこともなく、厳しい練習がはじまりました。 そんななか、町ではシー・モンスターに懸賞金が賭けられていると知った彼らは、絶対に自分たちの正体を周囲に知られてはならないと知ります。 ジュリアと過ごすうち、ルカは知らなかったことをたくさん学ぶようになり、学校に行きたいと考えるようになりました。しかし当初は自分についてきていたルカがジュリアと仲良くなったことで、アルベルトは嫉妬してしまいました。 そこで彼は、ルカに現実を知らせようとジュリアの前で元の姿を見せますが、ルカは自分は人間のふりをしてしまったのです。アルベルトは深く傷つき、海へと戻ってしまいました。 ジュリアは2人の秘密を胸にしまい、ルカとは別々にポルト・ロッソ杯の日を迎えます。ルカは水泳と早食いをなんとかクリアしたものの、自転車レースの最中に大雨が降ってきてしまいました。水に濡れると元の姿に戻ってしまうため、身動きが取れなくなっています。 しかしそこに、大きな傘を持ったアルベルトが現れました。ところが彼は途中で転んでしまい、シー・モンスターの姿に戻ってしまいます。それを見たルカは意を決して雨の中を自転車で疾走。なんとかゴールにたどり着いた2人でしたが、町の住人たちは彼らを捕まえようとしていました。 そこに立ちはだかったのは、シー・モンスターのハンターだったマッシモ。ジュリアの父である彼は2人がポルト・ロッソ杯に優勝したことを確認し、彼らが恐ろしいモンスターなどではないと住人たちを説得しました。 その後、ジュリアが母のもとに帰る日がやって来ました。彼女を見送ろうとしたルカに、アルベルトが切符を差し出し、学校に行けるよう周囲を説得したことを明かします。ルカの両親も心配しながらも彼を送り出します。 一方のアルベルトはマッシモと暮らすことに。2人はそれぞれに、新たな世界に飛び込んだのでした。
見どころはここ!北イタリアの美しい街並みとこだわり抜かれたアニメーション
物語の舞台となるのは北イタリアの架空の町ポルト・ロッソ
ピクサー最新作『あの夏のルカ』の舞台となっている架空の町ポルト・ロッソは、イタリア北西部の地中海に面するイタリアン・リヴィエラがモデル。 国際的に有名なリゾート地である「リヴィエラ」はフランスのニースから続いていますが、なかでもイタリア側を「イタリアン・リヴィエラ」と呼びます。 監督のカサローサはこの地方の出身です。作中でもその風景の美しさや土地の魅力は見どころの1つとなりっています。 またこの町の名前は、ジブリ映画『紅の豚』(1992年)の主人公であるポルコ・ロッソにちなんでいるのでは?と言われています。ほかにも、本作には監督が大ファンだというジブリへのオマージュが満載。その点については、記事後半でも紹介していきます。
アニメーションへのこだわりがすごい!
ピクサーのアニメーションは、作品ごとに進化を遂げています。特に「水」の描写は、最新作が公開されるたびに、リアルさを増しているでしょう。 そんななかで本作は、監督を務めたカサローサの幼いころの実体験が数多く盛り込まれたノスタルジックな作品に仕上がっています。そこで彼は、ピクサー社内で「漫画の水しぶき」と呼ばれる「完全なリアリティを追求しない水」を描いているのです。 その参考になったのが、スタジオジブリ製作の『紅の豚』や『千と千尋の神隠し』、『崖の上のポニョ』といった作品だったようです。作中ではどこかに、『崖の上のポニョ』を彷彿とさせるような描写があるかも……。
【ネタバレ】映画『あの夏のルカ』は誰しもが経験する成長の物語
ルカたちが成長していく姿が微笑ましい
『あの夏のルカ』では、子どものころ誰もが経験したようなエピソードが描かれています。 親や周囲の大人からの抑圧と、それに対する反抗心。こっそりと知らない世界に足を踏み入れる楽しさと、罪悪感。新しいことを学びたいと願う意欲や、友だちとの関係の変化など、誰にでも経験があるのではないでしょうか。 実際、監督は本作について「子ども時代の友情は、将来への道を切り開くきっかけとなるものであり、その絆こそ『あの夏のルカ』の物語のハートなのです」と語っています。 ルカたちが成長していく過程で起きた出来事は、それぞれの道へ進むための大切なきっかけでした。そんな彼らの姿を観ていくなかで、私たちも自分の子ども時代に思いを馳せることができるでしょう。
子どもたちの家庭環境も人それぞれ
本作に登場する子どもたちの家庭環境が、それぞれに違っているというのも注目したいポイントです。 両親とおばあちゃんとともに暮らすルカと、父親が行方不明になってしまったアルベルト。そしてジュリアは父と母が別居しており、夏のあいだは父と過ごすという生活をしています。 育った環境が違う彼らは、物語のラストには違った未来を歩みはじめることになりました。ルカは過保護な両親から離れ、ジュリアたちと暮らすことに。ひとりぼっちだったアルベルトは、父代わりのようなマッシモとともに暮らすことになります。 成長の過程が違えば、そこから向かう未来もさまざまなのかもしれません。しかしどの選択肢も、彼らの道を大きく切り開くものになっていくことでしょう。
ルカたちが歩むその後とは?エンドロールから考察
本編のラストでは、ルカはジュリアとともに学校に通うことになり、アルベルトはマッシモのもとに残りました。そしてエンドロールでは、彼らのその後を垣間見ることができます。 ルカはジュリアと彼女の母と一緒に楽しく暮らしているようです。また学校でも勉強を楽しみ、シー・モンスターであることも明かしていると思われます。 一方のアルベルトは、マッシモとともに漁師として生活していくのでしょう。シー・モンスターを嫌っていたポルト・ロッソの人々も、徐々に彼を受け入れていったようで、子どもたちに泳ぎを教えているようなシーンもありました。 彼らはそれぞれに、楽しい生活を送っているようですね。そうした生活を送っていくなかで、ルカにとって「あの夏」の出来事は生涯忘れられない思い出になるのでしょう。
まったく異なるエンディングになっていた可能性も?
こうしてエンディングでは、それぞれの道を進むことになったルカとアルベルト。しかしエンリコ・カサローサ監督によると、まったく別のストーリーも用意されていたといいます。 当初想定されていたストーリーでは、アルベルトがクラーケンに変身してしまい、そんな彼をルカが守ろうとする予定でした。しかし監督は、「子どものような映画の世界を伝えたいということに気づいた」そう。モンスター映画のような展開は、この構想には上手く一致しませんでした。 またクラーケンのほかにも、3人目のシー・モンスターの子どもである「シシオ」というキャラも存在したようです。しかしこのキャラクターも不採用に。 こういったアイディアを採用しなかったことこそが、映画『あの夏のルカ』が伝えたいメッセージを表しています。あくまで本作において重要だったのは、ルカとアルベルト、2人の友情をしっかり描くということだったのです。
映画『あの夏のルカ』に隠されていたトリビアを解説!
イースターエッグはここ!
ピクサー作品ではおなじみのイースターエッグ。今回はどこに隠されていたのでしょうか。 「A113」は、今回はラストシーンでルカが手にする切符の番号になっていました。ほかにもおなじみのルクソーボールや、ピザプラネットの車がどこかに隠れているかもしれません。 また小ネタとしては、ジュリアの部屋にドナルドダックのぬいぐるみが置いてありますので、探してみてください。
ジブリ映画へのオマージュも!日本人なら感動必至
大のジブリファンであるエンリコ・カサローサが監督を務める本作では、「ポルト・ロッソ」の地名をはじめ、ジブリ作品へのオマージュと思われるシーンやキャラクター、デザインが数多く登場します。 まずはジュリアの服装ですが、赤と白のボーダーのトップスは『魔女の宅急便』のトンボの服に似ていました。また彼女が朝にラッパを吹くシーンは、『天空の城ラピュタ』を思わせますね。 彼女の家のネコであるマキャベリは、そのどっしりした体格や模様が『耳をすませば』のムーンや『猫の恩返し』のムタを彷彿とさせます。 ほかにもジブリファンならピンとくるような、見覚えのあるシーンの数々が。日本人にこそ観て楽しんでほしい作品に仕上がっています。
映画『あの夏のルカ』の声優キャスト/キャラクターを紹介!
ルカ・パグーロ役/ジェイコブ・トレンブレイ(阿部カノン)
本作の主人公であるシー・モンスターの少年ルカ。彼はもともと両親、特に母親の言うことをきちんと聞く「いい子」でした。しかし人間の世界の物への興味から、地上で遊ぶようになります。やがて両親に反発した彼は、地上に家出してしまうのでした。 ルカの声を務めたのは、映画『ルーム』(2015年)で数々の賞を受賞し、天才子役として注目を集めたジェイコブ・トレンブレイです。そのほかの主な出演作には、『ワンダー 君は太陽』(2017年)や『ドクター・スリープ』(2019年)などがあります。 日本語吹替版では、12歳の阿部カノンがルカの声を担当。映画『ギャラクシー街道』(2015年)でデビューした彼は、その後、ブロードウェイ・ミュージカル『Kinky Boots』(2018年)でヤングローラ役を務めた経歴の持ち主です。
アルベルト・スコルファノ役/ジャック・ディラン・グレイザー(池田優斗)
アルベルトは、ルカが出会った地上で暮らすシー・モンスターの少年です。彼は、ルカが地上で遊ぶようになるきっかけを作りました。地上での生活は長いようで、人間のことはなんでも知っているようですが……。 アルベルトの声を担当したのは、「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」シリーズのエディ・カスプブラク役や、『シャザム!』(2019年)のフレディ・フリーマン役などで知られるジャック・ディラン・グレイザーです。 日本語吹替版では、2020年の大河ドラマ『麒麟がくる』で少年時代の徳川家康を演じた池田優斗。彼は本作への出演について、「やんちゃな男の子の役を僕がやるとなって、めちゃくちゃ嬉しくて、早く台本が読みたいというワクワクした気持ちになりました」と語っています。
ジュリア・マルコヴァルド役/エマ・バーマン(福島香々)
ルカとアルベルトがポルト・ロッソで知り合い、友達になった少女ジュリア。彼女は町のトライアスロン風レース、ポルト・ロッソ杯での勝利に執念を燃やしています。そこでルカやアルベルトとチームを組むことにしますが……。 ジュリアを演じたのは、8歳のころから子役として活躍しているエマ・バーマンです。映像作品への出演はまだ多くありませんが、ミュージカル『アニー』で主演を務めた経験も。 日本語吹替版でジュリアの声を担当するのは、テレビ番組『U-18歌うま甲子園』などに出演している福島香々(ふくしま ここ)です。
マッシモ・マルコヴァルド役/マルコ・バリチェッリ(乃村健次)
マッシモ・マルコヴァルドは、ジュリアの父で漁師として生計を立てています。妻とは離婚したのか、離れて暮らしており、毎年夏のあいだだけジュリアはポルト・ロッソで過ごします。ルカとアルベルトのことを最初は怪しんでいましたが……。 マッシモも演じたマルコ・バリチェッリは、テレビシリーズ『ブック・オブ・ダニエル(原題)』への出演や、さまざまなビデオゲームの声優として活躍しています。 日本語吹替版でマッシモの声を担当したのは、「ゴールデンカムイ」シリーズの牛山辰馬役などで知られる乃村健次です。
エルコレ・ヴィスコンティ役/サヴェリオ・ライモンド(浪川大輔)
ポルト・ロッソ杯の6年連続チャンピオンで、傲慢な性格のエルコレ。彼はシー・モンスターを捕まえると懸賞金が出ると知り、シー・モンスターを探しています。 エルコレを演じたのはイタリアのコメディアン、サヴェリオ・ライモンドです。 日本語吹替版ではアニメ『鬼滅の刃』の鋼鐡塚役など、数多くのアニメ作品や洋画の吹替などで知られる浪川大輔が声を担当しています。
ダニエラ・パグーロ役/マーヤ・ルドルフ(高乃麗)
ルカの母親で、人間はシー・モンスターを狩る恐い生き物だと教えていたダニエラ。息子が地上や人間に近づかないように、口を酸っぱくして言い聞かせていました。 そんなダニエラの声を演じたのは、2000年から2011年にかけて長寿コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』に出演していたマーヤ・ルドルフです。主な出演作には『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』(2011年)や『ベイマックス』(2014年)などがあります。 吹替版でダニエラの声を担当したのは、高乃麗(たかの うらら)。洋画の吹替では、ナオミ・ハリスやヘレナ・ボナム=カーターの担当声優としても知られています。
ロレンツォ・パグーロ役/ジム・ガフィガン(磯部勉)
ルカの父親であるロレンツォは、妻のダニエラと同じく、息子に人間は危険な生き物であると教えています。しかしどこかのんきな印象を与える人物です。 ロレンツォを演じたジム・ガフィンは、俳優・脚本家・プロデューサーなど幅広く活躍。映画『17 アゲイン』への出演や、アニメ映画『モンスター・ホテル クルーズ船の恋は危険がいっぱい?!』(2018年)のヴァン・ヘルシング役などで知られています。 日本語吹替版でロレンツォの声を担当したのは、俳優の磯部勉です。テレビ、映画、舞台、声優と幅広く活躍する彼は、洋画の吹替では、ハリソン・フォードやメル・ギブソン、チョウ・ユンファなどの声を多く担当しています。
主題歌は井上陽水の名曲『少年時代』!ヨルシカのボーカルが歌声を乗せる
『あの夏のルカ』の日本版エンドソングは、井上陽水による夏の定番曲『少年時代』です。 本作のためにトクマルシューゴがアレンジを加え、注目の2人組ロックバンド・ヨルシカのボーカルsuisが歌うこのテーマ曲は、原曲よりもさらに優しい雰囲気に仕上がっています。 今回単独名義で初めて活動するsuisは、「夏というものは、多くの人に平等に降り注ぎます。ルカたちの夏、それからみなさまそれぞれの夏を感じていただけたらうれしいです」と楽曲への思い入れを語っています。
監督はピクサー短編『月と少年』を手がけたエンリコ・カサローサ
本作の監督を務めるのは、2011年にピクサーの短編映画『月と少年』で脚本を担当し、監督デビューを果たしたエンリコ・カサローサです。 カサローサにとって「とても個人的な物語」だという本作。彼は「この映画の中心にあるのは素晴らしい友情」だと語っています。 また「子供のころの友情が、自分がどんな人間になりたいかを決定づけることも多くあります。」と米Variety誌にコメントしました。
映画『あの夏のルカ』の動画はディズニープラスで6/18より配信開始!
映画『あの夏のルカ』は、ディズニーの公式動画配信サービス・ディズニープラスで独占配信されています。会員であれば、追加料金を支払う必要はありません。 ディズニープラスでは、本作のほかにも過去のピクサー作品やディズニー映画、「マーベル」や「スター・ウォーズ」シリーズまで楽しめます。ぜひこの機会に、入会を検討してみてくださいね。
映画『あの夏のルカ』は6月18日公開!ひと夏の冒険に注目しよう
北イタリアの美しい港町を舞台に、少年ルカのひと夏の冒険と友情を描くピクサー最新作『あの夏のルカ』。人に知られてはならない秘密を抱えたルカが、勇気を振り絞って巻き起こす奇跡とはいったい何なのでしょうか。 スタジオジブリへのオマージュも満載の本作は、映画ファンなら見逃すことはできません。 2021年6月18日(金)にディズニープラスで配信開始されているので、今年の夏の始まりは『あの夏のルカ』とともに迎えてみてはいかがでしょうか。