2020年8月17日更新

漫画『彼方のアストラ』全巻あらすじネタバレ解説!伏線回収がすばらしい!【1巻~5巻】

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漫画『彼方のアストラ』1巻から5巻までのあらすじを紹介!マンガ大賞受賞の人気作【ネタバレ注意】

『SKET DANCE』の作者、篠原健太による2作目の連載作品『彼方のアストラ』。2017年に連載が終了してからも読者の口コミで人気を集め続け、2019年には「マンガ大賞2019」大賞を受賞した注目作です。 物語の舞台は、宇宙への航行(こうこう)が当たり前になった近未来の世界。多感な少年少女9人がサバイバル生活を送りながら絆を深めていくSFサバイバルストーリーは、胸が熱くなる作品です。宇宙ならではの危険や謎がふんだんに散りばめられた怒濤のストーリーが見どころとなっています。 青春やギャグ、ミステリーなど様々な要素が詰め込まれているにも関わらず、原作漫画は全5巻という驚きの簡潔さ。緻密に練られたストーリーに対する評価は高く、2019年のアニメ化では原作とほぼ同じ内容が放送されました。 本記事では、漫画『彼方のアストラ』の1巻から5巻の内容について、あらすじや各登場人物の活躍シーンを紹介します。ネタバレありでの紹介になりますので、ご注意ください。

漫画『彼方のアストラ』のあらすじは?

舞台は宇宙への往来が当たり前になった未来の世界。高校生だけで宇宙キャンプをすることになったケアード高校の学生9名が、目的地の惑星マクパに向かう場面から物語は始まります。しかし到着後、突如謎の球体に襲われた9人は次の瞬間宇宙へと放り出されることに。 お互いの名前も知らなかった9人の少年少女ですが、どうにかして元の惑星に帰還しようと助け合いながら奮闘します。果たして謎の球体とは何だったのか?そしてなぜ彼らは襲われたのか?真相に気がついたとき、彼らは世界の真実を目の当たりにします。 怒濤の展開に目を離せない1巻から5巻までの内容を、ネタバレありで紹介します。

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1巻のあらすじネタバレ

時は西暦2063年。惑星キャンプに向かう直前、アリエス・スプリングは宇宙港でひったくりに遭ったところをカナタ・ホシジマという少年に助けて貰います。集合場所で無作為に選ばれたB5班のメンバーと顔合わせをしたアリエスは、そこにカナタの姿を見つけました。 中学時代、山で遭難事故に遭った際に恩師を失っていたカナタは、宇宙探検家になるという恩師の夢を継ぐ第1歩としてB5班のキャプテンに立候補。その後、9光年先にある惑星マクパに到着した9人ですが、突如として現れた謎の球体が全員を飲み込みます。 次の瞬間、宇宙空間に放り出された9人。偶然近くに放置されていた宇宙船に逃げ込んだは良いものの、そこは5012光年も離れた宇宙の彼方でした。絶望する彼らでしたが、メンバーのザック・ウォーカーが宇宙船の操縦免許を持っていたことから、食糧や水を得られる5つの星を経由して元の場所まで帰ることを決意します。 キャプテンとなったカナタはメンバーの命運を握る宇宙船をアストラ号と名付け、第1目的地の惑星ヴィラヴァースに向けて出発。この時ザックは宇宙船の通信装置が故意に破壊されていたことをカナタに伝えますが、メンバーの雰囲気が不穏になることはなく、互いに助け合いながら惑星で食糧を入手します。 ヴィラヴァースでは、メンバーのキトリー・ラファエリとその10歳の妹・フニシアとの確執が明らかに。元々親の愛情を受けていなかったキトリーは養子としてやってきたフニシアに辛く当たっていましたが、フニシアが危険に巻き込まれた惑星探索中の事件を通して仲良くなります。 入り組んだ森では映像記憶能力があるアリエスの能力が活躍。また陸上十種競技の選手として厳しく育てられていたカナタのアスリート並みの運動神経が明らかになりました。

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2巻のあらすじネタバレ

第2の惑星、シャムーアに降り立った一行。そこは毒性のある植物や食用に適さない草食動物しかいない不毛の土地でした。食糧や水を探しに行く中で、メンバーの1人であるユンファ・ルーが失踪。残されたメンバーはユンファを探すことにします。 ユンファ・ルーは有名歌手の母に「目立たないように」と言い聞かされて育ったことから、自分を表に出さない暗い印象のある女の子。惑星探索でも成果を上げられていなかった彼女は益々自分に自信を失っていました。 カナタがようやく発見した時ユンファは心を閉ざしていましたが、カナタが宇宙探検家になる夢を語ると、彼女も歌手になりたいという夢があることを話します。 ちょうどその頃、カナタ達の他7人はキノコが排出した毒の胞子を吸い込み、倒れていました。クラストスーツのヘルメットを着けていて助かったカナタとユンファは、メンバーの通信を聞いて彼らを助けに行きます。 一時児童養護施設にいたフニシアの発言によって、B5班のメンバーは無作為に集められたのではなく、一斉殺処分を目的に意図的に選ばれたことが明らかに。船の通信装置を破壊した犯人が9人の中にいることも周知され、メンバーの間に不穏な空気が流れ始めます。

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3巻のあらすじネタバレ

毒の胞子で倒れたメンバーを船内へ避難させたカナタ達。「毒胞子を吐くキノコの周りに解毒剤となる薬キノコがあるはずだ」と植物に詳しいシャルス・ラクロワに教えてもらったカナタは、薬キノコを探しに単身惑星探索へ向かいます。 その頃ユンファは船内に残されていました。自分に自信を持てなかった彼女でしたが、毒で苦しむ仲間達の枕元で美しい歌声を披露し、苦しさを少しでも和らげようと努力します。その後カナタが入手してきた解毒剤によってメンバーは無事回復。毒を放出したキノコが食べられることも分かり、第2の惑星でもカナタ達9人は食糧を得ることが出来ました。 第3の惑星アリスペードへ到着したB5班。そこで目にしたのは、青い海やたわわなフルーツが実る森がある楽園でした。リゾート気分を楽しむ彼らでしたが、今まで誰とも馴れ合おうとしてこなかったウルガー・ツヴァイクがルカ・エスポジトの名字を聞いて態度を一変させます。 ジャーナリストだったウルガーの兄は、政治家であるルカの父親を取材していた最中に不審な死を遂げていました。船内の倉庫で旧世界の銃を手に入れていたウルガーは、兄の仇を討つために政治家の跡継ぎとなるルカへ銃口を向けます。 しかしルカは自分が男性でも女性でもないことを告白。ルカが跡継ぎには選ばれないことや、父親からの愛を受けていないことを知ったウルガーは攻撃の手を緩めます。その時、突如巨大な津波が9人に襲いかかり、ルカとウルガーは海へ流されてしまいました。 その後、宇宙船に避難していたカナタ達によって救出されたウルガーとルカ。これまで固く心を閉ざしていたウルガーが仲間に対して心を開き始めた瞬間です。

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4巻のあらすじネタバレ

第4の惑星イクリスに到着したB5班。着陸しようとした時、突然巨大な植物の根に襲われて宇宙船が破壊されてしまい、アストラ号は不時着します。船の前方の故障はザックにも直すことが出来ず、9人はこの危険な惑星に留まることを余儀なくされてしまいました。 その後食糧を探しに出た一行は、なんとアストラ号と同じ機体を発見。ずっと昔に不時着したと思われるその宇宙船には、冷凍睡眠していたロシア人女性、ポリーナ・リヴィンスカヤが眠っていました。目覚めたポリーナに宇宙船が故障していることを告げ、一同は悲嘆に暮れます。 しかしここでアリエスが再び提案。ポリーナが眠っていた宇宙船の故障していない部分をアストラ号に繋げることで、宇宙船を修理しようというのです。その結果、船のドッキングは無事成功。宇宙船は航行可能な状態になりました。 次の惑星へと向かう途中、ポリーナへの輸血に際してメンバーの血液型を調べたキトリーが不審な点に気づきます。養子であるはずの妹フニシアとキトリーが同じ血液型だったのです。試しにDNA配列を調べてみると、なんとキトリーとフニシアは全くの同一人物、クローンだったことが判明。 つまりB5班のメンバーは全員親のクローンであり、オリジナルである親が若返るための器だったのです。驚愕の事実に動揺する一同でしたが、故郷に帰って親の犯罪を明るみに出すことを目的に一致団結。再びアストラ号は目的地を目指します。

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5巻のあらすじネタバレ

最後の惑星ガレムへ向かう道中、ポリーナとB5班のメンバーが知る歴史に齟齬があることが分かります。また最終目的地が地球でないことに気がついたポリーナがカナタ達の故郷の惑星を尋ねると、メンバー達はなんでもないように「惑星アストラ」だと答えたのでした。 違和感を抱えたままガレムに降り立った一行。刺客の正体がウルガーだと気づいていたカナタは、ザックとシャルスに手伝ってもらいウルガーが謎の球体を出す徹底的証拠を押さえようと提案します。シャルスとウルガーに2人きりになってもらい、シャルスを囮(おとり)にしてカナタとザックはこっそりと後を追うことに。 しかし謎の球体を出したのはシャルスの方でした。彼はヴィクシア王のクローンであり、王に絶対服従を誓う刺客だったのです。アリエスのオリジナルの正体もヴィクシア王の王女セイラだったことが明らかに。刺客であることがバレてしまったシャルスはB5班の目の前で自害を試みます。 しかしカナタが間一髪でシャルスを救出。その代わりに右腕を失ってしまったカナタでしたが、シャルスは自分の罪を認め、知っている知識を皆に明かすことに決めたのでした。 シャルスによると、カナタ達が知っている歴史は100年前から改ざんされた嘘の歴史。昔、隕石が迫ってきていた地球の人々は人工ワームホール(謎の球体の正体)を使い、惑星アストラに移住していました。移住した元地球人は新しい価値観を作ることで平和を取り戻すため、嘘の歴史を後世に伝えたのです。 自分達が不正に作られたクローンであることや世界の秘密を伝えるため、カナタ達はついに最終目的地の惑星アストラに降り立ちます。 その後、カナタ達のオリジナルの親たちは司法で裁かれ、新しい戸籍を得たカナタ達は希望を胸に、各々の道を進んでいくこととなりました。

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【彼方のアストラ】主要登場人物の紹介

主要登場人物がほぼ全員クローンだったという驚愕の事実が判明する漫画『彼方のアストラ』。各登場人物がどのような人物を元にして作られたのか、また彼らの活躍シーンを振り返ります。

カナタ・ホシジマ

正義感が強く、窮地に立たされてもリーダーシップを発揮して皆をまとめたカナタ・ホシジマ。運動神経が抜群な理由は、オリジナルによって幼少期から鍛えられていたためです。怪我によってプロの陸上選手の道を諦めたオリジナルは、肉体を鍛えたカナタに人格を移すことで再びプロの道を目指そうとしていました。 歪んだ愛情を受けて育ったカナタですが、仲間に対しては迷いなく手を差し伸べる姿が多々描かれています。物語序盤、1人で宇宙を漂っていたアリエスを危険を顧みずに助けたほか、絶体絶命の状況にいたフニシアやウルガーを救い出すなどの活躍でメンバーの信頼を獲得しました。

アリエス・スプリング

おっちょこちょいですが、明るい性格で場の雰囲気を和ませるのが得意なアリエス・スプリング。オリジナルはヴィクシア王国の王女セイラでしたが、クローンを作ることに反対していたセイラは侍女にアリエスを託し、普通の人生を送れるように配慮していました。 母親の愛情を一身に受けて育ったアリエスは誰に対しても優しく接することが出来る女の子。発想力が豊かな彼女は、メンバーが絶望する中でも画期的なアドバイス出して皆を何度も救っています。また彼女の映像記憶能力は、カナタが刺客の正体を発見する手がかりとなりました。

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ザック・ウォーカー

IQ200を超える天才的頭脳を持つザック・ウォーカー。幼い頃から英才教育を受けていた彼のオリジナルは、記憶移植の研究を行っている脳科学者でした。科学者であるザックの父親と病院の院長であるキトリーの母は仕事仲間であり、ザックとキトリーは幼馴染みです。 ザックの活躍は数知れず、彼がいなければ宇宙船の操縦やメンテナンスもままならなかったことでしょう。生真面目な性格の彼は幼い頃にキトリーと交わした婚約をずっと覚えていて、キトリーが改めて告白した際は「何を今更」といった返事をするなど、読者の笑いを誘いました。

キトリー・ラファエリ

勝ち気な性格で、幼馴染みのザック以外には馬鹿にするような態度を取っていたキトリー・ラファエリ。病院の院長である母をオリジナルに持ち、愛情を受けずに育ったため傲慢な性格になってしまったようですが、アストラ号の冒険を通して仲間の大切さを学びます。 B5班の女子の中でも最も女子らしく、恋バナに興じる楽しげな様子が多々描かれました。アリエスのカナタに対する淡い恋心を言い当て、2人の恋路を応援するなどの活躍シーンも。ちなみに惑星アストラに帰還した後、キトリーはザックと結婚し、フニシアは戸籍上の妹となりました。

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フニシア・ラファエリ

「10歳の少女を同行させる」という課題のためにB5班に参加したフニシア・ラファエリ。キトリーと同じオリジナルから作られたクローンの彼女は、キトリー達の母の亡くなった友達が残した一人娘と紹介されて登場しました。 右手にはパペットのビーゴを常に持っていて、ビーゴの登場するアニメの中での台詞「アイ、イェー」はアストラ号のメンバーの掛け声になっています。またフニシアが児童養護施設にいた頃、耳にした言葉がB5班がなぜ集められたのかという謎を解く一歩になりました。

ルカ・エスポジト

お調子者で、心を閉ざしていたウルガーと最も早く仲良くなったルカ・エスポジト。著名な芸術家をオリジナルに作られ、政治家の跡継ぎとして育てられていましたが、インターセクシャルだったことが判明してからは愛情を受けずに育ちました。 手先が器用なルカは宇宙船の修繕などで活躍。また自分に自信を持ち直したユンファの髪を切って上げるなど、芸術的なセンスも垣間見えます。

シャルス・ラクロワ

植物や生物に詳しく、未知の生物が多い惑星では活躍シーンが多かったシャルス・ラクロワ。ワームホールを作った研究所を祖先に持つヴィクシア王国で王のクローンとして育てられ、B5班の中では唯一自身がクローンだと知っていた人物です。 王から洗脳教育を受けていたシャルスは、B5班の全員もろとも自死しようとしていた刺客の正体。しかし生前、仲良くしてくれた王女セイラの面影をアリエスに見いだしたことで、彼の計画にぼろが出始めます。最後にはカナタ達とも和解し、惑星アストラに帰還後は正式にヴィクシア王国の王になりました。

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ユンファ・ルー

歌手になる夢がありながら、目立たないように言われて育ったユンファ・ルー。有名歌手のオリジナルを母に持っていながら自分を表現することを頑なに拒んでいた彼女ですが、B5班のメンバーが瀕死の状態に陥った際は美しい歌声で皆を癒やします。 自信を取り戻した後は長かった髪をばっさりと切り、可愛らしい素顔を見せて男子達の注目の的となりました。

ウルガー・ツヴァイク

誰とも馴れ合わず、クールな印象のあるウルガー・ツヴァイク。ケアード高校の教頭を務める父親を元に作られたクローンである彼は、家庭内で唯一自分に優しく接してくれた兄に憧れ、ジャーナリストを目指していました。 彼は兄の仇としてルカの父親の殺害を計画していましたが、そのために練習していた射撃はサバイバル生活において狩猟に役立ちました。食糧調達の場面では鳥を打ち落としたり、船内に紛れ込んだ生物を捕まえるなどの活躍シーンも。

ポリーナ・リヴィンスカヤ

B5班が不時着した第4の惑星に取り残されていたロシア人女性、ポリーナ・リヴィンスカヤ。彼女はクローンではありませんが、112年もの間冷凍睡眠していたため、B5班のメンバーの知らない歴史を知る旧時代の人間でした。 彼女の証言をきっかけに世界の真実にたどり着いたカナタ達は、この事実を公表するという新たな目的を胸に惑星アストラへと旅立ちます。

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【考察】見事な伏線回収!改めて読み返したくなる全5巻

全5巻という短さながら、伏線が散りばめられたストーリーに定評のある『彼方のアストラ』。宇宙旅行や反重力ブーツなど、冒頭からハイテクノロジーが登場する本作品ですが、時代背景では「西暦2063年」と紹介されていることから疑問に思った読者も多いのではないでしょうか。 「銃は100年前に撤廃された」などの記述もあり、物語が進むにつれてあまりにも発展が早すぎると感じる場面が多くなります。しかし、最終巻の5巻でその疑問は解決。移住してきた第1世代は歴史改ざんだけでなく、西暦を100年巻き戻していたことが明らかになるのです。 この他にも、シャルスのアリエスに対する「知り合いに似ている」との発言や、宇宙船の名前を決めるシーンで「アストラには星という古い意味もあるのか」という発言があるなど、ストーリーの随所に伏線が張られています。

漫画『彼方のアストラ』は伏線回収も魅力のひとつ!テンポの良さやギャグ要素も必見!

綿密に練られたストーリーや少年少女達の成長、そして世界にまつわる謎解きなど、見どころの多い漫画『彼方のアストラ』。 本記事では本作の1巻から5巻までのあらすじをネタバレありで紹介しました。冒頭から散りばめられた伏線が最後にすべて回収されるという完成度の高い本作は、何度でも読み返したくなりますね。