2023年4月7日更新

映画『search/サーチ』結末までのネタバレあらすじと感想 伏線徹底解説!前代未聞のSNSサスペンススリラー

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『search/サーチ』ジョン・チョウ
©︎ SONY PICTURES/zetaimage

全編パソコンの画面をとらえた映像のみで展開していく、斬新な現代サスペンス映画『search/サーチ』(2018年)。2023年4月14日には続編『search/サーチ2(https://ciatr.jp/topics/323398)』も公開されます。 この記事ではそんな本作のネタバレあらすじや考察を紹介!作品の魅力や秘められたメッセージを徹底解説していきます。 ※記事には結末までのネタバレが含まれます。未鑑賞の方はご注意ください。

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映画『search/サーチ』あらすじ

妻を亡くし娘のマーゴット(ミシェル・ラー)と2人で暮らすデビッド(ジョン・チョウ)。娘との仲がうまくいかず悩む日々でしたが、そんなときマーゴットが突如失踪。娘を探すため、彼女が使っていたあらゆるSNSを使い手がかりを集めていきますが、事件は思わぬ方向へ展開することに……。 ネットやSNS全盛の今だからこそ描ける、現代サスペンススリラーです。 ネタバ伏線解説を読む

感想・評価

search/サーチ
©Supplied by LMK / Landmark Media / Zeta Image
search/サーチ』の総合評価
4 / 2人のレビュー
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30代男性

常にハラハラドキドキする演出ですが、大味ではないのが良い。徐々に明かされていく娘や登場人物たちの秘密。親子の関係やネットリテラシー教育についても考えさせられる深い社会派映画でした。

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20代女性

サスペンススリラーなので怖い映画が見れない私でも楽しむことができました。そして実際にありえそうなリアルな設定はある意味怖い。結末まで犯人が読めず、あちこちに伏線が散らばっているので解説を読んだうえで2回目を観るともっと面白そう。

映画『search/サーチ』結末までのネタバレあらすじ

【起】消えてしまった娘

妻を亡くしたあと、シングルファーザーとして娘・マーゴット(ミシェル・ラー)を育ててきたものの、うまく関係を築けていない父・デビッド(ジョン・チョウ)。ある日デビッドの電話にマーゴットから3回着信が残されており、折り返すも音沙汰なし。その日を境に娘と連絡が取れなくなってしまいます。 マーゴットが通っていたピアノ教室の教師へ連絡を取ってみると、衝撃の事実が発覚。なんとマーゴットは半年も前にピアノ教室をやめていたのです。その後デビッドは警察へ相談。有能な捜査官として活躍する刑事、ローズマリー(デブラ・メッシング)が担当となり捜査が開始されました。

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【承】マーゴットが抱えていた秘密とは

警察が捜査を進める一方、デビッド自身も独自に捜査を進行。マーゴットのSNSにログインしフレンドリストにいる人物に連絡を取ってみると、彼女が孤立していたことや、「ハンナ」という名の人物と連絡を取っていたことが判明します。 さらに、マーゴットはピアノ教室の月謝を自身の別の口座へ移していたことも発覚。彼女のSNSから「私の癒しの場所」という言葉とともにアップされた湖の写真を発見します。それを手掛かりに湖へ向かうと、そこには彼女の車と現金2,500ドルだけが残されていました。

【転】事件の鍵を握る人物とは

その後も独自に捜査を進めるデビッドのもとに、刑事から1本の連絡が。なんとカートフ(リック・サラビア)という男がマーゴットを殺害したと自白、しかもその直後に命を絶ったと言うのです。 それを聞きショックを受けるも、次第に娘の死を受け入れ始めるデビッド。亡くなった人々の思い出を残すサイト「メモリアルワン」にアクセスしますが、そのサイトで見覚えのある写真を発見します。 なんとトップページに掲載されているモデルが、マーゴットとSNS上で繋がっていた「ハンナ」のアイコンと同じ顔をしていたのです。実は「ハンナ」は誰かが身分を偽ってマーゴットと接触するために作った偽のアカウントだったのです。

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【結末】真犯人は誰?衝撃のラスト

事件のヒントを掴んだデビッドはさらに調査を進め驚愕の事実を知ります。なんと「ハンナ」という名の女性になりすましていたのは、事件の担当官ローズマリー刑事の息子であるロバート(スティーヴン・マイケル・アイク)だったのです。 彼はマーゴットの気を引くために身分を偽って近付き、マーゴットと湖で会う約束を取り付けます。しかしその湖で正体がバレてしまいトラブルになったため、彼女を崖から突き落としてしまいました。 その後ロバートから相談を受けたローズマリー刑事は、息子を庇うために事件の担当に立候補。そして嘘の犯人をでっちあげ、息子の罪をなかったことにしようとしたのです。事件の真相が発覚し、全ての罪を自白するローズマリー。 そして事件の起きた崖の下を捜索すると、マーゴットを発見。懸命の救出作業の甲斐もあって彼女は無事生還し、父と娘の絆は大きく深まることになりました。

【ネタバレ解説】7つの伏線まとめ

伏線①冒頭にデビッドが何気なく見ていたニュース記事

デビッドは映画の冒頭において、「56歳の登山者が遭難するも9日後に救出された」というニュース記事を眺めています。これはマーゴットがまだ生きているということを表す伏線で、実際にマーゴットは事件から1週間後に救出されました。

伏線②序盤からロバートは登場している

物語のラストで真犯人と判明するロバートですが、実は映画の序盤で既に登場しています。映画の冒頭でロバートのFacebookアカウントが映り、そこでマーゴットの動画に「いいね」を押しているのです。 しかも作中ではこのアカウントについて「親は警察官」や「マーゴットが好き」という情報も登場し、ローズマリー刑事との通話にも登場。ラストを見てからだと、映画の各所に真犯人のヒントが散りばめられていたことがわかります。

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伏線③“ハンナ”とデビッドが一瞬接触していた

ロバートが使用していたハンナのIDは「fish_n_chips」。 実はデビッドがマーゴットのアカウントで「配信」をクリックしたとき、そこへ訪問してきたアカウントのIDこそが「fish_n_chips」でした。このアカウントは入ったあとすぐに退出。一瞬ですが、ここでデビッドはロバートとの接触を果たしていたのです。

伏線④マーゴットが好きだったポケモンとの関連性

ロバートはハンナに成りすましてYOU CASTに入り、マーゴットに「好きなポケモンとその理由」を聞いています。 ロバートはマーゴットの小学校の同級生であり、幼いころからポケモンが好きであることを知っていました。そのため、彼女にこのような質問をすることができたと後から分かる伏線となっています。 マーゴットはその質問に対して「どうしてポケモンを好きなことを知っているの」と問い返しますが、まさか後の犯人だとは思いもしなかったことでしょう。

伏線⑤ローズマリーのFacebook

ロバートの母として事件に関与していたローズマリー刑事。 実は作中でデビッドが彼女のFacebookを見かけたとき、なんとマーゴットを殺した犯人に仕立てられたカートフと彼女が一緒に写っている写真が登場しているのです。作品開始から30分ほど、こんな序盤でローズマリー刑事とカートフの繋がりは示唆されていました。 さらにFacebookのトップページには「母の愛は強し」という言葉が。母としての愛が強いゆえに、こんな歪んだ事件を起こしてしまったのでしょうか。

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伏線⑥デビットの弟・ピーターが着ていたTシャツの柄

湖で見つかったマーゴットの車からは、男性ものの上着が発見されます。その上着にプリントされた柄は、映画冒頭でSNSの画面上に写っているデビッドの弟・ピーターが着ているTシャツと同じ柄。 デビッドはSNSをチェックした記憶を頼りにピーターを思い出します。

伏線⑦「ぼーっとできる場所」とは?

デビッドは、マーゴットが逃亡したものとして捜索を続けていました。しかし、Tumblrにおける「ぼーっとできる場所」という言葉とともに投稿された写真から、「マーゴットは逃亡したのではなく自分の好きな場所に行ったのだ」と気付き、場所の特定に成功しました。

【感想解説】映画が暴き出す「現代人の心の闇」

Searching (2018) Directed by Aneesh Chaganty Shown: Michelle La
© Screen Gems/zetaimage

冒頭にも書いたように、映画『search/サーチ』で繰り広げられるストーリーはすべてPCの画面上で起こります。そのため、必要となる脚本はストーリー展開やセリフ、登場人物たちの行動だけではありません。 カーソルの動き方やSNSのステータス、PC画面の時刻やアプリケーションの通知、メールの件名などを1つずつ指定していく必要があり、脚本は一般的な映画の20倍もの量になりました。 また監督は、SNSでは多くの人が普段とは別な側面を見せるというポイントも重視し、「別人格の自分」について鑑賞者に問いかけたかったとのことです。

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【感想考察】ネット社会における親子関係

Searching (2018) Directed by Aneesh Chaganty Shown: John Cho
© Screen Gems/zetaimage

本作では娘との関係がうまくいってない父が、娘のSNSを通して彼女のことを知っていく過程が描かれています。この角度から見るとSNSは娘のことを知り、彼女を救うことにも繋がるツールに見えます。ですが逆に言えば、SNSさえなければこんな事件が起きなかったことも確か。 本来であればデビッドは親としてSNSの使い方やネットリテラシーについて教育し、事件を未然に防ぐことが責務だったわけです。しかしながら口うるさくそんなことを言えば、子どもとの関係がぎくしゃくしていくことも考えられます。 本作はSNS全盛の現代に発生する光と闇、そしてそのなかで親子関係をどう築いていくべきかを問う、社会的なメッセージが強く込められた作品と言えるでしょう。

映画『search/サーチ』のネタバレ考察解説で伏線をおさらい!

『search/サーチ』ジョン・チョウ
©︎ SONY PICTURES/zetaimage

まったく新しい製作方法を用いて注目を集めた映画『search/サーチ』は、隅から隅まで計算され尽くされた新感覚のスリラー映画。主人公とともにハラハラドキドキを味わいながらも、熱い家族愛に感動することができるため、一般的なスリラー映画が苦手という人にもおすすめです。 今回紹介した伏線以外にもさまざまな伏線が隠されているので、何度も観返して楽しみましょう。