2021年1月7日更新

映画『search/サーチ』が描くのはSNSの闇だけじゃない?前代未聞のサスペンススリラー

『search/サーチ』ジョン・チョウ
©︎ SONY PICTURES/zetaimage

ストーリーのすべてがPCの画面上で繰り広げられる映画『search/サーチ』。本作はこれまでにない新たな手法を用いてSNSの闇を暴き、多くの話題を集めました。この記事ではPC画面上に隠されたあらゆる伏線を徹底解説し、恐怖だけにとどまらない『search/サーチ』の魅力について解説します。

目次

PCの画面上のみで物語が展開!斬新すぎる映画『search/サーチ』の魅力

物語の始まりから終わりまで、全てPC上で物語が進んでいくサスペンススリラー映画『search/サーチ』。その斬新すぎる撮影手法に多くの注目が集まり、アメリカ最大級の批評サイト「Rotten Tomatoes」では93%の高得点を記録しました。 監督を務めたのは、Googleグラスだけで動画を撮影しYouTubeで話題となっていた27歳のアニーシャ・チャガンティ。本作でサンダンス映画祭の観客賞を受賞しています。 ※本記事では『search/サーチ』のネタバレも含めて解説していくため、未鑑賞の方はご注意ください。

映画『search/サーチ』のあらすじをラストまで詳しく紹介!【ネタバレ注意】

Searching (2018) Directed by Aneesh Chaganty Shown: John Cho
© Screen Gems/zetaimage

母のパメラが癌で亡くなった後、シングルファーザーとして娘・マーゴットを育ててきたものの、うまく関係を築けていない父・デヴィッド。ある日彼が寝ている間にマーゴットから3回着信が残されており、折り返すも音沙汰なし。その日を境に連絡が取れなくなってしまいます。 通っていたピアノ教室もやめていることがわかり、デヴィットは捜索願を出すことに。シングルマザーでありながらも有能な捜査官として活躍するヴィック捜査官が担当となりました。 デヴィットはマーゴットのFacebookアカウントにもログインし、フレンドリストにいる人物に連絡を取ってみると、彼女が孤立していたことや、fish_n_chipsという名の謎の人物と連絡を取っていたことが判明します。

さらに、マーゴットはTumblrというSNSで写真や動画をアップしていたと判明。「私の癒しの場所」という言葉とともに写真に収められていた湖に行くと、彼女の車と彼女の血痕、現金2,500ドルが見つかります。 その後、デヴィッドの弟ピーターが関与しているかもしれないという疑惑が浮上するも、事件とは無関係。落胆していたその時、マーゴットをレイプした上に殺害、死体遺棄した犯人が自白したとデヴィットに連絡が来ます。 腑に落ちないままマーゴットの葬儀を行うデヴィッド。葬儀はネット配信で行うこととなりWebサイトを眺めていると、fish_n_chipsのアイコン写真をサイト上で見かけます。fish_n_chipsはモデルの写真を悪用しており、そんな人物は実在していませんでした。 取り調べの結果、ヴィック捜査官の息子・ロバートがfish_n_chipsという名で女性になりすましてマーゴットに接近。癌の闘病中の母がいると嘘をつき仲良くなり、落ち合った湖で正体がバレてトラブルになったため、彼女を崖から突き落としたと言います。 ヴィック捜査官は息子を庇うために担当を名乗り出て、嘘の犯人を作り出していました。 崖の下を捜索すると、懸命の救出作業の甲斐あってマーゴットは無事生還。父と娘の絆は再び深まりました。

PC画面上の膨大な情報に隠された伏線をまとめて解説!

【伏線1】主人公の父の弟・ピーターが着ていたTシャツの柄

湖で見つかったマーゴットの車からは、男性ものの上着が発見されます。その上着にプリントされた柄は、映画冒頭でSNSの画面上に写っているデヴィッドの弟・ピーターが着ているTシャツと同じ柄。デヴィッドはSNSをチェックした記憶を頼りにピーターを思い出します。

【伏線2】マーゴッドが好きだったポケモンとの関連性は?

マーゴットのことが好きだったヴィック刑事の息子は、YOU CASTと呼ばれる生放送を配信するSNSで彼女を発見しました。 その際に別人になってマーゴットの配信の部屋に入り、「好きなポケモンとその理由」を聞いています。 ヴィック刑事の息子はマーゴットの小学校の同級生であり、幼いころからポケモンが好きであることを知っていました。そのため、彼女にこのような質問をすることができたと後から分かる伏線となっています。 マーゴットはその質問に対して「どうしてポケモンを好きなことを知っているの」と問い返しますが、まさか後の犯人だとは思いもしなかったことでしょう。

【伏線3】冒頭にデヴィッドが何気なく見ていたニュース記事は?

デヴィッドは映画の冒頭において、56歳の登山者が遭難するも、9日後に救出されたというニュース記事を眺めています。これはマーゴットがまだ生きているということを表す伏線で、実際にマーゴットは事件から1週間後に救出されました。

【伏線4】「ぼーっとできる場所」とは?

デヴィットは、マーゴットが逃亡したものとして捜索を続けていました。しかし、Tumblrにおける「ぼーっとできる場所」という言葉とともに投稿された写真から、「マーゴットは逃亡したのではなく自分の好きな場所に行ったのだ」と気付き、場所の特定に成功しました。

『search/サーチ』が唯一無二な手法で暴き出す「現代人の心の闇」

Searching (2018) Directed by Aneesh Chaganty Shown: Michelle La
© Screen Gems/zetaimage

冒頭にも書いたように、『search/サーチ』で繰り広げられるストーリーはすべてPCの画面上で起こります。 そのため、必要となる脚本はストーリー展開やセリフ、登場人物たちの行動だけではありません。 カーソルの動き方やSNSのステータス、PC画面の時刻やアプリケーションの通知、メールの件名などを一つずつ指定していく必要があり、脚本は一般的な映画の20倍もの量になりました。 また監督は、SNSでは多くの人が普段とは別な側面を見せるというポイントも重視し、「別人格の自分」について鑑賞者に問いかけたかったとのことです。

主人公とともに謎解きができるエンターテイメント性が魅力!

Searching (2018) Directed by Aneesh Chaganty Shown: Michelle La
© Screen Gems/zetaimage

『search/サーチ』を観ている人は、主人公のデヴィッドと同様に事件のことがまったく分からない状態から物語がスタートします。そのため、デヴィッドが事件について何か情報を得るたびに、ともに謎解きを行っていく感覚を楽しむことができるのです。 また、PC上で焦るマウスの動きや揺れる視線など主人公が感じ取る不安も、まるで自分の感じているかのように思えることでしょう。

すごいのは手法だけじゃない!『search/サーチ』の描く家族愛

『search/サーチ』の撮影手法が斬新で話題を集めたのは確かですが、一方で家族愛を描いたストーリー展開も魅力です。 母の死をきっかけに距離ができてしまったデヴィッドとマーゴットですが、SNSで起こった事件をきっかけに再び絆を深めることとなりました。SNSの闇を描きながらも、父が娘を愛し大切に思う心を丁寧に描いています。

映画『search/サーチ』は計算されつくした新感覚のスリラー映画!

『search/サーチ』ジョン・チョウ
©︎ SONY PICTURES/zetaimage

まったく新しい製作方法を用いて注目を集めた映画『search/サーチ』は、隅から隅まで計算され尽くされた新感覚のスリラー映画。主人公とともにハラハラドキドキを味わいながらも、熱い家族愛に感動することができるため、一般的なスリラー映画が苦手という人にもおすすめです。 今回紹介した伏線以外にもさまざまな伏線が隠されているので、何度も観返して楽しみましょう。