2020年12月28日更新

映画「鬼滅の刃」vs「千と千尋の神隠し」興行収入レースに決着!国内アニメ映画の興収推移をグラフ化したらヤバかった【祝・歴代興収1位】

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 猗窩座
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の興収が『千と千尋の神隠し』の316.8億円を突破し、国内興行収入ランキング第1位に輝きました。世紀の興行収入レース決着を祝して、国内アニメ映画の興収推移をグラフ化し、本作のすごさに迫ってみましょう!

映画「鬼滅の刃」が国内興行収入歴代1位に!国内アニメ映画の興収推移をグラフで比較

鬼滅の刃
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

2020年12月28日、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の興行収入が324.7億円に到達!公開73日間で『千と千尋の神隠し』の316.8億円を超え、国内興行収入歴代1位となりました。 興行収入はあくまでも指標のひとつで、作品の優劣を確定付けるものではありません。それでも、やはり気になるのが人間の性ですし、新記録の誕生には心踊るというもの!今回は“19年ぶり”の快挙が達成されたこのタイミングで、『千と千尋の神隠し』と『君の名は。』の興行収入推移と『鬼滅の刃』を比較してみました。 国内で製作されたアニメ映画において、興収ランキングの上位2作を比較対象とすることで、本作の凄さと業界の変化に迫ります!

国内アニメ映画の興行収入推移をグラフにしてみると……。

国内アニメ映画 興行収入推移グラフ1
©2020 ciatr

興行収入の推移を国内アニメ映画に絞ってグラフ化した結果、面白いことが判明しました。 『千と千尋の神隠し』の最終興収は、2度の再上映分を含めなければ304億円。公開から309日、44週目で記録したのちに、長らく国内の興行収入歴代1位に君臨しました。(2020年12月現在の最終興収は316億)『君の名は。』は公開48週目で250億円を突破し、そのまま最終興収となっています。 ここで注目したいのが、2作の最終興収と「鬼滅の刃」のグラフが重なるラインです。「無限列車編」は6週目で「君の名は」、11週目で「千と千尋」の最終興収に到達。単純に計算して、4倍のペースで興収歴代1位の「千と千尋」の記録に追いついた、ということが判明しました。

国内アニメ映画 興行収入推移グラフ2
©2020 ciatr

スタート時点では、「千と千尋」と「君の名は」の間にそれほど違いはありません。そして、どちらも10週目を迎える辺りで、少しずつ上昇角度が緩やかになります。そんななかでも、1作だけ異常な伸び率を見せているのが「無限列車編」です。 どれほど凄まじいロケットスタートを決めたのか、次からの見出しで解説していきましょう。

爆発スタートすぎて1週~2週目のグラフがTwitterで話題に

国内アニメ映画 興行収入推移(1~2週)
©2020 ciatr

従来の興収のスピード感をもとに、国内アニメ映画の公開1週~2週目の興行収入推移グラフを切り取ると、上のような形になります。 公開1週目の興収は、10.9億円の「千と千尋」よりも12.8億円の「君の名は」の方が上となり、さらにいうと『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』(2014年/16.3億円)の方が上です。興収のマックスは、2週目でトップに立つ「君の名は」が38.7億円であるため、40~50億円と設定しましたが……。 2週目の時点で、グラフ内に「鬼滅の刃」の姿がありません。他の作品を超えるどころか限界突破し、「1作だけ場外にいる!?」とSNSでも話題になりました。

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 猗窩座
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

この背景には、新型コロナウイルスの感染拡大による影響もあると言えるでしょう。公開延期で劇場作品ラインナップが薄くなり、競合が格段に少なくなったのです。長期休暇と重ならなかった一方で、リモート授業・勤務への切り替えにより、時間に融通が効く人が増加。他に外出先もなく、公開後すぐ何度も鑑賞する人が続出しました。 興収の話題になると、他の2作には入場者特典がなかったことから、「『鬼滅の刃』はずるい!」という批判の声もあります。しかし1~2週目に配布された第1弾の特典は、数日ともたず全国の劇場から姿を消しましたが、その後も客足は衰えませんでした。 爆発スタートは入場者特典のおかげ、とは言い切れないのではないでしょうか。

公開10日で煉獄さんは“100億の男”に【歴代最速】

鬼滅の刃 無限列車 煉獄
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

劇場版「無限列車編」は公開10日間で興行収入100億円を突破し、歴代最速記録を更新。興収200億円も最速の公開24日間で突破するなど、次々と新記録を樹立しました。 以前の最速記録は、「千と千尋」の“公開から25日で100億達成”で、「無限列車編」は一気に15日間も縮めたことに!また、「君の名は」は公開から28日、歴代興行収入元2位の『タイタニック』が公開から82日で、同じく元4位の『アナと雪の女王』は公開から37日でした。過去の記録を振り返ると、今回の新記録のすごさがわかりますよね。 100億円を突破した時には、「煉獄さんが“100億の男”に!」と大いに盛り上がりました。100億の男とは、2018年の映画『名探偵コナン ゼロの執行人』にちなんだもの。同作の公開時に、Twitterで「#降谷零を100億の男にしようの会」というハッシュタグが使用されていたのです。 実は他にも作品に由来する呼び方があり、鑑賞することを「ゼロの執行人」は“執行する”、「無限列車編」は“乗車する”と表現します。SNSなどで「〇回乗車した!」と報告し合うことは、一種のオタ活だと言えるでしょう。 他の2作にはなかった現象も、興行収入記録に一役買っているのかもしれません。

目標は308億だと思われていたが、316億に更新される事態……!

国内アニメ映画 興行収入推移グラフ3
©2020 ciatr

劇場版「無限列車編」の公開時、歴代興行収入元1位の「千と千尋」の記録は308億円で、これが興行成績の目標とされていました。 12月13日までの時点で約302億円を記録し、ついに来週「鬼滅の刃」が歴代1位に……!と歴史的瞬間を前に沸き立つなかで、思いもよらぬ事態が!「千と千尋」の配給元である東宝の2021年度ラインナップ発表会にて、同作の興収を8億8000万円上積みし、316.8億円に更新したと発表されました。 2020年は新型コロナウイルスの影響で新作映画が続々と公開延期になり、6月から8月にかけてジブリ映画が再上映され、加算分が生じたのです。上記の興行収入推移グラフでは一目瞭然ですが、「千と千尋」の最後の部分、「鬼滅の刃」がほぼ追いつくと同時に“逃げ”ていますね。

『千と千尋の神隠し』千尋
© 2001 Studio Ghibli・NDDTM

狙ったようなタイミングに様々な声が上がりましたが、担当者がいうには「もともと決めていた発表時期で、わざとではない」とのこと。抜かれた後の「後出しジャンケン」にならず、どちらの作品も話題になるギリギリを攻めたのは、流石のエンターテイナーっぷりといったところでしょうか。 世間は今なお衰えない「千と千尋」の魅力を再確認し、鬼滅ファンは掴みかけた背中が遠のいて逆に燃える、ウィンウィンの形になりました。

祝・歴代興行収入1位に!記録はまだまだ伸び続ける!

鬼滅の刃
(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

これから年末年始に入り、まだまだ「無限列車編」の記録が伸びることは間違いありません。12月26日には第4弾入場者特典配布と4DX、MX4Dの公開が開始され、客足はさらに増しています。歴代興行収入1位の勢いそのままに、前人未到の350億円も狙えるでしょう。 2021年のアニメ映画事情は、ファン待望の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』をはじめ公開延期作品の公開が控えており、どれも強敵ぞろい!それまでにどこまで記録を伸ばすのか、『鬼滅の刃』ブームの今後に注目ですね。 最後に、どんなに素晴らしい記録の誕生も、先人たちが切り拓いた道があってのこと。順位が何位だからと言って、作品の魅力が損なわれる訳ではありません。