2021年2月26日更新

映画『コンテイジョン』でパンデミックは予言されていた!?コロナ禍で私たちが学ぶべきこととは?

『コンテイジョン』マット・デイモン、アナ・ジャコービー=ヘロン
©Warner Bros. Pictures/Photofest/zetaimage

まるでコロナ禍を予言した作品だとして、2020年に再注目された映画『コンテイジョン』。リアルなパンデミックの終息までを描いた作中から、私たちが学ぶべきこととは一体何なのでしょうか?現実との類似点や、教訓に迫ります。

目次

映画『コンテイジョン』とコロナ禍を比較!私たちにとっての教訓とは?

コンテイジョン
© Warner Bros. Pictures/zetaimage

世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。この状態に陥るまで、“パンデミック”だなんて映画の中の言葉だと思っていた人も多いことでしょう。 パンデミックの恐怖を描いた数ある作品の中でも、映画『コンテイジョン』(2011年)はコロナウイルスが流行し始めた頃から大きな注目を集めました。 2020年2月にはiTunesでのランキングが新作映画に混じって上位にランクインし、またYouTubeにアップされているある予告動画は、2020年2月からの約2ヶ月間で1000万回以上再生されたのです。 本記事では『コンテイジョン』で描かれるリアルなパンデミックストーリーの解説とそこから現在のコロナ禍に生かせる教訓を考察します。

緻密でリアルに描かれるパンデミック【現実の予言なのか!?】

マリオン・コティヤールやマット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウら豪華キャストが集結し、「オーシャンズ」シリーズのスティーブン・ソダーバーグが監督を手がけた本作。 「コンテイジョン(Contagion)」とは日本語で「接触伝染・感染」などという意味。タイトルの通り、感染が広がる様子が丁寧に描かれています。 人々の口・手元という、現在注意すべきとされている部位に強くフォーカスしており、感染者がそれとなく物を触ったり飲食したりする様子は印象的。まるで拡大していくウイルスを可視化したような表現方法は、今の私たちに強烈なインパクトを与えてくれます。

映画全体の監修は、コロンビア大学感染症免疫センター所長で感染症専門家のイアン・リプキン医師が行うなど、専門的な知識に基づいて行われました。英国発の人気科学雑誌『ニュー・サイエンティスト』他で引用されるなど、専門家からも高く評価されています。

登場人物についてサクッと紹介

ミッチ(マット・デイモン)

マット・デイモン コンテイジョン
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本作の主人公。ジュリーという娘がおり、ウイルスに対して抗体を持っている。

ベス(グウィネス・パルトロー)

グウィネス・パルトロー
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ミッチの妻で劇中最初の犠牲者となる。継子のクラークも同様の状態で死亡しているのが発見された。

チーヴァー博士(ローレンス・フィッシュバーン)

ローレンス・フィッシュバーン
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CDC(疾病予防管理センター)の職員でウイルスの究明に尽力。劇中ではウイルスの存在の発表や調査員のミアーズを派遣するなどの活躍をした。

アラン(ジュード・ロウ)

ジュード・ロウ
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陰謀論者のインフルエンサー。デマを広めて人々を買い占めに走らせるなど、パニックを煽動した張本人。

ヘクストール医師(ジェニファー・イーリー)

ジェニファー・イーリー
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CDC(疾病予防管理センター)の医師。ウイルス対策の第一人者として尽力し、ワクチンの開発に成功した。

映画『コンテイジョン』のあらすじ【ネタバレ注意】

コンテイジョン
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映画『コンテイジョン』でストーリーの主軸となるのは、未知のウイルスの感染拡大が広がる中で、必死で解決法を探る医師や科学者たち。また、家族を失う者や起こりうる世界の変化も描かれ、冒頭15分は息をつく暇もないほど感染が拡大していく様子が映し出されます。 ここからは、映画全体のあらすじを紹介していきます。ネタバレ表現を含みますので、作品未鑑賞の方はご注意ください。

開幕早々犠牲者が!スタートから人々を襲う戦慄

香港から帰宅したベスは、突然自宅でけいれんを起こして意識不明に陥ります。夫のミッチが慌てて病院へ運びますが、ベスは原因不明のまま急死。帰宅すると、幼い継子のクラークも死んでいました。 感染者の遺骨を運んでいる遺族がバスの中で死んでるのが発見されたり、意識が朦朧とした男性が車道に出てトラックに轢かれたりと、謎の病死や体調不良者が増えていきます。 ミッチは隔離されていましたが、抗体があることがわかり、家を離れていたため感染しなかった娘ジョリーの待つ家に帰ることができました。 医師や科学者たちは、過去の発症例からウイルスの特定を急ぐとともに、生物兵器によるテロの可能性も疑い始めます。CDC(疾病予防管理センター)のチーヴァー博士は、“病気の探偵”であるミアーズを香港に派遣し、発生地点を調査させることにしました。

暴動や買い占め……恐怖で町中がパニックに

数日後、チーヴァー博士は記者会見を開き、ウイルスの存在を発表します。調査の途中でウイルスに感染し、やがて死に至るミアーズ。一刻も早い治療法の発見を求められる中、未知のウイルスの研究は行き詰まっていました。 シカゴやミネアポリスでは都市封鎖が起こり、暴動も発生します。パニックに陥った市民は日用品を買い占め、その後強奪が頻発、街は無法地帯になっていくのでした。 また、陰謀論者のアランは、レンギョウを使った薬で感染が治ったというデマをビデオブログで発信。さらに、それを政府が隠しているなどと主張して陰謀論を唱えます。 アランはレンギョウの売り上げを伸ばすことで大儲けしており、そうとは知らない人々はデマを信じ、レンギョウを求めて薬局に押し寄せることに。

パンデミックの傷跡は残っていく……【戻らない世界】

CDCのヘクストール医師は、ついにワクチンの開発に成功。しかし、実際に人々の手に渡るまでには時間と手間がかかります。ヘクストールは自身にワクチンを注射し、感染患者である父親の元を訪れるのでした。 そうして有効性が証明されたワクチンは、誕生日による抽選という方法で順に摂取できることになりました。抽選の結果、ミッチの娘ジョリーがワクチンを接種できるのは144日後。約5ヶ月間は、ウイルスに怯えながら家にこもる日々が続きます。 この時点で、アメリカで250万人、全世界で2600万人が死亡していました。パンデミック終息後も、以前の生活が戻ることは決して無いのです。

「現実」のコロナ禍と映画『コンテイジョン』の関係について分析!

『コンテイジョン』マット・デイモン、アナ・ジャコービー=ヘロン
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まるで数年後の新型コロナウイルスが流行した世の中を予知しているかのようだと言われた映画『コンテイジョン』ですが、実際どれほど近いものだったのでしょうか?現実のコロナウイルスと本作の、共通点と相違点を紹介します。

コロナパンデミックと酷似した描写【やはり予言?】

映画『コンテイジョン』は、やはり本当に予言なのでは?と思うほど、現実のコロナパンデミックと酷似しています。まず、接触によって拡大するこのウイルスへの対策として、手や口に焦点を当てられている点が同じです。 また、驚くほど似ているのが、世の中の変化に関する描写。学校や都市の閉鎖や、メディアやSNSの影響によってデマが拡散されるたこと、日用品の買い占め、医療現場のキャパオーバーによる医療崩壊、医療従事者の感染など、現実で起きたことばかり描かれています。

映画と現実はここが違った!【こうならなくてよかった】

映画『コンテイジョン』と現実のコロナパンデミックとでは、そもそもウイルス自体が異なります。作中のウイルスは「MEV-1」と呼ばれ、ブタ由来の遺伝物質とコウモリウイルスの合成物でした。致死率は25〜30%と非常に高く、感染はあまりにも危険です。 現実の新型コロナウイルスは、幸いにもそこまでは致死率が高くありません。そのせいもあってか、このウイルスを軽視する人も多く、人々が慣れてきているようにも思えます。「ウィズコロナ」のようなニュアンスの言葉も、作中の「MEV-1」ウイルスでは生まれることがなかったでしょう。

私たちが『コンテイジョン』から学ぶべきこととは?

映画と現実ではもちろん違う点もありますが、それを踏まえた上で、本作にはコロナ禍で彷徨う私たちが学ぶべきことがあります。考えられる教訓と、今後私たちがコロナ禍でどうすべきかを考察しましょう。

『コンテイジョン』の人々は何がいけなかったのか?

キャッチコピーである、「【恐怖】は、ウイルスより早く感染する。」の通り、映画『コンテイジョン』内のパンデミックの反省点と言えるのは、人々があまりにも恐怖に支配されてしまったことではないでしょうか。もちろん、軽視したり慣れたりするべきということでは決してありません。 感染への不安から医療従事者の声に耳を傾けず、影響力のあるインフルエンサーの情報を妄信してしまったことでパニックが発生し、社会は崩壊しました。争いや暴動も頻発しており、ウイルス以外の理由で亡くなった人もかなり多かったはずです。 不安や恐怖はパニックを引き起こし、その結果正しい行動が取れないことや、正しい情報が伝わらないことに繋がる、という教訓だと捉えることができます。

コロナ禍で私たちはどう行動すればいいのだろうか?

2020年3月、日本やアメリカでトイレットペーぺーの買い占めが発生しましたね。あの時、世界は『コンテイジョン』と同じ末路へ向かいつつあったのでしょう。今後も少し間違えれば、あのような社会の状況になる可能性はあるはずです。 SNSでの情報拡散のスピードが速い現代において、大切なのは、安易な情報に振り回されないこと。さらに情報を拡散したり行動したりする前に、頭で考えることです。また、落ち着いて医療従事者の声に耳を傾けることも大切だと言えるでしょう。 作中では、ワクチン開発後も、ワクチンを巡った恐喝や「手に入らないのでは?」という不安を表すシーンもありました。今後も私たちは、自己中心的にならず、冷静に警戒しているべきなのでしょう。

映画『コンテイジョン』の続編製作の情報も?

『コンテイジョン』のスティーブン・ソダーバーグ監督は、米ポッドキャスト『Happy Sad Confused』に登場し、本作の続編的映画の企画があることを明かしました。 ウイルス終息後の世界を描くような単なる続編ではなく、“パンデミックの恐怖”という別のテーマで描かれる「精神的・根源的な続編」とのことです。「ちょっと急がなければいけない」と言っていることから、新型コロナウイルスのパンデミックに影響を受けていることが伺えます。 2020年2月現在タイトルやあらすじ、キャストなどは未定です。続報を待ちましょう!

今、もう1度観るべき映画『コンテイジョン』

コンテイジョン
© Warner Bros. Pictures/zetaimage

2020年に注目を浴びた映画『コンテイジョン』には、今回考察した教訓の他にも、「人間は1日に2,000~3,000回顔を触る」という情報や二次感染に関する指標についての解説、医療現場の現実、ワクチン開発のスピード感などと、知っておきたい有益な情報がたくさんあります。 去年1度観たという人も、今もう1度観て、「現実」の新型コロナウイルスに対する気持ちを引き締めませんか?そして、自分自身がどう行動すべきなのか改めて考えてみましょう。