『シン・ウルトラマン』に登場するガボラについて解説!「エヴァ」の使徒を彷彿とさせる?
『シン・ウルトラマン』に登場!怪獣ガボラについて徹底解説・考察
2021年初夏に公開決定した庵野秀明監督の映画『シン・ウルトラマン』。先日解禁されたその特報映像には、ガボラとネロンガという2種類の怪獣が登場しました。 この記事ではウラン怪獣ガボラについて、過去の作品での生態・能力から、『シン・ウルトラマン』の特報映像から分かることまで徹底解説! さらに、特報映像になぜガボラとネロンガが選ばれたか、その理由も考察していきます。
ガボラはいったいどんな怪獣?生態や能力を掘り下げてみよう
※画像は『シン・ウルトラマン』のガボラ ウラン怪獣の異名を持つガボラは、初代ウルトラマンから登場している歴史のある怪獣で、『ウルトラマンパワード』にも登場するためアメリカでもよく知られています。 しかし初代ガボラと『ウルトラマンパワード』のガボラは外見などが大きく異なるため、後者はフィギュアなどで「パワードガボラ」と呼ばれて区別されます。 ここからはそんなガボラの生態や能力について、初代とパワードを比較しながら紹介しましょう。
生態
ガボラが普段は地底に住んでいてウランをエサにしている怪獣であることは、初代とパワードに共通しています。 初代ガボラの外見の特徴は、大きく裂けた口を持つ顔と、その周りに放射状に開く6枚のエリのような甲殻です。一方でパワードガボラは頭部を覆う甲殻が4枚に減って、通常は閉じています。 胴体の違いは、初代ガボラは背中に大きなヒダがあるのに対して、パワードは全身が均一にウラン鉱石の鱗で覆われているという点です。手足の爪や尻尾も、パワードガボラのほうが長く発達しています。 歩き方は、初代ガボラは地中でも地上でも原則的に4本足で歩行し、後足で立ち上がるのはウルトラマンなどと戦うときだけでした。これに対してパワードガボラは、地上では2足歩行が原則です。
能力
初代ガボラの能力としては、まず口から吐く放射線熱戦を使った攻撃が挙げられます。 パワードガボラも放射能光線を口から吐く能力を持っている設定ですが、放送されたエピソードでは使っていないようです。一方でパワードの全身を覆うウラン鉱石の鱗は、放射線や電磁波を放出したり爆発したりする危険性があるので、ミサイル攻撃を不可能にする利点があります。 初代とパワードの両方のガボラに共通する能力は、顔の周りのエラを閉じて頭部をドリルの先端のように鋭くして、地下を掘り進んでいくことです。これに加えてパワードガボラは、閉じた先端部を鳥のクチバシのように操ることさえできます。 手足の発達した巨大な爪は、普段地中を進むのに役立つばかりでなく、戦うときにも強力な武器になる点は、初代とパワードガボラに共通です。
初登場は初代『ウルトラマン』!アメリカ版「パワード」にも大抜擢
ここからは、ガボラが初代とパワードでウルトラマンたちを相手にどのような戦いぶりを見せたかを紹介します。
初代『ウルトラマン』
初代『ウルトラマン』で初登場するガボラは、台風の影響でその眠りから覚まされ、エサであるウランを求めて関東地方を襲います。 防衛隊と科特隊は火炎放射器を大量に投入してガボラを追い払おうと試みますが、かえってボーイスカウトのキャンプのほうへとガボラの進路を変えてしまいました。 そこで科特隊はウランの入ったカプセルを吊り下げたヘリコプターを使って、ガボラを誘導しようとします。 ガボラがエサにありつこうと夢中になっているところにウルトラマンが登場。飛び蹴りを食らわせてひるんだすきに、ウルトラマンはガボラのエリを2枚もぎ取ります。 苦痛にのたうち回るガボラにウルトラマンはさらにパンチを浴びせ、弱ったところを首投げでとどめを刺したのでした。
『ウルトラマンパワード』
『ウルトラマンパワード』に登場するパワードガボラは、ウラン鉱石で覆われた外皮を攻撃すると核爆発の危険性があるので、初代よりも厄介な相手です。 ウラン鉱山のトラックを飲み込んだパワードガボラは、次のエサを求めて原子力発電所を目指します。その途中で軍が試作した新型爆弾まで食べてしまい、いつ爆発するかわからないという危機的状況に……。 放射線熱線を吐かないだけましですが、パワードガボラの体中から放出する放射能と電磁波はレーダーや通信機を使用不能にしてしまうのです。 そんなパワードガボラを相手に防衛チーム・W.I.N.R.とウルトラマンパワードは苦戦を強いられることになります。 しかしW.I.N.R.のサンダースが放ったミサイルが、奇跡的にウラン鉱石の鱗のない頭部の甲殻に命中。そのショックでパワードガボラが弱点の頭を露出したところに、ウルトラマンパワードがメガスペシウム光線を見事に命中させて粉砕しました。
『シン・ウルトラマン』に登場!「エヴァ」の使徒に似ている?
庵野監督による新作映画『シン・ウルトラマン』の特報映像に抜擢されたガボラ。ソフビ人形もすでに発売されて、モダンにアレンジされた全体像をいち早く知ることができます。 特報映像には、丘陵地帯の尾根を突き進むガボラの姿が写されています。頭部の甲殻を閉じた状態では先端が鋭い回転ドリルのようになっており、いかにも地中を進むのに最適化した外形です。 初代にもパワードにも見られなかった新たな特徴は、背中のヒレが回転していること!この円盤状のヒレはコルク抜きのように螺旋状に回転することで、地中を掘り進んでいくのに適しているのではないでしょうか。 エリのような甲殻に守られた小さな頭部は骸骨のようで、目は空洞の奥が不気味に赤く光るだけ。このあたりは「エヴァンゲリオン」の使徒を彷彿とさせます。
庵野監督「エヴァンゲリオン」の使徒を彷彿とさせる
特報映像の解禁後、この新しいガボラのヒレと頭部が「エヴァンゲリオン」の第3使徒・サキエルを想起させるという話がネット上で広まりました。 庵野監督は「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の原作・監督・脚本を務めているため、こういった反応もうなずけます。 さらに「エヴァンゲリオン」の使徒がm架空の生物のデザインにインスピレーションを与えた前例も少なくありません。たとえば実写映画『キングコング:髑髏島の巨神』(2017年)に登場するスカルクローラーも、「エヴァンゲリオン」の使徒などを参考にしていました。 自他ともに認める特撮映画のファンであり、パロディやオマージュを巧みに取り入れる庵野監督の持ち味が、『シン・ウルトラマン』でも十分に発揮されそうですね。
【考察】なぜネロンガとともにガボラが選ばれたのか?
※画像は『シン・ウルトラマン』のネロンガ 次になぜガボラがネロンガとともに『シン・ウルトラマン』の特報映像に選ばれたのか、その背景を考察してみたいと思います。
同じバラゴンを始祖とする関係
※画像はバラゴン ウルトラマンファンには周知の事実ですが、初代ウルトラマンのガボラとネロンガには地底怪獣バラゴンの着ぐるみが流用されています。 バラゴンは、映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965年)に初めて登場。その着ぐるみは撮影終了後に円谷プロに貸与され、頭を別のものと取り替えて『ウルトラマン』の前番組である『ウルトラQ』の怪獣パゴスに使われました。 『ウルトラマン』でさらなる改造を経た着ぐるみは、まず透明怪獣ネロンガとして登場。次に棘の数を増やして地底怪獣マグラーになります。 さらにそれまでの1本角を外した代わりに目立つエリのような甲殻をつけることで、ウラン怪獣ガボラに生まれ変わったのです。 こういった背景から『シン・ウルトラマン』では、「バラゴンを始祖とする怪獣がウルトラマンに倒されるたびに進化していくのでは?」と想像する人さえいます。 はたして庵野監督がどのようなサプライズを隠しているか、映画『シン・ウルトラマン』の公開まで本当に楽しみですね!
『シン・ウルトラマン』でガボラはどんな活躍を見せるのか?
この記事では『シン・ウルトラマン』の特報映像に登場した怪獣ガボラについて、初代ウルトラマンからパワードまでの生態や能力、活躍ぶりなどを解説しました。 現代版ゴジラをフレッシュな切り口で描いた映画『シン・ゴジラ』(2016年)の企画・製作を担当した庵野秀明、樋口真嗣のコンビ。この2人のタッグが再び実現した『シン・ウルトラマン』でも、現代的でリアルな怪獣たちの登場が期待できます。 『シン・ウルトラマン』で怪獣ガボラがどんな活躍を見せるのか?続報を期待しましょう。