2022年5月30日更新

『シン・ウルトラマン』ネタバレあらすじを解説!『シン・ゴジラ』マルチバース続編説を徹底考察

シン・ウルトラマン 斎藤 工
(C)2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 (C)円谷プロ

誰もが知るスーパーヒーロー「ウルトラマン」の最新映画『シン・ウルトラマン』が、2022年5月13日についに公開!2016年に数々の賞を受賞した『シン・ゴジラ』の企画・制作を担当した庵野秀明と樋口真嗣のタッグが再び実現し、特撮ファンを中心に大きな関心を集めていました。 この記事では、『シン・ウルトラマン』のあらすじ、解説・考察、感想レビューをネタバレも含めて紹介。登場した禍威獣の一覧や特撮小ネタ、「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」との関連性なども考察していきます。 ※本記事は映画『シン・ウルトラマン』のネタバレを含みます。未鑑賞の場合は注意してください。

あらすじ

『シン・ウルトラマン』の舞台は現代の日本。巨大不明生物、通称「禍威獣(カイジュウ)」が次々と襲って来る世界です。 既存の兵器では歯が立たない敵を前にして、日本政府は「禍威獣特設対策室専従班」通称「禍特対(カトクタイ)」を設立。主人公の神永新二(斎藤工)も禍特対に配属され、未知の生物から人々を守るため任務に当たっていました。 そんな中銀色の巨人が突如宇宙から現れます。巨人対策のために新たに禍特対に配属された分析官・浅見弘子(長澤まさみ)の報告書には「ウルトラマン(仮称)、正体不明」と書かれていたのでした。

「ウルトラマン」と名付けられた銀色の巨人の正体が、実は神永であることが暴露されます。それは、人類を滅ぼしに来た外星人ザラブの陰謀によって仕組まれた罠でした。ザラブは神永を拉致し、偽のウルトラマンに化けて横須賀の街を破壊し始めます。 日本政府をはじめ人々はウルトラマンが敵であると騙され、「ウルトラマン抹殺計画」が提案されますが、浅見の助けによって神永は再びウルトラマンとして出現し、ザラブを倒しました。 しかしその直後、次に現れた外星人メフィラスが「ベーターシステム」で浅見を巨大化し、丸の内をパニックに陥れます。メフィラスの目的は、高い技術を人類に見せつけて無条件に従わせ、ベーターシステムで人類を強力な兵器に転用し、他の外星人より先に地球を独占しようというものでした。 神永はウルトラマンとなってメフィラスと相対しますが、光の星の使者ゾーフィが来たのを知ってメフィラスは早々に退散。ゾーフィは、光の星の掟を破って人間と融合したウルトラマンに、人類の兵器転用が可能になった危険な地球が廃棄処分となり、最終兵器ゼットンで破壊されることを告げます。 神永を通して人間に深い情を抱いたウルトラマンは、敵わないと知りながらゼットンに挑み、負傷。しかし彼は禍特対のメンバーにベーターシステムの知識を託し、人類自らがこの危機に立ち向かうことを信じていました。 知識を託された禍特対は、国を超え人類のあらゆる英知を集めて、ゼットンをマルチバースの別次元へ飛ばす戦略を考え出します。しかしそれにはウルトラマンの犠牲も伴っていました。 策を受け入れ別次元に引きずり込まれたウルトラマンに、ゾーフィは「そんなに人間が好きになったのか」と問います。ウルトラマンはそれでも人間を愛し、地球を守りたいと願っていました。 人間の強い生命力に心を打たれ、ウルトラマンの最後の願いを聞き届けたゾーフィは、神永とウルトラマンを分離させ、神永を生かして元の世界へ戻したのでした。

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感想・レビュー

吹き出し アイコン

サクサク進むテンポ感と特撮ならではのけれん味でグイグイ惹き付けられた!ウルトラマンの初登場や変身シーンを出し惜しみしないところもよい。ビームが出ようと巨人が飛ぼうと、作り物であろうと、作品の中ではそれがリアルに見えることがある。庵野作品鑑賞後は同様の充足感に満たされる。モチーフに対する前提知識など必要なく、溢れんばかりのまっすぐな愛情に感動してしまうのだと思う。

(30代男性)

吹き出し アイコン

ウルトラマン世代や特撮ファンはもちろん、『シン・ゴジラ』ファンにも見逃せない特撮愛に満ちた作品。新時代のウルトラマンにふさわしくCGをフル活用しつつも、初代ウルトラマンへの敬意やオリジナルデザインへの回帰など新旧の良さを取り入れたハイブリッドな作り方も素敵。ウルトラマンという外星人を通して、人間への批判と希望が込められている点も考えさせられます。

(20代女性)

『シン・ウルトラマン』見どころTOP3

①マニアも大満足な再現度!見覚えあるパロディシーンの連続

自他共に認める「ウルトラ」シリーズの大ファンである庵野秀明。彼は『帰ってきたウルトラマン』にオマージュを捧げ、自主映画を撮影した過去もあります。 初代放送当時のレトロな世界観を崩さずに現代の最新映像技術で美しく仕上がった映像は、「ウルトラ」シリーズファンの心を掴むこと間違いなしです。 特に、外星人ザラブのにせウルトラマンやメフィラスによる浅見の巨大化は、庵野秀明が自らチョイスしたエピソードだそう。ただしフジ隊員の巨大化を現代でそのまま再現したことについては、一部で賛否も呼んでいます。 他にもかなりコアなオマージュが盛りだくさんです。記事後半の見出しで細かく紹介しているので是非見てみてください!

②『シン・ゴジラ』から奇跡のカメオ出演!【ネタバレ注意】

『シン・ウルトラマン』で主人公の神永を演じている斎藤工は、『シン・ゴジラ』に自衛隊員役で出演していましたが、他にも『シン・ゴジラ』から驚きのカメオ出演がありました! 『シン・ゴジラ』で内閣総理大臣補佐官を演じていた竹野内豊が、『シン・ウルトラマン』では「政府の男」として登場。また本名「リピア」と呼ばれるウルトラマン自身の声を、『シン・ゴジラ』で「巨災対」メンバーの安田龍彥を演じていた高橋一生が担当しています。 さらに『シン・ゴジラ』で外務大臣だった嶋田久作が、今回はなんと総理大臣に出世!もしかして同じ世界線なのでしょうか?

③生まれ変わったゼットンとゾフィー

公開前に噂されていた「宇宙恐竜ゼットン」と「ゾフィー」の登場。やはりクライマックスで『シン・ウルトラマン』に出現しました! しかし本作ではゼットンは宇宙恐竜ではなく、「ゾーフィ」が地球を滅ぼす「最終兵器ゼットン」を地球の衛星軌道上に設置する設定に変わっています。 ゾフィーが「ゾーフィ」として登場しゼットンを召喚するというネタは、実は昭和期の児童誌で発表された誤情報。オタクによくいじられるこのネタをあえてラストシーンに活用するとはさすが庵野秀明でした。 デザインも怪獣ではなく無機質なものに変化しており、見た目はほぼエヴァンゲリオンの使徒!「シン」シリーズファンにもうれしい改変でした。

『シン・ゴジラ』続編説は本当?徹底検証

『シン・ゴジラ』
(C)2016 TOHO CO.,LTD.

共通点

『シン・ウルトラマン』には『シン・ゴジラ』との共通点が多々あるため、2作品が同じ世界線にあるのでは?という考察も浮上しています。一部のキャストが一緒であったり、『シン・ゴジラ』のタイトルバックの後に『シン・ウルトラマン』のものが出たりと、確かに続編のような印象も受けますね。 実は初代の『ウルトラマン』と『ゴジラ』も裏設定でつながっていました。科学特捜隊のムラマツ隊長は、ゴジラの生態研究で知られる山根博士の助手をしていたのです。

矛盾点

しかし『シン・ウルトラマン』は『シン・ゴジラ』の真っ当な続編にはなりえません。その理由は最初にゴメスが登場したこと。『ウルトラQ』第1話から来たゴメスは人類が遭遇した最初の怪獣ということになっており、『シン・ウルトラマン』でも同様です。 となると、『シン・ゴジラ』でゴジラに蹂躙された後の世界を描く続編としてはふさわしくないでしょう。

マルチバースに繰り広げられた続編?

とはいえつながりはまだ否定できません。『シン・ウルトラマン』に「マルチバース」の設定が出てきたことから、『シン・ウルトラマン』は『シン・ゴジラ』のマルチバースの別世界で展開されている続編なのではないかとも考えられます。 マルチバースは多元宇宙を意味する言葉。観測できない無数の別宇宙が存在するという考え方で、『シン・ウルトラマン』では最終兵器ゼットンを別次元に飛ばすために利用されました。 となると気になるのは『シン・仮面ライダー』。この作品で『シン・ゴジラ』からの伏線回収が期待できるかもしれません。

「初代マン」では助かったウルトラマンが最後に死んだ理由

死ななかった「本家」と死んだ「シン版」

初代『ウルトラマン』では、ゾフィーはハヤタ隊員もウルトラマンも両方に、それぞれ1つずつ命を与えました。しかし『シン・ウルトラマン』のゾーフィは、ウルトラマンが神永に自分の命を与える手助けをするにとどまっています。 初代ウルトラマンは最終回のその後M78星雲に帰還しますが、『シン・ウルトラマン』では神永に命を与えたウルトラマン(リピア)は死んでしまうのです。

1人の「外星人」になったウルトラヒーロー

『シン・ウルトラマン』でウルトラマンが死ぬ結末を用意したのは、一体なぜでしょう?そこには「スーパーヒーロー」の絶対的なあり方に対する懐疑的な姿勢が透けて見えます。 初代ウルトラマンやゾフィーは絶対的な正義のもとに戦う最強のスーパーヒーローとして描かれていましたが、「シン」版のウルトラマンはあくまでも1人の外星人という立ち位置になっているのです。 ゾーフィは地球の裁定者として、人類を宇宙の脅威とみなして処分しようとしたわけですが、この行動はゾーフィなりの正義を貫いています。本家ゾフィーのように“全ての命を救う”という「神の所業」をしない、一歩現実的な姿になったゾフィーがゾーフィと言えるのです。 ウルトラマンも、初めこそ強者として登場しますが、やがて挫折を経験し仲間を頼るようになる1人の「人間」として等身大に描かれています。 「人間」として成長したウルトラマンが最後に自己を犠牲にしてまで人間を愛し、信じ、救ってくれたからこそ、本作品は現代人の心にも響くストーリーに仕上がっていると言えるのではないでしょうか。

シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバースの行く末を考察

『シン・仮面ライダー』
©石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

「シン・エヴァンゲリオン」、『シン・ゴジラ』、『シン・ウルトラマン』、『シン・仮面ライダー』の4作品からなるのが「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」というレーベルです。次回作『シン・仮面ライダー』にも大きな期待が寄せられています。 『シン・ゴジラ』と『シン・ウルトラマン』が絶妙につながりを見せたことから、『シン・仮面ライダー』もマルチバースに展開されるのではないかと考察が大盛り上がり。思い返せば「シン・エヴァンゲリヲン」もラストだけ実写で終わるという意味深な結末を迎えていました。 マルチバース続編とまでいかなくとも、前作の主要キャストがサプライズ出演するのは初期特撮シリーズのお決まり展開。『シン・ウルトラマン』に竹野内豊が登場したことから、『シン・仮面ライダー』にも今作から誰かがサプライズゲストとして出演する可能性もあります。 仮面ライダーつながりとしては、2022年秋に配信予定の『仮面ライダーBLACK SUN』に主演する西島秀俊が登場すれば面白いかもしれません。

『シン・ウルトラマン』が伝えたかったメッセージ性を考察

不平等な日本外交を皮肉

『シン・ゴジラ』
(C)2016 TOHO CO.,LTD.

『シン・ウルトラマン』での日本政府は、外交を有利に進められる技術力欲しさに、外星人から提案された不平等条約を無条件にのんでしまいます。他国を羨み常に弱腰で対応するしかない日本の外交は、そのまま現実を映したよう。 『シン・ゴジラ』でも日本に圧力をかけてくる某国の存在が大きくフィーチャーされていましたが、『シン・ウルトラマン』ではこうした現状に依存している日本が、新たな依存先を見つけようと不平等条約を結ぼうとしている点が興味深いですね。

個で生きるウルトラマンと集団で生きる弱い人間

シン・ウルトラマン 長澤まさみ 斎藤 工
(C)2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 (C)円谷プロ

個体の生物として完全体であるウルトラマンは群れで行動しないということが、初めの頃の神永の言動からうかがえます。一方、神永のバディとなった浅見は協調性を重視し、バディの神永の単独行動を嘆いていました。 『シン・ウルトラマン』の大きなテーマとして、人間とウルトラマンが融合した神永が禍特対のメンバーと行動を共にすることで、仲間の大切さを学んでいく成長物語としての側面があります。人間は個としては弱いからこそ、集団で生きる社会的な生物。そんな弱くても希望を捨てずに生きる人間たちを、ウルトラマンは好きになったのかもしれません。

環境破壊と戦争批判のメッセージ

禍威獣たちの発生元は、劇中でメフィラスが「ウルトラマンを誘き出すため地球に放置されていた生物兵器を目覚めさせたもの」だと語っていました。生物兵器のもととなった怪獣たちは、人間による理不尽な地球環境の破壊によって生まれたのです。 さらに禍特対のメンバーが、「人類は高い科学技術を得ると、平和利用よりまず兵器利用を考える」とつぶやいていたのも意味深。人類の修正も、ゾーフィたち光の星の「地球廃棄処分」決定に影響を及ぼしていたかも……?

禍威獣(カイジュウ)と外星人一覧!シン旧で徹底解説

禍威獣出現初期の怪獣たち

日本にしか出没しないという、巨大不明生物たち。一番初めに現れたのは、ゴメスでした。『シン・ウルトラマン』冒頭では、こうした初期の巨大不明生物たちが、禍特対設立の経緯とともに一挙に紹介されます。 巨大不明生物第2号として現れた「マンモスフラワー」、第3号「ぺギラ」と次々に駆除してきた自衛隊でしたが、次の第4号「ラルゲユウス」を取り逃がしたことから、防災庁が設立され、その内部機関として専門家を集めたチームが結成されます。ぺギラ駆除の後、巨大不明生物は敵性大型生物「禍威獣」と改名されました。 専門家チームは「禍威獣特設対策室」、通称「禍特対(カトクタイ)」と命名。第5号「カイゲル」に初出動し、放射性物質を捕食する厄介な禍威獣の第6号「パゴス」の駆除にも成功しました。 パゴスは第8号として出現するガボラと同族とみられる禍威獣で、頭から下は“まるでアタッチメントのように”同じ体を持っています。また、実はこれらの禍威獣たちは初代ウルトラマンの前身である『ウルトラQ』に登場した怪獣たち。ここにもオマージュが捧げられていました!

ネロンガ

ネロンガはドラマ第3話「科特隊出撃せよ」で初登場した透明怪獣。電気を餌にする地球産の怪獣です。「暴君電撃」という必殺技を持ちますが、初代ウルトラマンにはほぼ効果がなく、科学特捜隊の隊員に対しても死に至らしめるほどの威力は持ちませんでした。 『シン・ウルトラマン』では第7号の禍威獣として、透明化している姿も含め登場し、変電所を破壊しました。ウルトラマンが劇中で初めて倒した禍威獣でもあります。ガボラとともにライフラインを脅かす怪獣が共演することで注目が集まりました。

ガボラ

シン・ウルトラマン
(C)2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 (C)円谷プロ

第9話「電光石火作戦」で初登場したガボラは、四足歩行型の地底怪獣。ウランを好んで食べるため「ウラン怪獣」と呼ばれ、食事中に放射線を放出します。初代ウルトラマンの最終回で流れる走馬灯にも登場していました。 『シン・ウルトラマン』では第8号の禍威獣として出現し、放射能を求めて核廃棄施設を襲います。頭と背中の突起がドリルのように回転するようにアレンジされ、眼球も3対の赤く光る仕様に変化。同じく庵野監督の「エヴァ」シリーズの使徒を連想させます。

外星人ザラブ

過去のウルトラマンシリーズでは「ザラブ星人」として出演してきた彼が、『シン・ウルトラマン』では「外星人ザラブ」として登場。偽物のウルトラマンに変身することで有名な宇宙人です。 初登場は初代ウルトラマン第18話「遊星から来た兄弟」。星の文明を滅ぼすことが私の仕事だと語っていました。その後第33話には2代目ザラブ星人が、バルタン星人、ケムール人とともにメフィラス星人の配下として登場しました。 ちなみに漫画版ではダダ、バルタン星人、ケムール人とともにメフィラス四天王として東京の街に襲い掛かりました。 『シン・ウルトラマン』でも地球を滅ぼす目的で現れ、神永を誘拐して拘束し、ウルトラマンに化けて街を破壊。ウルトラマンを人類の敵と思い込ませ、「ウルトラマン抹殺計画」を提案します。

外星人メフィラス

初代『ウルトラマン』メフィラス星人
©︎円谷プロ

山本耕史が演じたメフィラス星人は、第33話「禁じられた言葉」で初登場した宇宙人。IQ1万の知性ウルトラマンと同等以上の戦闘力を併せ持つ悪質宇宙人です。 バルタン星人、ケムール人、ザラブ星人を召喚したり、科学特捜隊の隊員を巨大化させたりしました。ほかにも相手の心を見透かす力や、テレポートの能力、敵の光線を防ぐバリアも使うことができます。 『シン・ウルトラマン』では、特命全権大使・外星人第0号メフィラスとして登場。兵器転用が可能な人類を独占しようと、攻略のため用意周到なプレゼンテーションを企画し、ウルトラマンに変身する神永に接触して共闘か静観かを申し込みます。 初めのプレゼンとして、浅見を巨大化させたのもメフィラス。外見上はあくまでも紳士的に振舞うメフィラスを演じた山本耕史が実にハマリ役で、巨大化した時のビジュアルもものすごくカッコよくなっていました。

ゼットン

初代『ウルトラマン』ゼットン
©︎円谷プロ

ウルトラマンの宿敵・宇宙恐竜ゼットン。初代ウルトラマンの最終話で、ウルトラマンを倒した最大の敵です。 公開前のネット上で話題となったゼットンの『シン・ウルトラマン』への登場ですが、前述のように宇宙恐竜としてではなく、「天体制圧用最終兵器」としてインパクト大の姿で現れました。 光の星から人類の裁定者として地球にやって来たゾーフィが、地球を廃棄処分にするためゼットンを自律型にして衛星軌道上に配置します。その姿は地球上からもうっすら見える巨大なもの。 オレンジ色の2つの円形物から強大なエネルギーを集めた超高熱球が発射され、その威力は太陽系をも破壊するほどだとか。攻撃準備までに組み立てられていくゼットンの姿は、これまた「エヴァ」シリーズの使徒を彷彿とさせます。

特撮好きが悶えた!『シン・ウルトラマン』小ネタ集

カラータイマーが消えた訳

今回の『シン・ウルトラマン』に登場するウルトラマンからは、カラータイマー・覗き穴・背びれがなくなっています。これはオリジナルデザインを手がけた成田亨へのリスペクトと、ウルトラマンの美しさに少しでも近づきたいという庵野の思いから。 当時ウルトラマンのスーツアクターを務めていた古谷敏をボディスキャンし、その体型データを基に本作のウルトラマンのデザインが制作されました。 カラータイマーの代わりに、『シン・ウルトラマン』ではボディの赤い部分がパワー減少とともに緑色に変化する設定になっています。

強烈チョップににせウルトラマンが悶える

初代ウルトラマンには、ウルトラマンがにせウルトラマンにチョップし、その痛みでスーツアクターが悶えるというシーンが。『シン・ウルトラマン』でも、そのシーンをオマージュした動きをする場面があり、コアなファンは見逃さなかったようです。

ウルトラマンといえばあの曲!がたくさん

『シン・ウルトラマン』の音楽を担当したのは、「エヴァンゲリオン」シリーズや『シン・ゴジラ』の音楽を手がけた鷺巣詩郎ですが、クレジットには宮内國郎の名がともに表示されています。 宮内國郎は『ウルトラQ』や『ウルトラマン』など、初期の「ウルトラ」シリーズの音楽を手がけていた人物。『シン・ウルトラマン』には『ウルトラQ』のテーマ曲や『ウルトラマン』メインタイトルなど、数々の「ウルトラ」シリーズの名曲が劇中曲として使われています。しかも選曲したのは、庵野秀明!

モーションアクターに本家!?

モーションアクションアクターとして本作のウルトラマンのアクションを担った人たちの中に、庵野秀明の名があるのは驚き!しかしそれだけでなく、初代ウルトラマンのスーツアクターを務めたレジェンド、古谷敏も名を連ねています。 ウルトラマンは古谷敏の体型に合わせて、特に手足の長さや頭の小ささを前提にデザインが決められたといいます。今作では古谷敏をはじめアクターのモーション・キャプチャーを撮って、ウルトラマンの動きを決めたそうです。

登場人物&キャスト一覧

神永新二役/斎藤工

斎藤工
Ⓒ2021「シン・ウルトラマン」製作委員会

メインキャストを務めるのは斎藤工(1981年8月22日生まれ)です。その役所は主人公の「ウルトラマンになる男」、つまり神永新二。ちなみに斎藤は、『シン・ゴジラ』では戦車に乗る自衛官役に扮していました。 斎藤は俳優のみならず、監督や映画評論家としても活躍。映画館がない地域へ移動型映画館を提供するプロジェクト「cinema bird」を2014年から始めるなど、積極的に活動しています。そして2019年1月には、映画界への貢献が評価され、日本映画ペンクラブ賞特別奨励賞を受賞しました。 映画愛に溢れた斎藤なら、『シン・ウルトラマン』をより魅力的な作品にしてくれること間違いなしです。

浅見弘子役/長澤まさみ

長澤まさみ(1987年6月3日生まれ)が演じるのは、斎藤演じる主人公の相棒役。『シン・ゴジラ』には出演していませんが、本作でメインキャストに抜擢されました。 長澤の活躍は留まることを知らず、2019年には映画『キングダム』や『コンフィデンスマンJP -ロマンス編-』といったヒット作にメインキャストとして次々出演しています。 「コンフィデンスマンJP」で演じたダー子は少々おふざけキャラでしたが、『キングダム』の楊端和は強く威厳のあるキャラクターでした。『シン・ウルトラマン』ではどんな役柄を演じてくれるのか、楽しみですね!

田村君男役/西島秀俊

禍特対(カトクタイ)の班長を務める田村君男を演じるのは西島秀俊。西島はジブリ作品2013年の『風立ちぬ』にて庵野と共演していますが、樋口と一緒に仕事をするのは本作が初となります。 西島も大活躍中の俳優で、2019年には映画『空母いぶき』など4本の映画・ドラマで主演を務めています。 どんな役柄にもはまりながら、安定感のある演技をみせる西島。本作でも抜群の存在感を放ってくれることが期待されます。

滝明久役/有岡大貴

ジャニーズ事務所に所属する、Hey! Say! JUMPの有岡大貴(1991年4月15日生まれ)も禍特対の一員として出演します。演じるのは非粒子物理学者の滝明久。 有岡と言えば「コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」の2017年のドラマ3rd seasonと2018年の劇場版に出演。嫌味な性格でありつつも成長を見せる名取颯馬役を演じ切りました。 ドラマや映画への出演経験がそこまで多いわけではありませんが、「コード・ブルー」では、名取を演じるには有岡のビジュアルが不可欠だと指名を受けてのキャステイングでした。本作でも有岡だからこその役柄を演じるのかが気になりますね!

船縁由美役/早見あかり

元ももいろクローバーのメンバーで、今は人気女優となった早見あかり(1995年3月17日生まれ)も、禍特対の凡庸生物学者・船縁由美として出演します。2018年7月には結婚を発表し話題に。 2014年の連続テレビ小説『マッサン』に出演し、2015年には早見が演じた亀山すみれを主役にしたスピンオフドラマが放送され好評を博しました。 2019に公開された映画『僕のワンダフル・ジャーニー』では日本語吹き替えを務めるなど、ますます飛躍を見せる早見。本作で活躍する姿が待ち遠しいですね!

政府の男役/竹野内豊

外星人メフィラスとの条約締結の場で総理大臣の側にいる「政府の男」として、竹野内豊が出演しています。竹野内豊といえば、『シン・ゴジラ』で内閣総理大臣補佐官・赤坂秀樹を演じて強い印象を残した「庵野組」の一員です。 竹野内豊は、ドラマ『ビーチボーイズ』(1997年)や映画『冷静と情熱のあいだ』(2001年)など、ドラマや映画で活躍する人気中堅俳優の1人。2021年には月9ドラマ『イチケイのカラス』で主演を務め、映画では2023年公開予定の『唄う六人の女』で山田孝之とW主演を務めることが発表されました。

宗像龍彦役/田中哲司

田中哲司(1966年2月18日生まれ)と言えば、2019年の『あなたの番です 反撃編』が記憶に新しいですね。 「SPEC」シリーズや「緊急取調室」シリーズなどを始め、映画に舞台にと様々な作品で名バイプレイヤーとして活躍しています。 本作では禍特対の室長・宗像龍彦を演じていますが、禍特対の責任ある立場ながらチームの一員としても存在感を見せています。

外星人メフィラス役/山本耕史

特撮作品繋がりで挙げると、2019年の『仮面ライダーゼロワン』に出演したことが話題となった山本耕史(1976年10月31日生まれ)。特報映像で見せた「メフィラス」と書いた名刺を差し出す姿で、その怪しげな存在感が公開前から話題を呼んでいました。 2019年のドラマ『12人の抱かれたい女たち』では、台本なしで個性派女優たちとの会話劇に挑戦。即興劇のドラマに出演するなど新しい分野も開拓し、2022年はNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも出演しています。 メフィラスは「郷に入っては郷に従え」など格言好きで、外交上手な外星人。人間の姿もイケメンですが、本来の姿も山本に合わせてか、初代ウルトラマンのメフィラス星人よりもかなりカッコよく改変されていました。

小室肇役/岩松了

禍威獣被害に対応するため新設された防災庁の防災大臣・小室肇を演じるのは、岩松了。劇作家や演出家としても活躍しており、多くのドラマや舞台を手掛けています。俳優としては「時効警察」シリーズの熊本役などが有名です。

早坂役/長塚圭史

陸自戦闘団長の早坂を演じるのは、田中哲司や岩松了と同じ劇団「鈍牛倶楽部」に所属する長塚圭史。1996年に演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を結成し、劇作家・演出家・俳優として多方面で活躍しています。2017年の『花筐/HANAGATAMI』以来となる映画出演に注目です。

大隈泰司役/嶋田久作

内閣総理大臣・大隈泰司を演じるのは、2018年の連続テレビ小説『半分、青い。』などにも出演した嶋田久作。過去に「ウルトラ」シリーズに出演した経験を持ち、『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』の監督として知られる実相寺昭雄の作品にも多く参加しています。

狩場邦彦役/益岡徹

防衛大臣・狩場邦彦を演じるのは、名バイプレーヤーの益岡徹です。仲代達矢主宰の「無名塾」出身で、近年では2019年の映画『空母いぶき』や舞台『奇跡の人』などに出演しています。

中西誠一役/山崎一

外務大臣・中西誠一を演じるのは、舞台を中心に活躍し、2018年には劇団を旗揚げした山崎一。舞台出身のベテラン俳優で、2022年はドラマ『逃亡医F』や大河ドラマ『鎌倉殿の13人』などに出演しています。

加賀美役/和田聰宏(わだ そうこう)

神永の公安時代の元同僚・加賀美を演じるのは、『あなたの番です』や『知らなくていいコト』など話題のドラマに多数出演している和田聰宏。2021年は『あなたの番です 劇場版』や『明日の食卓』などの映画、2022年は『逃亡医F』や『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』などのドラマに出演しています。

ウルトラマン(リピア)の声/高橋一生

『シン・ゴジラ』でクセの強い巨災対のメンバー・安田を演じた高橋一生が、リピアことウルトラマンの声を担当しています。ラスト近くのシーンでゾーフィと会話を交わす、神永ではないウルトラマン自身の声です。 高橋一生は、2022年はドラマ『インビジブル』で破天荒な刑事役を好演中。2020年と2021年に放送された『岸辺露伴は動かない』や、2020年の『恋せぬふたり』など話題のNHKドラマでも主演を務めました。

ゾーフィの声/山寺宏一

ウルトラマンを追って地球にやって来た、光の星の使者ゾーフィの声を担当したのは、人気声優の山寺宏一。人間を守ろうとするウルトラマンが理解できないゾーフィは、地球を星ごと破壊するため最終兵器ゼットンを躊躇なく配備します。 山寺宏一は声優の他にも俳優やナレーター、司会者など幅広く活躍。吹き替え声優としても多くの担当を持っており、特にウィル・スミスやクリス・プラットなどが有名です。

外星人ザラブ役/津田健次郎

外星人ザラブの声を担当するのは声優・俳優として活躍する津田健次郎。『テニスの王子様』の乾貞治役や『呪術廻戦』七海建人役など数々の名作で存在感を発揮する人気声優です。 津田は「子供の頃に観ていたウルトラマン、その進化ともいえる『シン・ウルトラマン』に参加させて頂けるとは!面白い役を演じさせて頂きありがとうございます。」とコメントしています。

制作スタッフ

庵野秀明

『シン・ゴジラ』
(C)2016 TOHO CO.,LTD.

言わずと知れた庵野秀明(1960年5月22日生まれ)ですが、元々はアニメの作画を手掛けるアニメーターでした。その後、1988年の『トップをねらえ!』や1990年の『ふしぎの海のナディア』、1995年以降はTVアニメや劇場版で「新世紀エヴァンゲリオン」を監督。 実写作品もいくつか監督しており、社会現象を巻き起こした2016年の『シン・ゴジラ』では総監督と脚本を担当しました。 自身もアニメや特撮作品のマニアであり、『宇宙戦艦ヤマト』や『ウルトラマン』には強く影響を受けたと公言しています。その中でも『帰ってきたウルトラマン』に熱中したと言い、1983年には『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令』を自主制作しました。 総監督とさらに主演のウルトラマン役を顔出しで務めたほどのウルトラマンファンなのです。 そんな庵野が企画・脚本を手がけた『シン・ウルトラマン』。本作ではモーションアクションアクターとしても参加しており、「ウルトラ」シリーズの楽曲の選曲や編集、総監修など多岐にわたる分野を担いました。

樋口真嗣

樋口真嗣監督
Ⓒ2021「シン・ウルトラマン」製作委員会

『シン・ゴジラ』で監督・特技監督を務めた樋口真嗣(1965年9月22日)が、『シン・ウルトラマン』を監督。庵野と親交が深く、盟友と呼ばれています。 樋口は「平成ガメラ」シリーズなど様々な特撮作品に携わり、2015年には「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」2部作を監督しました。「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズにも参加しており、実は主人公・碇シンジの名前は樋口に由来しているのです。 盟友・庵野とのタッグで新たなゴジラを生み出しましたが、ウルトラマンはどのように生まれ変わるのでしょうか。

主題歌は米津玄師の書き下ろし楽曲「M八七」

そんな映画『シン・ウルトラマン』の主題歌は、シンガーソングライター・米津玄師の「M八七」(エム ハチジュウナナ)。このタイトルは米津のアイデアをもとにして、庵野監督がリクエストを出して決まったものだそうです。 米津自身も庵野監督作品のファンで、主題歌の担当依頼を受けたときは「何かの間違いでは」と思ったとのこと。しかし公開された音楽は程よくレトロな世界観を持ち、迫力や重厚感のある仕上がりとなっていて、『シン・ウルトラマン』と見事にマッチしていました。

『シン・ウルトラマン』は特撮マニアも大満足の名作映画!

庵野秀明が企画・脚本、彼の盟友である樋口真嗣が監督を務めた『シン・ウルトラマン』。地球を守るヒーロー、ウルトラマンを主人公とした初期「ウルトラ」シリーズに敬意を払いつつ、新時代のウルトラマンとして新たに命を吹き込んだ本作は、特撮愛にあふれる名作といえるでしょう。 禍威獣とは何か、ウルトラマンがなぜ人類と地球を守ろうと思ったのか、そんなテーマにも注目して、ぜひ劇場で見届けてほしい作品です。