2023年2月27日更新

映画『ちひろさん』あらすじネタバレと感想・考察 心に刺さる名言やキャストも一覧で紹介

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映画『ちひろさん』のあらすじ

ある日突然海辺の町にやってきて、小さなお弁当屋「のこのこ弁当」で働き始めた元風俗嬢のちひろちょっと口が悪くてマイペースな彼女は、客さばきの上手さもありたちまち人気者になるのでした。 何物にもとらわれず、ただ自分の思うがままに生きようとするちひろの姿は、ときに周りを変えたり救ったりすることすらあります。 海辺の街でちひろが、さびしくてわんぱくな男子小学生や、しがらみだらけの女子高生、無口なホームレスのおじさんなどと出会い、救いあって生きていく物語です。

レビュー

ちひろさん
©2023 Asmik Ace, Inc. ©安田弘之(秋田書店)2014
ちひろさん』の総合評価
4 / 2人のレビュー
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20代男性

人間は一人ひとり違う星から来た宇宙人だとか、どこにいても孤独を手放さずにいられるとか、漠然とした不安を胸にストンと落としてくれる名言が盛りだくさんで、心に沁み渡りました。ちひろさんの自由な気持ちをいつでも思い出せるように、漫画も手元に置きたいと思います。

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30代女性

ちひろさんは、偏見や損得の物差しがなくて限りなくフラットな人だから、掴みどころがなくてするりするりと人の心を通り抜けてゆく。原作が好きなので有村架純さんはイメージと少し違う気がしていたけど、そんなことなかった。しなやかで芯の強い女性像がぴったりだった

映画『ちひろさん』結末までのネタバレ

【起】弁当屋のちひろさん

『ちひろさん』
©2023 Asmik Ace, Inc. ©安⽥弘之(秋⽥書店)2014

弁当屋「のこのこ」で働くちひろは、元風俗嬢であるという過去を隠さず、自然体な魅力で多くの客に人気でした。自由な彼女にあこがれる女子高生・オカジは、ちひろを見かけてはその姿を勝手に写真に収めています。 ある日ちひろはホームレスの男性と出会い、弁当をあげたり、自分の家で風呂に入れたりしました。彼はお返しに、ちひろをある廃屋に案内してくれます。そこはマンガの棚やソファがある快適な空間でした。 その後も2人は交流をつづけていきますが、ある日彼は姿を消してしまいます。ちひろは廃屋で彼を「師匠」と呼ぶ女子高生・べっちんと知り合いました。 そんなある夜、ちひろのもとに風俗嬢時代に知り合ったバジルが訪ねてきます。彼女は自分の店の開店資金を持ち逃げされたことや、ちひろを探す男性が店に現れたことを話します。 翌日、ちひろは公園で小学生のマコトに絡まれます。ちひろに掴まれた彼は勢い余って彼女の腕にコンパスを刺しますが、ちひろは彼に弁当を与え、以前にも刺されたことがあると話しました。

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【承】ちひろを介してつながっていく人々

『ちひろさん』
©2023 Asmik Ace, Inc. ©安⽥弘之(秋⽥書店)2014

その後、弁当屋を訪れたオカジは、盗撮がちひろにバレていたことを知ります。オカジが自分の名前も盗撮の理由も聞かないちひろになぜ聞かないのかと尋ねると、彼女は風俗嬢だった自分は相手の素性を知らなくても気にしないと答えました。 あるときちひろは、建物の間の小道で「師匠」が亡くなっているのを発見。その夜、彼女は森で穴を掘り、彼を埋葬しました。 バジルとともに夏祭りに出かけたちひろは、金魚すくいの屋台の男性が、自分が働いていた風俗店の店長・内海であることに気がつきます。彼は離婚し、熱帯魚店をはじめたとのことでした。 オカジとマコトはケンカしながらも姉弟のようになっていきます。オカジがちひろに家族との窮屈な食事が苦手と打ち明けると、彼女は家族であっても合わない場合はあると言い、オカジに「宝の地図」を渡しました。 弟の圭介から電話で母の死を知らされたちひろは、葬式に出るつもりはないと言って電話を切ります。その後、マコトの母・ヒトミが弁当屋に怒鳴り込んできました。ちひろが彼に弁当をあげることで、親である自分が子どもにまともに食事もさせていないと思われると怒ります。ちひろは軽率だったと謝りました。 ちひろにもらった地図を頼りに廃屋にたどり着いたオカジは、べっちんと知り合います。彼女は不登校でしたが、オカジが同じ学校の同学年と知り、学校に来るようになりました。

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【転】ちひろの過去

『ちひろさん』
©2023 Asmik Ace, Inc. ©安⽥弘之(秋⽥書店)2014

ちひろは本名の綾を名乗って、入院中の弁当屋の店長の妻・多恵の見舞いに通っていました。彼女は事故で視力を失っています。 ちひろは、幼少期に出会った「ちひろ」と名乗る風俗嬢のことを思い出します。家庭に問題があった彼女は、「ちひろ」に助けられていたのです。 帰りに立ち寄ったラーメン屋で、店員に因縁をつけている客を見かけたちひろ。そこへ弁当屋の常連客・谷口が割って入り、客を追い出します。食後、2人で公園でビールを飲んでいると、谷口は過去に暴力をふるう父親をバットで殴り、そのまま家でしたことを告白しました。 ちひろは「自分が死ぬことを考えるくらいなら、父親を殺せばいい」と言います。そのまま彼を自宅に誘い、セックスします。 そんなある日、ヒトミが誕生日にマコトにもらった花束を手に再び怒鳴り込んできました。マコトが自分でプレゼントを思いつくはずがない、ちひろの入れ知恵だと怒るヒトミに、ちひろは毅然とした態度でその花束を捨てれば、ヒトミは一生後悔すると言います。 しばらくして、内海に誘われ「ちひろ」の墓参りに行ったちひろは、自分を信頼しても体を求めてこない彼は「お父さん」だと言います。しかし翌日、内海に思いを寄せるバジルがちひろのもとを訪れ、2人きりで出かけたことを責めます。彼女は男女の間に恋愛以外の親密な関係はないと言うのでした。 その後、内海に誘われ2人で飲みに行ったバジルは、ちひろの過去の話を聞かされます。彼女が風俗の面接に現れた日、就活スーツを着たちひろはボロボロの靴を履いていて、ここで雇わなければ死んでしまうのではと思ったと内海は語ります。

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【結末】孤独を大切にする

ある大雨の夜、マコトが鍵をなくして家に入れなくなったことを知ったオカジは、おにぎりを作って彼と一緒にヒトミの帰りを待ちました。 帰宅したヒトミはオカジを家に上げると、彼女にマコトの好物の焼きそばを振る舞います。家でいつも手の混んだ料理を食べているはずのオカジでしたが、それを食べて涙を流しました。 一方ちひろは、退院間近となった多恵を病院から連れ出します。多恵は「綾」の正体が弁当屋の「ちひろ」であることに気づいていました。ちひろはまだ多恵が弁当屋で働いていたころ、客として初めて彼女と話し、強く惹かれたことを話します。 自分の母親が死んでもなにも感じないほど家庭が破綻していたちひろは、多恵が母親だったらどんなによかったろうと言います。しかし多恵は、自分が母親だったら今のちひろはいないろう、今のちひろが好きだと言い彼女を抱きしめました。 多恵が退院し、ちひろはマコトやオカジ、べっちん、バジル、内海らを誘ってパーティを開きます。それぞれの話が盛り上がるなか、ちひろはそっと姿を消しました。 そこへ多恵から電話があり、彼女はちひろが間もなくこの町を去ってしまうのではと感じていると言います。そして「あなたはどこでも孤独を大切にすることができる」と引き止めました。 数ヶ月後、多恵たち夫婦は弁当の下ごしらえをしながら、ちひろを懐かしみます。一方、酪農場で働くちひろは雇い主から前職はなにかと訪ねられ「ただの弁当屋です」と答えるのでした。

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心に留めたい『ちひろさん』名言集

大人なめんな

ヘビのおもちゃを介してマコトと出会うシーン。ちひろさんは優しいけれど、自分にも誇りをもって生きているところが素敵です。

何を聞くの?何か聞いて欲しかった?

ずっとストーカーだったオカジが、ちひろさんと直接交流を始めるシーン。オカジが「普通、気になりません?名前とか年齢とか」と言うと、「そんなの当てにしたことないよ。本当のことかどうかもわからないし。その人がどういう人かは、目を見ればわかるよ。なんつって。」と返していました。 肩書きに関係なく、目の前のオカジという人間のことがちひろさんは気に入ったようです。

1人で食べてもおいしいもんはおいしいよ

「食卓に着くと味がしない」というオカジの家の話を聞いて、ちひろさんは1人で食べたぐちゃぐちゃの海苔巻きの話をします。 そして、「みんなで食べた方がおいしいってよく言うけどさ、みんなで食べてもおいしくないものもあるし、1人で食べてもおいしいもんはおいしいよ」と言いました。

僕たちはみんな人間っていう箱に入った宇宙人なんだ

ちひろが風俗嬢をしていたときのお客さんの話です。彼は「同じ人間だなんてよくいうけどさ、一人一人みんなやってきた星はバラバラなんだからさ、わかりあえないのは当然なんだよ。だってしょうがないじゃない。そもそも別の星の人なんだから。そう考えた方が楽じゃない。」と言っていました。 オカジはそれを聞いて「でも世界のどこかにはいますよね、同じ星の人。いつか会えますよね?」と少し寂しげです。

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これいいねって言ったらさ、それいいねって言ってくれて

ちひろは多恵さんの前で亡くなったお母さんのことを考えながら、「これいいねって言ったらさ、それいいねって言ってくれて、そうだよねって言ったらそうだねって言ってくれて。なんか、それだけでよかったんだけどなあ」と呟きます。 そして、そんな理想通りの反応をしてくれた“ちひろさん”のことを思い出しました。

怖くないよ、夜は私たちの味方だからね

幼い頃のちひろ(綾)は、海苔巻きを1人でおいしく食べていました。そこに“ちひろ”という女性が現れます。彼女はぐちゃぐちゃの海苔巻きを「美味い」と言って食べてくれました。 風の音に怯えるちひろ(綾)に“ちひろ”は、「怖くないよ、夜は私たちの味方だからね」と笑いかけてくれました。

あんたが死ぬくらいなら、殺せばいいよ

虐待から身を守るために父を刺した男性の話を聞いて、ちひろが放った言葉。「そのときは、埋めるの手伝ってくれますか?」と男性がきくと、「もちろん。ラーメン一杯でいいよ」と言ってちひろは彼にキスをしました。

人の心を独り占めすることなんてできない

バジルから恋愛について尋ねられたちひろは、「気づいたんだよね。人の心を独り占めすることなんてできないって」「私だってされたくないもん」「もしね、それが恋愛だっていうんなら、私には必要ないかな」と答えていました。

人にも自分にも期待しないって決めたら少しだけ楽になったんだ

落ち込むオカジにべっちんがかけたセリフ。“ある漫画”から学んだようです。

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だからちょっと怖いよ 仲良い人とかできるの

これもべっちんのセリフ。また1人になったらと考えるとさみしくなるから怖いけれど、それでもオカジと会えてよかったと話していました。

どんだけ自分に自信ないんだよ

花束を持って怒鳴り込んできたマコトの母に、ちひろがかけたセリフ。彼女は自分のことを信じられないから自分を愛してくれる人のことも信じられなくて、花束を受け取れなかったのかもしれませんね。結局息子の愛に気づいて、冷蔵庫にメッセージカードを貼っていました。

もがかなければ浮かぶんだよ ジタバタするから沈むんだ

鑑賞魚の店を営むちひろの元店長が、電話ではなった言葉。元気のないちひろが「水の底にいる」と言うと、「しばらく沈んどけ。人間の体は浮かぶようにできてっから」と返し上のセリフを続けました。リリー・フランキーに似合う言葉ですね。

私はね、今のあなたがとっても好きよ

雨の中のドライブで、ちひろが「もし多恵ちゃんが私のお母さんだったら、私はどんな大人になってたのかなあ」と言うと、多恵は「さあねえ。でも、今より素敵な人にはなってないんじゃない?」と返し上の言葉を続けます。深い愛を感じられる、包容力のある言葉でした。

あなたならどこにいたって孤独を手放さずにいられるわ

楽しそうに盛り上がる皆を見て、1人でその場を去ったちひろに電話した多恵。「もういんじゃない?どこにも行かなくたって。あなたならどこにいたって孤独を手放さずにいられるわ」と伝えます。 「じゃあ、また明日」と言ったのに結局ちひろさんはどこかへ行ってしまいました。

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【感想・考察】孤独を抱いて他者とつながる

なにものにも縛られないちひろさんが、海辺の田舎町で生きづらさを感じている人々に、癒やしと変化をもたらす様子を描いた映画『ちひろさん』。彼女に出会った人たち、特にマコトやオカジ、べっちんなどの若者たちにとって、彼女は生涯忘れられない人になるでしょう。 ちひろさんとの出会いで、彼らは悲しみや孤独を受け止めながらも、他者とつながることの大切さを知ったのではないでしょうか。 風俗嬢だった過去を隠さないちひろさんは、1つのレッテルで人を判断することのつまらなさを身を持って示します。しかしそういったものに囚われないのは、弁当屋の主人も同じでした。だからこそ彼はちひろさんと「同じ星の人」である多恵と一緒になったのでしょう。 どうしても主人公のちひろさんに目が行きがちですが、本作には多恵やその夫など、周囲の人に癒やしをもたらすキャラクターが多く登場しています。 ラストシーンでは、彼女が今後も新たな人々と出会い、その人生をゆるやかに変えていくことを予感させます。

登場人物・キャスト一覧

『ちひろさん』キャスト
©2023 Asmik Ace, Inc. ©安田弘之(秋田書店)2014
上段 嶋田鉄太、豊嶋花、van
中段 若葉竜也、有村架純、佐久間由衣
下段 リリー・フランキー、風吹ジュン、平田満

ちひろ役/有村架純

Netflix映画『ちひろさん』有村架純
©2023 Asmik Ace, Inc. ©安田弘之(秋田書店)2014

ちひろは「のこのこ弁当」で働く元風俗嬢。ちひろは源氏名で、本名は古澤綾です。自由人なうえにつかみどころがありませんが、話し上手なので町の皆から愛されています。普段は明るい一方で、本気で怒るとかなり怖いです。固定観念に縛られることを何より嫌っています。 そんなちひろを演じるのは有村架純。NHK連続テレビ小説『あまちゃん』で話題となり、その後も数々のドラマや映画に出演しています。おもな代表作はドラマ『コントが始まる』や映画『花束みたいな恋をした』などです。コミカルからシリアスまで、幅広い役柄をこなすことで知られています。

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オカジ役/豊嶋花

オカジと呼ばれる女子高生瀬尾久仁子。眼鏡をかけた地味な見た目をしており、家でも学校でも自分の感情を押し殺しながら暮らしていました。ですが自由奔放なちひろさんと出会い、彼女は少しずつ変わっていくことに。 演じるのは子役から長くキャリアを積んできた豊嶋花。『都会のトム&ソーヤ』(2021年)ではヒロイン役に抜擢されるなど、今注目の若手女優です。

佐竹マコト役/嶋田鉄太

佐竹マコトはシングルマザーに育てられる男子小学生です。荒んだ家庭環境で過ごしてきたため、少々攻撃的な性格。ですがちひろさんとの出会いで、少しずつやさしさや穏やかさを取り戻し始めます。 演じるのは声優としても活動している子役俳優嶋田鉄太です。

マコトの母親役/佐久間由衣

佐久間由衣

マコトの母親は女手ひとつでマコトを育てるシングルマザーです。マコトにうまく愛情をそそぐことができず、ちひろさんとも衝突してしまいます。 演じるのは近年映画主演も果たした注目の若手女優佐久間由衣です。

バジル役/van

バジルは物静かながら、どこか鋭い雰囲気を持ったニューハーフです。ちひろさんとは旧知の仲で、時折思い出したように会ってはお酒を酌み交わしています。 演じるのは今回が初演技となるトランスジェンダーモデルvanです。

風俗店の元店長・内海役/リリー・フランキー

リリー・フランキー

内海はちひろさんが働いていた風俗店で店長を務めていた男性です。ぶっきらぼうなところはありますが人情味があり、ちひろさんをよく知る人物のひとり。 演じるのは昨今多くの話題作に出演している俳優リリー・フランキーです。

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のこのこの店長役/平田満

のこのこ弁当はちひろさんが働くお弁当屋さんです。のこのこの店長は一見怖そうな見た目ですが、のんびり穏やかな性格でちひろさんのことをいたく気に入っています。 演じるのはNHKドラマにも多数出演したベテラン俳優平田満です。

のこのこの店長の妻役/風吹ジュン

のこのこの店長の妻は店長同様、のんびり穏やかな性格。反面こちらの全てを見透かしているようなところもあり、ちひろさんはその不思議な魅力に惚れ込んでしまいます。 演じるのはこれまで多数の映画・ドラマに出演したベテラン女優風吹ジュンです。

“ちひろ”役/市川実和子

市川実和子

“ちひろ”はちひろさん、こと古澤綾が幼いころに出会った女性です。ちひろさんは彼女に強い影響を受け、現在の生き方を手に入れたと思われます。 演じるのは市川実日子の姉としても知られるモデル出身女優市川実和子です。

映画『ちひろさん』のスタッフ

監督:今泉力哉

今泉力哉は映画『愛がなんだ』や『街の上で』といった作品を手がけてきた監督です。人間の心のリアルな動きをとらえることを得意としています。本作の制作にあたっては、“生きるのがあまりうまくない”誰かに届いたら嬉しいとのコメントを発表しました。

原作漫画『ちひろさん』のあらすじ・ネタバレ

『ちひろさん』書影
(c)安田弘之(秋田書店)2014

1話完結形式でちひろと町の人々の交流が描かれる『ちひろさん』。物語が進むごとに、ちひろという人間の奥底にあるものも次第に明かされていきました。

今は強い人間に思えるちひろですが、実は幼い頃母親に育児放棄されたという悲しい過去を持っています。 彼女は家族にまつわる楽しい記憶を一切持たず、だからこそ母親が亡くなったという知らせを受けたときにも一切悲しむことができませんでした。しかし彼女は、そんな自分をきちんと受け入れることを決めます。 最終回ではちひろはのこのこ弁当をやめ、海辺の町を去って旅に出てしまいました。お店ではゆりという新しい店員が一生懸命働いています。 しかし彼女がいなくなってからも、町では彼女から影響を受けた人々が元気に暮らし続けていました――。 漫画は全9巻で構成されており、すべてを映像化すれば相当なボリュームになると思われます。映画で描くのは漫画の序盤か、あるいはエピソードを抜粋してちひろさんが街を離れるまでを描くのではないでしょうか。

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原作漫画『ちひろさん』は何が面白い?

原作の感想・評価

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ちひろさんという女性の魅力に終始やられっぱなしでした。固定観念を嫌い、自由を愛し、自分の生き方を貫く。町の人が彼女に影響を受けていくのも無理ない話です。有村架純が演じるというのは意外でしたが、どんなちひろさん像を作り上げてくれるのか楽しみでもあります。

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ちひろさんの気ままな生き方を見ていると、ふっと肩の荷が下りたような気持ちになります。疲れたとき何度でも読みたくなるような作品でした。私も弁当のこのこに行って、ちひろさんとおしゃべりしてみたいです。

漫画『ちひろさん』の魅力はやはりちひろさんというキャラクター、その生き方にあります。自由奔放であらゆるものに執着がなく、ただ生きたいように生きる彼女は読者にもうらやましく見える存在でしょう。 ちひろさんに影響される登場人物と同じように、読めばきっと「もう少し自分らしく生きてみよう」と思えるはず。辛いときや苦しいとき、日々に行き詰まりを感じるとき。薬のように読みたくなる作品です。

原作者:安田弘之

『ちひろさん』の原作者である安田弘之は、『ショムニ』で知られる漫画家です。本作は1998年にドラマ化もされており、タイトルにもなっている「ショムニ」が新語・流行語大賞トップテンに入賞するなど、大きな話題を呼びました。どの作品からも、彼が人間に向ける目線のやさしさが感じ取れます。

Netflix映画『ちひろさん』は心に刺さる名言だらけ!

有村架純が主演を務める映画『ちひろさん』。元風俗嬢のちひろと彼女の周りにいる人々の人間ドラマを描き出す、少し変わったあたたかい作品です。 心に染み渡る名言が話題の本作。ちひろと一緒にあなたも、あたたかい言葉の数々を受け取って、水の底から浮かび上がってみてください。