2023年2月21日更新

『子宮に沈める』結末までのネタバレあらすじと感想考察!衝撃の最後を迎えた映画は実話だったのか

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2013年に公開された映画『子宮に沈める』は実際に起こった児童虐待事件をベースに母親がどういう経緯で育児放棄をしてしまうのか、その間子供たちはどうやって生きるのか、そしてその結果を描いた社会派ヒューマンドラマです。 本記事では映画『子宮に沈める』のあらすじとともに結末のネタバレまでご紹介していきます!

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『子宮に沈める』は実話?

本作は2010年に実際に起こった「大阪二児放置死事件」をモデルとしています。ですが、母親の描かれ方や離婚の原因など事件と映画では違いもあります。

映画『子宮に沈める』作品概要・あらすじ

キャスト 由希子役 / 伊澤恵美子 , 幸役 / 土屋希乃 , 蒼空役 / 土屋瑛輝 , 夫役 / 巳蒼生 , 女友だち役 / 仁科百華 , 恋人役 / 田中稔彦
監督 緒方貴臣

夫と別れ、子供2人と新しいスタートを切った由紀子。良い母であった由紀子でしたが、子と母だけの暮らしに安定も支えもなくなってしまったことに不安を覚えます。収入のために夜職を始め、恋人を作り安心を求めました。 それからというものの由紀子は家事や育児を放棄しはじめ、家に帰らず、子供達を散らかった部屋に閉じ込めて出かけていきました。 長女の幸は幼い弟の面倒を見ながら生きるために食べる物を探し、母の帰りをただ待っていました。やがて物語は凄惨な結末を迎えることになります。

映画『子宮に沈める』の結末までのネタバレあらすじ

【起】続かない幸せとひとつの終わり

主婦の由希子は慣れた様子でロールキャベツや、オムライスなど手の込んだ料理を用意していました。その間にもまだ幼い幸(さち)や産まれたばかりの蒼空(そら)の世話をしたり遊んであげたりして、“理想の母親”でした。しかしいくら待てども夫は帰ってこず、皿にはラップがかけられたまま。 帰ってきたと思ったら荷物を取りにくるだけで、愛情を確かめようにも「疲れているんだ」と一蹴されてしまう始末。気持ちがない夫に由希子はカバンを投げつけます。それを受けた夫は家を出ていきました。 由希子はその後玄関の鍵を閉めますが、すぐに開けて外を見ると既に夫の姿は無い様子で、玄関のドアを再び閉めると、由希子は蒼空の夜泣きの声にも反応できないまま咽び泣いていました。

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【承】新しいスタートと狂い始める日常

新しいアパートに子供と移り住んだ由希子は手の込んだ料理を作る暇もなく、食卓に並ぶおかずはお惣菜ばかり。そのうえ、いつまで経ってもダンボール類が片付きません。資格を取ろうとするも日々の忙しさに追われ勉強することもできない中、友人の誘いで夜職を始めることになります。 ある日幸が発熱してしまい、由希子は仕事を休み付きっきりで看病します。それからしばらくして、由希子に彼氏ができました。しかし幸は彼氏に懐かず、彼氏は子供が寝ているのにも関わらず性行為を求めてきます。次第に由希子は子供たちを疎ましく思うようになってしまいました。

【転】弟の死、それでも帰ってこない母

ある日由希子は幸に「お昼何食べたい?」とメニューの希望を聞きます。幸は元気よく「オムライス!」と答えますが由希子は「面倒だから、チャーハンでいい?」と返します。山盛りのチャーハンを幸に出した由希子は「仕事行ってくるね」と部屋を出ます。 幸は由希子の帰りを待ちますが一向に帰ってこず、そのうち食べる物もなくなり、蒼空のミルクを飲んだりして空腹を紛らわせていました。 ある夜、幸は砂嵐しか映らないテレビを付け粘土で作ったケーキを蒼空の前に出して「ハッピーバースデー蒼空ー」と歌いますが、蒼空は既に亡くなっており動きません。しかし幸にはまだ“死“という概念がなく、ピクリともしない蒼空に「蒼空、起きて」と声をかけていました。

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【結末】衝撃のラスト10分!子宮に沈めるとは……?

蒼空の死後も幸は生きるために食糧を探します。ゴミの中から漁ったり、パイナップルの缶詰の汁を啜ったり、マヨネーズを口にしてなんとか生き延びていました。しかし幸も衰弱していきぐったりしている頃、由希子が帰宅しました。 幸は「おそいよ、ママ!」と言いながら駆け寄りますが、由希子は子供の方を見ることもなく、窓の目張りを外します。そして、蒼空の遺体を洗濯機に入れスイッチを押し、幸を浴槽に沈めて溺死させます。 その後由希子は部屋のゴミを全て袋に入れると、子供たちのマフラーを編んでいたかぎ針で堕胎を試みました。堕胎に成功した由希子はシャワーを浴びますが、裸のままリビングに出てマフラーで巻かれた幸と蒼空2人の遺体をレジャーシートで更に包みました。そして空を見上げ、幕を閉じます。

映画『子宮に沈める』感想・評価

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正直、この作品を見たとき、目を背けたくなるような拒絶反応を抱きました。しかしこれは実際に起こった事件を基に作られています。もしかしたら今もどこかで幸と蒼空になりうる子供がいるのかもしれません。幸や蒼空、そして由希子を救うために、隣人が、国が何ができるかを考えるための作品であると私は強く思います。 

(40代女性)

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辛くて二度と見られないけど、いろんな人に見てほしい映画。特にこれからお母さんになるような女性に後半のお姉ちゃんは昔のママが大好きでずっと信じて待ち続けてる。そんな姿に涙がとまりませんでした。

(40代男性)

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【解説】実話を基に制作されたからこその演出

BGMもなく、幸がまだ幼いため会話らしい会話があるわけでもない本作は、視聴者に終始不安を与えます。さらに誰かの視点に立つのではなく、定点カメラでただひたすら観察しているような構図もやけに冷たい印象を演出しています。 本作は多くのシーンが定点カメラで撮影されているため細かな表情までは映りませんが、段々と荒れていく部屋の様子や由希子の容姿が派手になっていく様などから登場人物の感情やら事態の深刻さが読み取れるようになっているのです。 更には人の話す声、泣く声以外の音はテレビの砂嵐の音とハエの羽音のみ。砂嵐の音は引っ越してきてすぐテレビの配線を行っている時と、幸が蒼空の誕生日を祝う時だけですが、最後まで見た後に序盤のテレビの砂嵐は不穏の始まりだったのではないかと気付かされました。 こういったリアリティを感じさせる演出は、本作が実際に2010年に起こった「大阪2児餓死事件」をモデルにしているからでしょう。本作は完全なるフィクションではなく、今もどこかで起こっているかもしれない、私たち社会が直面している無視できない問題なのです。

【ネタバレ考察】なぜ由希子はこうなってしまったのか

生活ががらりと変わってしまいひとり親となった由希子は、自分1人で2人の子供を育てなければならないというプレッシャーや、収入や生活への不安、そして誰にも寄りかかることのできない孤独感から育児放棄、そして殺害という最悪の手段をとってしまいました。 映画の中では映し方や音で狂気の深度が表されています。無駄なセリフや由希子が感情を顕にしたり葛藤するシーンなどはありません。 夫が育児に積極的だったら?友人が支えてくれるような人柄だったら?彼氏が誠実だったら?行政がシングルマザーを手厚く保護していたら?もしもそんなことがあったら、このような最悪の手段を由希子は選ぶ必要はなかったのかもしれません。

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映画『子宮に沈める』をネタバレ解説・考察でおさらい

この記事では映画『子宮に沈める』のあらすじと、結末までのネタバレを紹介しました。「二度と見たくない」と評される本作。しかしこの映画の中に込められた、重い社会問題へのメッセージは無視できるものではありません。 二度と見たくないけど、多くの人に一度は絶対に見てほしいといえる作品です。