2025年8月9日更新

【ネタバレ】映画『ラーゲリより愛を込めて』感想・あらすじを解説!日本人捕虜たちの実話の物語

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シベリアの収容所に抑留された日本人捕虜たちと家族の物語を描いた『ラーゲリより愛を込めて』。主演・二宮和也の自然体な演技も相まって、涙なしでは観られない感動作です。 この記事では『ラーゲリより愛を込めて』をネタバレありであらすじ解説!感想や主題歌「Soranji」についても合わせて紹介します。

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『ラーゲリより愛を込めて』ネタバレなしあらすじ

日本公開日 2022年12月9日
上映時間 133分
キャスト 二宮和也 , 北川景子 , 松坂桃李 , 中島健人 , 寺尾聰 , 桐谷健太 , 安田顕 , 瑛太 , 金井勇太 , 中島歩 , 田辺桃子 , 佐久本宝 , 山時聡真 , 奥智哉 , 渡辺真起子
監督 瀬々敬久

第二次世界大戦後。零下40度の極寒のシベリアで捕虜となり強制収容所(ラーゲリ)に抑留された60万人もの日本人たち。その中に山本幡男(二宮和也)の姿がありました。 地獄のような収容所での生活で皆が絶望する中、帰国(ダモイ)するという希望を捨てなかった山本。彼は仲間を励まし続け、仲間たちも次第に希望を持ち始めます。終戦から8年が経ち、日本で帰りを待つ妻・モジミ(北川景子)から届いた手紙に帰国の日が近いと感じた彼でしたが、その体は病魔に脅かされていたのです。 そのことを知った仲間たちは山本の思いを叶えるために動き始め、奇跡を呼び起こしーー。

【ネタバレ】『ラーゲリより愛を込めて』の結末までのあらすじ

【起】家族との再会を誓い、絶望のラーゲリへ

『ラーゲリより愛を込めて』
©2022 映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 ©1989清水香子

第二次世界大戦下の中国・ハルビンで、山本幡男(はたお)は妻モジミと4人の子どもと暮らしていました。しかし、妹の結婚式に家族で出席したその夜に、「日ソ中立条約」を破棄したソ連が中国にも侵攻し、突然家族は離散します。終戦後、山本はシベリアの強制収容所(ラーゲリ)へ送られました。 極寒の地での過酷な労働に絶望する者も多い中、山本は「生きる希望を捨ててはいけない。必ず帰国(ダモイ)する日がやって来る」と仲間を励まし続けます。 やがて念願だった帰国が決まり、希望を胸に汽車に乗る山本たち。しかし、帰国寸前で汽車は止められ、松田研三(松坂桃李)や相沢光男(桐谷健太)たちとともに、山本はスパイ容疑で再びラーゲリへ送られることになります。

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【承】ラーゲリで生まれた友情

スパイ容疑で25年の強制労働を言い渡され、再びラーゲリに収容された山本。 山本は、過酷な日々に心を閉ざしてしまった同郷の先輩・原幸彦(安田顕)や、元漁師で足が不自由な青年・新谷健雄(中島健人)といった新しい仲間たちと出会います。変わらず周囲を励まし続ける山本の姿に、仲間たちも次第に心を動かされていきました。 終戦から8年が経ち、ようやく家族との手紙のやり取りが認められるようになると、山本のもとにも妻・モジミからの葉書が届きます。「帰りを待っている」という言葉に、山本は涙を流し、再び家族と会える日を強く願いました。 故郷からの便りは、抑留者たちに希望をもたらす一方で、愛する家族の死を知り、再び絶望に突き落とされる者もおりーー。

【転】余命3ヶ月、愛する家族への言葉

ラーゲリの仲間たちが帰国への希望を抱き始める中、山本は頻繁に体調を崩すようになります。ある日、手紙で妻の死を知り、自殺しようとする相沢を止めた山本は、その最中に頭痛で気を失いました。 山本の体調を案じた松田たちは、山本を病院に行かせるため、決死のストライキを決行。ラーゲリ全体に広がったストライキによって、山本は無事病院で診察を受けられました。しかし、告げられた病名は「喉の癌」、そして余命はわずか3ヶ月。 病状は悪化する一方で、山本に生きる希望を与えてもらった仲間たちは、苦悩の末、遺書を書くことを勧めます。山本は仲間の言葉を受け、モジミたち家族への想いを込めた4通の遺書を残しました。そして、山本は静かにその生涯を終えたのです。

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【結】仲間たちが繋いだ山本の想い

『ラーゲリより愛を込めて』
(C)2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 (C)1989 清水香子

山本亡き後、彼が託した遺書は、ラーゲリ内では文字を残すことがスパイ行為と見なされるため没収されてしまいます。しかし、山本の遺志を継いだ松田、原、相沢、新谷の4人の仲間たちは、それぞれ遺書の内容を分担して記憶し、過酷な労働の中でも決して忘れることはありませんでした。 やがて日本への帰国が叶った彼らは、終戦から11年が経った頃、山本家を訪れます。記憶していた遺書を清書し、モジミのもとに届けたのです。モジミは目の前に幡男の姿を感じ「おかえりなさい」と、涙を流しました。 時は流れ、2022年。山本幡男の息子・顕一(寺尾聰)は、ハルビンで参加した結婚式に、そして希望を捨てなかった父に思いを馳せながら、孫娘の結婚式に゙参列しています。山本が守り抜いた未来が、そこにはありました。

【解説】シベリア強制収容所で抑留された日本人たちの実話

本作の主人公、山本幡男は実在の人物です。映画は、彼のラーゲリでの壮絶な半生をもとに制作されました。 原作は、辺見じゅんのルポルタージュ小説『収容所から来た遺書』(1989)です。映画は物語として一部脚色されていますが、おおむね小説に沿った山本の実際の姿が描かれています。 原作小説が誕生したきっかけは、角川書店と読売新聞社による「昭和の遺書」という企画でした。太平洋戦争で亡くなった日本兵の遺書を募集した際に、山本の妻モジミが投稿。それを受け、作家の辺見じゅんが取材を行い、発表したレポートが小説となりました。 監督を務めた瀬々敬久は、シベリア抑留が忘れられつつある時代だからこそ、この物語を映画にしたい、と考えたことをインタビューで明かしています。

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【感想】家族へ託された遺書と世界平和について考える

映画『ラーゲリより愛を込めて』は、派手なアクションや演出に頼るのではなく、シベリア抑留という過酷な史実を背景に、極限状態での命の尊さ、そして家族や仲間との深い絆をまっすぐ描いた作品です。 主人公・山本幡男の「生きるとは何か」「人間らしさとは何か」を問いかける言葉は、現代を生きる私たちにも深く響きます。 主演の二宮和也が監督に直談判して採用された「戦争ってひどいもんですね」というセリフは、この映画の最も重要なメッセージ。山本の人生に光を当てながらも、本作の核心はやはり「二度とこのような悲惨な戦争を繰り返してはならない」という強い願いなのです。 そして、冒頭もラストでも描かれた結婚式。世代を超えて受け継がれていく、家族愛を象徴的に描いています。

【主題歌】Mrs.GREEN APPLEの「Soranji」

本作の主題歌「Soranji」を手掛けたのは、日本を代表するバンドへと成長した「Mrs.GREEN APPLE」。 映画のプロローグのみで、楽曲制作が開始されたそう。「若者たちが触れにくい題材だからこそ、持って帰ってもらいたい」という監督の要望を聞き、「誰かを強く思う気持ち」にフォーカスを当てて制作したことを、ボーカルの大森元貴は明かしています。 結果として、希望を忘れず生きる山本の姿と重なる楽曲となった「Soranji」。2025年7月には「累積再生数6億回」を超える、Mrs.GREEN APPLEの代表曲の1つとなりました。

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映画『ラーゲリより愛を込めて』は実話に基づく感動の物語!

映画『ラーゲリより愛を込めて』のネタバレあらすじや感想、主題歌を紹介しました! 悲惨なラーゲリでも希望を捨てなかった山本の姿、そして山本の想いをモジミまで繋いだ仲間たちの絆は、涙なしでは観られません。二宮和也の代表作とも称される『ラーゲリより愛を込めて』を、ぜひ配信でチェックしてみてください。