映画「エブエブ」感想ネタバレあらすじ・考察解説!『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』ラストが泣ける理由とは?
2023年のアカデミー賞作品賞をはじめ最多7部門を受賞したSFアクション・コメディ映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』、略して「エブエブ」。 映画ファンの間で大きな話題となった本作が、2023年5月3日よりU-NEXTで独占配信されます。気になる映画「エブエブ」についてあらすじやネタバレありの感想・評価をお届けします!
カオスな世界を体験
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』作品概要
タイトル | 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』 |
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公開日 配信日 | 2023年3月3日 2023年5月3日 |
上映時間 | 139分 |
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の意味とは?
タイトルの『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は「なんでも・どこにでも・いっぺんに」といった意味。つまりこの作品の舞台となる「マルチバース」を表しています。 マルチバースとはマーベル映画でも大きく取り上げられている「多元宇宙」で、1つの可能性から無限に枝分かれした別宇宙のことです。
映画「エブエブ」のあらすじ
コインランドリーを経営するエヴリン・ワン・クワンは、コインランドリーの税金問題、頑固な父親の介護、反抗期の娘、優しいだけで頼りにならない夫と、頭を抱えたくなる問題ばかり。 そんな中、夫のウェイモンドに「別の宇宙(ユニバース)から来た」というウェイモンドが乗り移り、「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と泣きつかれてしまいます。 何が何だかわからないままマルチバースに飛び乗ったエヴリンは、カンフーマスターばりの身体能力を持つ別の宇宙のエヴリンとして壮大な闘いに挑むことに……!? >『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』結末までのネタバレ解説
映画「エブエブ」感想・評価
何が起こってるんだ?どうなるんだ?と思い続けて、気づいたら泣いてました。壮大なマルチバースものと思わせて、誰もが共感できる身近な家族愛を描いていたなんて……!カオスなのに愛100%の映画を観れて満足です。
言葉でうまく表現できないけど、とにかく最高!アート性が高くて、新しい映像体験だった。まさに最先端のカオスだけど、アクションもコメディも愛の物語もしっかり詰まっているエンタメ作品で、アカデミー賞候補作というのも納得。エヴリンとジョイ・トゥパキの闘いシーンはここ数年で間違いなくベスト1!
映画「エブエブ」結末までのネタバレあらすじ解説
解説①アルファバースの人たちの目的
“アルファバースの夫”であるウェイモンドによると、マルチバースは現在エヴリンとウェイモンドの娘ジョイ・ワンの別宇宙バージョンである「ジョブ・トゥパキ」によって脅威に晒されていました。 アルファバースとは多元宇宙を生んだ元となる宇宙です。そのアルファバースの人が、なぜわざわざマルチバースの中でも一番の失敗者であるエヴリンのところにやって来たのか。 歌手やスーパーシェフやスーパースターになるなど様々な可能性があったにもかかわらず、夫と一緒にいるという小さな幸せを選んだエヴリン。そんな彼女だからこそ実はものすごいポテンシャルがあり、何にでもなれる可能性を秘めています。それこそが、宇宙を救うために選ばれた理由でした。
解説②なぜバースジャンプの方法が奇妙なのか?
劇中に登場するバースジャンプする方法は、なぜかどれもバカみたいに奇妙なものばかり。バースジャンプとは、別宇宙の自分たちのスキルにアクセスすることです。 エヴリンは突拍子もないことをまったくしないで“普通に”生きてきました。バースジャンプのような突拍子もないことをするには、その「自分の枠」を破壊しなければ“飛べない”わけです。才能を開花させるには、自分の枠を壊す必要があるというメッセージも込められているようですね。
解説③ジョブ・トゥパキの目的
どのバージョンのジョイもエヴリンの娘で、エヴリンがバースジャンプを何度も強要したことで壊れてしまいマルチバースの脅威ジョブ・トゥパキとなります。ジョブ・トゥパキはエヴリンを母に持った喜びも苦しみも、すべてを感じてきたのです。 ジョブ・トゥパキが失敗した世界線のエヴリンのもとに現れたのは、復讐のためではなく「自分が愚かで小さな存在」と気づいてしまった虚無感を共有したかったから。 自分を壊すため、この虚無感から抜け出すために「エブリシング・ベーグル」を作りエヴリンを誘ったのです。
解説④ラストの意味は?
壮大なマルチバースとの交信を経て、エヴリンたち家族は本来の日常であった国税局へ行く場面へ戻ります。監察官のディアドラから、領収書の整理について1週間の猶予をもらったあとの世界線です。 マルチバースで自分が歌手やスーパーシェフ、女優になる可能性を見てきたエヴリンですが、結局は小さな幸せを選んだ先にある、今の現実と向き合うことを選んだのです。
【感想考察】ラストの親子バトルから読み解くメッセージ
本作はマルチバースもののSFコメディではあるものの、大きなテーマとしては「親子・家族の愛」を描いた作品です。エヴリンとジョイの母娘バトルは、思春期の子どもとの対峙を壮大なメタファーとして表現されたもの。実際、思春期の子どもとのバトルは、確かにカオス! そんな壮大なマルチバースのバトルが、小さな幸せを大切にしてきたエヴリンと家族の愛に集約されていく点が、本作の一番のポイント。娘の反抗と母の想いはどのマルチバースでも展開されていて、しかも母の想いはどこでも揺るぎなく……母娘バトルの経験がある人には刺さるに違いありません。 壮大なマルチバースから小さな家族愛、この意外性も作品の面白さや高い評価につながっているのでしょう。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』キャスト一覧
エヴリン・ワン・クワン役/ミシェル・ヨー
主人公のエヴリン・ワン・クワンは、コインランドリーを経営するアジア系移民の中年女性。生活に追われるごく普通の彼女が、マルチバースを飛び交いながらカンフーで世界を救うことに……。 演じるのは、中国系マレーシア人女優のミシェル・ヨー。1997年公開の映画『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』でボンドガールを演じてハリウッドデビューし、一躍有名に。『クレイジー・リッチ!』(2018年)や『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021年)への出演でも知られています。 「エブエブ」での活躍で、第80回ゴールデングローブ賞・最優秀主演女優賞(ミュージカル/コメディ)を受賞しました。
ジョイ・ワン役/ステファニー・スー
ジョイ・ワンはエヴリンの娘。ごく普通に暮らしていた彼女ですが、他の宇宙から来たと言う父・ウェイモンドから彼女とマルチバースに関連するある事実が明かされます。その衝撃の内容とは……。 演じるのは、中国系アメリカ人のステファニー・スー。『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)に出演、2024年公開予定のデヴィッド・リーチ監督作『ザ・フォール・ガイ(原題)』にも出演が決定しています。 「エブエブ」の演技が高く評価され、第95回アカデミー賞助演女優賞にノミネートされました。
ウェイモンド・ワン役/キー・ホイ・クァン
ウェイモンド・ワンは、エヴリンの夫。優しいだけで頼りにならない間抜けな彼が、突然「別の宇宙から来た」と言い出して……。 演じるのは、中国系ベトナム人として生まれたアメリカの俳優キー・ホイ・クァン。子役として『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984年)や『グーニーズ』(1985年)などに出演していました。 その後、ジョナサン・キー・クァンの名で『X-MEN』などのヒット作の武術指導などを担当。本作「エブエブ」で俳優としての本格的なカムバックとなり、第80回ゴールデングローブ賞・最優秀助演男優賞を受賞しました。
ディアドラ・ボーベアドラ役/ジェイミー・リー・カーティス
ディアドラ・ボーベアドラは、「IRS(アメリカ国税庁)」の監察官です。 演じるのは、ホラー映画「ハロウィン」シリーズで知られるアメリカの女優ジェイミー・リー・カーティス。映画『トゥルーライズ』(1994年)や『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019年)などにも出演しています。 「エブエブ」での好演で、第80回ゴールデングローブ賞・最優秀助演女優賞にノミネートされました。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』監督スタッフ
監督・脚本:ダニエル・シャイナート&ダニエル・クワン
映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の監督・脚本を手がけたのは、2016年公開の映画『スイス・アーミー・マン』の監督・脚本で知られるダニエル・シャイナートとダニエル・クワンのコンビ、通称「ダニエルズ」。 『スイス・アーミー・マン』の奇想天外な世界観は、世界中の注目を集めました。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でも同じく独特の世界観は健在です。
配給:A24
配給は、ダニエルズの映画『スイス・アーミー・マン』の配給権も購入していた「A24」。アカデミー作品賞受賞の『ムーンライト』(2016年)、『ミッドサマー』(2019年)、『ミナリ』(2021年)などなど、注目の映画を多く配給していることで有名です。 映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は、「A24」史上最大のヒットを記録しました。 また製作には、MCUの「アベンジャーズ」シリーズなどで知られるルッソ兄弟(アンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ)が名を連ねています。
映画「エブエブ」をネタバレあらすじを感想考察・解説でおさらいしよう
全世界興収1億ドルを突破し勢いに乗る「エブエブ」は2023年第95回アカデミー賞11部門にノミネートされ、見事7部門で受賞。そんな『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は2023年3月3日から公開中です。 シュールでクリエイティブな「最先端のカオス」を、ぜひ動画配信サービスで味わいましょう。
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