漫画『リエゾン』最新巻まで全話ネタバレあらすじ＆感想！心に寄り添う診療所

心の闇を抱えた子どもや、大人達に寄り添う医師の物語『リエゾン』。2023年1月20日から実写ドラマ化もされ、話題を呼んでいます。 「連携」「つなぐ」を意味する『リエゾン』をタイトルに掲げ、現代社会に巣食う「生きづらさ」と向き合う作風に、心打たれる人も多くいます。 そこで本記事では＊『リエゾン』の各巻ネタバレを踏まえながら、徹底解説していきます！＊

大学病院の研修医である遠野志保は、遅刻や忘れ物の常習犯でした。指導医からも「小児科は諦めろ」と言われる始末です。 患者には慕われていたものの、問題行動が重なったため、多くの病院に受け入れ拒否をされてしまいます。 そんな志保を研修終了後に、唯一拾ってくれたのが児童精神科の「佐山クリニック」でした。そこで出会った風変わりな院長・佐山卓から、志保は「発達障害」の診断を受けます。 最初は戸惑う志保でしたが、卓から自身も発達障害であることを告げられるのです。生きづらさを感じながらも、同じ境遇の子ども達を救うため、志保と佐山の診察が始まります。

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佐山クリニックには、多くの児童の相談が舞い込んできます。小学校の教師たちが、児童の対処法を求めて訪れることもあります。 そんな中、志保の最初の仕事は、悠里というアルコール依存でうつ病の父親がいる少女の診断です。 本来なら児童相談所が絡む問題ですが、父親のこともあり一旦は病院で診察することにします。しかしその後悠里は酒を万引きしようとしたため、児相が関わることになってしまいます。 他にも佐山クリニックの同僚である、市川の息子が抱える「愛着障害」。教育熱心な親の子供に現れるADSの傾向など、身近に隠れる「生きづらさ」が描かれます。

子供の発達の遅れを心配した母親が、佐山の病院に検査にやってきました。結果発達の遅れは見られませんでしたが、ASDの可能性が高いと診断されます。 しかし母親は、普通の学校に通わせると言い張ります。筆者は常々疑問なのですが、そんなに「普通」であることが大事なのでしょうか？ 普通に拘って、目の前の子供の叫びを無視することが親なのでしょうか？ 家庭が子供に与える影響というのは非常に大きく、子供を歪ませてしまうことが多々あります。それは元々障害を持っていなくてもです。 例えば4巻に登場する、志保の隣に住む問題児の俊彦。ADHDの可能性が高い優太と、そんな優太についキレてしまう継母の晴香。 原因は大人側にあることは、稀ではないのです。

5巻では妻の死を子供達が悲しまないことに、不安を抱いた丸山が登場します。また娘の実優はASDを持っており、特別支援学級に通っているのです。 その為、ある日妻の仏壇をめちゃくちゃにした実優を、思わず丸山は叩いてしまいました。しかし佐山達の助力もあり、実優たちが「母の死」をどう思っているか知ることとなります。 親といえど人間であり、子供のことがなんでもわかる訳では無いのです。だからこそ子供の傷は、親が共に向き合ってあげなければいけないのです。 6巻ではゲームばかりしている息子に、不安を抱く母親が現れます。このケースも、親が向き合えていない事例ですね。 頭ごなしに自分の不安をぶつけて否定するばかりでは、相手の気持ちは離れてしまいます。

7巻ではスカートを穿きたがる息子について、相談しにくる母親。そして脳に障害が残る母を、介護する少女・茜が登場します。 男の子が突然「スカートを穿きたい」と言い出したら、驚く親が多いとは思います。しかしそこで親が子の味方になれなければ、子供の心に大きな闇を落とすことになるのです。 また「ヤングケアラー」に関しては、家族や身の回りのような狭いコミュニティではなく、国全体の問題でしょう。誰も悪く無いことは、政府が手を差し伸べる以上の解決策はありません。 8巻では過剰な躾をする母親。母親がいなければ登校できない斗真と、リスカットをする妹を連れた若菜が登場します。

9巻では生まれて間もない娘の穂乃果の発達が、遅れているのではないかと疑う母親の美咲が登場。癇癪持ちの息子・圭吾もいるため、より不安を抱えている様子です。 佐山には「焦らなくていい」とアドバイスされますが、美咲はふとした瞬間に心の糸が切れてしまいます。 産後はホルモンバランスが崩れるため、非常に精神的に不安定な時期です。その為美咲は、産後うつになっていました。 子供を育てる際は子供だけでなく、親の心のケアも大事になってくるんですね。 10巻では他の子につい乱暴を働いてしまう海斗と、両親が登場します。両親はどうしても幼稚園に通わせたいと願うのですが、他の園児の親は難色を示します。 両親が普通を望みたい気持ちもわかりますが、今ある現実を受け入れなければ、子供も両親も後に苦しむことになります。

11巻ではASDを持つ藤井が登場します。要領が悪くなんでもはっきりさせたがる性格のため、いつも店長と言い合いになります。 そんな性格のため、就活でも内定を得られず自分の将来に絶望します。しかし企業としても自社の成長に貢献できる人材が欲しいわけで、障害があることで適性から外れるというのは仕方ないことだとも思えます。 誰しも「全ての人に平等な機会を」と言いながら、心の中では自分に利益があるかどうかで、人材を判断するのです。それが社会の素直なところであり、残酷さでもあります。

本作は子供や親が抱える心の闇を、漫画を通して向き合える作品です。昨今では発達障害やADHD、性同一性障害など、多くの問題が可視化されてきました。 しかしそれと向き合うには、まだ我々は幼いのだとこの漫画を通じて教えられます。そしてどれ程理解しようと、私たちが社会性の生き物である以上、「普通」を求める心は消えないとも感じるのです。 この漫画は、そんな自分達の日常に潜む「生きづらさ」と、改めて向き合わせてくれます。

そんな『リエゾン』ですが、2023年1月20日から実写ドラマ化されました。佐山役が山崎育三郎、志保役が松本穂香となっています。 ドラマでは物語の視点を志保ではなく、佐山に合わせていることが、原作との相違点でしょう。 また佐山クリニックが、「さやま・こどもクリニック」と名称が変更されているのも、原作との違いとなっています。 本作は誰もがぶつかる、心の病を取り扱った作品です。そのため多くの方の目に留まるドラマという媒体は、相性がいいと感じます。

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ここまで『リエゾン』の各巻ネタバレを踏まえながら、徹底解説してきました。 筆者自身も周りに心の病や、障害を持っている存在がいるため、自分と重ねながら本作を読みました。 作品に触れたから全て分かるとは言いませんが、「向き合うきっかけ」をくれることは間違いありません。 あなたもぜひ1度、手に取ってみてはどうでしょう？