2023年4月7日更新

漫画『零落』結末までネタバレあらすじ&感想!元売れっ子漫画家が落ちぶれ辿り着いた答えとは

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漫画と向き合い、絶望し、もがきながら人生を歩んでいく1人の漫画家の様子を赤裸々に描いた漫画『零落』。 本記事では作者・浅野いにお自身がモデルになっているのでは?という意見も多い本作のストーリーを、ネタバレ込みで解説していきます。 2023年に公開される実写映画の詳細情報も紹介しているので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

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『零落』のあらすじ【ネタバレ注意】

『おやすみプンプン』『ソラニン』といった大ヒット作で知られる漫画家・浅野いにおの通算10作目の連載作品となる漫画『零落』。 本作は40歳を目前に8年続いた連載を打ち切られた漫画家の主人公が、1人の風俗嬢と出会い、惹かれ堕ちていく様子を描いた物語です。小学館が手がける青年漫画誌『ビッグコミックスペリオール』にて連載され、単行本全1巻を発売しています。 また2023年3月には斎藤工主演による実写映画化も決定しています。

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ネタバレ①人気漫画家から元人気漫画家へ

主人公は40歳を目前に控えた中堅漫画家の深澤薫。かつては人気漫画家ともてはやされた深澤でしたが、いつからか人気は陰りを見せ、ついには8年続いた連載の打ち切りが決定しました。 完結記念の打ち上げでスピーチをしながら、もはや編集者たちから自分が期待されていないとさとる深澤。編集者であり売れっ子漫画家の担当で多忙な日々を過ごす妻・のぞみともすれ違いの日々が続き、次第に虚無感に苛まれるようになります。 そんな彼の心の隙間を埋めてくれるのは風俗嬢だけ。その日深澤の依頼を受けやってきたのは、細身で猫目が印象的なデリヘル嬢のちふゆでした。 同じ状態だったら人気漫画家の担当編集として活き活き働く妻を見てるのは確かにきつそう。余談ですが、最初に出てきたデリヘル嬢の名前がユンボってとこにツボりました。

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ネタバレ②風俗嬢にのめり込み堕ちていく主人公

仕事も周囲とのコミュニケーションも上手くいかず、さらに風俗を利用する回数が増えた深澤。深澤が新人時代に付き合っていた彼女にどことなく似ているちふゆを指名し、次第に客と嬢の関係を忘れてのめり込んでいきます。 片や私生活では妻との離婚を決意し、深澤は着々と準備を進めていました。その間にも仕事で充実した妻の姿を垣間見、勝手に劣等感を募らせていきます。そして再びちふゆに会おうと店に電話した深澤は、そこで彼女が店を辞めると知るのでした。 ちふゆが故郷に帰ると知った深澤は、勢いで途中まで付いていきたいと申し出ます。その翌日、2人は電車に乗って彼女の故郷へ出発しました。 ちゆふちゃんの人懐っこいけどミステリアスな雰囲気たまらないですね。きっと2人が結ばれる未来はないんだろうけど、どうかこのまま2人の関係が変わらないで欲しいなと思ってしまいます。

ネタバレ③ちふゆとの別れ、周囲との衝突

ちふゆの故郷までの道すがら、他愛もない話を交わす2人。しかしその道中で深澤はちふゆの態度が以前と違うこと、彼女の未来に自分の居場所がないことを察します。 客と嬢でなくなった2人の間には、これまでとは明らかに違う現実味を帯びるようになっていました。そしてまたしても異性から裏切られたと感じた深澤は、黙ってちふゆの故郷を後にします。 何がとは言えないけれど確実に変わってしまったちふゆと深澤の関係というか距離感が切ないシーンでした。一体彼の孤独感はいつ埋まるのでしょう。 それからしばらくたったある日。仕事もせずSNSで鬱憤を晴らす日々を送っていた深澤のもとに、以前アシスタントをしていた女性・富田がやってきます。 深澤は富田が持ち込んだ原稿を一蹴し、反発する富田と口論に。怒りに任せて彼女を追い返した後、強烈な劣等感に襲われるのでした。

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ネタバレ④再び漫画と向き合い導き出した答え【結末】

その後、富田と入れ違いで妻ののぞみがやってきます。自分は離婚したくないと言いつつも、やはり担当漫画家を優先するのぞみに深澤は激怒。 するとのぞみはどこか投げやりに「あの作家はあなたより売れている」と深澤に告げ、2人は完全に決別します。 その後1人残った深澤は、新人時代に付き合っていた猫目の女性のことを思い出していました。そして何かを悟ったようにポツリとつぶやき、漫画を書き始めました。 そして場面は代わり、とあるサイン会場。深澤は新作が大ヒットし、再び人気漫画家として返り咲いたのです。しかし涙ながらに作品への情熱を語るファンを前にしても、深澤の心が満たされることはありませんでした。 受けを狙って見事ヒット作を生み出した深澤。全く違う意味合いを持った2つの涙が印象的なラストでした。深澤に憑りついた狂気は選ばれた人間だれしもが抱えうる業なのかもしれません。

『零落』の感想&レビュー

1巻完結の短編ながら、これぞ「浅野いにお」と言いたくなる退廃的な雰囲気と、読み終わった後の虚脱感が存分に味わえる良作。 「落ちぶれること」という意味を持つタイトルが意味するのは漫画家として廃れかけていた主人公を指すのか、それとも彼が信念を曲げ読者に迎合するようになったことを指すのか、色々考えちゃいますね。 主人公の深澤はもしかして浅井いにお自身をモデルにしているのかも。そのくらいリアリティがあって、直接胸に入り込んでくる作品でした。

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『零落』が2023年3月に実写映画化!

漫画『零落』は2023年3月17日より実写映画として、テアトル新宿ほか全国劇場にて公開されることが決定しています。 監督は俳優や歌手などマルチに活躍を続ける竹中直人。そしてドラマ「昼顔」や『臨床犯罪学者 火村英生の推理』で知られる斎藤工が主人公・深澤を演じました。 その他出演者には妻・のぞみ役としてMEGUMI、売れっ子漫画家の牧浦かりん役に安達祐実、風俗嬢のちふゆ役に趣里と、実力派が脇を固めています。 果たして浅野いにお作品ならではの陰鬱ながら美しい世界観をどのように表現するのか、監督竹中の手腕に注目です。

『零落』あらすじをネタバレ解説しました

浅野いにお

本記事では実写映画化が決定し、再度注目を集めている漫画『零落』のストーリーをネタバレ込みで紹介しました。 本作のリアルで骨太なヒューマンドラマは、浅野いにおファンはもちろん、多くの漫画好きの心に刺さるはず。ぜひ映画と併せて原作となる漫画版もチェックしてみてください!