2023年3月2日更新

『童夢』幻の実写映画が存在する?デヴィッド・リンチも映画化を試みた大友克洋の傑作を徹底解説

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映画『童夢』実写パイロットフィルム
©Bandai Namco Entertainment Inc. ©2013 MASH・ROOM / DOMU COMMITTEE

世界的に高い評価を得ているSFアニメーション映画『AKIRA』(1988年)。その原作漫画のルーツとして知られる作品『童夢』にも実は映画化の噂があったのはご存じでしょうか。 この記事では『童夢』のあらすじや映画化の噂について徹底紹介!今も語り継がれる作品の魅力に迫っていきます。

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『童夢』のあらすじ

童夢

ある団地のなかで起きた、20人以上が不審死を遂げる謎の事件。警察による調査も進展せず、それどころか巡回をする刑事が死亡する恐ろしい事態に。 捜査を指揮する山川は団地の屋上で、超能力を操る老人「チョウさん」と出会い彼が犯人だと知るも殺害されてしまいます。 その後団地に引っ越してきた一家の娘・悦子はチョウさんの犯行を阻止。なんと彼女も超能力を持っており、そこから多くの人々を巻き込む超常の戦いが幕を開けます。

『童夢』のなにがすごいのか?物語をネタバレ解説

超能力によりチョウさんの犯行を阻止したことで彼から命を狙われるようになる悦子。チョウさんは住民を操り悦子を襲わせるなど、残虐な手口で彼女を追い込んでいきます。 そのなかで親しい住民が死んだことを知った悦子は激昂し、チョウさんと激突。彼を追い詰めますが、決着はつかず戦いは終息することに。その後警察に1度捕まるも、団地に戻ってきたチョウさん。公園のベンチに座る彼を、監視するようにブランコをこぐ悦子。 気付けばチョウさんは絶命し、悦子もその姿を消していたのでした……。 本作は大友克洋の代表作『AKIRA』のルーツとなるSF作品であり、その斬新なストーリーと表現技法でその後の漫画界に大きな影響を与えています。特にチョウさんが超能力で壁にめり込む描写、通称「壁ズン」は超能力を斬新に描いたことで多くの媒体で取り上げられることになりました。 今でもこの作品を「漫画界のターニングポイント」と評する人もいるなど、歴史に名を残す作品であることは間違いないでしょう。

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幻の実写映画が存在した!

映画『童夢』実写パイロットフィルム
©Bandai Namco Entertainment Inc. ©2013 MASH・ROOM / DOMU COMMITTEE

2023年3月17日から開催される第1回新潟国際アニメーション映画祭。ここで大友克洋作品を一挙上映する際に、なんと大友克洋自身が監督した『童夢』のパイロットフィルムが放映されることが決定しました! 『童夢』にはこれまで映画化の噂が流れていましたが実現はならず、この映像は7分間の短いパイロットフィルムですが非常に貴重なものとなりそうです。

デヴィッド・リンチも映画化を試みた

デヴィッド・リンチ
©︎Brian To/WENN.com

『イレイザーヘッド』(1976年)や『エレファント・マン』(1980年)で知られる映画監督デヴィッド・リンチ。 個性的な映画で人気を得る彼は、なんと過去に『童夢』の実写化に着手していました。これを明かしたのはルーカスフィルムに勤めていた経験のあるニロ・ロディス=ジャメロ。彼は日本に滞在していたときに『童夢』に出会い映画化のために奔走。 原作者の大友克洋にも許可をとり、監督候補としてデヴィッドに声をかけたようです。とんとん拍子に進むと思われた企画ですが、なんと製作会社との交渉がうまくいかずに映画化の話はストップ!実写版『童夢』は幻の作品となってしまったのです。

『童夢』実写映画化は実現するのか?

未だに根強いファンを持つ『童夢』。しかも原作者の大友克洋は世界のアニメファンから高評価を得ている映画『AKIRA』の原作・監督を務めていることもあり、漫画ファンのみならず映画ファンからも実写化の期待が高い作品です。 『童夢』のパイロット版が放映され世間の注目が集まれば、もしかしたら再び実写化の話が浮上するかもしれません!世界中のファンが期待する本作の映画化を楽しみに待ちましょう!