2023年9月6日更新

【ネタバレあらすじ】『アステロイド・シティ』はウェス・アンダーソン節全開!キャスト・映画の意味を感想ありで考察・解説

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独特でおしゃれな世界観で世界的に人気を博すウェス・アンダーソン監督の新作『アステロイド・シティ』が2023年9月1日に日本公開! 第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にも出品された本作は、アンダーソン作品の常連俳優に加え、初出演となるキャストも注目を集めています。 早速『アステロイド・シティ』のネタバレあらすじキャストをチェックしていきましょう!

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映画『アステロイド・シティ』あらすじ・作品概要

タイトル アステロイド・シティ
公開日 2023年9月1日
上映時間 104分
監督 ウェス・アンダーソン
キャスト ジェイソン・シュワルツマン , スカーレット・ヨハンソン , トム・ハンクス , ジェフリー・ライト , ティルダ・スウィントン

映画『アステロイド・シティ』のあらすじ

  • ウェス・アンダーソンが送るSF(?)群像劇
  • ポップなコミカルさとメッセージ性が同居する異質感が癖になる

1955年。隕石落下による巨大クレーターがある観光名所アステロイド・シティに、科学賞の栄誉に輝いた天才的な5人の子供たちと、その家族が招待されます。 子供たちに母親が亡くなったことを伝えられずにいるオーギー・スティーンベック(ジェイソン・シュワルツマン)、マリリン・モンローを彷彿とさせるグラマラスな映画スターでシングルマザーのミッジ・キャンベル(スカーレット・ヨハンソン)……。それぞれが複雑な思いを抱えるなか、授賞式は幕を開けますが、なんとその途中で宇宙人が来襲!?

映画『アステロイド・シティ』ネタバレ感想

アステロイド・シティ
© Focus Features/Photofest/Zeta Image
アステロイド・シティ』の総合評価
3.5 / 2人のレビュー
吹き出し アイコン

20代女性

素晴らしいキャストの演技は良く、ビジュアルは抜群でセットも壮大でほぼ全てが完璧です。しかしストーリーに魅力が感じられない。彼が次の作品で彼を助けてくれる良い脚本家を雇うことを願います。

吹き出し アイコン

30代男性

『アステロイド・シティ』は、『ザ・ロイヤル・テネンバウムス』や『天才マックスの世界』には及ばないが、ノスタルジーや喪失感、憂鬱などのセンシティブなトピックをアンダーソンの美しく力強いスタイルで楽しげに描いている。

映画『アステロイド・シティ』のネタバレあらすじ

【序幕】劇中劇と舞台裏が交互に描かれる

『アステロイド・シティ』(2023年)
© Focus Features/Photofest/Zeta Image

テレビ司会者が有名な劇作家コンラッド・アープによるテレビ放送された『アステロイド・シティ』を紹介しています。コンラッドは、この劇はある夏に行われた「ジュニア・スターゲイザー」という若い天文学愛好家のコンベンションを題材にしたものだと語ります。 ここから映画は、劇中劇『アステロイド・シティ』とその舞台裏を交互に描いていきます。

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【ACTⅠ】ひょんなことからアステロイド・シティに集う面々

戦争カメラマンのオギーは、息子のウッドロウが「ジュニア・スターゲイザーズ」に参加するため、アステロイド・シティにやってきました。彼の3人の娘アンドロメダ、パンドラ、カシオペアも一緒です。車が故障したので、オギーはメカニックに修理を依頼しますが、修理は不可能だと言われてしまいました。 彼は義父のスタンレーに電話し、娘たちを迎えに来てほしいと頼みます。実はオギーの妻は亡くなったのですが、彼はそのことを子供たちに伝えられずにいました。 そんななか、「ジュニア・スターゲイザーズ」の参加者とその親が次々と町に集まってきます。さらに教師のジューンが引率する小学生の集団、バスに置いていかれてしまったカウボーイたちもいます。 その夜、天文台の科学者ヒッケンルーパー博士が参加者たちをクレーターのそばに集めると、突然上空にUFOが飛来し、中から出てきたエイリアンが隕石を持ち去りました。オギーはその光景を写真に収めることに成功します。

舞台裏

舞台裏で、司会者はオギー役のジョーンズ・ホールがある午後、コンラッドに会いに行ったことを紹介します。劇作家コンラッドにオギーについてのインスピレーションを与えるために長い時間しゃべっていました。その後、2人はキスをしはじめます。 司会者は、今度はミッジ役のメルセデス・フォードが電車でカリフォルニアの撮影現場に向かう様子を紹介します。そこへウッドロウ役の代役俳優がやってきて、プロデューサーであるシューベルト・グリーンから彼女への謝罪の手紙を読み上げます。司会者はこの代役俳優が後に正式にウッドロウを演じることになったと付け足しました。

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【ACTⅡ】隔離されるアステロイド・シティ

『アステロイド・シティ』(2023年)
© Focus Features/Photofest/Zeta Image

ギブソン将軍の命令で、宇宙人の襲来をうけたアステロイド・シティは隔離されます。ゲストたちは医学的および精神的な診療を受け、町での出来事がニュースとして全国に広まりました。 そんななか、ジューンとカウボーイのモンタナ、ウッドロウとダイナ、オギーとミッジもそれぞれに仲を深めます。ジュニア・スターゲイザーズのメンバーは、兵士に賄賂を渡し、電話と彼らの発明品を使って、学校新聞の関係者に町で何が起こっているのかを伝えていました。

舞台裏

プロデューサーであるシューベルトのもとに元妻のポリーがやってきて、彼の浮気癖が発覚する前とは違うものの、彼女はまだ彼を愛していると言います。 その後シューベルトは劇作家コンラッドとキャストを集め、著名な演技コーチのザルツブルク・カイテルを紹介します。

【ACTⅢ】エイリアンが再襲来!舞台裏でも動きが

隔離がつづくアステロイド・シティでは、親たちが疲れを見せ始め、子供たちの発明で軍に対抗しようと考えていました。ジューンの生徒たちはカウボーイたちと仲良くなり、楽しく過ごしています。 ギブソン将軍が隔離解除を宣言しようとすると、エイリアンが戻ってきて、クレーターに隕石を戻して去っていきました。混乱のなか、ウッドロウとダイナはキスを交わします。

舞台裏

舞台『アステロイド・シティ』の初日、オギー役のジョーンズはプロデューサー・シューベルトにオギーの行動の動機がわからないと言います。しかしシューベルトはただ演技をつづけろと言うだけでした。ジョーンズがタバコを吸おうと外に出ると、そこにはオギーの妻を演じる予定だった女優がいました。彼は彼女からカットになったシーンを教えてもらい、オギーの動機を知ります。 そこへ司会者が登場し、劇作家・コンラッドが事故死したと告げるのでした。

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【エピローグ/結末】

『アステロイド・シティ』(2023年)
© Focus Features/Photofest/Zeta Image

オギーが目を覚ますと、アステロイド・シティの隔離は解除され、自分たち家族以外はすでに町を去った後でした。彼がスタンレーと子供たちとダイナーで食事をしていると、ウエイトレスがミッジから預かったメモを渡してきます。そこには彼女の私書箱の住所が書かれており、連絡を取り合おうとありました。 また、ウッドロウもダイナと付き合うことになったと言います。 その後、オギー一家はアステロイド・シティを去るのでした。

【考察】「起きたいなら眠れ」の意味とは?

本作の中でも特に印象的かつ監督のメッセージが強く反映されているのが、「起きたいなら眠れ」というセリフです。第2幕の舞台裏で、劇作家が、「人生の心地よい眠り」について描けないと苦悩するシーン。そこで、俳優達が次々とこのセリフを口にするのです。 さらに、エンドロールで流れる曲「You can’t wake up if you don’t fall asleep」の最後には、「Wake up(起きろ)」という小さな囁きが。監督が私たち観客に「目覚めて」ほしいことは明白ですが、具体的には「喪失からの目覚め」を促しているのではないでしょうか。 主人公であるオーギー(ジョーンズ・ホール)は舞台上でも舞台裏でも喪失を経験しています。舞台上では妻を、そして舞台裏では恋仲にも見えた劇作家コンラッドを亡くしていましたね。また、ジョーンズは、オーギーの行動に疑問を持っていましたが、舞台裏での妻役との会話でその疑問は解消されています。 わざわざ舞台に出演しない、死んだ妻役との会話を取り入れる意味も含めて、「起きたいなら眠れ」は喪失とどう向き合うかへの監督なりのメッセージなのではないでしょうか。

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映画『アステロイド・シティ』キャスト一覧・登場人物解説

オーギー・スティーンベック役/ジェイソン・シュワルツマン

ジェイソン・シュワルツマン
© Nicky Nelson/WENN.com/Zeta Image

オーギー・スティーンベックは、科学賞に参加した少年ウッドロウの父親です。職業は、戦場カメラマン。 オーギーを演じるのは、1998年に映画『天才マックスの世界』で主演デビューを飾ったジェイソン・シュワルツマンです。ウェス・アンダーソン作品の常連で『ダージリン急行』(2007年)では、アンダーソンと、いとこのロマン・コッポラとともに共同脚本を手がけています。

ミッジ・キャンベル役/スカーレット・ヨハンソン

スカーレット・ヨハンソン
OTTAVIA DA RE/SINTESI/SIPA/Newscom/Zeta Image

女優であり、ダイアナの母であるミッジ・キャンベル。シングルマザーです。 演じるのは、「アベンジャーズ」シリーズなどマーベル映画などでも知られるスカーレット・ヨハンソン。2019年には『ジョジョ・ラビット』でアカデミー賞助演女優賞、『マリッジ・ストーリー』で主演女優賞にダブルノミネートするなど、演技力が高く評価されています。 ウェス・アンダーソン作品には、本作が初出演です。

スタンリー・ザック役/トム・ハンクス

トム・ハンクス
WENN.com

スタンリー・ザックは、オーギーの義父です。 演じるのは、こちらもウェス・アンダーソン作品初出演のトム・ハンクス。『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994年)や「トイ・ストーリー」シリーズをはじめ、多数の作品で主演を務めており、2022年には『エルヴィス』でキャリア初となる悪人役を演じ、話題になりました。

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グリフ・ギブソン将軍役/ジェフリー・ライト

ジェフリー・ライト
©Medias/Abaca//Newscom/Zeta Image

グリフ・ギブソン将軍は、ジュニアスターゲイザー賞の主催者です。 ギブソン将軍を演じるジェフリー・ライトは、1996年に画家ジャン・ミッシェル・バスキアの伝記映画『バスキア』で主人公を演じ注目を集めました。その後もジム・ジャームッシュ監督の『ブロークン・フラワーズ』(2005年)や「007」シリーズのフェリックス・ライター役などで、幅広く活躍しています。

ヒッケンルーパー博士役/ティルダ・スウィントン

ティルダ・スウィントン
WENN.com

アステロイド・シティの天文台の科学者であるヒッケンルーパー博士。 博士を演じるティルダ・スウィントンは、ウェス・アンダーソン作品の常連で、『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014年)や『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2021年)などに出演しています。

テレビ番組の主催者役/ブライアン・クランストン

ブライアン・クランストン
Dennis Van Tine/Future Image/WENN.com

アンソロジーテレビ番組の司会者を演じるのは、ブライアン・クランストン。 『マルコム・in the Middle』(2000年〜2006年)で知名度を上げた彼は、ドラマ『ブレイキング・バッド』(2008年〜2013年)で世界的にブレイク。映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(2015年)で主演を務めました。 ウェス・アンダーソン作品では、ストップモーションアニメ映画『犬ヶ島』(2018年)で声の出演をはたしました。

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劇作家役/エドワード・ノートン

エドワード・ノートン
©︎Warner Bros./Photofest/zetaimage

コンラッド・アープは、伝説の劇作家です。 演じるのは、1996年の映画『真実の行方』に出演した彼は、同作でゴールデングローブ賞やアカデミー賞の助演男優賞にノミネートするなど、鮮烈なデビューを飾ったエドワード・ノートン。彼はその後も『アメリカン・ヒストリーX』(1998年)や『ファイト・クラブ』(1999年)、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014年)など数々の作品で、卓越した演技力を発揮しています。 彼もウェス・アンダーソン作品常連俳優の1人です。

シューベルト・グリーン役/エイドリアン・ブロディ

エイドリアン・ブロディ
©PHOTOPQR/NICE MATIN/MAXPPP

シューベルト・グリーンは、テレビ番組のディレクター。 演じるのは、こちらもウェス・アンダーソン作品常連俳優のエイドリアン・ブロディです。2002年公開の『戦場のピアニスト』でアカデミー賞主演男優賞を受賞した彼は、『ミッドナイト・イン・パリ』(2011年)やNetflix映画『ブロンド』(2022年)などにも出演しています。

難解?ウェス・アンダーソン作品はここに注目しよう

①こだわりの詰まった画面構成

『アステロイド・シティ』(2023年)
© Focus Features/Photofest/Zeta Image

ウェス・アンダーソン作品の特徴といえば、やはり独特の色彩とおしゃれなディテールです。 パステルカラーが多く使われたセットや背景を、コントラスト低めでふんわりとしたイメージを作り上げるのが彼の真骨頂。そこにキャラクターが身につけるおしゃれで鮮やかな原色の衣装や装飾品がアクセントを添えます。 カットはすべてが絵画のように計算され、美しい構図で映し出されます。パステルピンクやミントグリーンのような優しい色合いが組み合わさった、おしゃれな映像を愛するファンも多くいます。

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②個性的な登場人物

『アステロイド・シティ』(2023年)
© Focus Features/Photofest/Zeta Image

個性的なキャラクターたちも、アンダーソン作品の魅力の1つ。チャーミングでどこか滑稽なキャラクターが、ストーリーを引っぱっていきます。 また彼の作品にたびたび出演している常連俳優も多く、大学時代からの朋友であるオーウェン・ウィルソンをはじめ、ビル・マーレイ、ジェイソン・シュワルツマン、アンジェリカ・ヒューストン、ティルダ・スウィントン、エドワード・ノートン、エイドリアン・ブロディなど、錚々たる面々が共演する作品も多数あります。

③独特なテンポ感で進むプロット

グランド・ブダペスト・ホテル、ウェス・アンダーソン
©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

アンダーソンの作品は、そのオフビートなテンポで進むプロットも特徴としています。 静かに淡々とストーリーが進んでいたかと思いきや、突然思いもよらない出来事が起こったり、しかしキャラクターたちがそれに大げさに反応するわけでもなかったり、独特なテンポ感で進むストーリーも楽しみの1つです。

④お洒落度高めなサントラ

ダージリン急行
© Fox Searchlight/zetaimage

アンダーソン作品は映像だけでなくサントラもおしゃれです。クラシックからパンクロックまで、幅広いジャンルから選び抜かれた楽曲が、作品を彩ります。 なかでも『ダージリン急行』に登場したザ・キンクスやザ・フーなど1960年代のブリティッシュ・ロックが多用され、映像だけに留まらないウェス・アンダーソンのセンスの良さを感じさせてくれます。

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監督はウェス・アンダーソン

ウェス・アンダーソン
©Vandeville Eric/Abaca/Newscom/Zeta Image

『アステロイド・シティ』の監督を務めるのは、独特の色彩と世界観で人気を集めるウェス・アンダーソンです。本作は彼が脚本も兼任し、第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されました。 2001年の『ザ・ロイヤル・テネンバウムス』がアカデミー賞脚本賞にノミネートされて以来、常に注目を集めつづけ、同作で共同脚本を務めたオーウェン・ウィルソンやビル・マーレイらは彼の作品の常連俳優として知られています。

映画『アステロイド・シティ』のあらすじをネタバレありで復習しよう

ファン待望のウェス・アンダーソン最新作『アステロイド・シティ』は、2023年9月1日に日本公開されました。 予告編から、監督の変わらない世界観が伝わってくる本作に期待は高まる一方。ミステリアスなプロットも注目を集めています。 あらすじを復習して映画への理解を深めてみてはいかが?