これであなたもSFマニア! 上級SF用語を徹底解説!【ウラシマ効果って何?】

2017年8月14日更新

SFにより詳しくなるべく、今回は作中で何気なく触れられるような難しめなSF用語を解説します。これから登場するSF用語は作品のテーマとなるような重要なワードは少ないですが、そんな細部にこそ注目してあなたもSFマニアを目指しましょう。

ちょっと難しい上級者用のSF用語を解説!これでSF博士!

近年のSF作品ではより高度な科学考証が求められ、用語としては専門的で難しい言葉が多く登場するようになりました。それだけ現実がSFの世界へと近づいてきた証拠でもあります。 今回はSF用語上級編ということで、よりコアな用語13個を解説します。その内容は過去の空想に過ぎなかったものから、科学技術によって実現したものまで実にさまざま。SF映画をより楽しむためにも、難しいSF用語のイメージをさらっと掴んでおきましょう!

シンギュラリティー

シンギュラリティー(技術的特異点)は、人工知能の世界的権威であるレイ・カーツワイルによって提唱された、人工知能が人間の能力を超えることで起きる出来事です。特に人工知能が自ら再帰的にさらに優秀な人工知能を開発できるようになることで、もはや予測不可能なスピードで技術革新が進み、2045年にその特異点を迎えるとされています。 SF映画では『攻殻機動隊』や『マトリックス』はまさにシンギュラリティ以後の世界として想起されます。また、クリストファー・ノーラン監督、ジョニー・デップ主演の『トランセンデンス』では、さらに違った角度からシンギュラリティに迫っています。

モノリス

モノリスは、一枚の岩を意味する言葉でギリシャ語とラテン語を語源としています。オベリスクや彫像などの人工物、エアーズロックなどの自然物どちらもモノリスに含まれます。 SFの世界においてはキューブリック監督の『2001年宇宙の旅』で宇宙から飛来した謎の石柱をモノリスと呼び、以降謎の物体としてのモノリスを扱ったSF作品が登場してきます。こうしたモノリスは人類より上位の存在や、高度に発達した文明からの贈り物であり、作品としては人類の進化をテーマとすることが多いです。 2016年に公開されたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の映画『メッセージ』はそうしたSFの文脈を継承した優れたエンターテインメント映画として評価されています。

エントロピー

エントロピーは分子の乱雑さを数値化したものです。たとえば、整頓された部屋よりは散らかった部屋の方がエントロピーが大きいと言えます。これは熱力学の分野で生まれた概念で、その後統計力学、情報理論などに応用されました。エントロピーの性質としては熱力学第二法則ともいわれるエントロピー増大則があり、外部からの熱の出入りがない場合、エントロピーは常に増大するとされています。 これを応用してSFでは、宇宙を一つの閉鎖された空間とみなした場合、宇宙全体のエントロピーは増大し続け必ず滅びる(熱的死)と仮定され、そういった意味でエントロピーという言葉が使われることも多いです。もちろん宇宙が有限でなかった場合はこの仮説は通用しません。 日本では『魔法少女まどか☆マギカ』に登場する侵略者インキュベーターのセリフにたびたび登場し、一躍知名度が上がりました。

アステロイド

アステロイドは小惑星のことで、太陽の周りを公転する天体の中でも惑星よりサイズが小さいものをそう呼びます。現在観測されている小惑星の多くは、火星と木星の軌道の間にあるアステロイド・ベルト(小惑星帯)に存在しています。 アステロイド・ベルトはスペースオペラなど宇宙を舞台にしたSFではしばしば登場し、アステロイドに鉱物資源を求めたり、あるいは岩石が浮かぶ危険な場所として恐れられたりと実にさまざまです。

ウラシマ効果

ウラシマ効果とは、物体は光速に近づくほど時間がゆっくり流れるという特殊相対性理論に基づいた現象の通称です。ウラシマ効果によれば、宇宙飛行士が亜光速(光に近い速度)で宇宙のどこかへ行き、そして地球へと帰ってきた場合、地球では宇宙飛行士が経験した年数よりも長い年月が経過していることになります。 この状況が『浦島太郎』の出来事に似ているためにウラシマ効果と名前が付けられています。海外でも通じる用語ですが、英語圏ではこれによく似た小説『リップ・ヴァン・ウィンクル』からとってリップ・ヴァン・ウィンクル・エフェクトと呼ぶ方が一般的です。 ウラシマ効果を扱った作品としては、「エヴァンゲリオン」シリーズの監督である庵野秀明が監督したOVA『トップをねらえ!』が有名です。また、2014年の映画『インターステラー』でもウラシマ効果+高重力による時間のずれが描かれています。

永遠市・相対性人

ウラシマ効果と関連性の高い用語として、永遠市や相対性人という用語があります。これは旧ソ連のSF作家アレクサンドル・コルバコフが生み出した言葉です。コルバコフは小説『宇宙の漂泊者』において、宇宙で長い距離を亜光速航行したことにより地上人と時間のズレが生じた人々を相対性人、そんな相対性人たちが住む街を永遠市とそれぞれ名付けました。 こちらは2017年現在では手に入りにくいですが、講談社文庫の『千億の世界 海外SF傑作選』に収録されています。

テスラコイル

テスラコイルは高周波・高電圧を発生させる共振変圧器のことです。テスラコイルの発明者でもある19世紀の発明家ニコラ・テスラは、アメリカの電力システムにおいてトーマス・エジソンとライバル関係にあったことも有名な人物です。 テスラコイルを共振させると稲妻のような放電現象が起こるのが特徴的で、80年代映画の特殊効果として使われたことがあります。映画『ターミネーター2』ではアーノルド・シュワルツェネッガーの出現シーンに使われています。 また、都市伝説として巨大テスラコイルを使った軍事実験フィラデルフィア計画があり、これは『フィラデルフィア・エクスペリメント』として映画化されています。

ロシュの限界

ロシュの限界(ロッシュ限界)とは、衛星や惑星がその主星にある一定以上近づくと、潮汐力(ちょうせきりょく)によって破壊されてしまうというその限界距離のことです。理論の生みの親であるフランスの天体力学者エドゥアー・ロシュに由来しています。同様に、小惑星などの小型の天体がロシュの限界の内側に入った場合も破壊され、これは潮汐分裂と呼ばれます。 ロッシュ限界はSFではお馴染みの言葉ですが、2016年の『君の名は。』でもティアマト彗星が落ちてくるシーンで描かれており、ロッシュ限界のフレーズが登場しています。

光子帆船・太陽帆船

光子帆船や太陽帆船は、別名宇宙ヨットとも呼ばれる、巨大な帆に光を反射することで推力を生み出している宇宙船のことです。長らくSFの世界でだけ登場する技術に過ぎませんでしたが、NASAを始めとして世界各国で研究が進み、2010年に日本のJAXAが打ち上げたソーラー電力セイル実証機IKAROSが初めて太陽帆航行を実現しました。 SF作品としては、アーサー・C・クラークの『太陽からの風』が太陽帆を扱った名作SFとして知られています。映画では『トロン』や『スターウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』などでも、作品を盛り上げるガジェットのひとつとして登場しています。

センス・オブ・ワンダー

センス・オブ・ワンダーはSF作品の本質や楽しみを語る際によく使われる言葉です。定義も曖昧で、非常に感覚的な概念ですが、SF的なアイデアや全く新しいイメージに触れたときに感じる、ワクワクや驚きを表現する場合に使われることが多いです。SF界のビッグ3の一人アイザック・アシモフも著作の中で「SFにはセンス・オブ・ワンダーが必要」という旨の言葉を残しています。 ストーリー性やリアリティとは切り離して、このセンス・オブ・ワンダーがあるかどうかもSFにおいては重要視されます。実際に科学とSFが互いに刺激し合って発展してきているのは、こういった驚きに満ちたアイデアという部分で共通しているからかもしれません。

ベム(BEM)

ベム(BEM)はBug Eyed Monsterの略語で、初期のSFに登場した大目玉の怪物です。特に、ヒーローが悪を打ち倒し、囚われの美女を救いだすといった話を典型とするスペース・オペラにおいては、異星人・マッドサイエンティストなどとともにベムが悪役を担い、その頃のパルプ・マガジン(大衆向け雑誌)の表紙を飾ることも多かったようです。 ですが、時代が進むにつれて、敵役や宇宙人にも科学的な合理性が必要とされるようになり、近年のSFになるほど登場することは少なくなっています。

パンゲア大陸・ゴンドワナ大陸・ローラシア大陸

過去のSF作品の舞台といえば、宇宙、未来そして超古代でした。そうした超古代SFに登場するのがパンゲア大陸、ゴンドワナ大陸、ローラシア大陸といった超大陸です。ドイツの気象学者アルフレート・ウェーゲナーが唱えた大陸移動説や、現代のプレートテクニクス理論によると、かつて地球上の大陸は一つの超大陸パンゲア大陸であったと言われています。 こうした超大陸は何億年のスパンで分裂と衝突を繰り返し、ジュラ紀中期にあたる1億8000年前ころに、パンゲア大陸は北半球のローラシア大陸と南半球のゴンドワナ大陸に分裂しました。そこからさらに時代が進んで現代の五大陸になったとされています。