【ネタバレ考察】『変な家』最後のシーンで真犯人がわかる?左手供養の真相から映画と原作の違いまで解説
『変な家』の作品概要・あらすじ
タイトル | 『変な家』 |
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公開日 | 2024年3月15日 |
上映時間 | 110分 |
監督 | 石川淳一 |
キャスト | 間宮祥太朗 , 佐藤二朗 , 川栄李奈 |
『変な家』のあらすじ【ネタバレなし】
オカルト専門の売れないユーチューバー・雨男こと雨宮は、あるときマネージャーからある家の間取りについて相談を持ちかけられます。奇妙な間取りに興味を持った彼は、知人の建築士・栗原に連絡。大のミステリー好きで、妄想家の彼は、雨宮とともにその家の謎を解明しようとします。 雨宮がこの家についての情報をネットにアップすると、柚希という女性が「変な家」の情報を知っていると連絡してきますが……。
【ネタバレ】映画『変な家』結末までのあらすじ
依頼人・宮江柚希の正体ともう一つの「変な家」

例の「変な家」の2階の子供部屋は二重扉が設置され、トイレは備え付け、窓は1つもなく、まるで子どもの存在を隠すように設計されていました。その間取りから、この家では子どもを使って殺人が行われていたのでは、という突拍子もない推理をする栗原。 雨宮の動画を見て連絡を取ってきた柚希は、この家で自分の夫が殺された可能性があると話し、その住人が以前に住んでいたかもしれない埼玉の家の間取りを彼に見せます。たしかに2つの間取りには奇妙な共通点がありました。 その後、雨宮と柚希は東京の家に侵入し、子供部屋と浴室がつながっているのを確かめます。 そんななか、柚希がこの家に住んでいた片淵夫婦の奥さんの妹であることが判明。彼女は行方不明になった姉・綾乃を探していたのです。半年前、綾乃は柚希のもとにやってきました。その際に東京と埼玉の家の住所を教えられましたが、その後また姿を消してしまいます。 さらに柚希は、父の実家も間取りがおかしかったと言います。その家には長い廊下があり、その先には仏壇、右側には開かないふすまがあったと話しました。
一家に伝わる忌まわしい儀式
柚希の実家である片淵家が変な家の真相を握っているとにらんだ雨宮たち。彼らは柚希の母・喜江に実家の話を聞くことにしました。しきりに「本家には近づくな」と言う彼女の忠告を無視し、話を聞いた雨宮と柚希は長野にある本家へ。そこで2人は、祖父母と叔父の清次に会います。 綾乃と彼女の夫・慶太とも再会した柚希ですが、甥である浩人の姿がありません。怪しんでいると、柚希は薬を飲まされて倒れてしまいます。数時間後に目を覚ますと、雨宮と栗原がそばにいました。 片淵本家に雨宮たちが向かった後、栗原はとある違和感に気づき、再び喜江を訪ねていました。家の中から雨宮を襲った仮面と幻覚剤を見つけた栗原は、彼女を問いただし、「左手供養」という儀式の存在を知り、雨宮たちのもとへ駆けつけたのです。 真相を暴くべく、雨宮たちは再び片淵本家に戻り、仏壇の裏に隠し通路を発見します。進んでいくと祭壇があり、2つの左手のミイラが供えられていました。さらにその奥の牢屋に仮面を被った子どもが監禁されていました。
【結末】不可解な間取りの真相とは?衝撃のラスト!

雨宮は栗原、柚希、綾乃、慶太とともに捕らえられます。高校時代に綾乃に出会った慶太は「左手供養」のことを知っており、儀式を行う子ども・桃弥を育てる条件で綾乃と結婚しました。しかし桃弥とともに暮らすうち、儀式を渋るようになった2人。それを許さなかった本家は、彼らの実の子供である浩人を人質に2人を監禁していたのです。 その話を知った雨宮は、東京にあった変な家の隠し通路は、いざというとき桃弥を隠すためのものではないかと考えます。推理を聞いた綾乃はただうなずきました。 そんななか、重治が桃弥に雨宮の左手を切り落とすように言いますが、彼にはできません。慶太が清次と乱闘しているすきに、雨宮、綾乃と浩人、桃弥は外へ逃げます。彼らは迎えに来ていた喜江の車に飛び乗り、無事に逃げました。 その後、3人は喜江の家で一緒に暮らすことに。しかし柚希はあるとき綾乃と喜江が次の「左手供養」について話しているのを聞いてしまいます。
映画『変な家』の真相をネタバレ解説!左手供養の真相とは
すべての原因は左手供養に

片淵家には「左手供養」と呼ばれるしきたりがありました。生まれつき左手のない子どもが生まれた場合、その子は人目に触れずに育てられ、10歳になったら片淵家の分家の人間を殺させ、その左手を仏壇に備えます。これを13歳になるまで毎年行わなければいけないという決まりです。 かつて莫大な財産を築いた片淵家。明治時代、タカマウシオという女中が片淵家当主の子供を授かります。それに気づいた本妻の暴力で流産したタカマウシオは、座敷牢の中で自ら左手を切断し自死しました。 そこから、片淵家には左手のない子供が生まれるようになり、当時の党首である宗一郎は、これをタカマウシオの呪いであると思い込みます。そしてある呪術師の言いつけに従って、「左手供養」のしきたりを始めました。 綾乃と慶太は次に「左手供養」を行う子どもとして桃弥を育てていましたが、彼に人殺しはさせられないと、殺人を偽装しました。一連の事件は、「左手供養」が行われていると見せかけるためのものだったのです。
綾乃と慶太が犯した罪とは?
柚希と綾乃のいとこである桃弥は生まれつき左手がなく、「左手供養」を行わなければならない子どもでした。さらに彼の兄・洋一が幼くして亡くなったため、綾乃が「左手供養」の監視者になります。のちに彼女の夫となった慶太は、高校時代に彼女から「左手供養」のことを聞いていました。 そしていよいよ「左手供養」を行わなければならなくなったとき、綾乃と慶太はあたかも儀式が行われているかのように見せかけるため、殺人を偽装します。例の変な間取りの家を建てて桃弥を隠した慶太は、タイミングよく自殺した宮江恭一の遺体から左手を切り落とし、桃弥が殺したように見せかけました。 綾乃と慶太は「左手供養」を行わなかった罪で、監禁されていたのです。
最後のシーンの意味を徹底考察!真犯人は誰?後日談の意味とは
最後のシーンで示された真犯人は喜江?

綾乃と慶太は、東京の家での殺人には関わっていませんでした。雑木林で遺体が発見された事件の犯人は、母・喜江だったのです。彼女がホームレスへの炊き出しボランティアを行っていたのは、「左手供養」のために、足のつかないホームレスの死体から左手を切断するためでした。彼女はこれを綾乃たち夫婦に送り、2人は2回目の儀式を行っています。 一連の事件の後、綾乃は桃弥とともに喜江のもとに身を寄せます。綾乃が「もうすぐよね。今年の左手供養」と言うと、喜江は「大丈夫よ、お母さんがまたなんとかしてあげるから」と答えます。どうやら綾乃と喜江の、「左手供養」をつづけなければいけないという洗脳は解けていないようです。 また喜江についてはさまざまな考察がされています。たとえば柚希が初めて雨宮のアパートを訪ねたとき、廊下の陰にいた不自然な人影は、柚希を監視していた喜江だったのではないかとも考えられています。
左手供養は終わっていない?後日談の意味
ラストシーンでは、喜江と綾乃が次の「左手供養」について話しており、喜江の視線の先にはホームレスがいました。彼女はすでに次の犠牲者を物色しているのでしょう。カルトのような村から逃れた喜江と綾乃でしたが、まだ片淵家に伝わる忌まわしい儀式をしなければならないという洗脳は解けていないようです。 2人を洗脳したのは、おそらく喜江の夫で綾乃の父である宗彦だと思われます。宗彦は家庭内暴力で喜江を支配し、成長した綾乃のことは自分の後継者として見ていたのでしょう。そうして2人に“呪いを避けるために「左手供養」を行わなければならない”と思い込ませたのです。 しかしその後、宗彦は精神のバランスを崩し、片淵家本家の人間か森垣清次に殺害されたのではないでしょうか。 家庭という閉ざされた空間で、洗脳という呪いを受けた喜江と綾乃は、その主導者だった宗彦が“事故死”しても、そこから抜け出せていません。彼女たちの呪いはまだ解けておらず、それを避けるためには「左手供養」という儀式を行わなくてはならないと思い込んだままです。今後も殺しの儀式はつづいていくことでしょう。
【ラスト】雨宮のアパートの間取りや慶太の行方についても考察
雨宮のアパートの間取りも怪しい?

片渕家の事件の真相が解明された後、栗原は喜江はどうやって雨宮の家に侵入したのか、また喜江に襲われる直前のドアを叩く音はどこからしたのか、と疑問を口にしました。 栗原が雨宮のアパートの間取りを見てみると、そこにも謎の空間が。壁の下からは蛆が湧いていて、中から壁を引っかく音が聞こえてきます。 この不気味なラストシーンは、「変な家」が他人事ではなく、身近に潜んでいるかもしれないと観客に恐怖を与えるものになっています。
慶太の行方は?
綾乃の夫・慶太は、3回目の左手供養をしようとしていたときに隙を見て綾乃や子どもたちを逃がし、1人残って森垣と戦いました。映画のラストでは綾乃が「慶太が帰ってくるのを待っている」と言っており、彼は行方不明になっているのがわかります。慶太は一体どうなったのでしょうか。 可能性として考えられるのは、慶太は森垣に殺されたということです。森垣の狙いは片渕家の財産でした。彼はそれを手に入れるために邪魔になる柚希と綾乃の父親は森垣に殺したと考えられます。これで森垣は親戚筋である自分が片渕家の財産を手に入れられると考えていたのかもしれません。 しかし綾乃が慶太を婿養子として迎えたことで、本家は存続することになります。森垣は片渕本家の次期当主となりうる慶太を殺害したのではないでしょうか。
隣の家のおばさんの正体
東京にある「変な家」の隣には、あるおばさんが住んでいました。彼女は家の中に桃弥がいるのを目撃し、写真を撮って雨宮にそのことを伝えます。しかしここで1つ疑問なのは、なぜ彼女は柚希が綾乃の妹だと知っていたのかということです。 半年前に姉妹が再会したのは、綾乃が柚希のもとを訪ねたときなので、柚希が綾乃の東京の家を訪れたことはありません。 実は隣のおばさんは、片渕家の関係者で綾乃を監視していたのかもしれません。あるいは喜江の協力者で、雨宮を巻き込んで片渕家を崩壊させる手助けをしていた可能性もあります。
最後の窓の意味を解説
原作のYouTube動画と小説版では、栗原が見逃した最後の謎として、客用の寝室とリビングの間に窓がありました。いったいこの窓はなんのためにつけられたのか、という謎を残したまま原作は終わっています。 一方、映画版では「変な家」の間取りは変更されており、客用の寝室には外に向いた窓はありますが、リビングとの間に窓はありません。 小説版では、そもそも1階の寝室は慶太が使用していました。もともとは桃弥を監視するため、浩人が誕生した後は、本家の人間の侵入を防ぐために使われていたのです。重治の思惑である殺人に役立てるためではなく、部屋の中から外を確認するために使っていたのではないでしょうか。 原作動画、小説ではこの謎を残すことで視聴者または読者に不気味な後味を残しましたが、映画では、雨宮のアパートの間取りにもおかしな点があるという展開を盛り込み、自分の家にもなにかあるのでは、と観客に思わせる不気味なラストに変更したようです。
『変な家』映画と原作の違いは?
原作と映画の大きな違いは、後半の因習村的な要素が原作にはない点です。雨宮が部屋で何者かに襲われたり、恐ろしい儀式に巻き込まれたり、不気味な村人たちが現れたりという展開もなく、このあたりはホラー要素を強めるために映画で改変された部分です。 また、桃弥を救うために雨宮たちが行動するところからはほぼ映画オリジナルと言ってもいいでしょう。「左手供養」は、原作では子どもに親類を殺させるという儀式でしたが、映画では誰の手でも良いような状態になっていきます。 そのほか分家に関する話が出てこないことや、タカマウシオに関する設定も原作とは大きく違っています。
作品の雰囲気にも違いが?
映画と原作の雰囲気を比較すると、映画のほうがよりホラー寄りの作品になっています。 原作は、じわじわと「何かがおかしい」気味の悪さが持ち味でしたが、映画ではジャンプスケアを用いたホラー演出が強くなっています。そのため、原作と同じ怖さを求めて鑑賞した人の中には、「思っていたのと違う」という感想を持つ人も。 ちなみに、『変な家』のストーリーは、実話ではなくフィクションです。「左手供養」という因習も架空のもので、完全にフィクションとなっています。
漫画『変な家』の結末ネタバレ
オカルト専門ライターの「私」は、ある日知人から購入を検討しているという家の間取りを見せられます。知人はその家にある謎のスペースが気になるとのこと。 「私」がオカルト好きの建築士・栗原に意見を求めると、彼は次々とその家の不可思議な点を指摘していきます。
3つの間取りの謎「子供部屋と仏壇」
本作には3つの不可思議な間取りの家が登場します。1階に謎の空間があって、2階の窓なしの子供部屋が家の中央にある家・謎の部屋と三角形の部屋がある家・開かずのふすまがある家の3つです。 最初の家の謎の空間は、死体を運ぶために利用されていたものだと判明しました。さらに子供部屋が家の中央にあるのは、子供の存在を近所に悟られないようにするため。部屋のドアが二重になっていたのも、子供を完全に閉じ込めるためです。 そして2つ目の家の謎の小部屋は、地下室への入り口です。増設された三角部屋も、2人の子供を会わせないよう育てるためだと判明しました。 さらに3つ目の家の開かずのふすまの先には、誰も入れないような隠しルートがありました。和室と和室の間の細い廊下を通ると、和室の裏から仏壇へ繋がる新たな道が発見されます。
遺体の共通点は「左手」
発見された遺体には共通していることがありました。それは左手首が斬られていたということ。 その理由は、間取りがおかしい家に住んでいた片淵家には「左手供養」のしきたりがあったためです。しかし生まれながらにして左手が欠損していた桃弥という子供は、掟として人を殺さなければいけませんでした。 そして宮江恭一の遺体を利用して、左手首を手に入れようとしたのです。しかし殺人事件自体にも別のトリックがありました。
事件の真犯人は……
宮江恭一を殺した犯人は桃弥だと思われましたが、実は別の人物が真犯人です。掟として人を殺さなければならなかった桃弥の手を汚させない、なんと東京の家の住人・綾乃の夫の慶太が殺人事件を偽装しました。 実際に人を殺したのではなく、片淵家の分家の者と協力して本物の死体を用意します。その死体の人物こそ、宮江恭一だったのです。そして桃弥が宮江恭一を殺したように細工をして、本家に報告しました。 しかしこの事実がバレてしまい、義祖父の重治から責められる慶太。そしてすべてを終わらせるために、重治と甥の清次を殺そうとしたのです。
『変な家』に続編はある?
原作『変な家』には、『変な家2〜11の間取り図〜』(2023年・飛鳥新社)という続編があります。ストーリーに前作との関連はありませんが、栗原の突拍子もない推理は健在。 映画がヒットしたので、続編製作の可能性も大いにあるのではないでしょうか。
原作小説の続編『変な家2』とは?
原作続編『変な家2 〜11の間取り図〜』では、フリーライターの筆者と栗原のコンビが新たに中部地方にある「変な家」の謎に挑みます。11の間取りの謎と、100ページを超える栗原の推理編は読み応え抜群です。
映画『変な家』キャスト一覧・登場人物解説
雨男(雨宮)役/間宮祥太朗

雨男こと雨宮は、オカルト専門の売れないユーチューバーです。あるとき彼はマネージャーから、ある家の間取りについて相談を受け、その謎を解明しようと動き出します。 雨男/雨宮を演じるのは、映画『殺さない彼と死なない彼女』(2019年)や「東京リベンジャーズ」シリーズなどで知られる間宮祥太朗です。
栗原役/佐藤二朗

雨宮の知人で建築士の栗原は、大のミステリー好きで妄想家な一面も。「変な家」について雨宮から相談を受け、彼とバディを組んで不可解な間取りの謎を解明していきます。 栗原を演じる佐藤二朗は、「勇者ヨシヒコ」シリーズをはじめ、数多くの映画やドラマで活躍しています。
柚希役/川栄李奈

雨宮がネットにアップした「変な家」を見て、その家の情報を知っていると彼に連絡してくる柚希。雨宮・栗原とともに真相解明に動きますが、どこか謎めいた人物です。 柚希を演じる川栄李奈は、女性アイドルグループ「AKB48」の元メンバー。グループ卒業後は女優として活躍の幅を広げ、2021年の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』ではヒロインを務めました。
映画『変な家』の監督は石川淳一
映画『変な家』の監督を務めるのは、ドラマディレクターとして知られる石川淳一です。 これまでに『メイちゃんの執事』(2009年)や「リーガル・ハイ」シリーズなどでチーフ・ディレクターを務め、2015年に戸田恵梨香主演の『エイプリルフールズ』で映画監督デビュー。本作が長編映画3作目となります。
映画『変な家』は怖い?感想・評価


原作読まずに鑑賞。もっとミステリー寄りかと思ったら、しっかりホラー要素あって驚いた。後半は若干微妙な演出もあったけど……。演技上手なキャスティング良かった!ゾクゾクする終わり方も好み

原作知ってると、後半は家の間取りの話どこ行った?感がある。監督が変わったかのように完全にホラーになる。不評っぽいので観てみたけど、思ったほど悪くなかった。
映画『変な家』を最後までネタバレ解説しました
バズ動画を原案に、映画化された『変な家』。小説化や漫画化もされている元動画から、人間の闇を覗くようなゾッとする映画になりました。 間宮祥太朗をはじめ、キャストにも注目の映画『変な家』は、2024年3月15日から全国公開中です!