映画化決定！『傷物語』原作小説を結末まで全話ネタバレあらすじ＆感想！

『傷物語』は『化物語』をはじめとする〈物語〉シリーズの原点にあたる作品。主人公・阿良々木暦が吸血鬼のような存在になった経緯が描かれます。 本記事ではそんな『傷物語』の原作小説のあらすじを結末までネタバレ紹介していきます！どんな作品か気になっている人はぜひチェックしてみてください。

『傷物語』は『化物語』の前日譚にあたる物語で、主人公である阿良々木暦が吸血鬼になった経緯が描かれています。 高校2年生から3年生に進級する前の春休み。友達を作らない主義の暦は、ひょんなことがきっかけで同級生の羽川翼と友達になりました。 彼はその夜、ひとりで出歩いていたところ両手両足を失った女吸血鬼のキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード(以下キスショット)を発見します。恐ろしさのあまり逃げ出そうとする彼でしたが、命乞いをする相手の姿に情が湧いてしまって……？

かくしてキスショットに自身の血を差し出した暦は、本来であれば命を落とすはずでした。しかしそうはならず、彼はキスショットの眷属……つまり吸血鬼として蘇ってしまいます。 彼が人間に戻るためには主であるキスショットの力が必要ですが、四肢を失った彼女は幼児の姿にしか復活できないほど不完全な状態。そのため暦はキスショットを完全体に戻すため、彼女を襲った吸血鬼ハンターたちと戦ってそれぞれから四肢を取り戻す羽目になります。 敵は全部で3人で、いずれも暦が敵うような存在ではありません。しかしそこに怪異の専門家で「バランサー」の忍野メメが現れ、彼の手助けによって自分に有利なフィールドでの戦いに持ち込むことに成功します。

ドラマツルギー、エピソード、ギロチンカッターという3人の吸血鬼ハンターとそれぞれ1対1の戦いを繰り広げることになった暦。 彼は眷属になってから手に入れた「吸血鬼の中でも最強クラス」の怪力を活かし、いずれの戦いにも勝利をおさめました。キスショットは最強の吸血鬼なので、たとえ眷属であっても暦も並外れた強さを与えられているようです。 ……ここで疑問になるのが、眷属にすぎない暦があっさり勝てるほどの相手に、なぜキスショットが四肢を奪われてしまったのか。その答えは、実は忍野がキスショットの心臓を抜いていたからでした。 忍野はもともとキスショットを排除しようとしており、本来であれば「4人目の敵」として暦と戦う予定でいたといいます。しかし彼とハンターたちとの戦いの過程で心変わりをして、無条件で暦に心臓を返します。 こうして四肢と心臓を取り返したキスショットは、とうとう完全体になるのでした。

その後キスショットが人間を食べている姿を目撃し、さらに自分の中にも「人間を食べたい」という衝動があることに気付いた暦は、自身の選択を後悔します。 そんな中、キスショットが“暦と戦ってわざと負けることで彼を人間に戻そうとしていた”ということに気付いた暦。そう、吸血鬼になった人間がもとに戻るためには、主従関係を逆転させる(＝眷属が主を殺す)必要があったのです。 その真意を知った暦は、彼女に生きてほしいという想いから、忍野に提案された「みんなが不幸になる方法」を選ぶことにします。それはキスショットの血をギリギリまで吸うことで彼女を「吸血鬼もどきの人間もどき」に、自分を「人間もどきの吸血鬼のような存在」にすることでした……。

『傷物語』は物語シリーズで2番目に発表された作品ですが、時系列でいえば1番はじめにあたります。そのため第1作『化物語』を未履修の場合も、本作からシリーズに入っていってスムーズに楽しむことも可能です。 暦とキスショット(後の忍野忍)を中心としたドラマが鮮やかに描かれているほか、バトルシーンもたっぷり盛り込まれているので見ごたえたっぷり。「怪異」や「吸血鬼」といったワードにワクワクしてしまう人には、ぜひとも一度チェックしてほしい作品です！

『傷物語』はすでに2016年に映画化されており、「鉄血篇」、「熱血篇」、「冷血篇」の三部作として公開されました。そしてこれらをひとまとめにし再構成した『傷物語 こよみヴァンプ』が、2024年1月12日に劇場公開される予定です。 編集と音響、音楽などが再構築されているうえ、声優陣による新録音もあるとのことで、ファン必見の作品になっていると思われます。