2024年4月15日更新

Netflixドラマ『三体』のあらすじ・ネタバレ!原作3部作の展開を解説

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『三体』
Netflixシリーズ『三体』3月21日(木)より独占配信

中国の作家・劉慈欣の世界的ベストセラーSF小説『三体』がNetflixで実写ドラマ化され、日本でも2024年3月21日から独占配信がスタート!この記事では、原作小説3部作のあらすじをネタバレありで紹介し、見どころを考察します。 ※本記事にはストーリーのネタバレが含まれているため、未視聴の人は注意してください。

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原作3部作の展開をネタバレ

第1部『三体』

主な登場人物

葉哲泰(イエ・ジョータイ) 理論物理学者で大学教授。妻に密告され、文化大革命で公開処刑された
葉文潔(イエ・ウェンジエ) 天文物理学者。葉哲泰の娘で楊冬の母親。父を文化大革命で処刑され、人類に絶望して宇宙にメッセージを送り続ける。三体文明と接触するきっかけとなる
楊冬(ヤン・ドン) 宇宙理論研究者。葉文潔と楊衛寧の娘。物理学が信じられなくなり、「物理学は存在しない」と言い遺して自殺する
楊衛寧(ヤン・ウェイニン ) 紅岸基地の最高技術責任者。葉哲泰の元教え子。楊冬の父親。文潔を紅岸基地に引き抜いた人物
汪淼(ワン・ミャオ) ナノ素材の研究者。史強とともに科学者自殺事件を追う。VRゲーム「三体」に触れ、三体文明の存在を知ることになる
史強(シー・チアン) テロ対策科の警察官。汪淼とコンビを組み、科学者の連続自殺事件を追う

あらすじ

1960年代の中国、物理学者・葉哲泰は当時吹き荒れていた「文化大革命」の糾弾集会で、娘の葉文潔の目の前で公開処刑されてしまいます。しかもそれは、母による密告でした。 文潔は愚かな争いを繰り返す人類に絶望し、彼女の絶望がこの物語を宇宙にまで広げていくことに。絶望の中、父の教え子だった楊衛寧にスカウトされて「紅岸基地」へ連れて行かれます。そこは巨大なパラボラアンテナを持つ中国の科学秘密基地で、文潔はそこから地球文明の情報を宇宙に発信していました。 争いが途絶えない地球文明を外部の力で立て直すべく、文潔は地球外生命体の存在を信じてメッセージを送り続けていたのです。 それから数十年後の現代、優秀な物理学者が自殺するという事件が次々に発生。物理学者たちは、みな亡くなる前に「地球三体協会(ETO)」という組織と接触していました。 警察からETOとの接触の有無を尋ねられたナノマテリアル研究者・汪淼は、これをきっかけにテロ対策の警察官・史強とともにその真相解明に乗り出すことに。捜査するうちに、「三体」というVRゲームがETOに接触する鍵であることが判明します。

ネタバレ

汪淼は事件の真相を握る鍵であるVRゲーム「三体」をプレイしたことで、ETOの存在に辿り着きました。実は三体協会のトップにいたのは、葉文潔だったのです。 彼女が送信していた信号を受信したのが別の恒星系に住む「三体星人」で、文潔は彼らを地球に招き入れ、人類を一掃する計画を企んでいました。 三体文明は3つの太陽が不規則な動きをしているため寒暖差が激しく、文明は廃れたり栄えたりの繰り返しで非常に過酷な環境。三体星人は移住先を探しており、地球に目星をつけていました。 三体星人が地球に辿り着くのは400年後。それまでに文明の発展を妨げるため科学者を亡き者にしたり、「智子」というナノマシンを地球に送り込んで人類の情報を収集していました。さらに地球文明を批判する協力者を集めてETOを組織し、三体星人の受け入れを秘かに準備していたのです。 その準備のために作られたのがVRゲーム「三体」。三体文明の環境と歴史を再現したゲームであり、侵略する前の予備知識として地球人に与えることが目的でした。 ETOの目的と三体星人の侵略を知った汪淼と史強は、ETO移動本部である巨船を急襲。主力の殲滅に成功しますが、地球文明よりはるかに進んだ技術力によって創られた「智子」を制圧することはできません。その間も、三体星人の侵略艦隊は太陽系に迫りつつありました。

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第2部『三体Ⅱ 黒暗森林』

主な登場人物

羅輯(ルオ・ジー) 元天文学者。大学教授。面壁作戦の1人に選ばれ、「暗黒森林理論」によって三体文明と最後の交渉に挑む
史強(シー・チアン) 元警察官で羅輯の警護担当。羅輯に協力して彼の理想の恋人を探す
葉文潔(イエ・ウェンジェ) 地球三体協会の指導者。面壁計画に対抗する破壁人を派遣する
フレデリック・タイラー 元米国国防長官。面壁者の1人で、水素爆弾を積んだ大量の飛行部隊による爆撃作戦を考案
マニュアル・レイ・ディアス ベネズエラ大統領。面壁者の1人で、水星に100万発以上もの水爆を用意して攻撃する作戦を考案
ビル・ハインズ イギリスの脳科学者。人間の脳を拡張させる研究で、妻の山杉恵子と共同でノーベル賞にノミネート。面壁者の1人で、洗脳技術を作戦に活用

あらすじ

三体星人が地球に迫りくる中、人類は一般にも三体星人の情報を解禁し、西暦を「危機紀元」に改めて彼らとの戦いに備えることに。国連は惑星防衛理事会を設立して、太陽系の防衛計画の一環として宇宙軍を創設します。 作戦は智子によって三体星人にすべて筒抜けになっていましたが、実は智子には人間の思考は読むことができないという弱点がありました。そこで、人類は「面壁計画」を考案。人類の中でも最高の頭脳を持つ4人を選抜して「面壁者」とし、彼らに権限を与えて頭の中だけで作戦を考えさせる計画です。 その4人とは、米国の元国防長官タイラー、現職のベネズエラ大統領ディアス、ノーベル賞ノミネート科学者ハインズ、そして宇宙社会学者・羅輯。 三体文明は面壁者に対抗し、地球三体協会に直接指示を出して、4人の「破壁人」を任命します。羅輯は4人の中では無名でしたが、実は三体文明がただ1人恐れる地球人であり、それは文潔から「宇宙社会学の公理」を伝授されていたからでした。 面壁者たちの計画がETOから送り込まれた破壁人に暴かれていく中、三体文明から発信されたとみられる水滴型の宇宙探査機が発見されます。この探査機捕獲のため、2000隻以上からなる宇宙艦隊が派遣されますが、たった1機の探査機によって宇宙艦隊は壊滅してしまいました。

ネタバレ

宇宙艦隊の惨敗はのちに「終末決戦」と呼ばれ、さらに人類同士が争う「暗黒の戦い」を経て、最終的に生き残ったのは2隻の戦艦のみ。一方、羅輯は史強が探し出した「理想の恋人」と結婚し、娘をもうけて幸せな隠遁生活を楽しんでいました。 面壁者としての任務を放棄していたため、国連惑星防衛理事会の策略によって妻子が失踪。羅輯はいよいよその使命と向き合わざるを得なくなり、ある極寒の湖上で宇宙文明の真理を悟ることになります。 つまり今われわれは、宇宙という「暗黒の森」の中で、異星文明という無数の狩人たちから身を潜めている状態。他の生命を発見したと同時にできるだけ早く引き金を引くことしかできないということ。羅輯はこれを「暗黒森林理論」と名付け、三体文明と最後の交渉に挑みます。 「黒暗森林理論」とはいわゆる抑止力であり、他の恒星系に存在する知的生命体に三体文明の星の座標を発信すること自体を侵略の脅威として受け止めさせること。これこそが羅輯が研究していた宇宙社会学であり、抑止力をもって争いを回避する方法でした。 三体文明は羅輯の脅迫に近い交渉を受けるほかなく、こうして地球文明と三体文明の間に「暗黒森林抑止」が成立します。三体文明の技術供与によって地球上には巨大な重力波アンテナが構築され、お互いの文明間で文化交流も始まり、束の間の平和が訪れるのでした。

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第3部『三体Ⅲ 死神永生』

主な登場人物

程心(チェン・シン) 航空宇宙エンジニア。国連惑星防衛理事会の戦略情報局にアシスタントとして就職し、階梯計画のメンバーとなる
艾AA(アイ・エイエイ) 天文学の博士課程に在学中の大学院生。程心のアシスタントとなる
雲天明(ユン・ティエンミン) 程心の大学時代の同級生で、程心に恋心を抱いている。階梯計画の任務執行者で、末期がんにより安楽死を決意する
トマス・ウェイド 国連惑星防衛理事会・戦略情報局の元長官。程心の上司で、三体文明にスパイとして「脳」だけを送り込むことを提案
関一帆(グァン・イーファン) 宇宙論研究者。宇宙艦隊「万有引力」に乗船しており、ある恒星で程心と出会う
羅輯(ルオ・ジー) 元面壁者。三体文明との暗黒森林抑止を守る執剣者。程心に執剣者を引き継ぐ
智子(ヂーヅー/ともこ) 三体文明が遠隔で操作する智子に制御されている女性型AIロボット。程心と交流を持つ

あらすじ

面壁計画と同時に、実は水面下ではもう1つの計画「階梯計画」が進行していました。 国連惑星防衛理事会の戦略情報局でアシスタントを務める航空宇宙エンジニアの程心は、三体文明の艦隊にスパイを直接送り込む「階梯計画」のメンバーになります。計画を主導する戦略情報室は、三体文明に計画が察知されることは承知の上で、彼らはスパイであっても貴重なサンプルとして回収すると予測していました。 ただし三体文明の艦隊に到達するためには光速1%で移動しなければならず、人間の身体では重すぎるという難題が。そこで、安楽死した末期がん患者の「脳」だけを宇宙に送り出すという驚きの方法が考案されます。階梯計画の実行者として選ばれたのは、程心の大学の同級生で、彼女に恋心を抱いていた雲天明でした。 階梯計画が実行された後すぐ、程心は他の面壁者と同じように計画の成否を確認するためにコールドスリープに入ります。目覚めた時に程心が見たのは、三体文明からの技術によって高度に発展した地球文明でした。 年号も「抑止紀元」となって数十年経ち、三体と地球2つの異文明が共存共栄する世界。終末決戦から半世紀が過ぎても、いまだ暗黒森林抑止によって地球と三体の文明間は絶妙なバランスを保ちつつ、両文明はかつてないほどに繁栄していました。

ネタバレ

約半世紀の間、暗黒森林抑止の「執剣者」として責務を追ってきた羅輯。三体が地球を裏切った時に発動する、お互いを滅亡させるスイッチを管理してきました。しかし彼もすでに100歳を超え、執剣者は程心に引き継がれることになります。 しかし程心が執剣者を引き継いだ途端、三体文明が反撃を開始し、地球は智子に制圧されてしまいました。42億人もの人類はみなオーストラリアに移住させられ、そこで監視されることに。その頃、宇宙に出ていた戦艦「万有引力」が重力波送信することに成功し、三体星の座標を発信したため三体の母星は他の知的生命体によって消滅します。 智子も地球から撤退しますが、逆に地球も他の知的生命体からの侵略に怯えることに。三体文明に回収されていた雲天明が程心と再会を果たし、監視される中で三体文明から得た知識を3つの創作話を通して程心に伝えます。この中から地球文明を存続させる3つの案を得て、1つずつ実行していきます。 しかし程心が着手していた「光速宇宙船開発」は連邦政府によって中止させられ、いざ暗黒森林攻撃が始まるとそれが唯一の脱出手段だったことがわかります。それは3次元を2次元に“滑落させる”、つまりすべてが押しつぶされる次元攻撃。太陽系はこの攻撃によって、消滅してしまいました。 唯一開発されていた光速宇宙船に乗り、天明との約束の地である「DX3906星系」を目指す程心。侵略する生命体を2次元に閉じ込めて全滅させ、曲面推進ドライブを使って太陽系を脱出した程心は、DX3906星系で地球艦隊の生き残りである関一帆と出会い、新しい宇宙へ旅立つのでした。

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『三体』の見どころ・感想

古典力学の「三体問題」がベースになっている

『三体』
Netflixシリーズ『三体』3月21日(木)より独占配信

物語のメインキャラクターを担い、タイトルにもなっている「三体」。本作には古典物理学の難問である「三体問題」が深く絡んでいます。この問題は簡単にいえば「天体が3つある場合、それぞれの天体はどう動くのか」というもの。 「質量を持っているすべての物体に作用する引力」の存在を明らかにしたニュートンの万有引力。天体が互いの引力によってどのような軌道を描くのかは、「二体」の場合はすぐに解くことができます。しかし「三体」になった途端、解くことができない難問になってしまうのです。 三体の物体が互いに及ぼす影響がそれほどまでに複雑であることにも驚きですが、だからこそ現代でも研究され続けている深淵なテーマなのでしょうか。 この概念は物語に登場するVRゲーム「三体」のゲームクリアに関する問題そのものであり、実は第3部で重要な展開を生む地球・三体とは別の“第3の”知的生命体のことも指していると考えられます。第3部では三つ巴の戦いが展開され、第3の生命体の動きが非常に重要になりました。 「三体問題」同様に、予測不可能な動きをする三者三様の駆け引き。それらが絡み合う時、こんなにも面白い物語が生まれるというところが『三体』の魅力です。

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物理学における「再現性」をわかりやすく説明している

本作は宇宙を舞台にしたスケールの大きな物語であり、物理学がベースになっているハードSFです。三体問題が大きく絡んでおり、三体文明のような地球外の知的生命体も登場します。現代の人類が持つ知識や技術では到底真似できない高度な知識を持つ生命体がもし侵略してきたら?という「IF」のお話です。 物理学の分野でこれまで実験して再現され、証明されてきたいくつもの「事実」が、もしかしたら「再現」できないのでは?と不安を抱くことはあるでしょうか?私たちは物理の法則は絶対であると信じている節がありますが、常に一定の法則を持ってある現象が再現されるのは、あくまでも仮定にすぎないかもしれないのです。 「物理学の再現性」について、物理学者の丁儀が説明する場面があります。これが『三体』世界を表現する重要なポイントで、地球より高度な文明によってもたらされた知識や技術が、これまでの物理学を覆すこともありうるという伏線になっています。 ありえない実験結果が出たことで楊冬が「物理学は存在しない」と言い遺して自殺するエピソードは、まさにその布石になっているのです。地球は3次元の世界ですが、それ以上の高次元の生命体によっていとも簡単にその世界が瓦解することもありえるかもしれません。

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中国の歴史や政治要素を知るともっと楽しめる

『三体』
Netflixシリーズ『三体』3月21日(木)より独占配信

『三体』の第1部は1960年代の中国が舞台であり、物語の重要な発端として「文化大革命」が描かれています。文化大革命は毛沢東が復権するために仕かけた大衆運動で、1966年から1976年の約10年間続きました。 紅衛兵と呼ばれる学生たちを動員し、プロレタリア文化大革命を叫んで、多くの知識人や文化人を糾弾し、互いを告発させ、死に至らしめるほどの愚行を行いました。葉文潔の父・哲泰も糾弾された知識人の1人として公開処刑され、それが葉文潔の人類への絶望を引き起こします。 現代中国史にはあまり馴染みがないという読者も、まずはこの重要なモチーフをおさらいすることで、より作品を楽しめるのではないでしょうか。

登場人物の複雑な心情変化がストーリーにより厚みを持たせる

『三体』
Netflixシリーズ『三体』3月21日(木)より独占配信

『三体』では、現在から約190年後までの実に長い時間に渡る人類と異星文明の交流・攻防を巡る壮大な物語が描かれています。そのため当然、寿命が限られている人間であるキャラクターたちは、世代交代をくり返し、中心となる人物も入れ替わっていきます。 登場人物の背景も複雑で、例えば一部のメインキャラクターである葉文潔は、幼い頃に父が処刑されるところから宇宙物理学者になり、異星人と接触します。父の件もあり、人類に絶望した彼女は異星人に好意的なメッセージを送りますが、その心境は複雑で物語の中心的なテーマの1つにもなっています。 一方、汪淼は科学の探求と倫理観の間で揺れ動き、異星人との文化の違いに葛藤するキャラクターになっています。 複雑で一筋縄ではいかない問題に、複雑な背景や心境の人間が格闘していく姿が、物語により深みを持たせています。

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『三体』ってどんな作品?

小説『三体』は、宇宙規模の物語が展開される3部作のシリーズ。著者の劉慈欣は、山東省の火力発電所職員から小説家となった理系畑の作家です。宇宙や科学への探求心が生んだ『三体』は、その知識に裏打ちされたハードSF×ミステリーで、長編ながら読者をぐいぐい引き込む魅力があります。 全世界で2900万部以上を売り上げ、2015年にはSF界で権威あるヒューゴー賞を受賞。オバマ元大統領や「Facebook」CEOのマーク・ザッカーバーグも絶賛しています。 1960年代の文化大革命に揺れる中国から始まり、謎の連続怪死事件が起こる現代、そして地球外生命体との攻防が描かれる未来とスケールが次第に大きくなっていきます。

2024年3月21日からNetflixで独占配信スタート

2024年3月21日からNetflixで実写ドラマが独占配信されている『三体』。『ゲーム・オブ・スローンズ』の制作陣が手がけることもあり、壮大なスケールを実写化するクオリティには期待が高まります。特に物語の重要なキーとなるVRゲーム「三体」の仮想現実をどう表現するかに注目! 原作小説では登場人物はほぼ中国人で構成されていますが、ドラマ版ではアジア系だけでなく多国籍キャストが出演しています。地球外生命体と人類の戦いを描く上で、人類代表として多国籍キャストにすることが考えられたようです。

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『三体』主な登場人物と相関図

『三体』相関図
© ciatr

『三体』のあらすじ・ネタバレを解説!Netflixドラマにも期待

壮大なスケールを誇る世界的ベストセラーSF小説『三体』が実写ドラマ化され、Netflixで2024年3月21日から独占配信がスタートします!これを機に、ぜひ原作小説3部作も手に取り、その世界観に浸ってみてはいかがでしょうか?