2024年2月16日更新

【ネタバレ】映画『ヴァチカンのエクソシスト』はどこまで実話?あらすじや元ネタを考察・解説!

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『ヴァチカンのエクソシスト』(2023年)
© Screen Gems/Photofest/Zeta Image

『ヴァチカンのエクソシスト』(2023年)は、実在のエクソシスト(悪魔祓い師)ガブリエーレ・アモルト神父の回顧録をもとに、ラッセル・クロウが主演を務めたホラー映画です。 この記事では、『ヴァチカンのエクソシスト』のネタバレあらすじとともに、どこまでが実話なのか、また観た人の感想や考察を紹介します。 ※この記事には『ヴァチカンのエクソシスト』の結末までのネタバレが含まれます。本編を鑑賞後に読むことをおすすめします。

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映画『ヴァチカンのエクソシスト』のあらすじ

公開年 2023年
監督 ジュリアス・エイヴァリー
キャスト ラッセル・クロウ , ダニエル・ゾヴァット , フランコ・ネロ

1987年。ローマ教皇(フランコ・ネロ)直属のチーフ・エクソシスト、アモルト神父(ラッセル・クロウ)は、教皇の命を受け、スペインに住むある少年の悪魔祓いに向かいます。 変わり果てた姿の少年は、絶対に知り得ないアモルト神父の過去を言い当て、アモルト神父はこれは病気ではなく悪魔の仕業だと確信。地元の司祭である若きトーマス神父(ダニエル・ゾヴァット)とともに本格的な調査に乗り出した彼は、やがてカトリック教会の暗い過去にたどり着きます。 そしてすべての謎が1つにつながったとき、壮絶な悪魔祓いが始まり――。

『ヴァチカンのエクソシスト』は実話?実在したのか?

『ヴァチカンのエクソシスト』は、ヴァチカンの教皇に仕え、生涯で数万回のエクソシズムを行った実在の神父ガブリエーレ・アモルトによる実話をもとにした回顧録『エクソシストは語る』もとに制作されました。 劇中でも語られているとおり、悪魔憑きの報告の約98%はなんらかの精神疾患によるもので、本物の悪魔憑きは約1%〜2%程度だそうです。アモルト神父はそれを慎重に見極めながら儀式を行っていきます。 教皇庁大学のエクソシズムの講義では、霊的存在があることは前提としつつ、学ぶ内容にはスピリチュアルなものはほとんどなく、心理学、精神医学、社会医学を主体とした客観的な内容だといいます。 また、カトリック教会内でも悪魔に対する見解は人それぞれで、単なる不運と考えるもいれば、本当に悪魔に取り憑かれていると考える人もいるとか。映画でも描かれたこの点については、まさに「教会あるある」なのだそうです。

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【ネタバレ】映画『ヴァチカンのエクソシスト』結末までのあらすじ

【起】教皇の要請でスペインの修道院へ

『ヴァチカンのエクソシスト』(2023年)
© Screen Gems/Photofest/Zeta Image

1987年。教皇直属のチーフ・エクソシスト、ガブリエーレ・アモルト神父はイタリアの村を訪れて悪魔祓いを行い、取り憑かれた村人を解放しました。しかし教会の許可を得ずに悪魔祓いをしたことが問題視されてしまいます。 悪魔の存在そのものに懐疑的なサリバン枢機卿(ライアン・オグレイディ)に糾弾された彼は、悪魔祓いの依頼のうち98%はなんらかの精神疾患によるもので、今回も「精神を病んだ村人に心理療法を行っただけ」と反論。文句があるなら教皇に直接言ってくれと吐き捨てて、その場をあとにします。 その後、教皇(フランコ・ネロ)に呼び出されたアモルト神父は、スペインのサン・セバスチャン修道院に悪魔祓いに行くよう要請されます。そこは以前から問題を起こしている場所で、細心の注意を払うよう忠告されながら、彼は早速現地に赴き、教会に悪魔祓いの要請をした若い地元の司祭、トーマス神父に迎えられました。

【承】悪魔に取り憑かれた少年

サン・セバスチャン修道院は、アメリカ人女性ジュリア(アレックス・エッソー)が修復工事を請け負っていました。交通事故で夫を亡くした彼女には、反抗期の娘エイミー(ローレル・マースデン)と、事故の後から、トラウマで話すことができなくなった息子ヘンリー(ピーター・デソウザ=フェイオニー)がいます。 子どもたちを養うために修道院の修復に専念しようとしていたジュリアでしたが、ガス爆発などのトラブルが相次ぎ、作業員は次々と去ってしまいました。そのころからヘンリーの様子がおかしくなり、自傷行為などをくり返すため病院に連れていきますが、診断結果は異常なしとのこと。 精神科の受診を勧められ、ジュリアが戸惑うなか、ヘンリーは聞いたこともない恐ろしい声で「親父を連れてこい」と言います。ジュリアは地元の司祭であるトーマス神父を連れてきますが、この神父ではないと吹き飛ばされてしまいました。 修道院に到着したアモルト神父は、悪魔祓いの経験がなく、ラテン語も読めないというトーマス神父に、とにかく悪魔の言葉には耳を貸さず、祈りを唱えつづけろと助言します。

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【転】修道院に隠された秘密

『ヴァチカンのエクソシスト』(2023年)
© Screen Gems/Photofest/Zeta Image

変わり果てた姿で、アモルト神父に卑猥な言葉を吐くヘンリーに、彼は余裕の表情でジョークを返しつつ、「悪魔なら名を名乗れ」と言います。悪魔祓いには、その悪魔の名前を知ることが必要だからです。しかしそのことを知っている悪魔は名乗ろうとしません。 さらに悪魔は、アモルト神父がかつてパルチザンとしてナチスドイツと戦いながら、自分だけが生き残ったことや、ある女性の自殺を止められなかったことなど、彼が罪悪感を抱いている過去の幻覚を見せてきました。またトーマス神父も神職に就くために別れた恋人の幻覚を見せられます。 誰も知るはずのない自分たちの過去を見せられ、アモルト神父はこれは本物の悪魔憑きだと判断します。同時にこの修道院自体にも問題があるのでは、とトーマス神父とともに調査を開始。 やがて2人は、庭の井戸がカタコンベ(地下墓地)の入口であることに気づきます。そこにはヴァチカンの紋章が。さらに地下へ潜ると、無数の骸骨のなかに1体だけ檻に入った白骨死体がありました。アモルト神父はそこでカトリック教会の異端審問が行われていたことを知り、檻に入った死体は悪魔を自分に取り憑かせた修道士が、その身ごと悪魔を封印したものだと気づきます。 悪魔の名前は「アスモデウス」であることがわかりました。

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【結末】悪魔との最終決戦!ラストはどうなった?

『ヴァチカンのエクソシスト』(2023年)
© Screen Gems/Photofest/Zeta Image

アモルト神父は最初から悪魔の狙いは自分だったことに気づきます。アスモデウスは彼に取り憑いて、ヴァチカンを内部から崩壊させようとしていたのです。悪魔祓いに備えて2人は悪魔に付け入る隙を与えないため、お互いに告解をし罪を赦し合います。 いよいよ悪魔と対峙した2人でしたが、アスモデウスはヘンリーのみならずエイミーにも取り憑き、一筋縄ではいきません。激闘の末、とうとうアモルト神父はジュリア一家を救うため、自らが犠牲になることを選びます。 自分に悪魔を取り憑かせたアモルト神父は、だんだんと意識を乗っ取られていきます。トーマス神父はアモルト神父から渡されたメダイを手に、必死に祈りを捧げつづけ、アモルト神父に完全に悪魔に乗っ取られないようにと呼びかけます。彼の祈りでアモルト神父はなんとか我に返り、悪魔祓いに成功しました。 その後、修道院はヴァチカンによって清められ、中にあった資料の研究が始まります。ヴァチカンに戻ったアモルト神父とトーマス神父は、ルムンバ枢機卿(コーネル・ジョン)から世界各地に悪魔が宿る場所があると判明したこと、そしてそれらの土地に悪魔祓いに行くよう命じられました。アモルト神父はトーマス神父に「一緒に地獄に行くことになりそうだ」と語りかけます、

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【考察】登場した悪魔とキリスト教の関係

『ヴァチカンのエクソシスト』は、実在のエクソシストの回顧録を原作にしているだけあり、キリスト教的な要素がしっかりと描かれていました。実は精神疾患によるものが多いという悪魔祓いの実際のところや、さまざまな考えを持つ枢機卿たちの存在もそうです。 さらにアモルト神父が悪魔の正体を突き止めるカタコンベは、ローマ帝国時代にキリスト教徒が信仰を守るために用いた地下墓地ですし、スペインでは15世紀以降に異端審問が行われていました。実際には政治的な思惑が大きく関わったものですが、本作では、その背景に悪魔憑きがあったと描かれています。 またアモルト神父が悪魔祓い儀式の直前にトーマス神父に渡した聖ベネディクトのメダイは、「魔除け」に絶大な効果があるとされています。

登場する悪魔の名前は?どんな悪魔なのか

本作で登場した悪魔は七つの大罪のうち「色欲」を司るアスモデウスでした。旧約聖書などで描かれる、悪魔の魔王です。旧約聖書では、新婚の娘に取り憑き夫を殺してしまうといったエピソードが登場します。 アモルト神父たちはこれから世界各地へ悪魔祓いの旅に出るようですが、もし続編が作られるとすれば、アスモデウス級の手強い悪魔が登場しそうですね。

エクソシスト映画のお約束を踏まえつつバディものの要素も

エクソシストが登場する映画といえばウィリアム・フリードキンの『エクソシスト』をはじめ、多くありますが、本作はそうした作品のオマージュも踏まえつつ、悪魔の描写など、エクソシスト映画の王道をしっかりと抑えた作品になっています。 さらに、一匹オオカミだったアモルト神父が、エクソシスト素人のトマースとタッグを組み、お互いが成長していくという点で、いわゆるバディものとしても楽しめます。 ホラー映画を期待する人にとって、ホラーの要素はそこまで強くありませんが、飽きない脚本とラッセル・クロウ演じるアモルト神父の魅力から、多くの人におすすめできる作品になっています。

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映画『ヴァチカンのエクソシスト』は怖い?感想・評価

ヴァチカンのエクソシスト
© Screen Gems/Photofest/Zeta Image
ヴァチカンのエクソシスト』の総合評価
3.5 / 2人のレビュー
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20代女性

怖いの苦手なのでひやひやしながら観てたけど、普通にバディもののアクションとして観られる。オタク大歓喜だし、厨二心をめちゃくちゃくすぐられた。

吹き出し アイコン

30代男性

王道のエクソシスト映画で特に目新しさもないが、ラッセル・クロウが演じてるだけで新鮮に感じる不思議。悪魔の計画もなるほどと思ったし、教会の過去を調査していく過程はミステリ要素もあって楽しめました。

ラッセル・クロウが実在のエクソシストを演じる

ラッセル・クロウ
©︎Dennis Van Tine/Future Image/WENN.com

本作で主人公のガブリエーレ・アモルト神父を演じたのは、『グラディエーター』(2000年)や『ビューティフル・マインド』(2001年)などで知られるラッセル・クロウ。 「ホラーは苦手」と公言している彼ですが、アモルト神父の偉大な功績に惹かれ、本作に出演することにしたのだとか。役づくりのためにアモルト神父に関する資料をできる限り集めたほか、実際にローマを訪れ、アモルト神父を知っていたヴァチカン関係者たちに会うなど、入念なリサーチを行ったそうです。

実話だった!映画『ヴァチカンのエクソシスト』をネタバレ解説・考察しました

実在したエクソシストの神父の回顧録を原作に製作された『ヴァチカンのエクソシスト』。リアルな悪魔祓いの調査が儀式が描かれた、現実的ながらもエンターテイメント性の高い作品となっています。 アクションも楽しめるエクソシスト映画『ヴァチカンのエクソシスト』を楽しみましょう!