2025年1月25日更新

映画『おんどりの鳴く前に』のネタバレあらすじを解説!ラストのセリフの意味をとは

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『おんどりの鳴く前に』(2025年)

ルーマニアアカデミー賞で6冠を制し、世界中の映画祭で絶賛された映画『おんどりの鳴く前に』が2025年1月24日に日本公開されます。 田舎町を舞台にしたサスペンスは、タランティーノや『逆転のトライアングル』(2022年)のリューベン・オストルンドの作品と並び称され、注目を集める本作。 この記事では、注目作『おんどりの鳴く前に』のあらすじやキャストを紹介していきます。

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映画『おんどりの鳴く前に』作品概要

タイトル 『おんどりの鳴く前に』
公開日 2025年1月24日
上映時間 106分
監督 パウル・ネゴエスク
キャスト ユリアン・ポステルニク , バシレ・ムラル , アンゲル・ダミアン
原題 『Oameni de treaba』

映画『おんどりの鳴く前に』のあらすじ

ルーマニア、モルドヴァ地方の静かな村に暮らす警察官のイリエ(ユリアン・ポステルニク)。野心を失い、鬱屈とした毎日を送っていた彼は、果樹園を経営しながらひっそりと第2の人生を過ごすことを夢見ていました。 しかしある日、斧で頭を割られた惨殺死体が発見され、イリエは捜査を任されます。事件を追っていくうちに、彼は平和なはずの村に隠された闇を次々と目の当たりにすることに……。 正義と欲望の間で揺れながら、イリエはある決断を迫られます。

【ネタバレ】映画『おんどりの鳴く前に』結末までのあらすじ

【起】平和な村で見つかった惨殺死体

ルーマニア、モルドヴァ地方の小さな村。警察官のイリエ(ユリアン・ポステルニク)は、大した事件もなく、退屈な日々を過ごしていました。そんな彼の夢は果樹園を持ち、悠々自適な第二の人生を送ること。彼は自宅を売却して果樹園購入の資金にしようと考えますが、査定額は予想を大きく下回り、とても果樹園を購入できる額ではありません。 そんなある日、斧で頭を割られた男の惨殺死体が見つかります。平和な村で突然起きた悲惨な事件。いったい誰が、なぜこんなことをしたのか。イリエの知る限り、村にはこんな事件が起こる原因はないはずでした。 そんななか、コンスタンティン村長(ヴァシレ・ムラル)とヨルダン神父(ダニエル・ブスイオク)が、イリエのもとを訪れます。そして彼らは、イリエに“協力する”ように持ちかけました。

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【承】セカンドライフを謳歌したいイリエの葛藤

村長たちはイリエに、彼らに協力すれば、彼が欲しがっている果樹園をくれると約束します。イリエは彼らが殺人事件に関与していることを直感し少しためらいますが、申し出を承諾します。 惨殺死体の身元は、イリエが思いを寄せる女性クリスティナ(クリナ・セムチウク)の夫でした。夫を亡くした彼女は生活していくすべがなく、イリエに犯人を見つけるよう懇願します。しかしそんなクリスティナを邪魔に思った村長たちは、彼女に村を出ていくよう迫りました。 そもそもイリエにその気がないため、殺人事件の捜査は遅々として進みません。そんななか、若い新人警官ヴァリ(アンゲル・ダミアン)が村に赴任してきます。彼は殺人事件を解明しようと正義感に燃えていました。

【転】若手警察官との対立

ヴァリはイリエの命令に背き、独自に殺人事件の捜査を進めます。2人は衝突し、イリエはヴァリに余計なことをするなと怒号を浴びせました。しかしこれがヴァリの正義感にさらに火をつけてしまいます。彼は殺人事件の背後には村の権力者たちの暗躍があることを知り、そのことを暴こうと動き出します。 しかしその後、ヴァリが半殺しになって発見されます。もちろんこれは村長たちの差し金で、彼らのもとで働くチンピラが実行したものでした。 それ以来、イリエは正義を欲望の間で揺れるようになります。あるとき彼がクリスティナを訪ねると、彼女は姿を消していました。彼女は村長たちの圧力に負け、誰に挨拶もせずに村を出ていったのです。

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【結末】イリエの選んだ答えとは……?

ヴァリの事件とクリスティナの件があり、イリエはさらに自分の身の振り方に悩みはじめます。そんななか、村長たちは川辺で違法取り引きをするため、イリエに誰も川辺に近寄らせるなと命令します。 言いつけどおり川につながる道に立ち、川辺に近づこうとした若者たちを追い払うイリエ。彼は本当にこれでいいのかと葛藤します。そしてついに自分の正義感に従い、警官としての職務を全うしようと覚悟を決めました。 彼は拳銃を構えて村長たちのもとへ行きます。イリエが自分たちに反抗してきたことに激怒した村長たちは、チンピラたちに彼を殺すよう命令します。激しい撃ち合いがつづき、彼は何人かのチンピラを倒していきますが、そのうちの1人がイリエの背中に斧を振り下ろしました。 イリエは重傷を追いながらも反撃。村長たちにも銃弾を食らわせ、川辺には多くの死体が転がります。息も絶え絶えで川面を覗き込んだイリエは、「思ったより悪くないな」とつぶやき、そのまま倒れ込むのでした。

【解説】イリエは死んだのか?「思ったより悪くないな」の意味は?

『おんどりの泣く前に』の原題は『Oameni de treaba』であり、これはルーマニア語で「善良な人々」を意味しています。しかし監督のネゴエスクによれば、これはダブルミーニングになっており、「こちら側の人々」という意味にもなるそうです。本作における「こちら側」とは、村長たち同調圧力をかける側で、イリエはそのなかに取り込まれていきます。しかし最後に彼は踏み止まり、“善良な”人物になりました。 そんなイリエはラストシーンで川面に写った自分の顔を見て、「思ったより悪くないな」とつぶやきます。彼は自分の傷を見てそう思ったのでしょう。しかしイリエは自分の家が高額で売れると考えていましたし、クリスティナが自分に恋をするかもと考えるなど、常に見通しの甘い人物なのです。 彼の傷はどう考えても致命傷で、助からないことは他人の目には明白です。イリエの鈍感さは、彼が「こちら側」に取り込まれそうになった原因にも、善良さを取り戻した理由にも、どちらにもなりうる要因だったのではないでしょうか。

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映画『おんどりの鳴く前に』キャスト・登場人物解説

イリエ役/ユリアン・ポステルニク

『おんどりの鳴く前に』

イリエは田舎町で警察官を務める中年男性です。平和な村で大した事件は起こらず、退屈で鬱屈とした毎日を送っていました。彼の夢は警官を退職して果樹園を持つことで、悠々自適な生活にあこがれています。しかし不可解な殺人事件が起きたことで、彼の生活は一変することに。 イリエを演じたのは、ユリアン・ポステルニクです。

コスティカ(コンスタンティン村長)役/バシレ・ムラル

『おんどりの鳴く前に』(2025年)

コスティカは人々からコンスタンティン村長と呼ばれており、イリエたちが住む村の村長です。平和な村を治めていますが、彼には裏の顔があり……。殺人事件の捜査にあたって、イリエに大きな影響を与えます。 コンスタンティン村長を演じたのは、パシレ・ムラルです。

ヴァリ役/アンゲル・ダミアン

『おんどりの鳴く前に』(2025年)

ヴァリはイリエたちの住む村に新たに赴任してきた警官です。正義感に燃える若者である彼は、殺人事件の捜査をはじめ、村の暗部に切り込んで行こうとします。そのため、ことなかれ主義のイリエとは対立していきます。 ヴァリを演じたのは、アンゲル・ダミアンです。

エディ(ヨルダン神父)役/ダニエル・ブスイオク

『おんどりの鳴く前に』(2025年)

(画像左) エディことヨルダン神父は、村の教会を治める神父です。村長と同様に小さな村では大きな権力を持つ存在で、本来は望ましくないことですが、村長と癒着しています。彼もまた、イリエに大きな影響を与えていきます。 ヨルダン神父を演じたのは、ダニエル・ブスイオクです。

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映画『おんどりの鳴く前に』監督を紹介

監督:パウル・ネゴエスク

本作のメガホンをとったのは、今ルーマニアでもっとも期待される若手監督の1人であるパウル・ネゴエスク。 ブカレストの国立映画大学で映画制作を学んだ彼は、ルーマニア映画の巨匠ルチアン・ピンティリエ監督の『Tertium non datur』で助監督を務め、2012年には短編映画『Orizont』がカンヌ国際映画祭批評家週間に選出されました。 長編デビュー作『O luna in Thailanda』は、ヴェネツィア国際映画祭国際批評家週間で初公開、ソフィア国際映画祭でFIPRESCI賞受賞、トランシルバニア国際映画祭で、最優秀デビュー賞を獲得しました。 ロマンチックコメディからサスペンスまで、作品のジャンルも多岐にわたり、注目を集めています。

映画『おんどりの鳴く前に』のネタバレを解説しました!

閉鎖的な小さな田舎町を舞台に、1人の警官がその裏に隠された闇と対峙する姿が描かれる『おんどりの鳴く前に』。ルーマニアの若き才能がみせる世界にどっぷりと浸ってしまうこと間違いなし! 『おんどりの鳴く前に』は2025年1月24日公開です!