【一覧】映画『オッペンハイマー』の登場人物・キャストを解説!どこまで史実なのかや名前・経歴・立場をわかりやすく紹介
映画『オッペンハイマー』のキャスト・作品概要
公開年 | 2024年3月29日 |
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上映時間 | 180分 |
監督 | クリストファー・ノーラン |
キャスト | キリアン・マーフィ , エミリー・ブラント , ロバート・ダウニー・Jr. |
クリストファー・ノーラン監督による『オッペンハイマー』は、第96回アカデミー賞で作品賞をはじめ、監督賞を含む7部門に輝くなど、高い評価を獲得しています。 世界興行収入は2023年8月時点で5億ドル(約710億円)を突破し、世界中で大ヒットしている本作。 「原爆の父」の伝記映画ということもあり、日本でも熱い注目が集まっています。
映画『オッペンハイマー』のキャスト・俳優一覧
キリアン・マーフィー
エミリー・ブラント
ロバート・ダウニー・Jr.
マット・デイモン
ジョシュ・ハートネット
ベニー・サフディ
デヴィッド・クラムホルツ
ラミ・マレック
ケネス・ブラナー
トム・コンティ
フローレンス・ピュー
ディラン・アーノルド
ハンス・ベーテ | グスタフ・スカルスガルド |
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クラウス・フックス | クリストファー・デンハム |
ハーコン・シュヴァリエ | ジェファーソン・ホール |
J・ロバート・オッペンハイマー役/キリアン・マーフィー
J・ロバート・オッペンハイマーは、アメリカの理論物理学者です。第二次世界大戦中のロスアラモス国立研究所の初代所長として、原子爆弾製造を目指す「マンハッタン計画」を主導しました。計画は成功し、「原爆の父」として知られるようになりますが、その後の水爆開発に反対するなど、さまざまな理由で公職を追放されました。 弟フランクや妻のキティら共産党員が周囲に多く、自身は共産党員ではなかったものの、共産党系の集会に参加したこともあり、冷戦下の「赤狩り」ではスパイ容疑をかけられました。 演じるのは、1976年5月25日生まれ、アイルランド出身のキリアン・マーフィ。これまで「ダークナイト」シリーズをはじめ、『インセプション』(2010年)や『ダンケルク』(2017年)など、多くのクリストファー・ノーラン作品に出演してきました。本作ではアカデミー賞主演男優賞を受賞しています。
キャサリン・“キティ”・オッペンハイマー役/エミリー・ブラント
オッペンハイマーの妻であるキャサリン・“キティ”・オッペンハイマー。生物学者で植物学者である彼女は、あるパーティでオッペンハイマーと出会います。それ以前に3度の結婚を経験していたキティですが、オッペンハイマーと結ばれた後は夫に寄り添いつづけました。 オッペンハイマーとの間には2人の子どもに恵まれましたが、もともと学者だった彼女は、あまり子育てには向いていませんでした。ロスアラモス時代には不満や孤独に苛まれ、アルコール依存症と戦っていました。 キティを演じるのは、エミリー・ブラント。1983年2月23日生まれのイギリスの俳優です。2001年にジュディ・デンチとの共演舞台でデビューした彼女は、2006年の『プラダを着た悪魔』でハリウッドに進出。『メリー・ポピンズ リターンズ』や『クワイエット・プレイス』(ともに2018年)などへの出演でも知られています。 ノーラン作品初参加となった彼女は、本作でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされました。
ルイス・ストローズ役/ロバート・ダウニー・Jr.
ルイス・ストローズは、戦後米原子力委員会に所属した、アメリカの原子力政策や核兵器開発の主要人物です。より破壊力の大きな核融合エネルギーを利用した水素爆弾の製造を熱烈に推進し、水爆反対派のオッペンハイマーを委員会出禁にするなどして、アメリカの歴史の中で悪役と見なされてきました。 当初はオッペンハイマーの功績を評価し、アメリカ原子力委員会(AEC)議長に任命しますが、1948年にアイソトープ輸出をめぐって対立。1949年に水爆開発を推し進めようとしたときにも、オッペンハイマーが反対し、再び対立しました。 演じるのは、1965年4月4日生まれ、アメリカ出身のロバート・ダウニー・Jr.。映画『アイアンマン』(2008年)を第1弾とするマーベルのMCU作品での、アイアンマンことトニー・スターク役で世界的に知られています。本作でクリストファー・ノーラン作品に初出演した彼は、アカデミー賞助演男優賞を獲得しました。
レズリー・グローヴス役/マット・デイモン
レズリー・グローヴスは、オッペンハイマーとともに「マンハッタン計画」を指揮したアメリカ陸軍の軍人です。1918年に陸軍士官学校を卒業した彼は、1942年9月、陸軍マンハッタン工兵管区司令官に任命され、准将に昇進。以降、「マンハッタン計画」責任者として原爆開発を指揮しました。 オッペンハイマーを「マンハッタン計画」の責任者に任命したグローヴス。戦後の聴聞会では、自分は誰も信用しないので、オッペンハイマーも信用していないとしながらも、彼はロシアのスパイだったフックスの雇用には関わっておらず、不審なところはないと断言します。 演じるのは、1970年10月9日生まれ、マサチューセッツ州出身のマット・デイモンです。ベン・アフレックとともに脚本を手掛け、主演した『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997年)でアカデミー賞脚本賞を受賞するとともに、演技も高く評価され、一躍人気俳優に。ノーラン監督作品への出演は本作が初めてです。
【科学者】映画『オッペンハイマー』の登場人物・キャスト
アーネスト・ローレンス役/ジョシュ・ハートネット
アーネスト・ローレンスは、「マンハッタン計画」におけるオッペンハイマーの同志とも言える物理学者です。核物理学者の彼は、カリフォルニア大学バークレー校の物理学教授でオッペンハイマーの友人でもありました。オッペンハイマーと違い社交的で、研究の資金集めにも貢献。 バークレー放射線研究所の設立者兼所長でもある彼は、粒子衝突加速器の原型を作り、1939年にノーベル物理学賞を受賞しています。 演じるジョシュ・ハートネットは、1978年7月21日生まれ、ミネソタ州出身。1998年に『ハロウィンH20』で映画デビューした彼は、その後『パール・ハーバー』や『ブラック・ホーク・ダウン』(ともに2001年)などに出演。2023年にはガイ・リッチー監督の『オペレーション・フォーチュン』にも出演しています。ノーラン監督作品への出演は本作が初めてです。
エドワード・テラー役/ベニー・サフディ
(画像左) 「マンハッタン計画」のオリジナルメンバーである理論物理学者のエドワード・テラー。ロスアラモスで水爆の開発を提案しますがオッペンハイマーに一蹴されてしまいます。しかしその後も研究をつづけ、「水爆の父」と呼ばれるようになりました。狡猾で気まぐれな性格です。 1945年の聴聞会の際には、彼がオッペンハイマーを非難したことがきっかけで、オッペンハイマーは公職追放となりました。 テラーを演じたベニー・サフディは、1986年2月24日生まれのニューヨーク州出身です。幼い頃から映画の仕事を志し、2009年に『Daddy Longlegs(原題)』で長編監督デビュー。多くの作品で監督と出演を兼任し、2021年にはポール・トーマス・アンダーソン監督の『リコリス・ピザ』にも出演しています。
イジドール・ラビ役/デヴィッド・クラムホルツ
(画像右) オッペンハイマーの親友の物理学者で、「マンハッタン計画」にコンサルタントとして携わったイシドール・ラビ。MRIに使われる核磁気共鳴を発見し、1944年にノーベル物理学賞を受賞しました。劇中では、オッペンハイマーから「マンハッタン計画」に誘われるものの、「物理学の集大成が大量破壊兵器でいいのか」と反対しました。 演じるのは、1975年5月15日生まれ、ニューヨーク市出身のデヴィッド・クラムホルツです。2005年から2010年にかけて『NUMBERS 天才数学者の事件ファイル』で主演を務めた彼は、その後コーエン兄弟の『ヘイル、シーザー!』(2016年)やウディ・アレン監督の『男と女の観覧車』(2017年)などに出演指定しています。
ハンス・ベーテ役/グスタフ・スカルスガルド
ハンス・ベーテは、ロスアラモス研究所で理論部門の監督をしていた物理学者です。オッペンハイマーの良き同僚であり、科学に対して誠実な姿勢を持つ、有能な学者です。戦後は水爆の開発に反対しますが、トルーマン大統領が開発を決定すると、計画に参加し、重要な役割を果たしました。 1967年には、「原子核反応理論への貢献、特に星の内部におけるエネルギー生成に関する発見」でノーベル物理学賞を受賞しています。 演じたのは、スウェーデン出身のグスタフ・スカルスガルド。テレビシリーズ『ヴァイキングス』(2013年〜20201年)や映画『AIR/エア』(2023年)などへの出演で知られています。
デイビット・ヒル役/ラミ・マレック
デイヴィッド・ヒルは、イタリアの物理学者エンリコ・フェルミの助手で、フェルミと共にマンハッタン計画にも参加した科学者です。しかしのちに、日本への原爆使用反対の嘆願書に署名。ストローズの上院での公聴会では、衝撃的な発言をします。 演じるラミ・マレックは、1981年5月12日生まれ、アメリカ出身。2018年の映画『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディ・マーキュリー役を演じ、アカデミー主演男優賞を受賞しました。ドラマ『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』の主演や、2021年の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』への出演でも知られています。 クリストファー・ノーラン作品への出演は本作が初めてです。
ニールス・ボーア役/ケネス・ブラナー
(画像右) ニールス・ボーアはデンマーク出身の理論物理学者で、オッペンハイマーが心の師と尊敬していた人物です。1941年にドイツの理論物理学者ヴェルナー・ハイゼンベルグから原爆開発のための原子炉の図を渡された彼は、1943年にイギリスの協力でナチス・ドイツ支配下のデンマークから離れ、原子炉の図をロスアラモス研究所の物理学者たちに渡しました。 ボーアを演じるのは、1960年12月10日生まれ、イギリス出身のケネス・ブラナーです。舞台や映画で幅広く活躍するほか、映画監督としても2021年の『ベルファスト』がアカデミー賞で作品賞を含む7部門にノミネートするなど、高く評価されています。クリストファー・ノーラン監督作では、これまでに『ダンケルク』(2016年)と『TENET テネット』(2020年)に出演しています。
クラウス・フックス役/クリストファー・デンハム
クラウス・フックスは、ドイツ出身の物理学者です。「マンハッタン計画」に参加し、原爆開発に貢献するかたわら、ソ連のスパイとして機密情報を流しつづけていました。 戦後イギリスに渡ってからもスパイ活動をつづけていましたが、ソ連の暗号を解読するイギリスとアメリカの共同プロジェクト「ヴェノナ計画」の結果、フックスの関与が判明。MI5の捜査を受け、1950年にスパイであることを認めました。 フックスを演じたクリストファー・デンハムは、2012年の『アルゴ』や2024年の『ドッグマン』などに出演しています。
アルベルト・アインシュタイン役/トム・コンティ
アルベルト・アインシュタインは、ドイツ生まれの理論物理学者です。オッペンハイマーとは1947年に彼がプリンストン高等研究所所長に任命されたことから同僚となり、友人としても親しくしていたようです。 アインシュタインを演じたのは、1941年11月22日生まれ、スコットランド出身のトム・コンティです。舞台俳優として長く活躍し、ローレンス・オリヴィエ賞やトニー賞の受賞経験もある実力派。クリストファー・ノーラン監督作品には、『ダークナイト ライジング』(2012年)以来の出演です。
【軍/政府関係者】映画『オッペンハイマー』の登場人物・キャスト
ケネス・ニコルズ役/デイン・デハーン
ケネス・ニコルズ中佐はグローヴスの側近で、オッペンハイマーの身辺調査を担当します。しかし、彼の共産党への関与は認められませんでした。1953年にはアメリカ原子力委員会(AEC)の初代ゼネラルマネジャーに就任。その後、元軍人のボーデンからの密告によって1954年に再びオッペンハイマーのスパイ容疑が持ち上がり、FBIからの依頼を受けてオッペンハイマーの聴聞会の設置を決定します。 ニコルズを演じるのは、1986年2月6日生まれ、ペンシルベニア州出身のデイン・デハーンです。2012年の『クロニクル』で主演を務め、注目を集めた彼は、その後『アメイジング・スパイダーマン2』(2014年)や『ダム・マネー ウォール街を狙え!』(2023年)など、数多くの作品で、印象的な役を演じています。
ボリス・パッシュ役/ケイシー・アフレック
ボリス・パッシュはアメリカ陸軍の情報将校です。第二次世界大戦中は、カリフォルニア大学放射線研究所におけるソ連邦スパイ疑惑の調査にも参加しました。彼はオッペンハイマーらの調査を行い、「共産党を関係を保っている可能性がある」としながらも、オッペンハイマーがスパイである可能性は低いと考えていました。 FBIに監視されるほどの強固なロシア派だった彼は、共産党員を捜査していました。オッペンハイマーは彼との尋問で仲間の名を明かさずに立ち去りましたが、グローヴスにこの出来事を相談した結果、パッシュはドイツでの作戦に異動させられます。 演じるのは1975年8月2日生まれ、マサチューセッツ州出身のケイシー・アフレック。1995年に映画デビューし、2016年には『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞しました。ノーラン監督作品には初出演です。
ウィリアム・ボーデン役/デヴィッド・ダストマルチャン
ウィリアム・ボーデンは、元軍人でAECの元事務局長です。1945年にオッペンハイマーのスパイ容疑をFBIに密告し、それがきっかけで聴聞会が開かれることになりました。しかしそこには裏で糸を引いている人物がおり……。 ボーデンを演じるのは、デヴィッド・ダストマルチャンです。MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の「アントマン」シリーズなどへの出演で知られており、2021年の『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』では、ポルカドッドマンを演じました。ノーラン作品では、『ダークナイト』(2008年)に出演しています。
ハリー・トルーマン役/ゲイリー・オールドマン
ハリー・トルーマンは、第33代アメリカ合衆国大統領です。1945年4月12日から1953年1月20日まで大統領を務め、日本への原爆投下を承諾したとされていますが、彼による正式な承認記録はありません。 1945年10月にオッペンハイマーと対面した際、原爆開発を後悔しているというような彼の発言を聞いて憤慨し、その後は2度と面会を許さなかったと言われています。 トルーマン大統領を演じたのは、イギリスの名優ゲイリー・オールドマン。クリストファー・ノーラン作品では、「ダークナイト」三部作に出演しています。
ロジャー・ロブ役/ジェイソン・クラーク
元判事のロジャー・ロブは、オッペンハイマーの聴聞会でAECの特別弁護人を務めました。オッペンハイマーや彼の妻・キティに厳しく詰め寄り、彼らを追い詰めます。1959年のストローズの公聴会では、ロブが特別弁護人に指名された裏側が明かされます。 ロブを演じたのは、オーストラリア出身のジェイソン・クラークです。2012年の『欲望のバージニア』や2015年の『ターミネーター:新起動/ジェニシス』などへの出演で知られています。
上院補佐官役/オールデン・エアエンライク
1959年のストローズの商務長官任命審査に参加していた上院補佐官。ストローズの印象操作を見抜き、1954年のオッペンハイマーの聴聞会についてストローズから種明かしを受けると憤慨します。また、オッペンハイマーがアインシュタインに自分の悪評を吹き込んだと言うストローズに、もっと重要な話をしていたのでは、と答えます。 上院補佐官を演じるオールデン・エアエンライクは、2018年の『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』で若きハン・ソロを演じたことでも注目を浴びました。
【私生活】映画『オッペンハイマー』の登場人物・キャスト
ジーン・タットロック役/フローレンス・ピュー
ジーン・タットロックは、オッペンハイマーが大学の物理学教授だった時代の恋人として知られる女性です。精神科医で、オッペンハイマーがカリフォルニア大学バークレー校で教鞭をとっていた1939年に知り合い、恋仲になりました。 彼が「マンハッタン計画」に取り組んでいたときも不倫関係にあったという説もあります。オッペンハイマーとの関係と、彼女がアメリカ共産党員であったことから、FBIによる監視の対象となりました。 演じるのは、1996年1月3日生まれ、イギリス出身のフローレンス・ピュー。映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019年)でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたほか、『ミッドサマー』(2019年)の主演でも知られています。クリストファー・ノーラン作品へは初出演です。
フランク・オッペンハイマー役/ディラン・アーノルド
(画像左) フランク・オッペンハイマーはJ・ロバート・オッペンハイマーの弟で素粒子物理学者です。一時期は共産党員として活動していましたが、しばらく後に、共産党員を辞めます。兄に呼び寄せられ、「トリニティ実験」に協力しました。 演じのは、1994年2月11日生まれ、シアトル出身のディラン・アーノルド。2010年ごろから俳優として活動し始めた彼は、2018年の『ハロウィン』とその続編『ハロウィン KILLS』(2021年)に出演。ノーラン監督作品には今回が初出演です。
ハーコン・シュヴァリエ役/ジェファーソン・ホール
ハーコン・シュヴァリエは、作家でロマンス語の教授です。オッペンハイマーが勤務していたのと同時期にバークレー校でフランス語の教鞭をとっており、親しい友人となりました。しかし彼が共産党員だったことで、のちにオッペンハイマーにスパイ容疑がかかる一因となってしまいます。 シュヴァリエを演じたのは、イギリス出身のジェファーソン・ホールです。2022年にはテレビシリーズ『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』でジェイソン・ラニスターを演じています。ノーラン監督作品では、2020年の『TENET テネット』に端役で出演していました。
映画『オッペンハイマー』の登場人物・キャストを解説しました
ノーラン監督作品常連俳優から初参加の俳優まで、豪華キャストが勢揃いする『オッペンハイマー』。 どのキャストも実力はお墨付きですが、主演のキリアン・マーフィや助演のロバート・ダウニー・Jr.はアカデミー賞も獲得しているので、その演技に注目です!