2024年10月9日更新

映画『不都合な記憶』をネタバレ考察!ラストまでのあらすじや原作は?

このページにはプロモーションが含まれています
不都合な記憶、映画
(C)2024 Amazon Content Services LLC or its Affiliates.

伊藤英明主演、新木優子共演の映画『不都合な記憶』が、Amazonプライム・ビデオで2024年9月27日から独占配信されました。『ある男』(2022年)の石川慶が監督・脚本を務める注目作です。 この記事では、『不都合な記憶』のあらすじやキャスト・スタッフなどの基本情報をお届けします。

AD

映画『不都合な記憶』作品概要・あらすじ

タイトル 『不都合な記憶』
配信日 2024年9月27日(金)
配信サービス Amazonプライム・ビデオで世界独占配信
キャスト 伊藤英明 , 新木優子
監督 石川慶
脚本 石川慶 , ブラッド・ライト

日本アカデミー賞で8冠に輝いた『ある男』の監督・石川慶が、伊藤英明を主演、新木優子をヒロインに迎えて制作した配信映画。Amazonプライム・ビデオでプライム会員向けに、9月27日から世界独占配信されました。 西暦2200年の近未来を舞台にしたSFロマンス×サイコサスペンスで、共同脚本をSF脚本家のブラッド・ライトが手がけています。

映画『不都合な記憶』あらすじ

科学技術の進歩によって、人類の宇宙移住が可能になった西暦2200年。科学者のナオキ(伊藤英明)と陶芸家のマユミ(新木優子)は宇宙の高級レジデンスに2人で暮らしていました。誰もが憧れるような理想的で完璧な夫婦でしたが、実はマユミはすでに亡くなっており、ナオキはマユミをアンドロイドとして再現していたのです。 ナオキは理想の妻を求め続け、一番幸せだった頃のマユミのデータから何度も再現。しかしそうするうちに彼女の秘められた記憶が蘇り、一見幸せそうに見えた彼らの結婚生活の秘密が暴かれていきます。

原作はある?

映画『不都合な記憶』に原作はありません。本作は監督を務める石川慶が、カナダ出身のSF脚本家ブラッド・ライトを迎えて共同で脚本を執筆したオリジナル作品です。ブラッド・ライトはアメリカのSFテレビドラマ「スターゲイト」シリーズの製作・脚本を手がけたことで知られています。

AD

映画『不都合な記憶』ラストまでのあらすじ

失われた記憶とフラッシュバック

人類が宇宙コロニーに移住して生活できるようになった近未来。科学者のナオキと陶芸家のマユミは、地球を遠望できるコロニーで幸せな結婚生活を送っています。しかしマユミは時おり、耳鳴りや自分が血まみれになっている姿を見るフラッシュバックを感じていました。 そんなマユミを心配し、夫婦で小笠原医師によるメタスペースでのカウンセリングを受けています。4年前に地球で大きな津波が発生し、それに遭遇したマユミは記憶喪失に陥っていたのです。マユミは思い出したことを書き留め、失われた記憶を取り戻そうとしていました。 ナオキとマユミが出会ったのは、タイにあるマユミの陶芸店でのこと。相棒のロボット・KYUUを連れて雨宿りに来たナオキは、そこでマユミと親しくなっていったのでした。

マユミの正体と不都合な記憶

しかしある時、マユミはナオキに殺される夢を見て目覚め、違和感を感じて1人で小笠原医師に相談しに行きます。幸せな夫婦に見えた2人ですが、実はマユミはナオキによって造られたアンドロイドで、マユミの記憶をインストールされていたのです。 しかもナオキは自分にとっての「理想のマユミ」を追い求めるあまり、少しでも彼の理想と違う行動を起こしたマユミを何度も「処分」していました。ナオキには父親にDVを受けた過去があり、ナオキ自身も激昂すると暴力的になる性質があることを、マユミは思い出します。 そんな時、マユミがドビュッシーの「月の光」を聴いているのを見て、ナオキはこのマユミも処分してしまいます。マユミの首筋からは白い液体が流れ出て、彼女は完全に止まってしまいました。

AD

月の光とジェブとの記憶

小笠原は記憶移植の専門家で、ナオキに依頼されて2人が幸せだった時期の記憶を移植していました。新婚旅行から間もない頃のバックアップをインストールするように言われて躊躇する小笠原に、ナオキは平然と「ではアンドロイドだと伝えればいい」と言い放ちました。 新しいマユミに「最後のバックアップから1年後に事故で亡くなった」と告げ、彼女もそれを受け入れ、メタスペースでタイでの新婚旅行を楽しむ2人。しかしマユミはそこで「ジェブ」という女性と出会ったことを思い出します。ジェブとの仲をナオキに告白したマユミでしたが、ナオキは彼女の首の骨を折って再び処分したのでした。 何度造り直してもジェブの記憶を思い出すマユミ。明らかになっていくナオキのDVと2人の決裂、ジェブとの恋。月の光はジェブとの思い出の曲だったのです。

夫婦関係の終わりと新しいマユミ

ついにナオキは出会った当初の、6年間の2人の思い出が何もないマユミを造り、新たな関係性を築く賭けに出ます。マユミは「あなたはナオキに殺される」というメモを見つけ、KYUUに助けを求めるとエアロック付近に案内されました。そこには処分された10体ものマユミたちが、KYUUに助けられて保管されていたのです。 記憶をバラバラに移植されたマユミたちから、6年間の記憶のないマユミは1人ずつ記憶を取り戻していきます。そして蘇ったのは、別れて家を出た日に激昂したナオキに突き落とされて殺された記憶。マユミの1人が囮になってナオキを足止めしますが、すべての記憶を取り戻したマユミはついに見つかってしまいます。 KYUUとマユミたちの助けを得て、ナオキの心臓にナイフを投げつけたマユミ。息も絶え絶えのナオキはマユミを地球行のシャトルに乗るよう促し、そのままKYUUとともに宇宙空間に身を投げたのでした。

AD

映画『不都合な記憶』ストーリーをネタバレ考察!

ナオキの歪んだ愛

アンドロイドのマユミを何度も処分しては造り直し、自分の理想の妻を追い求めるナオキ。彼の歪んた愛は、独占欲と支配欲にまみれています。その欲望の根源は、彼の不幸な生い立ちが関係しているようです。 ナオキは幼い頃に父親からDVを受けており、マユミに脇腹に残る葉巻の焼き痕を見せています。彼の暴力性は過去に受けた暴力の反動か、ナオキ自身にも抑えられないもののよう。思い通りにならないと暴力に訴えることを本能的に学習してしまった結果、マユミへの歪んだ愛が暴走した時にDVのループに陥っていました。 マユミを失いたくない一心とはいえ、彼の行動は人としての倫理観を遥かに越えています。それでも最後にはマユミとの幸せな記憶を取り戻し、新しいマユミを地球に送り出して最期を迎えることができました。

マユミのフラッシュバック

物語の冒頭でマユミが起こしたフラッシュバックでは、マユミの首から赤い血が流れていました。しかしこのマユミもすでにアンドロイドのはず。アンドロイドには白い液体が流れています。 冒頭のマユミがフラッシュバックで認識しているのは、「自分は人間だ」ということ。人間のマユミから記憶を受け継いできた何体ものアンドロイドのマユミたちはすでに心が宿った「人間」であり、彼女たちをモノのように支配して処分してきたナオキへの、強い主張だと考えられます。

AD

アンドロイドから人間へ

アンドロイドのマユミたちが本来持っていないはずの記憶、それがジェブとの思い出です。ジェブとの出会いが2人を引き裂いたと考えていたナオキが、ドビュッシーの「月の光」とジェブとの記憶を一切排除していたからです。 ところが、ないはずの記憶をマユミたちはいつも呼び起こしています。それは前述した赤い血と同じように、アンドロイドのマユミたちが心を宿してより人間に近づいている様子を表現しているよう。 最後に地球に逃れたマユミがジェブと再会し、「まだ取り戻していない記憶がある気がする」と話しますが、ジェブは「みんなそうじゃないの?」と不完全な記憶でこそ人間らしいと返しています。

過去と向き合うマユミ

ナオキによって処分されてきたマユミたちから、一番新しく造られたマユミは記憶を取り戻していきます。新しいマユミにはナオキとの6年間の記憶が一切ありません。ナオキとの6年間は幸せな時間もありましたが、DVに苦しめられた辛い過去でもあります。 それでも新しいマユミがこれまでのマユミたちから記憶を取り戻す姿からは、これまでの過去と向き合う覚悟を感じました。すべてを知って上でナオキと対峙した新しいマユミは、“人間として”成長したようにも見えました。

AD

ナオキの嘘

ナオキは造り直したマユミにその都度、地球が津波で壊滅的被害を受け、人間が住めない環境になっていると教え込んでいました。それは偽りで、実際には地球に人間は住んでおり、宇宙コロニーには一部の富裕層が暮らしているだけです。 ナオキがそんな嘘をついていたのは、地球へ行かせないため、ジェブとの記憶を思い出させないためでした。しかしマユミの記憶からジェブを消すことはできなかったのです。

映画『不都合な記憶』キャスト解説!伊藤英明×新木優子

ナオキ役 伊藤英明
マユミ役 新木優子
小笠原医師役 水間ロン
ジェブ役 ジアッブ=ララナー・コーントラニン

ナオキ役:伊藤英明

伊藤英明

理想の妻を再現しようとするあまり、歪んだ愛で支配しようとする科学者ナオキ。演じるのは、代表作「海猿」シリーズでよく知られる伊藤英明です。 映画『悪の教典』(2012年)でサイコキラーを演じたのをきっかけに、幅広い役柄に挑戦。近年はHBO/WOWOW制作ドラマ『TOKYO VICE』(2022年)やAmazonプライム・ビデオ配信の映画『ナックルガール』(2023年)など多様な媒体での活動も増えています。

マユミ役:新木優子

新木優子

ナオキの妻で陶芸家のマユミ。マユミはナオキによって死後に何度もアンドロイドとして再現されますが、次第に過去の記憶が蘇ってきて、ナオキに復讐を始めます。 演じるのは、ドラマ『六本木クラス』(2022年)や『単身花日』(2023年)など多くの作品でヒロインを務める新木優子。Amazonプライム・ビデオ独占配信の映画『SEE HEAR LOVE ~見えなくても聞こえなくても愛してる~』(2023年)でもヒロイン・相田響役を演じました。

AD

ジェブ役:ジアッブ=ララナー・コーントラニン

ナオキがマユミへの愛を狂わせていくきっかけとなる、ミステリアスなタイ人女性ジェブ。演じるのは、タイ出身の俳優ジアッブ=ララナー・コーントラニンです。2006年のミスタイランドに選ばれた美貌を持ち、さらに救命救急医として働く現役の医師でもあります。

小笠原医師役:水間ロン

ナオキの秘密を唯一知る人物である小笠原医師を演じるのは、中国生まれ大阪育ちの俳優・水間ロンです。中国語を話すことができるため、中国人役を演じることも。2024年後期のNHK連続テレビ小説『おむすび』で朝ドラデビューを果たします。

映画『不都合な記憶』スタッフ解説!『ある男』石川慶監督×SF脚本家ブラッド・ライト

『ある男』
©2022「ある男」製作委員会

『不都合な記憶』の監督・脚本を務めるのは、『ある男』で注目を集めた石川慶。長編映画デビュー作は2017年の『愚行録』で、それ以降も『蜜蜂と遠雷』(2019年)、『Arc アーク』(2021年)とこれまでも話題作を手がけてきました。 共同で脚本を執筆したのは、ドラマ「スターゲイト」シリーズで知られるSF脚本家のブラッド・ライト。撮影監督を務めたのは、『ある男』以外の石川慶監督作で撮影監督を務めてきたポーランド出身のピオトル・ニエミイスキです。 『不都合な記憶』はタイで撮影され、カナダのVFXチームが近未来の映像をCGで作り上げています。タイでは全編を2カ月かけて撮影され、そのエキゾチックな雰囲気も作品に影響を及ぼしているようです。

AD

映画『不都合な記憶』は2024年9月27日アマプラで独占配信

『ある男』の石川慶監督が監督・脚本を務める新作映画『不都合な記憶』は、2024年9月27日(金)からAmazonプライム・ビデオでプライム会員向けに世界独占配信されました。妻をアンドロイドにした男の結末はいかに……?気になる方はぜひチェックを!