【ネタバレ感想】映画『366日』の尊さを語りたい 琉晴と湊の両極端な愛について
![『366日』](https://images.ciatr.jp/2025/01/w_1000/O5diwGeRUc2WC6ib7KL3deo2OuOdfsu8Zybrlj2S.jpg)
2025年1月10日から公開されている赤楚衛二×上白石萌歌のW主演映画『366日』。この記事では、映画『366日』のあらすじ感想をネタバレありで紹介します。
映画『366日』のあらすじは?ドラマとの違い
公開年 | 2025年1月10日 |
---|---|
監督 | 新城毅彦 |
キャスト | 赤楚衛二 , 上白石萌歌 , 中島裕翔 |
劇中歌 | HY「366日」,「AM11:00」,「恋をして」 |
映画『366日』は、沖縄出身のバンド「HY」の名曲「366日」をモチーフにした純愛がテーマのラブストーリー。2024年4月期に放送されたドラマ『366日』も同様に「366日」をモチーフにしたオリジナルストーリーですが、キャスト・内容は違います。 ドラマ版では高校時代の恋を実らせようと奮闘する男女が主人公で、主演を広瀬アリスと眞栄田郷敦が務めました。
映画『366日』のあらすじ
2024年の東京、音楽会社に勤めている真喜屋湊(赤楚衛二)のもとに1人の少女が訪れ、1枚のMDを手渡します。そこには15年前に別れた最愛の人・玉城美海(上白石萌歌)からのメッセージが入っていました。 20年前の沖縄、高校の先輩後輩として出会って恋をした湊と美海。音楽の仕事を目指して上京した湊を追って、美海も東京で一緒に暮らし始めます。ところがある日突然、湊は美海のもとを去ってしまい……。
【ネタバレ感想①】美海と湊がすれ違いすぎて辛い
湊と美海は沖縄の高校生で、先輩と後輩の間柄。美海には幼なじみの琉晴がいて、いつもそばで見守っています。湊と美海の出会いは学校ではなく、病院のロビーでした。 ぶつかってお互いのMDを間違えて持って帰ったことをきっかけに、2人は自分の好きな音楽を入れたMDを交換するようになります。MDを使っていた世代ならきっとガッツリ心をつかまれるに違いない、このやり取り!MDの良さは自分のリストを好きに作って、メッセージ入りのラベルを貼れるところですが、これが劇中でまた良い伏線になっています。 湊の卒業式の日に2人は晴れて恋人同士になりますが、湊は音楽制作の夢を叶えるため東京の大学へ進学。美海もまた通訳を目指し、その1年後に湊と同じ大学に合格して、東京で同棲を始めました。ここまでは恋が実った喜びと一緒に暮らせる幸せがあふれ出ていて、見ているだけでこちらも幸せな気分に。大学時代はそれぞれの夢を目指しつつ、2人で過ごす時間も充実していました。 しかし湊が音楽会社に就職し、美海が就職活動を始めると少しずつ2人の間にズレが生じてきます。というのも、美海は就活が上手くいかず、湊は急性白血病を発症してしまうから。ここで本音を隠さず、もう少し会話が出来ていたら何か違ったのかもしれません。 自分の病気のせいで美海を束縛して、通訳の夢を諦めてほしくないと、何も語らずに美海に別れを告げた湊。その後すぐ、美海は妊娠していることを知ります。妊娠を伝えようと何度も連絡したものの、湊の「離れる」という固い決意は変わらず。湊に拒絶され、何も告げらないまま沖縄に戻る美海があまりにも辛い……。
【ネタバレ感想②】琉晴の決断が「愛」でしかない
傷心の美海を沖縄で待っていたのは、幼なじみの琉晴。彼はいつも美海の味方で、ずっと一途に想いを寄せていました。美海が両親に出産を反対されているのを聞き、思わず「俺の子です!責任もって育てます」と申し出てしまうほど。 美海は大学卒業後の3年間、娘・陽葵(ひまり)を出産し、子育てと通訳の仕事で多忙な毎日を過ごしていました。一方、湊は3年間の闘病を経て完治し、会社に復帰します。その間美海の「誰とも結婚はしない」と言っていた気持ちを変えるまで献身的に2人を支え続けた琉晴、あまりにも愛が深い。 陽葵が3歳になった2012年、ずっと支えてくれた琉晴に、美海から「本当の家族になってほしい」とプロポーズ。美海の誕生日である2月29日に結婚式を挙げることになります。この日、湊も「美海に初めて作った曲を聴かせる」という約束を叶えるために、2月29日に沖縄へ来ていました。 そこで琉晴と偶然出会って責められ、一度は帰ろうとしますが、やはり想いが断ち切れずに結婚式の場へ。しかしそこで幸せそうに笑う美海と陽葵を見て、その場を立ち去りました。琉晴の「なんで今さら!」という怒りと湊の後悔、湊への気持ちをMDに込めて結婚式に臨んだ美海の決意、三者三様の感情が交差する結婚式のシーンは胸が締め付けられます。 美海が式の前に湊へ向けて録音したMDは琉晴が秘かに保管していましたが、12年後に美海が病で先が長くないと知り、陽葵に東京へ行って湊に渡すように言います。琉晴は陽葵の本当の父である湊を沖縄に呼び、「家族」で最期を過ごせるようにと決断したのでした。
【ネタバレ感想③】ひまりとこたろうの関係って……。
陽葵は1人で東京へ向かいますが、実は琉晴に頼まれて幼なじみの琥太郎が後を追って来ていました。陽葵と琥太郎は同級生で、腐れ縁の幼なじみといった感じ。陽葵は好きな先輩に恋人ができたことで落ち込んでいましたが、琥太郎は陽葵を元気づけようとしていました。 そう、まるで昔の琉晴と美海のよう!だからこそ、琉晴は琥太郎に陽葵を頼んだのでしょう。陽葵のことを一途に想っている琥太郎に、かつての自分を重ねていたのかもしれません。 陽葵は美海のMDを聴くと「本当の父親は琉晴だ」と言って、沖縄に帰ろうとしてしまいます。会ったこともない湊を本当の父親とは認められませんよね……。しかし琥太郎は陽葵に寄り添い、何とか無事に湊が務める会社へ向かいました。 この時点では陽葵は琥太郎をただの幼なじみだとしか思っていないようですが、もしかしたらいずれ美海と琉晴のように深い絆に気付くこともあるかもしれませんね!2人のその後も見てみたいものです。
【ネタバレ感想④】本当の父とは?結末に号泣
陽葵はついに本当の父親である湊に初めて会い、美海のMDを渡すことが出来ました。湊はその場でMDを聴き、涙を流しながら「本当の父親はきみを育ててくれた人だよ」と伝えます。もちろん、陽葵もそう感じていました。 湊を沖縄に連れて帰らず、そのまま別れた陽葵。湊からあの結婚式の日に渡せなかったMDを受け取り、沖縄に帰ってベッドで眠る美海にイヤホンで聴かせようとします。そのMDに入っていたのは、美海が高校生の時に語った「湊先輩が最初に作った曲を聴きたい」という願いを叶える曲でした。 眠っている美海はまるで息すらしていないような透明感に包まれていましたが、曲が流れると彼女の頬に涙がつたっていました。きっと美海の耳にはその曲が聴こえていたに違いありません。 あの日渡せなかったMDがようやくそれぞれの手に渡り、お互いの想いが伝わって物語は幕を閉じます。そして後悔の念と本当の父に陽葵を会わせる責任に囚われていた琉晴の気持ちにも、区切りがついたようでした。 美海も陽葵も、湊でさえも「本当の父親」はこれまで支え続けてきた琉晴だと気付いていたことが、何よりも素晴らしい結末だったのではないでしょうか。
【考察】琉晴・湊が向ける対照的な愛の形
この物語には美海を深く愛する2人の男性、琉晴と湊が登場します。2人の愛は実に対照的で、湊は美海のために側を離れることを選び、琉晴は美海の側で支え続けました。 もちろん愛し方に優劣などありませんが、湊の身を引くという愛し方は実は言葉足らずで、自分でも言っていましたが「逃げた」ともいえるかもしれません。しかし彼は病気の母親を看病し、その辛さを身をもって知っていたからこそ、そんな経験を美海にさせたくないという気持ちが強かったのでしょう。 琉晴の愛し方はただひたすらずっと見守り支え続けるという、実に忍耐強いもの。しかもたとえ離れていても側に居ても、その両方で決して気持ちがブレることなく想い続けるという、非常に強いものでした。だからこそ、最終的に琉晴の深い愛が美海に伝わったのではないでしょうか。
映画『366日』感想をネタバレありで語りつくしました
HYの時代を越えた名曲「366日」をモチーフに、20年に及ぶ純愛を描いた映画『366日』。ぜひ劇場で、湊と美海と琉晴の恋の行方を確かめてみてください!