映画『君の顔では泣けない』結末までネタバレあらすじ解説!最後元に戻れたのかや原作との違いを考察!
映画『君の顔では泣けない』作品概要をおさらい
| 題名 | 『君の顔では泣けない』 |
|---|---|
| 上映時間 | 123分 |
| キャスト | 芳根京子 , 高橋海人 |
| 監督 | 坂下雄一郎 |
| 原作 | 君嶋彼方『君の顔では泣けない』 |
『君の顔では泣けない』は、君嶋彼方の同名小説を映画化した作品です。 メガホンをとるのはドラマ『セトウツミ』(2017年)でエビソード監督を務めたほか、映画『決戦は日曜日』(2022年)などで知られる坂下雄一郎。 芳根京子と髙橋海人がダブル主演を務めます。
【ネタバレなし】映画『君の顔では泣けない』あらすじを紹介

高校1年生の陸(髙橋海人)とまなみ(芳根京子)は、あるとき一緒にプールに落ちたことがきっかけで心と体が入れ替わってしまいます。2人は入れ替わったことを秘密にし、いつかもとに戻ると信じていました。しかし、そのまま15年が経過……。 進学、初恋、就職、結婚、出産、親との別れ。人生のさまざまな転機を入れ替わったまま経験していくふたり。しかし30歳の夏、まなみは陸に「もとに戻る方法がわかったかも」と告げます。
映画『君の顔では泣けない』結末までネタバレ解説

予期せぬ入れ替わりと高校時代
高校1年生の夏、プールに落ちたことで心と体が入れ替わってしまった陸とまなみ。もとに戻る方法を探しつつ、とりあえず周囲を混乱させないために、お互いを演じて日常生活を送ることに。 陸の体に入ったまなみは友人たちとも打ち解け、楽しく生活します。しかし、まなみの体に入った陸は周囲となじめず孤立。さらに生理になったり、部活の顧問からセクハラを受けたりと、女性として生きることの難しさを感じていました。 まなみは早々に初体験を済ませ、陸から「勝手に童貞を捨てるなよ〜」と言われます。一方、まなみは「昔は結婚するのが夢だった」」「でも叶わなくなってしまった」と、陸の体で多くの女性と関係を持っていきます。しかし陸はまなみの体への責任感からか、恋愛に奥手になっていました。
親の死別と結婚
もとの体に戻れないまま高校を卒業後した2人は上京し、それぞれ別の大学に進学します。彼らは情報交換のため、毎年7月の第3土曜日に喫茶店「異邦人」で会っていました。 ある日、まなみは陸からまなみの父が心筋梗塞で急逝したと知らされます。葬儀に駆けつけたまなみでしたが、家族から他人として接されたことにショックを受けてしまいます。陸はまなみに「自分が本当の息子ですと言う」と言いますが、まなみは反対。ケンカになり、陸は「俺の顔で情けなく泣かないで」と言ってしまいます。それ以来、7月の会合も無くなってしまいました。 その後、就職した陸は同僚と結婚します。
【結末】出産、そして2人は元に戻るのか
結婚後、妊娠した陸。しかし切迫流産の危険があるため、妊娠8ヶ月で入院することになってしまいます。まなみの体を死なせてしまう恐怖から、久しぶりに彼女に連絡を取り、これまでの感謝と謝罪を伝えます。 まなみと仲直りした陸は、無事に女の子を出産しました。 時が経ち、30歳になった2人。陸は「まなみ」としての人生を受け入れていましたが、ずっともとに戻りたいと思っていたまなみは、さまざまな情報を収集し、ついにその可能性を見つけ出します。まなみが見つけ出した情報をもとに、再び一緒にプールに飛び込んだ2人。 その後、かつて7月の会合をしていた喫茶店「異邦人」で、2人は以前のように向かい合って座り、穏やかに微笑み合うのでした。
【考察】最後陸とまなみは元に戻れた?
まず前提として、2人がプールに飛び込んだのは、15歳で入れ替わり15年が経った30歳という年齢が、1つの区切りと考えたからだと予測できます。そのため陸は「試さないといけない気がした」と言っているのです。 原作には詳しい経緯は書かれていませんが、映画ではまなみが地域の伝説が書かれた本や星の位置関係を説明するシーンが追加されています。彼女なりに根拠があって、坂平にプールに飛び込むことを提案したのです。 また原作は2人がプールに飛び込むところで終わっていますが、映画では喫茶店「異邦人」でのシーンが追加されました。2人は静かに微笑み合うだけで、もとに戻れたのかどうかの解釈は観客に委ねられていますが、その可能性は高いのではないでしょうか。
【考察】なぜ『君の顔では泣けない』で陸とまなみは元に戻らないのか

『君の顔では泣けない』は、ほかの入れ替わりモノの作品と違ってコメディ色はなく、頻繁な入れ替わりによるドタバタ劇ではなく「どう生きるか」という深いテーマを持っています。 15歳から30歳という、自我がほぼ確立され始めたたころから、多くのライフイベントを経験する時期に入れ替わった2人は、もがきながらも人生にどう適応していくのか少しずつ道を見出していきます。 また、本作は現代社会が持つ男女の社会的立場の違いなどの問題提起も含んでいます。
映画『君の顔では泣けない』の原作をネタバレありで解説
原作である『君の顔では泣けない』は、君嶋彼方のデビュー作です。第12回野性時代新人賞受賞作『水平線は回転する』を改題、加筆修正し2021年にKADOKAWAから単行本が刊行されました。 原作は主に「まなみとなった陸」の視点で進み、戸惑いながらも女性として生きる陸の心情が綴られています。
原作内容をネタバレ解説
高校1年生の坂平陸と水村まなみは、あるときクラスメートのいたずらで一緒にプールに落ちてしまい、心と体が入れ替わってしまいます。しばらくすれば元に戻るだろうと考えていた2人でしたが、なにを試しても元に戻ることはありませんでした。 2人は入れ替わっていることを秘密にし、それぞれ相手を演じて生活を送っていきます。しかし入れ替わったことで友人と疎遠になったり、家族に会えず葬儀にも立ち会えないなど、切なく悲しい出来事を経験していく2人。 とくにまなみとなった陸は、慣れない女性の体で性差を感じながら生きていくことに。それでも2人はそれぞれの人生を歩みはじめ、いくつもの転機を経験していきます。 そして30歳の夏、まなみは陸に「元に戻る方法がわかったかも」と告げます。もとに戻らずそのままの人生を送ってもいいと思いつつ、2人は1つの可能性に賭けてプールに飛び込むのでした。
映画『君の前では泣けない』は原作とどこが違う?
入れ替わりのプールのシーンは映画ではカット
映画では、坂平と水村がプールに落ちて入れ替わったことは描かれていましたが、その経緯は描かれていませんでした。 しかし原作ではそれが描かれています。水泳の授業中に親友の田崎のふざけ合っていた坂平は、誤ってプールに落ちてしまいます。そのとき彼はとっさに生理中で見学していた水村の手を掴んでしまい、一緒に落ちたのです。 映画では彼らが入れ替わった“後”にフォーカスしたかったため、このシーンをカットしたのかもしれません。
性に関わる描写を映画ではカット
水村と入れ替わった坂平は、女性として人生初の生理やセックスを経験します。原作ではそのことについて詳細に描写されていますが、映画では直接的なシーンはありませんでした。 原作では入れ替わって初めて生理が来たときのシーンでは、女性なら誰でも経験があるであろう不快な感覚がはっきりと描かれています。また水村として坂平だったときの親友・田崎と初体験をするときについても、体を触られる感覚や相手の息づかいなどが、生々しく描写されています。 これらのシーンは、映画としてのレーティングの関係でカットされたと考えられます。
スピンオフで語られたまなみの独白がセフレ相手への発言に
映画では、陸とまなみの両方と視点から、入れ替わった人生がバランスよく描かれていました。しかし原作では、主人公はまなみの体になってしまった陸であり、陸の体に入ってしまったまなみの心境はスピンオフで描かれています。 そのなかで、彼女は鏡に向かって「(結婚するという)夢を諦めたこと」や「男の体に対する違和感と不快感」独白しています。しかし映画では、彼女はこのことについてセフレに語ります。しかしセフレは寝落ちしており、彼女を言葉を聞いていませんでした。
原作には陸の夫の深いエピソードがある
原作には、映画ではカットになった陸の夫に関するエピソードがあります。 まなみの父の葬儀で彼女とケンカした陸は、高校の卒業記念品の万年筆を捨てます。この万年筆は、自分のイニシャルが刻まれたもので、「いつかもとに戻れるように」と願掛けでまなみと交換したものでした。 その後、結婚し妊娠した陸でしたが、妊娠8ヶ月で入院することになり、精神的に不安定になってしまいます。陸の夫はそんな妻に、捨てたはずの万年筆をお守りとして渡します。実は彼は、その万年筆を「捨てたらまずいものなのではないか」とゴミ箱から拾っていたのです。 妻のことをよく見ている、優しい夫ですね。
『君の顔では泣けない』見どころシーンを解説

髙橋海人×芳根京子の演技に注目
本作では陸とまなみが15年間入れ替わったままということから、女性である芳根京子が「陸」役を、男性である髙橋海人が「まなみ」役を演じることになります。 どちらもどのように異性である相手を演じていることになり、たとえば芳根は「陸」を演じている「まなみ」を演じる、というような高度な演技が必要でした。陸を演じた髙橋海人は「入れ替わってからグラデーションのようにだんだん慣れていく感覚みたいなものはすごく大事にしていました」とコメントしています。主演2人は見事にこの複雑な役を演じきっています。 また、物語の行く末も気になるところ。高校1年生で入れ替わってから15年が経過し30歳になった2人は、元の自分だったときと同じ時間、相手と入れ替わっていたことになります。男だった陸は女として、女だったまなみは男としての振る舞いを徐々に身につけていきます。どちらが本当の自分なのか、2人の葛藤にも注目です。
追加されたラストシーンに注目
原作では2人はもとに戻れる可能性にかけて、プールに飛び込んだところで終わっています。しかし映画では、その後の喫茶店のシーンが追加されました。 高橋は「完成版で観ることができるラストシーンはもともとラストシーンではなくて、その前のシーンで終わる予定でした」と明かしています。 また監督の坂下雄一郎は原作者の君嶋彼方にラストの解釈を聞き、その答えをラストシーンで表現したかったと語っています。
映画『君の顔では泣けない』繊細な登場人物を演じたキャスト一覧

坂平 陸(さかひら りく)役/高橋海人
坂平陸/水村まなみを演じるのは、King & Princeのメンバーである髙橋海人です。これまで、アイドルとしての活動の傍ら、俳優として『ボーイフレンド降臨!』(2022年)や『だが、情熱はある』(2023年)などに出演してきました。 本作での役柄について、「入れ替わってから15年。静かな痛みを、長い間抱えてきたふたり。未来が見えない怖さと二人で戦いながら、でも同時に、だがかこそ日々の痛みも大切に感じられる」と語っています。
水村 まなみ(みずむら まなみ)役/芳根京子

水村まなみ/坂平陸を演じるのは、朝ドラ『べっぴんさん』(2016年)や『まどか26歳、研修医やってます!』(2025年)などで知られる芳根京子です。 彼女は本作の役柄について、「さまざまな経験を経て、30歳になった二人は、果たして元に戻ることができるのか?そもそも、戻りたいと思うのか?もがいて、もがいて、それでも精一杯生きました」とコメントしています。
映画『君の顔では泣けない』監督は坂下雄一郎

本作で監督を務めるのは、2022年公開の映画『決戦は金曜日』でメガフォンをとった坂下雄一郎監督です。 映画『君の顔では泣けない』について、「原作を読んだ時、15年入れ替わったままという設定に、こんなにも 様々な解釈が可能で豊かな物語を作れるのかと発明を発見したかのように驚いた。」と語っています。
映画『君の顔では泣けない』ネタバレ考察を読んで理解を深めよう
君嶋彼方のデビュー作を映画化した『君の顔では泣けない』。芳根京子と髙橋海人が演じる15年の長きに渡る入れ替わり人生は、切なく胸に迫る作品になっています。 ほかの入れ替わり映画とは一味違う『君の顔では泣けない』は2025年11月14日から公開されています。


