『みいちゃんと山田さん』最新話まであらすじ解説！犯人や父親の謎とは？

軽度の知的障害を持ちながらキャバクラで働く“みいちゃん”と出会った普通の女の子“山田さん”の視点で、みいちゃんを取り巻く残酷な環境を描く漫画『みいちゃんと山田さん』。 「みい山」と呼ばれることも多い本作では、みいちゃんの身に起こる「ある事件」までの儚い12ヶ月の物語を描いています。 この記事では『みいちゃんと山田さん』のネタバレを含むあらすじ・お得に読む情報を紹介しますので、物語の結末が気になる人はチェックしてみてくださいね！ 事件の真相を考察！ ※ciatr以外の外部サイトでこの記事を開くと、画像や表などが表示されないことがあります。

2012年1月、21歳の女子大生・山田は歌舞伎町のキャバクラで働いていました。この日、同い年の女の子が体験入店に来ることになっているらしく、山田は挨拶だけすることに。 決められた時間から遅れてやってきたのは、21歳とは思えないほど幼い容姿をした女の子・みいちゃんでした。破天荒な行動とルールを無視した発言に振り回されていく山田。 しかし翌日、キャバクラのオーナーから正式にみいちゃんを採用するという報告を受けます。隣にいた先輩の桃花はみいちゃんの採用に反対。ところが山田は、過去の自分とみいちゃんを重ねて……。

最終的にみいちゃんがキャバクラで働き始め、職場はいつも以上に活気にあふれていきます。そんな中、山田と同じ年である大学生のキャバ嬢・ココロがみいちゃんに勉強を教えていました。 しかし何を言っても学ばないみいちゃんに対して、ココロは徐々に面倒臭いと感じ始めます。結局、勉強会は4日で終わりを迎えますが、山田はみいちゃんに「そのままでいい」と告げるのでした。 数日後、キャバ嬢たちで運営している共通のSNSアカウントで、みいちゃんがココロとの写真を投稿。身バレの危険もあったため、みいちゃんは他のキャバ嬢たちから嫌がらせを受け……。

バレンタインデーの日、みいちゃんが客からもらったぬいぐるみを更衣室に置いていました。しかし中には盗聴器やカメラが入っており、他のキャストに怒られます。 周りからは「なぜクビにならないのか」と疑問視されますが、ボーイたちはこぞってみいちゃんを庇うのでした。その後、山田はみいちゃんが多くのボーイと身体の関係を持っていることを知ります。 さらに近くのコンビニで万引きをしたみいちゃんが、店長のアソコを舐めて許してもらったことが発覚。山田は自分とは全く違うタイプの人間との接し方について、深く考えるように。 数日後、客からハムスターを1匹もらったみいちゃん。山田はハムスターの様子を見るために、彼女の家へと向かい……。

頻繁に指名してくれるシゲオとえっちをしてお金をもらっていたみいちゃん。この日もシゲオに指名されますが、話の中で彼氏がいることを明かしてしまいます。 2人の様子を見ていた山田は、みいちゃんに男の存在を話さないように注意。その後、みいちゃんから彼氏のマオ君の話を聞くことに。 翌日、いつも通りに出勤した山田でしたが、痣だらけの顔のまま出勤してきたみいちゃんと遭遇します。どうやらマオ君に殴られたらしく、日常的に暴力を振るわれたりお金を払わされたりしているとのこと。 数日後、怪我が治るまで店に出ることを禁止されたみいちゃんの見舞いに行った山田。そこで彼女が、近親相姦によって産まれた子どもであることを知り……。

変わった家庭環境で育ったみいちゃんは、小学校で周りに馬鹿にされながら過ごしていました。しかし小学3年生に進級したとき、新しい担任の先生・須崎のおかげで勇気をもらいます。 そんなある日、須崎がみいちゃんの母親に特別支援学級への移動を提案。この出来事がきっかけで母親が須崎を悪い人間だと判断し、みいちゃんはより一層孤立するように。 数年後、中学校に進学したみいちゃんですが、相変わらず周りから冷たい目で見られます。しかしクラスメイトの男子・佐藤に恋をして行動が落ち着き、友人ができるのでした。 そんなある日、みいちゃんを良く思わない女子が接触し……。

クラスメイトの女子のせいで再び周りから避けられるようになったみいちゃん。さらに見知らぬ男たちに犯されて、「男の人を嬉しくさせる方法」を知ります。 そして佐藤に実践しようと行動を起こしますが、彼に拒絶されることに。最終的に佐藤は他の女子と付き合い始め、みいちゃんは絶望するのでした。 時間は現在に戻り、キャバクラにみいちゃんの彼氏であるマオ君がやってきます。みいちゃんに指名が入ったときに山田がヘルプに入ると、彼の本性が明らかに。 そして山田は、退勤後に喧嘩していたみいちゃんとマオ君の仲裁に入るのでした。

なりゆきでみいちゃんと一緒に花火大会に行くことになった山田。そこで2人は将来について語り合い、みいちゃんは「お金をいっぱい稼ぐこと」、山田は「漫画家になること」が夢だと明かします。 友人として仲を深めた2人……しかし、その後すぐにみいちゃんがキャバクラを辞めていたと発覚。彼女はいつの間にか、風俗店で働き始めていたのです。このことを知ったシゲオが店に現れ、「なんでみいちゃんが風俗に」「お前らがみいちゃんを追い出した」と激昂します。 どうやら彼はみいちゃんの仕事内容を記したブログを読んだ様子。そこには「NGなし」と語りボロボロな姿になった、みいちゃんの写真が掲載されていたのでした……。

みいちゃんは風俗店で「ドS」を自称するような、危険な客ばかり相手にしていました。本来ならすぐ辞めるべきなのですが、彼女は店長におだてられズルズルと仕事を続けてしまいます。 そんななか、みいちゃんはマオ君と旅行へ行くことに。しかし、これはマオ君が海外へ彼女を売ろうとしていただけ。結局みいちゃんは山田と過ごしてこの約束をすっぽかし、代わりにマオ君が国外へ連れて行かれてしまうのでした。 そののち、みいちゃんは山田と共にテーマパークへ。2人で楽しい時間を過ごし、この日はみいちゃんが山田の部屋に泊まることになります。

みいちゃんは山田の家で彼女の母と遭遇。母はみいちゃんが山田に悪い影響を与えていると判断し、「友達やめなさい」と強い言葉で詰め寄ります。山田はそれに反抗して母を追い出しますが、「また母が来たらどうしよう」と不安を感じることに。 山田はみいちゃんに「しばらく一緒に暮らさない？」と提案し、2人の共同生活がスタートします。その一方、みいちゃんの友人・ムウちゃんが実家へ戻り、家族と共に暮らしていることが発覚。みいちゃん・山田・ムウちゃん、かたちに違いはあれど、彼女たちは穏やかな日々を送っていきます。 そんななか、山田はみいちゃんに「風俗辞めたら」と提案。それを聞いたみいちゃんは「紹介してくれた人に怒られちゃう」と拒否します。どうやら紹介者はみいちゃんの近くにいる人物のようでした。話が進むにつれ、その意外な正体が明らかになっていきます。

26話ではモモが深堀りされます。モモはかつて舞妓をしていました。モモは舞妓時代も今も、どこにでもみいちゃんのような子がいると感じます。新たに入店したミュウちゃんもそのうちの1人。 後半ではシゲオが再登場。ミュウの接待を受けたシゲオは、「やっぱ本物じゃなきゃ」とみいちゃんの風俗店へと電話をしようとします。

1話で明示されている通り、みいちゃんの死亡は確定。2012年に風俗店に移籍後、2013年3月には故郷である宮城県の山中にて身元不明の遺体で発見されることになります。 X版では覚醒剤を打たれ暴行され、最期は捨てられるという結末。分冊版でもその結末は変わらず、あえて“誰が”の部分は描かないと予想します。

みいちゃんが殺されるまでの12か月間を描いた本作。多くのキャラクターが登場しますが、みいちゃんを殺した犯人は明らかになっていません。 しかしみいちゃんを好き放題に利用してきたマオ君や、ガチ恋をしていたシゲオなどが疑わしい人物として挙げられています。さらに殺害に使われたと思われる凶器を山田が持っていたことから、犯人が山田の可能性も浮上中です。 ここでは犯人候補の3人について、それぞれ犯人である可能性を考えていきます。

マオ君を連行した屈強な男たちや、その背後にいる人身売買をするやばい組織のことを考えると、そうやすやすと帰国はできないはず。 帰国したとしても、おもちゃとして使い捨てられた後だとすると、相当ボロボロであると思われます。山中に捨てて証拠も残さないように殺すという犯行はできない気がします。

みいちゃんへの異常なまでの執着を見せていたシゲオ。2人は一緒にいると負のスパイラルに入る、相性の悪さを感じます。自分以外に雑に扱われたことへの怒りが、最後に爆発してみいちゃんに向かってしまい、あの凄惨な殺し方になったのかも。 ただシゲオの場合は覚醒剤を打ったというのがやや違和感があり、犯人の線は薄いと考えます。

意外性という意味では山田も怪しいものの、山田のみがみいちゃんと関わって人生が好転しています。お墓参りも毎年しており、好意的にみいちゃんを思い出している数少ない人物。そんな彼女が犯人だとするとあまりにも無情すぎる気が……。 キャバクラを辞めて大学にも通い始め夢もある。そんな山田が殺人に関与するのは考えにくいでしょう。

みいちゃんが殺害された理由は不明ですが、死体の様子を見るに、最期までみいちゃんは性産業の歯車の1つであり続けたのでしょう。 邪魔になった、ただ極限までおもちゃとしていじめてみたかった。そんな誰かの欲や無関心によって死に、人知れず捨てられたのだと考えます。ある意味、みいちゃんの生き方そのものが、あの結末に繋がったのです。

みいちゃんの死因に関して、詳しいことは明らかになったいません。しかしみいちゃんが頭から血を流している描写や、周辺にペンチが落ちていたことから、死因は撲殺だと予想されます。 また覚せい剤を使用していた形跡もありました。そのためみいちゃんは、犯人に覚せい剤を飲まされて意識が朦朧とし、抵抗する術なく撲殺されたのではないでしょうか。

本作はX(旧Twitter)に投稿されていた「X版」があり、こちらはすでに完結済み。ですが、X版でもみいちゃんを殺した犯人は明らかになっていません。 「誰もがみいちゃんを追い詰めていた」と表現しており、彼女の周囲にいた誰もが犯人だったという描き方をしていました。現在連載しているリメイク版でも同じ道を辿るのか、はたまた明確に犯人を打ち出してくるのか。今後の展開に注目が集まっています。

「マガジンポケット」で連載され、コミックシーモアでは「分冊版」として扱われているリメイク版『みいちゃんと山田さん』。本作では話が進むにつれてみいちゃんと山田が仲を深めていき、2人は次第に「友達」と呼べる関係になっていきます。 このままいけば、山田がみいちゃんのために動き、犯人を突き止める可能性もありそうです。ただ、不安定なみいちゃんが相手なので、このあと友人関係が破綻することも十分考えられます。そうなればX版と同様に犯人が不明のまま終わる、そんな展開もあり得るかもしれません。

みいちゃんは近親相姦により生まれた子供で、彼女の両親は実の兄妹だと判明しています。普通ならば絶対表に出せない異常な家庭環境ですが、みいちゃん自身はそれをほとんど気にしていない様子。 この事実を山田に明かしてしまうなど、両親の異様な関係に疑問を抱いていないようなのです。

みいちゃんの父、つまり芽衣子の兄にも知的障害の疑いがあります。彼はみいちゃんに暴力を振るう芽衣子を止めもせず、ほとんど家に帰ってきませんでした。3ヵ月に1回ほど家に戻る生活を続け、みいちゃんが5歳のときに行方不明に。 いかつい見た目の男と北海道へ行ったことがわかっているため、北の大地で過酷な労働をしている、あるいはすでに死亡している可能性もありそうです。

みいちゃんの母にあたる芽衣子も、みいちゃんと同じく知的障害を抱えていることがわかっています。ただ、本人もその親も障害の事実を認めようとしなかったため、自身の特性をしっかり理解できないまま大人になってしまいました。 そのため、彼女は母親として非常に未熟。幼いみいちゃんに手を上げる、みいちゃんを特別支援学級に入れることを薦められ激怒するなど、お世辞にも「良い親」とは言えない振る舞いをしていました。みいちゃんが道を誤ってしまった一因は、彼女にもあると思われます。

みいちゃんの家はもはや「家族」という体裁を保てないレベルで崩壊していました。愛を与えられず、つらく苦しい日々を送っていたみいちゃん。彼女には「家族に頼る」という選択肢が存在せず、大きな孤独感を抱えてしまいます。 その結果、彼女は執着と言えるほど「愛」を強く求めるようになり、他者に依存しやすい性格になってしまいました。現在の不安定なみいちゃんを作り上げたのは、家族の影響が非常に大きいと思われます。

みいちゃんが中学生時代に恋をした佐藤君。保健室でベッドを譲ってもらって以来、みいちゃんは佐藤君を好きになり積極的に話しかけるようになります。しかし、そんな佐藤君に思いを寄せるクラスメイトの雪奈は、みいちゃんの行動に不快感を感じていました。 それを知った雪奈の友人は、「みいちゃんの評価を落とそう」と考えます。彼女はまずみいちゃんをそそのかしてコンドームを万引きさせ、クラスのなかで孤立させました。さらに、不良の先輩に声をかけ、みいちゃんをレイプするよう仕向けます。 みいちゃんは自分を犯した不良に「みいちゃんみたいな子、超好き」と言われ、「性行為をすれば男性は自分を好きになる」と勘違い。そののち彼女は佐藤君に好かれようと体の関係を迫るも、当然ながら拒絶されることに。みいちゃんは佐藤君に嫌われてしまい、初めての失恋を経験するのでした。

みいちゃんをデリヘルに紹介したのは、彼女が働いていたキャバクラの店長です。店長は紹介料目当てでみいちゃんに風俗を斡旋したと、悪びれる様子もなく語りました。 彼は今までみいちゃんを気遣うような振る舞いをしていましたが、それはあくまで表の顔。本性は女の子たちを私利私欲のために利用する、なんともゲスな人物だったのです。この事実を知った山田は大きなショックを受け、キャバクラを辞めてしまうのでした。

みいちゃんが働くキャバクラに入店してきたニナ。彼女は細かなミスが多く、空気を読むことが苦手でした。作中でADHDに分類されると示唆されていましたが、物語の舞台はまだそんな認識が浸透しきっていない2012年。 ニナはただただ「ダメな人」「やる気のない人」と見なされていました。そんな彼女が抱える「“普通に生きる”ことが難しい」「それを理解してもらえない」という感覚に、思わず共感してしまう人も多いはず……。 ニナの存在は読者と物語、現代社会と物語を繋ぐ架け橋になっています。それにより『みいちゃんと山田さん』のメッセージ性が強くなり、ストーリーがより深いものになっているのです。

まず『みいちゃんと山田さん』を読んで強く思ったのは、福祉につながることの重要性でした。本作のテーマは福祉ではないのですが、それでも「もしみいちゃんが閉鎖的な環境で生まれていなかったら？」「担任の須崎先生の言うことを母親が聞いていたら？」と考えると胸が詰まる思いです。 現にみいちゃんの友人だったムウちゃんは一時的に生活が荒れたものの福祉の手を借り、今ではきちんと働いて人生の喜びを得ていますよね。 みいちゃんと同じように軽度の知的障害があるものの、ちゃんと愛情をかけて育てられたおかげで道を踏み外さずに済んだムウちゃんとの残酷な差異にも気付かされることが多いなと感じました。 一方、祖母の世代から福祉を拒んだせいで鼻つまみ者になってしまい、搾取される側に墜ちてしまったみいちゃんの人生にはやるせなさを感じます。

ある事件がきっかけで搾取される側に回ってしまったみいちゃんですが、ところどころでプライドの高さがうかがえるみいちゃんがニコニコしながら搾取されている姿に疑問を持った人も多いのではないでしょうか。 学生時代に「自分を差し出せばすべてうまくいく」と学んでしまったみいちゃんは、万引きをした店で性奉仕をすることで警察沙汰を免れたりと歪んだ他者との関係を学んでしまったことで「搾取されることが自身の喜びで生きる道」だと勘違いするようになってしまったのだと思います。 それゆえにみいちゃんは他の嬢が相手にしないような客との枕営業もいとわず、果ては風俗店でNG客の相手ばかりやらされることになってしまうのです。そんなみいちゃんの危うさからも目が離せません。

本作では「みいちゃんの事情」がヒリヒリするくらいのリアルさで描かれているのですが、みいちゃんが最初に働くキャバクラ「ephemere」で出会う女の子達の内面も非常にシビアです。 支配的な毒親に育てられたせいで刹那的な感覚を持つ山田や、そんな山田のことを「刹那主義者だ」と見下す大学3年生のココロ、みいちゃんのことを「DVされやすい体質」だと瞬時に見抜く桃花たちは境遇は違えど“現実を生きる女の子”として描かれているように感じました。 彼女たちの目線から見るみいちゃんは非常にフラットで、彼女の友人である山田ですらみいちゃんの事情に深入りしようとはしません。 みいちゃんを待ち構える衝撃的な最期でさえ「まあそうなるかな」と読者に思わせるほどシビアでフラットな登場人物の描き方も見事だなと感じました。

漫画『みいちゃんと山田さん』は実話が元ネタではなく、フィクションのストーリーです。 しかしメインキャラクターのみいちゃんは、作者である亜月ねねの友人がモデルとなっています。またモデルというだけで、みいちゃん＝友人ではなく、多くの脚色を加えているとのこと。 「実話ではないか」と噂がありますが、読む上では注意しましょう。