『カラオケ行こ！』狂児は事故の後どうなった？腕の刺青を彫った経緯も考察

成田狂児(なりたきょうじ)は和山やまが描く『カラオケ行こ！』の主人公。ヤクザの組員で、若頭補佐を務める顔のいい39歳です。彼が14歳の岡聡実(おかさとみ)に歌を教えてほしいと頼むことから動き始める本作。 今回はこの狂児について、死亡説や服役の真相、刺青などについて解説します。 ※この記事は『カラオケ行こ！』『ファミレス行こ！』の重要なネタバレを含みます。 ※ciatr以外の外部サイトでこの記事を開くと、画像や表などが表示されないことがあります。

中学生の岡聡実(おかさとみ)にカラオケ指導を請う強面ヤクザ・39歳が成田狂児(なりたきょうじ)です。黒髪オールバックのイケメンで、血液型はA型。つねに余裕が漂っており、いかにもモテそう。 カラオケの十八番はXJAPANの「紅」。カラオケに連れ込んだ聡実にも聞かせましたが「気持ち悪い」と酷評されていました。 部下にも慕われていて面倒見のよさがみてとれます。反面、ヤクザとして非情な裏の顔も持つ危険な男です。

カラオケ大会当日、狂児はヤク中の元組員に車をぶつけられて事故に遭います。現場で狂児の名前を耳にした聡実は、狂児と連絡がつかなかったこともあり彼が死んだと早とちり。勢いのままカラオケ大会に乱入します。 そこに狂児の姿はなく……。実はトイレに行っていただけなのですが、組長が一芝居打ったせいで、聡実は本当に狂児が死んだと思ってしまいます。鎮魂歌として「紅」を歌い上げたところ、一連の出来事を隠れて見ていた狂児が登場。 彼自身は軽症で、ぶつけてきた元組員にブチギレてボコボコにしたとあっけらかんと語るのでした。

映画では詳細が語られていませんが、漫画ではカラオケ大会から3年後、狂児が自ら刺青の経緯を説明しています。3年ぶりに聡実と再会した狂児は、「歌ヘタ王になってしもて、「聡実」彫られたわ」と話していました。 組長に刺青を彫られるのが嫌な理由として、狂児は組長がわざとその人の嫌いなモチーフを彫ることを挙げていました。それを聞いた当時の聡実は、自分が好きなものを嫌いといえばいいのではと提案。 狂児はその案を採用したことを示唆します。名前にしたのは、組長に絵心がないから文字の方がマシだと思ったそう。 カラオケ大会は年に4回開催されているので、聡実と会わなくなった期間のどこかで歌ヘタ王になったのでしょう。

狂児が姿を消した3年間について、服役していた描写があるのは映画のみです。漫画では「聡実くんの青春をこれ以上オッサンで潰すのも可哀想やなぁと思って」会わないようにしていたと説明しています。 漫画のサイン会で作者の和山が、その期間狂児は服役していたと語ったとのこと。映画で服役が描かれたのも、作者の意向だったのかもしれませんね。 狂児はカラオケ大会の前にヤク中元組員の指を詰めていますし、交通事故後も重体になるほど相手をボコボコにしています。カラオケ大会には意地でも出たものの、その後逮捕されたのでしょう。

狂児は「好きなもの」として聡実の名前の刺青を入れたり、3年間「ほんまは会いたかったよ、すごく」と言ったり、彼をかわいく思っていることはたしか。続編の『ファミレス行こ！』でも度々聡実を食事に連れて行っています。 便宜上、東京では甥っ子と叔父ということにしていますが、実際のところはどう思っているのか……。『ファミレス行こ！』の上巻ラストで思わず聡実が後ろから抱きついたのに対し、狂児は無反応だったんですよね。 聡実のことはかわいく思っているけど、ヤクザ側の世界から遠ざけたいと思っているのでしょうか。もともとヒモ生活もしていたとあって狂児は人たらしです。だからこそ聡実への本心が読めず、多くの読者の情緒が狂う羽目になっています。

実写映画で狂児役を演じたのは綾野剛(あやのごう)です。ビジュアルはもちろん芝居面でも狂児の沼を見事に表現。あまりのはまり具合に、多くのファンを虜にしました。裏声で歌う「紅」の再現度の高さは、塩対応な聡実との対比でかなりおもしろいシーンに。 2025年7月スタートのアニメでは小野大輔(おのだいすけ)が演じます。

『カラオケ行こ！』の歌がうまくなりたいヤクザ・狂児について紹介しました。男の色気漂う狂児は聡実とどんな関係を築いていくのか。続編の『ファミレス行こ！』とあわせて今後の彼の動向をチェックしてみてください。