『カラオケ行こ！』漫画の最後をネタバレ解説！映画の違いと「おったやん」に込められた意味も考察

ヤクザが男子中学生に歌を教わる『カラオケ行こ！』。独特なテンポと世界観で多くの読者を惹きつける和山わかの作品として注目を集め、2023年に公開された映画も大きな話題となりました。 2025年夏にはアニメ化も決定した『カラオケ行こ！』をネタバレ込みで紹介！映画と漫画の違いや、ラスト「おったやん」の意味なども考察していきます。

元は「COMITIA129」にて販売されていた同人誌で、即完売したため入手困難として話題になった作品です。その後、加筆修正や描き下ろしの新話を加え、KADOKAWAより単行本化されることになりました。 本作は主人公の岡聡実(おかさとみ)がヤクザの成田狂児(なりたきょうじ)に請われ、カラオケで歌のレッスンをする話です。カラオケ好きの組長のせいでカラオケ大会があり、一番音痴な人には組長自ら刺青を掘られてしまいます。狂児は刺青を回避できるのでしょうか。 ユーモアあふれるやり取りや、次第に仲が深まる聡実と狂児にも注目の作品です。

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合唱コンクール中ずっと視線を感じていた男子中学生の聡実。視線の正体はヤクザの狂児でした。狂児は歌が上手い聡実に目をつけいたのです。 その目的は、歌が上手くなるコツを教えてもらうこと。狂児の属する組では年4回カラオケ大会が開かれ、一番音痴な人は組長によって刺青を掘られるのです。素人同然の組長に刺青を掘られたくない狂児は、聡実に歌のレッスンをお願いしました。 もちろん、聡実はヤクザと関わりたくないので拒否をします。名刺を貰うもソファの間に捨ててしまう始末。しかし、1曲だけでも聴いてくれと言われ、歌を聴いた聡実はズバッと辛辣なアドバイスをします。その後、LINE交換した聡実は、結局歌のコーチをすることになりました。

狂児の歌のコーチをすることになった聡実ですが、悩みがあります。それは、変声期を迎えたこと。次第に高音が出なくなっていき、合唱祭でソリを任されていた聡実は毎日悩んでいました。親にも合唱祭があることを言えません。 そんななかでも、狂児とのレッスンは続いています。レッスンをするなかで、2人は徐々に距離が近づいていきました。聡実は狂児とのレッスンの帰り、カラオケ大会の場所や、ヤクザならではの危険エリアの地図をもらいます。 聡実の変声期は次第に隠しきれなくなり、ソリの代理を任命されていた和田にも気づかれました。同じく狂児も喉の調子が悪くなります。偶然、カラオケ大会と合唱祭が同じ日だった2人は、勝負の日まで2週間を切り、個人練習に切り替えることにしました。

聡実は前日になっても家族に合唱祭のことを伝えられません。ですが、合唱部の先生から家族へ知らされていました。両親と兄は揃いも揃ってお守りをプレゼントします。3つもお守りをもらった聡実は、狂児の顔を見れば合唱祭への不安が晴れるかもと考え、お守りを渡しにいきました。 お守りを渡しにいく聡実は、以前教えてもらった危険エリアに入ってしまいます。絵に描いたようなチンピラに絡まれる聡実。危ないところを狂児に助けられます。聡実は帰りの車で何事もうまくいかない自分にイライラしていました。 そんななか、狂児に本番への必死さが自分と聡実では全然違うと言われ、聡実はキレてしまいます。お守りを狂児に投げ捨て、帰ってしまいました。狂児へのイライラが募り、いつの間にか合唱祭への不安は消えています。

そのまま迎えた勝負の日。聡実は合唱祭へ向かいますが、途中で事故現場を見かけます。そこには、狂児の車が……。狂児が事故に巻き込まれことを知った聡実は、カラオケ大会へ向かいました。 カラオケ大会についた聡実は組長に狂児のことを聞きます。ですが、「地獄に行った！」と言われ、狂児への鎮魂歌を求められました。聡実は狂児が初めて自分の前で歌った「紅」を歌います。 全力を出し切った聡実の前に狂児が現れました。実は組長の話は嘘で、狂児はトイレに行っていただけなのです。カラオケ大会を終えた2人は、それから会うことはありませんでした。 聡実は大学進学のため東京へ向かいますが、狂児が姿を現します。しかも、腕には「聡実」と刺青が彫られていました。狂児も所用で東京へ向かうそうで、東京に着いたら「カラオケ行こ！」と誘うのです。

原作でのラストは3年後。大学入学を機に上京する聡実がなんとなく空港のロビーで名刺を眺めていると、彼の横にドカッと腰掛ける人物が。それが狂児で、同じく東京にいくという狂児は東京で「カラオケ行こ」と誘います。 一方の映画では3年後のシーンは登場せず。卒業式の日、狂児との出来事は幻だったのではないかと言われた聡実は、2人でいった屋上へ。ポケットの中にあった名刺を取り出し「おったやん」と狂児の存在を確認して幕を閉じます。

聡実は映画オリジナル要素の「映画を見る部」の栗山に狂児のことが幻だと言われ、不安に駆られます。狂児の組がシマにしていたエリアも開発でなくなってしまい、自分も卒業というひとつの終わりを迎える。 そんなタイミングで聡実は狂児が存在していた証＝名刺を見つけ、「紅」の歌詞「俺が見えないのかすぐそばにいるのに」を思い出したのです。狂児と過ごした時間はたしかにすぐそばにあった。そんな気持ちが込められたシーンです。

エンドロールで聡実に電話をする狂児の腕には「聡実」の文字が彫られています。映画では説明が省かれていますが、これは原作のラストに登場したシーンです。 歌ヘタ王になった狂児は、以前聡実が言っていた案を実行しました。それは、好きなものを嫌いと言ったら、組長がそれを彫ってくれるというもの。 聡実は実際に聡実と彫られた腕にドン引きしながらも、「僕の名前好きなんですか」と困惑。そこからじわじわと赤面していく姿はぜひ漫画でチェックを！

カラオケ大会から4年後。ファミレスで壁にかけてある絵にコーヒーをこぼしてしまった聡実は、その汚れを落とすことも兼ねてそのファミレスで深夜バイトを始めます。 バイト先の先輩で漫画好きの森田や、実は組長の息子でいまは北条というペンネームで漫画を描いているマサノリ、マサノリの足跡を追って狂児や聡実に接触するライター・岡田などが登場。 聡実は刺青除去代を「プレゼント」として渡したら、もう狂児とは会わないと心に決めますが……。

『カラオケ行こ！』の見どころは、随所に和山やまの独特のユーモアが見られるところです。笑えないヤクザの冗談にローテーションでツッコミを入れる聡実や、「はわわ」と可愛いことを言うヤクザ。思わずクスリと笑ってしまいます。 この和山やまの独特のユーモアは、ローテーションのギャグによるものです。ローテンションでギャグが繰り広げられる分、絶妙なギャップやテンポ感を生み、独特の魅力をもたらしています。和山やま曰く、『魁!!クロマティ高校』に影響を受けたとのことですが、見事自分の持ち味に昇華していますね。

『女の園の星』は平凡な女子高校を舞台に、星先生の目線からなんてことない日常が描かれるほのぼのとした作品です。派手な展開などは起こりませんが、生真面目でクールな星先生の的確なツッコミや、思わずクスリとしてしまう独自の言い回しなどもあって、ユニークさが感じられます。 『カラオケ行こ！』よりさらに平和な作品なので、あのなんともいえないシュールさに惹かれた人にはぜひチェックしてほしいです。

『夢中さ、きみに。』は、全部で8つの作品をおさめた短編集。そのうち4作品は林美良、残り4作品は二階堂明という男子高校生が主人公になっており、淡々としつつもシュールで面白すぎる日常が描かれていきます。 どちらの主人公も「変なやつ」ですが、彼らの姿があたたかい目線で描かれておりほっこりすること間違いなし。友情要素もあり、読み終わった後はさわやかな気分になります。

本記事では、漫画『カラオケ行こ！』のストーリーをネタバレ込みで紹介しました。 男子中学生だけど肝が座っている聡実とヤクザの狂児のやり取りには笑ってしまうこと間違いなし！恋人未満友情以上の関係にもドキドキしてしてしまうでしょう。