2025年10月14日更新

川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』が映画化!原作ネタバレとキャストを徹底解説!三束(みつつか)の嘘とは?

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すべて真夜中の恋人たち 岸井ゆきの
©2026年『すべて真夜中の恋人たち』製作委員会

芥川賞作家・川上未映子の恋愛小説『すべて真夜中の恋人たち』が、岸井ゆきの・浅野忠信主演で2026年に映画化。孤独に生きる冬子の不器用な恋愛や生きざまを、繊細に描いた作品です。 この記事では、映画『すべて真夜中の恋人たち』の概要やキャストを解説、さらに原作小説のあらすじもネタバレありで紹介します!

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映画『すべて真夜中の恋人たち』概要

すべて真夜中の恋人たち 岸井ゆきの
©2026年『すべて真夜中の恋人たち』製作委員会
タイトル 『すべて真夜中の恋人たち』
公開日 2026年
原作 川上未映子著・小説『すべて真夜中の恋人たち』
監督 岨手由貴子
主要キャスト 岸井ゆきの , 浅野忠信

芥川賞作家・川上未映子の同名小説を、『あのこは貴族』(2021)の岨手由貴子監督が映画化。原作は、米TIME誌の「2022年の必読書100冊」に選ばれるなど、海外でも高く評価されている作品です。 人との関わりを避け孤独に生きてきた校閲者の入江冬子(岸井ゆきの)が、物理教師の三束(浅野忠信)と出会い、初めて芽生えた感情と向き合っていく物語が描かれます。

【ネタバレ】小説『すべて真夜中の恋人たち』の結末までのあらすじ

【起】孤独が日常でアル中になってしまう入江冬子(いりえふゆこ)

フリーの校閲者として働く34歳の入江冬子(いりえふゆこ)は、自分の感情さえよくわからず、他者との関係を築けない「自分」のない女性。趣味もなく孤独な日々を送る彼女の唯一の習慣は、毎年誕生日の夜に一人で散歩をすることでした。 そんな冬子が、自分とは対照的な「自分」を持っている校閲者の石川聖(いしかわひじり)と出会います。聖が働く会社でアルバイトをしていたことから、2人はプライベートでも交流するようになりました。

【承】聖(ひじり)との関わり、三束(みつつか)との出会い

聖の影響から1人でお酒を飲むようになったことで、内に閉ざされた冬子の世界に少しずつ変化が訪れ始めました。 自分の意志でカルチャーセンターへ向かった冬子。しかし、勢いをつけるために飲んだ酒が原因で体調を崩し、物理教師の三束に助けられます。 これを機に2人は喫茶店で会うようになり、冬子が好きな「光」の話などを通じて、彼女は次第に三束に惹かれていきました。しかし、彼に会う前にはお酒を飲んでしまう冬子は、本当の自分を見せられずにいます。

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【転】他者と真正面に向き合う冬子(ふゆこ)

恋心を自覚した冬子は、内にこもる日々を破り、三束の誕生日に会う約束をします。約束の食事をした帰り道、涙ながらに「クリスマスイブの真夜中を一緒に歩いてほしい」と伝え、2人は心を通わせました。 しかしその後、久しぶりに再会した聖と激しく衝突。「あなたを見てるといらいらする」という言葉を浴びせられます。本音でぶつかり合う中で、冬子は三束との恋が自分ではない誰かの価値観の「引用」だったと気づいたのです。

【結】三束(みつつか)からの手紙

約束の日、三束は散歩に現れませんでした。のちに届いた手紙には、高校教師という経歴が嘘だったこと、そして別れの言葉が綴られていたのです。 それから2年後、今では妊娠している聖に誕生日を祝われ、冬子は穏やかな日常を取り戻しています。真夜中に限らず散歩をするようになった冬子は、三束を思い出して涙することもありますが、その記憶と共にゆっくりと前へ進んでいくのでした。

【考察】『すべて真夜中の恋人たち』が教えてくれること

三束(みつつか)の嘘の意味は?

三束の"嘘"の意味は、2つの考察が出来ます。1つは言葉そのままに「職業を詐称していた」ということ。もう1つは「関係を終わらせるための口実だったのかもしれない」ということです。 恋によって深く踏み込もうとする冬子と、あくまで適切な距離を保ちたい三束という熱量の違いは、中盤のデートの中でも見て取れました。嘘は、冬子の強い想いに応えきれない彼の苦悩の表れで、彼女を退けるための最後の壁だったのかもしれません。

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光の描写とタイトルの意味

本作では「光」が象徴的に描かれます。それは、一瞬で消えゆく儚い輝きであり、真夜中のような深い孤独を生きる主人公・冬子にとって、焦がれずにはいられない憧れの対象でした。 そして、物語の最後に彼女が記す「すべて真夜中の恋人たち」という言葉。孤独の中にいながら、決して手は届かないかもしれない「光」を、静かに想い続ける姿を反映しており、まさしく冬子自身の物語と重なるのです。

【キャスト】『すべて真夜中の恋人たち』話題の俳優が出演

入江冬子役/岸井ゆきの

岸井ゆきの

職場の人間関係に悩み、フリーの校閲者として働く入江冬子(いりえふゆこ)。孤独な日々を過ごしていたものの、大手出版社の校閲者・聖や、カルチャーセンターで助けてもらった三束との出会いから、徐々に自分の内面と向き合い始めます。 冬子を演じたのは、岸井ゆきのです。舞台「気づかいルーシー」の主演や、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した『愛がなんだ』(2019)で注目女優に。『ケイコ 目を澄ませて』(2022)で、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞しました。2023年にはフォトエッセイ『余白』も発売しています。

三束役/浅野忠信

浅野忠信

冬子が恋をする物理教師・三束(みつつか)。お酒によって体調を崩した冬子を、三束が介抱したことから2人は次第に親しくなっていきます。 三束を演じたのは、浅野忠信です。2000年頃から国外作品にも活躍の場を広げており、これまで「マイティー・ソー」シリーズや、『47RONIN』(2013)、などに出演。Disney+の配信ドラマ『SHOGUN 将軍』(2024)では、ゴールデングローブ賞テレビドラマ部門助演男優賞を受賞しました。

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【監督】女性の心を丁寧に描く岨手由貴子

岨手由貴子監督 『すべて真夜中の恋人たち』
©2026年『すべて真夜中の恋人たち』製作委員会

本作の監督を務めるのは、岨手由貴子(そでゆきこ)です。 『グッド・ストライプス』(2015)で長編商業監督デビュー。2021年には、門脇麦や高良健吾など豪華俳優陣が出演した『あの子は貴族』で、監督・脚本を務め、TAMA映画賞・最優秀作品賞を受賞しました。映画では約4年ぶりの監督作となります。

映画『すべて真夜中の恋人たち』は2026年公開

映画『すべて真夜中の恋人たち』は2026年公開予定です! 孤独という「真夜中」を静かに生きてきた冬子の恋を通して、最後には読者も「光」を感じられる物語です。映画をより深く楽しみたい方は、川上未映子の原作小説『すべて真夜中の恋人たち』をぜひ読んでみてください。