【ネタバレ】映画『52ヘルツのクジラたち』原作との違いやアンさんの死因を考察!その後どうなる?
本屋大賞受賞のベストセラー小説を実写映画化した『52ヘルツのクジラたち』。虐待によって声を出せなくなった少年との出会いをきっかけに、杉咲花演じる主人公・貴瑚の抱える過酷な過去と、登場人物たちの複雑な人間ドラマが紐解かれていきます。 この記事では、映画『52ヘルツのクジラたち』(2024年)のネタバレを含む詳細なあらすじをはじめ、原作小説との違いや、キャスト情報などをまとめて紹介します。
【基本概要】映画『52ヘルツのクジラたち』あらすじ
| 公開日 | 2024年3月1日 |
|---|---|
| 監督 | 成島出(代表作:『八日目の蝉』『いのちの停車場』など) |
| 原作 | 町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社刊 ・ 2021年本屋大賞受賞) |
| 脚本 | 龍居由佳里 |
| 主題歌 | Saucy Dog「 can not temporary 」 |
| 主な出演者 |
|
| 上映時間 | 136分 |
家族からの虐待で心に傷を負い、東京から海辺の街へ移り住んだ貴瑚(杉咲花)。彼女はそこで、虐待され声を出せなくなった少年「ムシ(桑名桃李)」と出会います。 かつての自分と彼を重ね合わせた貴瑚は、少年を見過ごすことができず一緒に暮らし始めました。やがて少年にたった一つの「願い」が芽生え、貴瑚はそれを叶える決意を固めます。かつて自分の声なきSOSを聴き取り救ってくれた恩人・安吾との日々を胸に、貴瑚は再び立ち上がるのです。
【ネタバレ】映画『52ヘルツのクジラたち』ラストまであらすじ解説
傷を抱えた貴瑚と「ムシ」との出会い

三島貴瑚は心に傷を抱えて東京から離れ、かつて祖母が住んでいた一軒家で暮らしていました。 ある雨の日、お腹の傷の痛みに苦しむ彼女に傘を差し出したのは、無数の傷跡を持つ長髪の少年。彼の母・琴美は育児放棄をしており、少年は「ムシ」と呼ばれ虐待されていました。 かつての自分と彼を重ね合わせた貴瑚は、少年を自宅に招き入れます。そして、波止場で彼に「52ヘルツのクジラ」の物語を語り聞かせました。「高すぎる声ゆえにほかのクジラには聞こえない」そんな孤独なクジラの姿は、かつて助けを求めていた自分の姿であり、目の前の少年の姿でもあったのです。
貴瑚の過去とアンさんとの日々

3年前、義父の看病を巡って実母から激しい暴力を受けた貴瑚は、絶望して命を絶とうとしました。その窮地を救ったのが「アンさん」こと岡田安吾です。彼は「家族という呪いから離れるべきだ」と優しく諭し、彼女の自立を後押ししました。 自活を決意し母に別れを告げた帰り道、涙を流す貴瑚にアンさんは「君の心の声が聞こえた」と語り、52ヘルツのクジラの声を聴かせます。 現在、貴瑚はその恩人に倣うように少年を引き取り、自ら「52」と名乗る彼との生活を始めました。そこへアンさんとともに仲が良かった美晴が訪ねてきて、彼の"最期"が紐解かれていきます。
明かされる過去

1年前、貴瑚はアンさんに想いを寄せますが、彼に「幸せを願っている」と告白をかわされます。実はアンさんは、身も心も本当の男性として生きるため葛藤するトランスジェンダーだったのです。 その後、貴瑚は会社の専務・新名主税と交際を始めますが、彼は貴瑚を束縛し、アンさんを敵視し始めます。やがて主税はトランスジェンダーであるというアンさんの秘密を暴き、事情を知らない彼の母親に全てを暴露しました。 誰にも知られず男性として生きたかったアンさんは、深い絶望と貴瑚への断ち切れない想いに苦しみ、自ら命を絶ってしまいました。恩人を失い、彼の名誉を傷つけた主税のそばにいることに耐えられなくなった貴瑚は、自らの腹部に刃物を突き立てます。
【結末】貴瑚は52を守れるのか

貴瑚と美晴は52を育ててくれた叔母を探しますが、すでに病死していました。彼を愛する人が他にいないと悟った貴瑚は、困難があっても彼を育て抜く決意を固めます。 しかし、大人たちの会話を聞いた52は、自分が迷惑になると考え置き手紙を残して失踪します。海辺で52を見つけ出した貴瑚は「あんたが必要だから、一緒に生きていこう」と語りかけました。 すると52は振り絞るように初めて声を出し、貴瑚の名を呼びます。海にクジラが姿を現す中、本当の名が「愛(いとし)」だとわかった少年と貴瑚は、共に新たな人生へ踏み出すのです。
【原作】映画と小説の違いを解説

映画版は2時間に物語を収めた結果、52の過去やその後に関わる元ルームメイトの美音子など、重要な登場人物がカットされていました。 原作小説は、貴瑚の繊細な心理描写が丁寧に描かれている点が大きな魅力です。また、映画では悲劇性が強調されていますが、原作の貴瑚は苦難を乗り越えて堂々と生きる逞しさも持っています。 そして、アンさんが自死に至る母親とのすれ違いや、遺体に母親が化粧をする描写など、アンさんと母親を巡る描写も映画では省略されていました。
【考察】アンさんの死因は?なぜ死を選ぶことになったのか

トランスジェンダー男性として生きたアンさんは、自ら命を絶ちました。最も大きな原因は、貴瑚の恋人・主税による悪意ある暴露です。主税は長崎で暮らすアンさんの母親に対し、彼がトランスジェンダーであること、さらに「自分の愛する女性にストーカーをしている」と身勝手な連絡を入れました。 そして、その秘密を知った母親から、悪気なくトランスジェンダーを「障害」と言われてしまうのです。その言葉も追い打ちとなり、翌朝アンさんは風呂場で血を流して亡くなっていました。
【評価】「グロい」「気持ち悪い」といわれる理由は?

過酷な社会問題のテーマを一つの作品に詰め込みすぎている点や、生々しい暴力の連鎖、愛を求めるあまりの過度な依存、モラハラ気質のキャラクターの言動などの表現が「気持ち悪い」「グロい」と言われる理由です。 一方で、深い孤独を抱える者同士が、互いのSOSを受信し救い合うことの尊さや、現代社会の問題をリアルに描いている点が高く評価されており、深く心を打つ人間ドラマとしての魅力も持ち合わせています。
【キャスト】登場人物と俳優を紹介
三島貴瑚役/杉咲花

アンさんとの別れをきっかけに、祖母の家へと移り住んだ三島貴瑚。そこで出会ったDVを受ける少年・52と生活をともにしながら、自らの過去とも向き合っていきます。 そんな貴瑚を演じたのは、杉咲花です。味の素「Cook Do」のCMで注目されると、2016年には朝ドラ『とと姉ちゃん』(2016年)のヒロインに抜てき。同年の映画『湯を沸かすほどの熱い愛』で、日本アカデミー賞・最優秀助演女優賞も獲得しました。 2026年は今泉力哉監督のドラマ『冬のなんかさ、春のなんかね』で、過去の恋愛を振り返る等身大の主人公を演じました。
岡田安吾役/志尊淳

トランスジェンダーであることを、家族にも友人にも隠して生きてきたアンさんこと岡田安吾。命を絶とうとしていた貴瑚を救ったものの、最終的にアンさん自身が自殺をしてしまいます。 そんなアンさんを演じたのは、志尊淳です。その中性的な顔立ちから、2018年のNHKドラマ『女子的生活』でもトランスジェンダー役を演じています。 近年はドラマ『恋は闇』(2025年)や『10回切って倒れない木はない』(2026年)で主演を務めました。また、『キングダム 魂の決戦』(2026年)では、大将軍を志す蒙恬役を演じることが発表されています。
新名主税役/宮沢氷魚

貴瑚が働く会社の専務で社長の息子・新名主税。貴瑚に一目惚れし、猛アプローチの末付き合い始めます。しかし、両親の強い勧めもあり、他の女性と婚約しました。 そんな新名を演じたのは、宮沢氷魚です。これまでトランスジェンダーが題材となっている映画『his』(2020年)や『エゴイスト』(2023年)などにも出演。本作の役柄と正反対に、社会の多様性やマイノリティの生きづらさについてメディアの前で度々発言しています。
牧岡美晴役/小野花梨

アンさんとともに、貴瑚の親友となった女性・牧岡美晴。貴瑚が突如として東京から消えたことを心配し、仕事をやめて訪ねてきました。 そんな美晴を演じたのは、小野花梨です。映画『ハケンアニメ!』(2022年)で、日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。2027年公開予定『桜の下のポリフォニー』で主演を務めることが発表されました。
少年役/桑名桃李

母親から虐待を受けたことで言葉を発せなくなった少年。「ムシ」と呼ばれていましたが、「52ヘルツのくじら」の話を聞いて、「52」と自らを名付けました。 そんな少年を演じたのは、子役の桑名桃李です。オーディションを経て、本作が映画初出演となりました。映画序盤の髪は地毛であり「ヘアドネーション」のために伸ばしていたことを舞台挨拶で明かしています。
映画『52ヘルツのクジラたち』ネタバレ解説

映画『52ヘルツのクジラたち』(2024年)のネタバレあらすじや原作との違いなどを解説しました。 原作を読むことでアンさんの想いや貴瑚たちの過去への理解がより深まります。ぜひ両作品の魅力を味わってみてください。


