2022年5月20日更新

映画『ショーシャンクの空に』は実話?「アレン・グリーン」とは誰なのか考察

ショーシャンクの空に
© Columbia Pictures/Photofest/Zeta Image

1994年に公開して以来、映画ファンから固い支持を受けてきた感動の名作『ショーシャンクの空に』。囚人同士の友情の物語ですが、あまりにリアルな刑務所生活を描いているため、実話なのでは?と思う人も多いようです。

この記事では、実話の真偽を含め、真犯人の考察や脱獄への伏線、裏話やトリビアなどを紹介していきます。

映画『ショーシャンクの空に』って実話?

エンドロールが始まる時、中央に「アレン・グリーンを偲んで」と出てくることから、アレン・グリーンという人物をモデルとした実話なのではないかと考える人も多いようです。 しかし、実はアレン・グリーンはフランク・ダラボン監督の友人で、この作品の製作にもかかわっていたエージェントでした。 つまり、『ショーシャンクの空に』は実話ではなくフィクションなのです。 この物語は主人公アンディとその親友レッドの友情を描いたものであり、ダラボン監督が本作に尽力してくれた自分の親友に感謝の念を込めて本作を捧げたのは、ごく自然なこと。アレン・グリーンは撮影中にエイズの合併症で亡くなったそうです。

映画『ショーシャンクの空に』の原作は?

『ギルダ』リタ・ヘイワース
© Columbia Pictures/Photofest/Zeta Image

映画『ショーシャンクの空に』の原作は、スティーブン・キングの中編小説『刑務所のリタ・ヘイワース』です。1982年に出版された作品集『恐怖の四季』に、春の物語として「春は希望の泉」という副題で収録されています。 タイトルのリタ・ヘイワースとは、1940年代のハリウッドで活躍した女優で、代表作は『ギルダ』(1946年)。『ギルダ』は劇中に囚人たちが観ている映画として登場しています。アンディは刑務所の壁にこのリタ・ヘイワースのポスターを貼っていました。 ちなみに原作の原題は『Rita Hayworth and Shawshank Redemption』で、映画の原題はリタの名前を取っています。もし原作通りにすると、リタ・ヘイワースの伝記映画と勘違いされ、リタ役に名乗りを上げる女優が出るのではないかと変更したという裏話も。

実はモデルとなった人物は存在する!

アンディの物語は実話ではありませんが、原作の中編小説にはインスパイアされた実際の事件があったようです。それは、オハイオ出身の逃亡犯フランク・フレッシュウォータースの事件。 フランクは1957年に死亡事故を起こして有罪になり、保護観察下にあった農場から逃亡したため、1959年にオハイオ州立少年院に20年服役する判決が下っています。なんと56年間も逃亡生活を続けたそうで、2015年に79歳でフロリダで逮捕された際には、“リアル”アンディとして大きなニュースになりました。 というのもオハイオ州立少年院は、実は通称マンスフィールド少年院といい、『ショーシャンクの空に』が撮影された有名な場所だったからです。

考察①:アンディは本当に無実だった?

映画冒頭に、アンディが裁判にかけられるシーンがあります。妻に裏切られたアンディが、酔った勢いで愛人宅まで行き、銃に弾を込めている場面も映し出されていました。しかしアンディは裁判で無罪を主張し、刑務所に入ってからもそれは揺るぎませんでした。 ところが劇中では、アンディが本当に妻と愛人を殺していないのかは、はっきりしていません。トミーという若者がかの殺人を告白する人物と出会った話もありましたが、それも結局は曖昧なまま。何より、遺体発見現場の状況に相違があったことも気になるところ。 前述の原題「Redemption」には、贖罪や救済という意味があります。これをアンディの罪の贖いととるかどうかで、作品の印象はまったく違うものになりますね。ただし、中盤でアンディは自分がダメな夫で、妻を結果的に死に追いやったのは自分のせいだと間接的に罪を認めていることもあり、その贖罪ともとれます。

考察②:この映画が伝えたいこととは

ショーシャンクの空に
©COLUMBIA

アンディが有罪であれ無実であれ、この作品の主題はそこにはなく、どんな苦しい状況の中でも希望を捨てないことがメインテーマです。原作の副題にある「春は希望の泉」が、それを示しています。 アンディが罪を償うために刑務所で長い年月を過ごしたこと、死にたいと思うほどの苦痛を味わったこと、それでも「必死に生きるか、必死に死ぬか」という選択肢の「必死に生きる」ほうを選んだことこそがこの映画のテーマであり「希望」なのです。 アンディの対比として希望を持たないレッドが配置され、そんなレッドをアンディが変えていくことも本作の重要なメッセージの1つ。アンディの信念の強さが、レッドを希望へと導いたのです。

結末に繋がる伏線まとめ

ポスターやロックハンマー

アンディの脱獄は、周到に準備されたものでした。1番初めにレッドに調達を頼んだロックハンマーは、趣味の石の加工のためだったようですが、そのハンマーで部屋の壁を削った時に脆いことに気付き、ここから秘かに準備を重ねていたと考えられます。 趣味を建前にハンマーで壁に穴を掘り続け、それをリタ・ヘイワースのポスターで隠し、さらに抜き打ち検査を見越してハンマーを聖書の中に隠していたアンディ。ポスターが時代とともにリタからマリリン・モンロー、ラクエル・ウェルチに変わっていくのも、経年を表す大事なポイントでした。 日常に馴染むアイテムを使うことで周囲に脱獄をすることを悟らせないという、なんとも巧妙な手段だったと言えます。 とはいえ、本当にロックハンマーでトンネルが掘れるのか、アンディが脱獄した後にどうやってポスターを貼り直したのかなど、多少の矛盾点があることも否めません。

聖書

ノートン所長は敬虔なキリスト教信者なのか、聖書をやたら引用します。部屋には妻が刺繍した聖書の言葉「主の裁きは下る いずれ間もなく」が飾ってあり、アンディにも聖書の一文を語りかけていました。 しかしノートンは悪徳所長であり、刺繍の額縁の裏には賄賂の裏帳簿が隠してあります。それを皮肉るように、アンディは聖書の中にハンマーを隠しており、「確かに救いはこの中に」と書き残してもいました。 アンディが聖書をくり抜いてハンマーを隠していたページは、「EXODUS (出エジプト記)」であり、モーゼが虐げられていたユダヤ人を率いて囚われの地から脱出する物語です。

ブルックスの死

図書係として50年もの月日を刑務所で過ごしたブルックスは、仮釈放を怖がっていました。そして実際に仮釈放されたブルックスは、外の生活に馴染めずに自ら死を選んでしまいます。 ブルックスは雛の時から育てていたカラスを、自分が仮釈放される前に刑務所の鉄格子から解き放ちます。しかし、人間のブルックスに長い間育てられたカラスは、自然界に戻ったのちにうまくやっていくことができたのでしょうか。 長い間刑務所に服役していたブルックスとカラスの姿が重ね合わされ、新しい世界に「自由」と「希望」を見出すことの難しさを強調しているようにも捉えられますね。 ブルックス同様、仮釈放になったレッドも希望を見出せずにいましたが、彼には希望に導いてくれるアンディの存在があったのです。

映画『ショーシャンクの空に』のトリビア・裏話3選

①:レッドの犯罪内容

『ショーシャンクの空に』モーガン・フリーマン
© Columbia Pictures/Photofest/Zeta Image

レッドは映画の中では殺人の罪を犯したことを語っています。「1人の男の命を奪ったバカな若造だった」と仮釈放の審査中に、自らの過去を告白したシーンがありました。 しかし原作では、保険金のために妻を殺し、それを見られた隣家の女性と息子まで殺めています。3人もの命を奪った重罪人だったのです。 映画では囚人たちが「俺は無罪だ」とネタのように言い合うシーンがあり、アンディも同調していましたが、レッドはただひとり「自分は有罪だ」と罪を認めています。

②:レッド役/モーガン・フリーマンの裏話

原作では中年のアイルランド人という設定だったレッド。候補にはクリント・イーストウッド、ハリソン・フォード、ポール・ニューマンの名前が挙がっていました。最終的に穏やかな物腰や存在感、そしてあの低音の声からフリーマンに決定したのです。 フリーマンがレッド役になったことで、こんな裏話も。アンディに名の由来を聞かれ「(赤毛が多い)アイリッシュだから」と答えていたレッド。原作では意味を成していたこのやり取りも、アイルランド出身のイメージとはほど遠いフリーマンがレッドを演じたことによって、ジョークに変わってしまいました。 また、実はフリーマンの息子アルフォンソが、端役で出演しています。レッドの若い時の写真は彼のものだそう。

③:アンディー役/ティム・ロビンスの裏話

『ショーシャンクの空に』ティム・ロビンス
© Castle Rock/Photofest/Zeta Image

アンディ役はトム・ハンクスのみならず、ケビン・コスナー、ニコラス・ケイジ、ジョニー・デップ、チャーリー・シーンなどが候補として挙げられていました。 トム・ハンクスは同時期に『フォレスト・ガンプ』に取り込んでいたために辞退。ケビン・コスナーは『ウォーターワールド』のために辞退しましたが、その選択を悔やんでいると後に語っています。 最終的に選ばれたのは、ティム・ロビンスでした。ダラボン監督は1990年の『ジェイコブス・ラダー』での彼の演技を見て決めたといいます。 暴行を受けるシーンもあり、アンディ役はかなり体当たりな役柄だった模様。特に、脱出の際に汚水のパイプを這って進んだ先の小川は有毒だったそうで、川をせき止めて塩素消毒なども行ったようです。

映画『ショーシャンクの空に』には他にも細かい裏話がたくさん!

①:アンディが逃亡するシーンでキングのトレードナンバーが登場していた

このシーンで警備が「237を開けろ!」とレッドの房室に近づき叫びます。実はこの237がキーナンバーで、キング原作の『シャイニング』でのあの印象的な部屋の番号や、『スタンド・バイ・ミー』で少年たちがかき集めた資金(2.37ドル)だったりと、様々な場面で使われています。

②:劇中にたった2人しか女性が登場していない

1人は仮釈放されたブルックが働く生活雑貨店にやってきたお客、もう1人はアンディが逃亡した時に登場した銀行員で、どちらも端役でした。

③:監督の「手」が映画に出演していた

銃に弾丸を入れレボルバーを回すシーンと、アンディが壁に自分の名前を彫るシーン。実はこの時の手はフランク・ダラボン監督のもの。監督が自分自身の手を映画に出演させる手法は、『タイタニック』でジェームズ・キャメロン監督も使用しています。

④:ハドリー刑務官が逮捕されるエンディングシーンで、ミランダ警告が読み上げられる

ミランダ警告とは1966年にアメリカで起きた「ミランダ対アリゾナ州事件」に端を発する、被疑者の権利を指します。この物語の舞台は1966年で、その当時は逮捕前にこの警告を読み上げられていたことに由来します。

⑤:プロデューサーとして知られるロブ・ライナーがダラボンの台本をいたく気に入り、映画化権の買取をオファーしていた

ダラボンはそのオファーを断り、自身で映画化しました。ライナーはアンディ役としてハリソン・フォードやトム・クルーズを考えていたそうです。

⑥:ブルックがカラスに餌をやるシーンでアメリカの動物愛護団体からクレームを受けていた

彼らはカラスの餌として生きている幼虫を与えないことを要求しました。

⑦:撮影中ダラボン監督は毎週日曜に映画鑑賞してた

フランク・ダラボン監督は、本作を撮影していた期間の日曜日には必ずマーティン・スコセッシ監督の『グッドフェローズ』を観て、どう時間の経過を描くのかなどのインスピレーションを受けていたといいます。

⑧:ブラッド・ピッドも出演する予定だった!

トミー・ウィリアムズの役はブラッド・ピットに白羽の矢が立ちましたが、同年の作品『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の主役を演じるほうを選び、ギル・ベローズが演じることになりました。

⑨:最終ロケ地は実はカリブ海だった

映画の最後の部分の撮影場所はカリブ海に浮かぶアメリカ領のバージン諸島でしたが、実際の映画内では太平洋という設定でした。

映画『ショーシャンクの空に』は実話じゃなかった!伏線や考察を楽しもう

ショーシャンクの空に
©COLUMBIA

スティーブン・キング原作、フランク・ダラボン監督による『ショーシャンクの空に』。いまだに人気の高い作品であり、24年ぶりにリクエストで地上波で放送されることも話題に上りました。 その人気の秘密はやはり、本作が持つ不滅のテーマ「希望」が多くの人の心を打つから。何度も観たという人も、脱獄までの伏線や考察も含めて、今一度楽しんでみてはいかがでしょうか?